結論:合格を分けたのは才能ではなく「手を付ける順番」だった
「勉強時間は確保したのに点が伸びない」「計算問題で心が折れて、机に向かうのが怖くなった」——第二種電気工事士の学科でつまずく人の多くは、努力の量ではなく進め方の順番で差がついています。学科は50問・四肢択一・1問2点で、100点満点中60点(30問)取れれば合格。満点を狙う試験ではありません。この記事では、合格者が共通してたどった「計算で挫折しかけ→配線図で立て直し→直前の総点検で30問突破」という流れを、つまずいた場面とその乗り越え方まで含めて追います。
| 学習の局面 | やったこと | つまずきかけた場面 | 立て直し方 |
|---|---|---|---|
| 入口 | テキストを流し読みで1周 | 計算から始めて数日で挫折 | 計算を後回しにして全体像づくりへ |
| 本体 | 配線図・鑑別を演習で反復 | 読むだけで点が伸びない | 間違えた問題を翌日もう一度解く |
| 直前 | 間違い問題と配線図を総点検 | 新しい範囲を広げて記憶が崩れる | 新範囲を止め、既習の仕上げに集中 |
試験の前提:満点はいらない、30問で受かる試験
体験を追う前に、目標ラインを正確に共有しておきます。ここを誤解すると「全部できないと受からない」と気負って失速します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 50問 (一般問題 約30問+配線図 約20問) |
| 形式 | 四肢択一・1問2点・100点満点 |
| 試験時間 | 120分 |
| 合格基準 | 60点 (30問正解) 以上 |
| 受験方式 | CBT方式または筆記方式 (マークシート) |
| 合格率 | 約55〜58% (2025年度上期57.7%・下期55.4%) |
合格率は5〜6割。国家資格としては高めで、正しい順番で必要量を演習すれば十分に届く試験です。満点ではなく「30問をどう確保するか」に発想を切り替えるのが、合格者が最初に踏んだ一歩でした。
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入口でのつまずき:「全部やろう」として計算で心が折れた
最初の壁は「範囲が広く見える」ことです。電気理論、配線設計、電気機器・配線器具、施工方法、検査方法、法令、配線図、鑑別——目次を見ただけで気が遠くなります。合格者の多くも最初は、一番難しそうな電気理論の計算から手を付けました。そしてオームの法則や合成抵抗で詰まり、「自分には向いていないのでは」と最初の3日で手が止まった、という声が共通しています。
転機は「満点はいらない」と気づいたことでした。最初の1週間はテキストを『読み物』として流し読みするだけに切り替えます。公式を覚えようとせず、「こういう分野があるのか」「配線図ってこういう記号なのか」と全体像の地図を作ることに徹します。理解度2割で構いません。
- やること: テキスト1周を流し読み。計算は「こんな問題が出る」と眺めるだけ
- やらないこと: いきなり計算演習、ノートへの清書、丸暗記
- 到達状態: 試験範囲の全体像が頭に入り、「どこが暗記でどこが計算か」が分かる
この段階を飛ばすと、後で各分野を勉強するたびに「これは全体のどこ?」と迷子になります。地図を先に持つことが、急がば回れで結局は近道になります。
立て直しの本体:配線図と鑑別から得点を積み上げた
学習の本体です。ここで合格者が共通して選んだ起点が配線図と鑑別でした。配線図は学科50問の中で出題ウェイトが大きく、しかも電気理論の計算と違って「記号の読み方」と「鑑別(器具・材料の写真判別)」という暗記主体の要素が多い。つまり、努力が点数に直結しやすい分野です。
進め方は、分野を「暗記で取れる」「計算で取れる」に仕分けして、暗記系を先に固めます。
| 分野グループ | 中身 | 取り組む順番 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 暗記で稼ぐ | 配線図・鑑別・配線器具・法令 | 先に着手 | 努力が点に直結 |
| 計算で稼ぐ | 電気理論・配線設計 | 後から、公式を絞って | 落としても合格圏は届く |
配線図と鑑別で得点の土台を作れば、計算が苦手でも30問の合格ラインは見えてきます。計算は捨てるのではなく、頻出の公式(オームの法則、電線の許容電流、合成抵抗など)に絞って「足を引っ張らない程度」に底上げするのが現実的でした。電線の許容電流は直径1.6mm=27A、2.0mm=35A、2.6mm=48Aと「太いほど大きい」、接地抵抗はC種10Ω以下・D種100Ω以下——こうした頻出の数値はカードにして覚えてしまうと安定します。
