この記事で分かること
- 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法の3法を混同しない整理法
- 一般用電気工作物と自家用電気工作物の区分の覚え方
- 第二種電気工事士が行える工事範囲と行えない工事の区別
- 工事士の義務・届出・罰則の暗記ポイント
- PSEマーク(菱形と丸形)の見分け方
法令問題の出題傾向と得点戦略
第二種電気工事士の学科試験では、50問中およそ5〜8問が法令関連の問題として出題される。法令は計算が不要で、正確に覚えていれば確実に得点できる「暗記だけで取れる分野」だ。
しかし、3つの法律(電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法)は名前も内容も似ているため、整理しないまま勉強すると混同して失点しやすい。この記事では、まず3法の違いを大きな枠組みで整理し、次に各法律の頻出ポイントを覚える方法を解説する。
3つの法律を「守る対象」で区別する
法令暗記の第一歩は、3つの法律の役割を明確に区別することだ。以下の表で整理しよう。
| 法律名 | 守る対象 | キーワード |
|---|---|---|
| 電気事業法 | 電気設備の安全と電気の安定供給 | 電気工作物の区分、技術基準適合義務 |
| 電気工事士法 | 工事する人の資格と義務 | 免状の種類、工事範囲、届出義務 |
| 電気用品安全法 | 電気製品の安全性 | PSEマーク、特定電気用品 |
覚え方:「事業法は設備、工事士法は人、用品安全法はモノ」
「設備・人・モノ」の3語で区別できれば、試験問題で「この規定はどの法律に基づくか?」と問われたときに正しい法律を選べる。
【電気事業法】電気工作物の区分を覚える
電気事業法で最も出題頻度が高いのは、電気工作物の区分だ。
一般用電気工作物と自家用電気工作物の区別
| 区分 | 条件 | 具体例 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 600V以下で受電+小出力発電設備以外の発電設備なし | 一般住宅、小規模店舗 |
| 自家用電気工作物 | 600V超で受電、または一定規模以上の発電設備あり | ビル、工場、大型商業施設 |
| 事業用電気工作物 | 電気事業の用に供する工作物 | 発電所、送電線、変電所 |
覚え方:「ロッピャク(600V)以下で発電なし=イッパンヨウ(一般用)」
第二種電気工事士が作業できるのは一般用電気工作物の範囲だ。自家用電気工作物の工事には第一種電気工事士の免状が必要になる。この「工事範囲の制限」は試験の超頻出テーマなので確実に押さえたい。
小出力発電設備の基準
一般用電気工作物に含まれる小出力発電設備の出力上限は以下のとおりだ。
| 発電方式 | 出力上限 |
|---|---|
| 太陽光発電 | 50kW未満 |
| 風力発電 | 20kW未満 |
| 水力発電 | 20kW未満 |
| 内燃力発電 | 10kW未満 |
| 燃料電池発電 | 10kW未満 |
覚え方:「太陽はゴジュウ(50)、風と水はニジュウ(20)、エンジンと燃料電池はジュウ(10)」
太陽光の「50kW」が最も大きく、規模が小さい方から10→20→50と並ぶ。「自然エネルギーの方が上限が高い」とイメージすると覚えやすい。
【電気工事士法】資格の種類と工事範囲を覚える
第一種と第二種の工事範囲の区別
| 免状の種類 | 工事できる範囲 |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 一般用電気工作物の電気工事 |
| 第一種電気工事士 | 一般用電気工作物+自家用電気工作物(500kW未満)の電気工事 |
覚え方:「二種は一般(いっぱん)だけ、一種は自家用もOK」
「二種」の「二」と「一般」の「一(いち)」が混ざって紛らわしいが、「下位の資格=二種は範囲が狭い」と覚えればよい。
電気工事士でなくてもできる軽微な工事
以下の軽微な工事は電気工事士の免状がなくても行える。
- 電圧600V以下の接続器(差込みコネクタ等)にコードを接続する工事
- 電圧600V以下の電気機器(配線器具を除く)の端子にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧600V以下の配線器具の交換で、露出型のものに限る
