結論:合格率は近年15〜20%。上がったが、4科目をそろえる難しさは変わらない
電験三種の合格率は、近年15〜20%前後で推移しています。令和5年度は上期16.6%・下期21.2%、令和6年度は上期16.0%・下期16.8%でした。
平成の終わりから令和4年度上期までは合格率10%前後の難関でしたから、ここ数年で数字は明確に上がっています。ただ、この変化を「電験三種は簡単になった」と読むと、対策を誤ります。押さえるべきは次の3点です。
- 合格率が上がった主因は、年2回化・科目合格制度・CBTという受験のしやすさの改善で、各科目の中身がやさしくなったわけではない
- 15〜20%は資格試験としては依然として低い水準で、電気工事士よりはるかに難しい
- 本当の壁は1科目ごとの難しさに加えて、理論・電力・機械・法規の4科目を期間内にすべてそろえることにある
この記事では、合格率の推移を確認したうえで、「なぜ上がったのか」「それでもなぜ難しいのか」を整理し、科目合格制度を味方につける読み方を示します。
電気の計算や用語にまだ不安がある人は、第二種電気工事士の学科で基礎の感覚をつかんでおくと、電験の理論にも入りやすくなります。
合格率の推移:10%前後から15〜20%へ
電験三種の合格率(4科目すべてに合格した人=最終合格者の割合)を、近年の公表値で並べると次のとおりです。
| 年度・区分 | 合格率(対受験者) |
|---|---|
| 令和5年度 上期 | 16.6% |
| 令和5年度 下期 | 21.2% |
| 令和6年度 上期 | 16.0% |
| 令和6年度 下期 | 16.8% |
令和5年度下期は、受験者24,567人に対して4科目合格者が5,211人で、合格率21.2%でした。
長い目で見ると、平成28年度から令和4年度上期まではおおむね10%前後で安定していました。それが令和4年度下期以降に上昇し、現在の15〜20%という水準に乗っています。年度や上期・下期で多少のぶれはありますが、相場観としては「近年は15〜20%前後」と覚えておけば十分です。
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なぜ合格率が上がったのか:受験のしやすさが変わった
合格率の上昇には、はっきりした制度的な理由があります。試験が急にやさしくなったのではなく、合格科目を積み上げるチャンスが増えたことが効いています。
- 年2回化(令和4年度〜):それまで年1回だった試験が上期・下期の年2回になり、1年間に挑戦できる回数が倍になった
- 科目合格制度の追い風:合格した科目は一定期間免除されるため、年2回になったことで「免除を使いながら残り科目を片づける」サイクルが回しやすくなった
- CBT方式の導入(令和5年度〜):テストセンターのパソコンで、科目ごとに別日受験ができるようになり、準備が整った科目から受けやすくなった
この3つが重なり、「1回で4科目同時合格」を狙わなくても、数回に分けて確実に積み上げる人が増えました。結果として、最終合格に到達する人の割合=合格率が押し上げられたわけです。年2回それぞれの具体的な試験日・申込期間は、日程の記事で確認できます。
裏を返すと、合格率が上がった恩恵を受けるには、科目合格制度を計画的に使うことが前提になります。行き当たりばったりで受け続けると、免除の期限内に4科目をそろえきれず、せっかく合格した科目が失効してしまう、という落とし穴もあります。
それでも難しい:4科目を「期間内にそろえる」総合戦
合格率15〜20%は、受験のしやすさが改善された今でも、資格試験としては低い水準です。難しさの正体は、大きく2つに分けられます。
1つ目は、1科目ごとの中身の重さです。とくに理論は電気回路や電磁気の計算が中心で、公式の暗記だけでは解けません。電力・機械も計算と幅広い知識が問われ、法規は計算と条文の両方を押さえる必要があります。どの科目も「なんとなく覚えた」では60点に届きにくい構造です。
2つ目は、4科目を維持しながらそろえる難しさです。科目合格制度があるとはいえ、免除には期限があります。1年目に2科目受かっても、残り2科目を期限内にそろえられなければ、最初の合格科目が消えてしまうこともあります。つまり、各科目を仕上げる力に加えて、どの科目をいつ受けるかという計画力が合否を分けます。
電気工事士と並べると、この難易度差がよく分かります。
| 試験 | 合格率(近年の目安) |
|---|---|
| 第二種電気工事士(学科) | 約56% |
| 第二種電気工事士(技能) | 約72% |
| 第一種電気工事士(学科) | 約57% |
| 第一種電気工事士(技能) | 約58% |
| 電験三種(最終) | 15〜20% |
電気工事士が半数以上受かる試験であるのに対し、電験三種は5〜6人に1人前後しか最終合格しません。同じ「電気の資格」でも、求められる学習量と理解の深さがまったく違うことが読み取れます。電気工事士との位置づけの違いは、別記事でも整理しています。
これだけの難関に挑む価値があるのかは、合格後の年収やキャリア(法的な選任義務に支えられた安定した需要)から逆算すると判断しやすくなります。
科目合格制度を「武器」に変える読み方
合格率の数字を自分ごとにするうえで、いちばん大事なのが科目合格制度の使い方です。考え方はシンプルです。
- 1年で全科目を狙うのか、2〜3年かけて分割するのか、最初に方針を決める
- 分割するなら、土台になる理論を早い回で確実に取りに行く(理論が残ると後半がつらい)
- 年2回の受験機会を、どの科目をいつ受けるかに割り当てる
- 合格した科目の免除期限を常に意識し、期限内に残りを終える逆算をする
特に効いてくるのは、理論を先に固めることです。理論は他科目の計算の土台になるため、ここが残っていると電力・機械の理解も進みません。逆に理論を早めに合格できれば、残り科目の学習が一気に楽になります。
具体的な勉強時間の配分や、複数年計画の組み立て方は、勉強時間の記事で詳しく扱っています。
合格率を「自分の合格」に近づけるために
最後に、合格率の数字を踏まえて、現実的な進め方を整理します。
- 理論(と電気数学)から着手し、計算の土台を作る
- 科目合格制度を前提に、1年集中か複数年かの方針を決める
- 各科目で安定して60点を超える状態を、過去問演習で作る
- 自分が落としやすい分野を演習で特定し、重点的につぶす
独学でここまで持っていける人もいますが、理論の電磁気や機械の電動機など、図やイメージがないと理解しにくい単元でつまずく人も多いのが電験三種です。テキストだけで腑に落ちない単元が続くなら、映像講座の併用で時間を買うのも合理的な判断です。
理論や機械のイメージづくりに不安がある人は、動画で解説が見られる通信講座も比較対象に入れて構いません。
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ぴよきちメモ
電験三種の合格率が上がったと聞くと「ラッキー、今がチャンス」と思いがちですが、上がった理由は中身がやさしくなったからではなく、受験のチャンスと積み上げの仕組みが増えたからです。だから恩恵を受けられるのは、科目合格制度を計画的に使える人だけ。
逆に言えば、ここを最初に設計しておけば、難関のイメージほど無謀な挑戦ではありません。理論を早めに取りに行って、年2回の機会を使いながら残りを積み上げる。この一手だけで、合格率15〜20%の「数字の壁」はずいぶん低く感じられるはずです。
焦らず、でも免除の期限だけは見失わずに。電験三種は、計画でかなりの部分が決まる試験です。
出典・参考
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第三種電気主任技術者試験
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 試験結果(電気主任技術者試験)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 受験申込み方法・支払い方法








































































