合格者が口を揃えるのは「読むだけでは取れない」という一点。テキストを眺めて分かった気になっても、問題を解くと手が止まります。分野ごとに演習を回し、間違えた問題に印を付けて翌日もう一度解く。この往復で初めて得点力に変わった、という振り返りが多く聞かれます。当サイトの配線図攻略も起点づくりに使えます。
直前期の判断:新しいことを足さない勇気が効いた
直前期に新しい参考書や苦手分野に手を出すと、かえって既習の記憶が崩れます。合格者が直前2週間でやったのは「総点検」だけ。新範囲を増やさず、これまで間違えた問題と配線図・鑑別を繰り返し、合格ラインの30問に確実に乗せにいきました。
- 間違えた問題だけを集めて2〜3周する
- 配線図と鑑別の最終確認(出題ウェイトが大きいので最後まで触る)
- 本番形式で50問・120分を通しで解き、時間配分の感覚をつかむ
- 計算は新しい問題に手を出さず、解けた公式の再確認にとどめる
CBT方式か筆記方式(マークシート)かで操作感が違うので、自分が申し込んだ方式の模試形式で一度通すと本番の戸惑いが減ります。「直前に焦って新しい問題集を買ったが、結局やり切れず不安が増えただけだった」という反省は、リベンジ組ほど語られる定番です。仕上がりの確認にはオリジナル予想問題160問が使えます。
残り時間別:どの段階を削るか
合格者がたどった流れは理想形ですが、時間がなければ削る順番が決まっています。削るのは常に「全体把握の精度」であって、「演習」と「総点検」は最後まで残します。
| 残り時間 | 全体把握 | 配線図・鑑別の演習 | 直前総点検 |
|---|---|---|---|
| 残り1ヶ月以上 | じっくり通読 | 暗記系→計算の順で演習 | 後半1〜2週間を確保 |
| 残り2週間 | 高速で1周 | 配線図・鑑別に集中 | 弱点を仕上げ |
| 残り1週間 | 目次だけ確認 | 配線図・鑑別の弱点演習 | 間違えた問題を総点検 |
残り1週間でも、配線図・鑑別という暗記系に集中すれば60%は十分に射程です。学習時間の目安は約50〜100時間。1日2時間なら1ヶ月で約60時間と、無理のない計画が引けます。具体的な週割りは勉強スケジュールも参考にしてください。
落ちる人の典型と立て直し方
体験談を裏返すと、不合格になりやすい人の行動が見えてきます。原因と回避策をセットで押さえておきましょう。
| 落ちる人の行動 | 何が起きるか | 立て直し方 |
|---|---|---|
| いきなり計算から始める | 電気理論で詰まり、勉強そのものが嫌になる | まず流し読みで全体像を作り、計算は後回し |
| テキストを読むだけで演習しない | インプット過多で本番に手が止まる | 1分野ごとに問題を解き、間違いを翌日復習 |
| 直前に総点検の時間を残さない | 仕上げ不足のまま本番を迎える | 計画段階で直前1〜2週間を総点検専用に予約 |
特に多いのが2つ目の「読んで満足」型です。分かった気になっても、配線図は手を動かさないと記号がつながりません。一度不合格を経験した人の再挑戦は不合格リベンジも参考になります。
まとめチェックリスト
- [ ] 目標を「満点」ではなく「30問(60点)」に設定し直す
- [ ] 最初の1週間はテキストを流し読みし、暗記/計算の地図を作る
- [ ] 配線図・鑑別を起点に、暗記系から得点の土台を固める
- [ ] 間違えた問題は翌日もう一度解いて定着させる
- [ ] 直前1〜2週間を総点検専用に確保し、新範囲を広げない
編集部の見方:予想問題160問の解説で見えた「配線図起点」の再現性
当サイトで電工2種学科のオリジナル予想問題160問を作り、解説を書く中で繰り返し見えたのは、配線図と鑑別が得点の土台になるという構造でした。記号の読みと写真判別は暗記がそのまま点に変わり、計算が苦手な人でも30問の合格ラインに乗せやすい。本記事で紹介した合格者の流れが特別な才能を必要としないのは、ここに再現性があるからです。今日できる最初の一手として、テキストの目次を5分眺めて自分がどの局面にいるかを確認し、予想問題160問を1セット解いて、今の得点が30問にどれだけ届くかを測ってみてください。
出典
- 一般財団法人 電気技術者試験センター 第二種電気工事士試験 — 試験概要・出題範囲・受験方式
- 令和7年度第二種電気工事士上期学科試験の結果について (電気技術者試験センター) — 受験者数・合格者数・合格率
- 電気工事士法 — 第二種電気工事士の業務範囲の規定

















































































































