第一種電気工事士試験は、学科 (140分50問・60点合格) + 技能 (60分・候補問題10問+施工欠陥ゼロ) の2段階構造で、電工2種より高圧 (600V超) ・自家用電気工作物の論点が加わります。免状交付には実務経験3年以上(令和3年4月改正)が必要で、試験合格自体は受験資格不要です。この記事では、これから第一種電工を独学で目指す初心者(電工2種合格者を想定)向けに、6か月学習計画をテキスト選び・技能練習・申込の各段階に分けて整理します。
結論を先に:第一種電工 初心者の6か月ロードマップ
| 月 | 学習テーマ | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 学科の電気理論+配電 | 電工2種の基礎の上に高圧の概念を積む |
| 2か月目 | 学科の配線図+施工方法 | シーケンス制御・自家用電気工作物の配線図 |
| 3か月目 | 学科の法令+学科直前期 | 電気事業法・電気工事士法・最新基準 |
| 4か月目 | 技能の候補問題10問 (前半5問) | 複線図化→施工→欠陥チェックの反復 |
| 5か月目 | 技能の候補問題10問 (後半5問) + 全10問再演習 | 60分以内の施工完了を体に入れる |
| 6か月目 | 直前期 (学科+技能の通し練習) | 上期/下期の試験日に向けて仕上げ |
学習時間の目安は電工2種合格者で90〜150時間(学科60〜100時間+技能30〜50時間)。電工2種未経験は学科200時間以上+技能で計300時間超が現実的です。
試験の全体像
学習計画を組む前に、第一種電気工事士の試験形式を fact ベースで押さえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験区分 | 学科+技能の2段階 |
| 学科 試験時間 | 140分 (2時間20分) |
| 学科 出題数 | 50問 (四肢択一・マークシート) |
| 学科 合格基準 | 60点以上 (30問正答) |
| 技能 試験時間 | 60分 |
| 技能 出題形式 | 候補問題10問から1問出題、欠陥ゼロで合格 |
| 試験頻度 | 年2回 (上期・下期、令和3年度以降) |
| 令和6年度 学科合格率 | 上期 59.3% / 下期 55.4% |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可能) |
| 免状交付 | 試験合格+実務経験3年以上 (令和3年4月改正で5年→3年に短縮) |
| 試験実施 | 公益財団法人 電気技術者試験センター |
電工2種との違いの全体像は第一種電気工事士 vs 第二種電気工事士で整理しています。
学科の出題構成 (50問・1問2点)
| 区分 | 主な内容 | 推奨学習時間目安 |
|---|---|---|
| 電気の基礎理論 | オームの法則・三相交流・電気回路 | 10〜15時間 |
| 配電・送電 | 配電方式・電気機器・変圧器 | 10〜15時間 |
| 自家用電気工作物 | 高圧 (600V超)・受変電設備・保護協調 | 15〜20時間 |
| 配線図・施工方法 | 配線図記号・シーケンス制御・施工方法 | 15〜20時間 |
| 検査・測定 | 絶縁抵抗・接地抵抗・計器類 | 5〜10時間 |
| 法令 | 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法 | 5〜10時間 |
電工2種を取得済なら、電気の基礎理論と一般用電気工作物 (低圧) の部分は復習で対応でき、自家用電気工作物 (高圧) の論点が新出の中心になります。
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ステップ1: 学科で電気理論+配電の土台を作る (1か月目)
電工2種で学んだ電気理論を前提に、第1種特有の三相交流・配電方式・変圧器を積み上げます。電工2種で「すい~っと合格」を使った人は、同じシリーズの第一種電気工事士 学科 テキストおすすめで紹介しているテキストで学習スタイルを統一すると効率的です。
- 電気の基礎理論: 三相交流・力率改善・短絡電流の計算
- 配電・送電: 配電方式 (単相3線式・三相3線式)・変圧器の結線
- 電気機器: 三相誘導電動機・始動方式・速度制御
この段階では完璧主義にならず、「用語が出てきたら何の話か分かる」レベルを目指します。詳細な記憶は配線図・施工方法に進む過程で再強化されます。
ステップ2: 学科で配線図+施工方法を体系学習する (2か月目)
第1種電工の学科で最も配点が高いのが配線図・施工方法です。電工2種にはないシーケンス制御と高圧機器の接続が新出論点になります。
- 配線図記号: 電工2種の記号に加え、高圧機器・受変電設備の記号
- シーケンス制御: タイマー・リレー・接点記号の読み取り
- 施工方法: 電線・配管・接続部材の選定・接地工事
配線図は読めるようになるまで反復が必要で、過去の試験で出題されたパターンを問題集で繰り返し演習するのが効率的です。
ステップ3: 学科の法令+直前期 (3か月目)
学科の最後に法令を仕上げます。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法の3本柱を中心に、自家用電気工作物の保安規程・主任技術者の選任要件を押さえます。
- 学科の問題演習を1日1セット (50問・140分)
- 法令の最新基準値を確認 (令和3年改正の実務経験要件3年も含む)
- 苦手分野の補強 (配線図記号で詰まった場合は専用問題集で集中)
学科の試験日に間に合うよう、上期受験なら3月までに学科の学習を完成させる計画が安全です。
ステップ4: 技能の候補問題10問 — 前半5問 (4か月目)
学科の学習が一段落したら、技能の候補問題10問に入ります。電気技術者試験センターが試験日の数か月前に候補問題10問を公表するので、全パターンを複線図化→施工→欠陥チェックで反復します。
- 複線図化の練習: 候補問題の単線図を複線図に書き直す
- 施工の練習: 実物の部材で各問題を施工 (60分以内の完成を体に入れる)
- 欠陥チェック: 試験センター公表の「電気工事士技能試験 欠陥の判断基準」で自己採点
実物の部材を使うため、候補問題練習キット(電線・スイッチ・コンセント・端子・自家用機器など各社販売)を1〜2セット用意します。電工2種で使ったキットは流用できないため、第1種用のキットが必要です。
編集部の見立て: 候補問題10問のうち、特に複雑な配線が含まれる問題ほど早めに着手してください。「簡単そうな問題から」の順序で進めると、本試験で複雑な問題が出題された場合に60分以内に完成できない事態になりがちです。配線パターンが複雑な問題ほど反復回数が必要なので、4か月目の最初に取り掛かるのが安全です。
ステップ5: 技能の候補問題10問 — 後半5問+全10問再演習 (5か月目)
5か月目で残り5問を仕上げ、全10問を再度通し練習します。60分以内の施工完了と欠陥ゼロを本試験のリハーサルとして確認します。
- 1日1〜2問の通し練習 (1問60分+欠陥チェック15分=計75分/問)
- 苦手な配線パターンは部材を解いて再施工
- 工具 (圧着工具・ストリッパー・ペンチ等) の使い方も最終確認
並行して、上期/下期の技能試験申込が学科合格後にあるため、学科の試験日と技能試験日のスケジュールを把握しておいてください。
ステップ6: 直前期は学科の問題演習と技能の通し練習 (6か月目)
最後の1か月は学科と技能の両方を本試験形式で通すフェーズです。
- 学科: 140分50問の通し演習を週3回
- 技能: 候補問題のうち、苦手な2〜3問を集中演習+全10問のうちランダム1問を本番形式で通す
学科の問題集と技能の練習キットの選び方は第一種電気工事士 学科 テキストおすすめで整理しています。独学だけで進めるか通信講座を併用するかは第一種電気工事士 通信講座おすすめを参考にしてください。
つまずきやすい段階と対処
| 段階 | つまずき方 | 対処 |
|---|---|---|
| 学科の自家用設備 | 高圧機器の名称と役割が掴めない | テキストの図と実物写真を行き来して用語と機器を結びつける |
| 学科の配線図 | シーケンス制御のラダー図が読めない | 接点記号と動作順序を1問ずつ手で書きながら反復 |
| 技能の複線図化 | 単線図から複線図への変換でミス | 単線図の電源・スイッチ・負荷を3色マーカーで分けて整理 |
| 技能の施工時間 | 60分以内に終わらない | 部材を切る・剥く・接続するの各工程を計時し、ボトルネックを特定 |
| 技能の欠陥判定 | 欠陥の有無を自己判断できない | 試験センターの「欠陥の判断基準」を都度参照し、合格者の動画と比較 |
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まとめ
第一種電気工事士試験は受験資格なしで誰でも受験できる反面、学科140分50問60点合格+技能60分の候補問題10問+施工欠陥ゼロという2段階のハードルがあります。電工2種合格者を前提に、学科→技能→直前期の順序で6か月を組むと、教材選び・申込・本試験までブレが少なくなります。学習時間は電工2種合格者で90〜150時間、未経験で300時間超が目安です。免状交付の実務経験3年は試験合格後に満たせばよく、まず試験合格を目標に進めてください。
出典
- 公益財団法人 電気技術者試験センター 第一種電気工事士試験
- 経済産業省 電気工事士法 (令和3年4月改正)































