- インターホン・火災感知器・豆電球など、電圧36V以下の施設の工事
覚え方:「コードをつなぐだけ、露出の交換だけ、36V以下は軽微」
「コード接続」「露出型交換」「36V以下」の3パターンで軽微な工事をまとめて覚えると整理しやすい。
電気工事士の義務
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 免状の携帯義務 | 電気工事の作業に従事するときは免状を携帯する |
| 工事完了後の検査義務 | 自主検査を行い、記録を保存する |
| 届出義務 | 氏名変更時は書換え申請、紛失時は再交付申請 |
| 技術基準への適合義務 | 電気設備の技術基準に適合する工事を行う |
覚え方:「免状を持ち歩き、工事が終わったら検査して、変更があったら届け出る」
届出先は都道府県知事だ。「国家資格なのに届出先は知事」という点がひっかけ問題で問われることが多い。
【電気用品安全法】PSEマークの区別を覚える
電気用品安全法は、電気用品の製造・販売に関する規制を定めた法律だ。学科試験では「PSEマークの種類」と「特定電気用品の区別」が頻出する。
2種類のPSEマーク
| マークの形状 | 分類 | 対象の例 |
|---|---|---|
| 菱形(◇PSE) | 特定電気用品 | 電線、配線器具、ヒューズ、漏電遮断器 |
| 丸形(○PSE) | 特定電気用品以外 | 電気こたつ、電気冷蔵庫、テレビ |
覚え方:「キケンな方がトガっている(菱形)、安全な方がマルい(丸形)」
特定電気用品は「構造上の欠陥が重大事故に直結するもの」で、第三者機関(登録検査機関)の適合性検査が義務づけられている。電気工事で使う電線や配線器具の多くは特定電気用品に該当するため、菱形PSEマークの対象だ。
試験のポイント:「PSEマークのない電気用品は販売・使用できない」
電気用品安全法では、PSEマークの表示がない電気用品の販売を禁止している。試験では「PSEマークのない電線を電気工事に使用してよいか」という形で出題されることがある。答えは「使用してはならない」だ。
法令の横断整理:混同しやすいポイント
法令の勉強で最も危険なのは、複数の法律の規定を混同することだ。以下の表で混同しやすいポイントを整理する。
混同しやすいテーマ一覧
| テーマ | 正しい法律 | 間違えやすい法律 |
|---|---|---|
| 電気工作物の区分(一般用・自家用) | 電気事業法 | 電気工事士法 |
| 免状の種類と工事範囲 | 電気工事士法 | 電気事業法 |
| PSEマークの表示義務 | 電気用品安全法 | 電気事業法 |
| 技術基準への適合義務 | 電気事業法 | 電気工事士法 |
| 自主検査の義務 | 電気工事士法 | 電気事業法 |
試験問題では「この義務はどの法律に基づくか」と問う形式がある。上記のテーマについて「正しい法律名」を即答できるようにしておこう。
「電気工事業法」との区別
電気事業法とは別に「電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)」という法律もある。電気工事業法は「電気工事業を営む者(会社)の登録や届出」を定めた法律で、個人の工事士が直接問われることは少ないが、名称が似ているため選択肢に登場することがある。
覚え方:「電気事業法=設備の安全、電気工事業法=会社の登録」
法令分野の効率的な勉強手順
ステップ1:3法の大枠を理解する(所要時間:1〜2時間)
この記事の「守る対象」の整理表を使い、3つの法律の役割を区別する。細かい条文に入る前に大枠を固めることが最も重要だ。
ステップ2:頻出テーマを一問一答で覚える(所要時間:3〜5時間)
電気工作物の区分、工事範囲、PSEマーク、義務と届出先など、頻出テーマを一問一答形式で繰り返し覚える。ぴよパスのオリジナル練習問題で法令分野を集中的に解くと効率的だ。
ステップ3:ひっかけパターンを把握する(所要時間:2〜3時間)
法令問題では「微妙に違う表現」で不正解の選択肢を作る手法が多い。「届出先が経済産業大臣か都道府県知事か」「一般用か自家用か」「菱形か丸形か」など、入れ替えただけの選択肢に引っかからないように、正確な知識を固める。
まとめ
法令分野は計算不要で確実に得点できる暗記分野だ。3つの法律を「設備・人・モノ」で区別し、各法律の頻出テーマを正確に覚えることが合格への近道になる。
- 電気事業法:電気工作物の区分(一般用=600V以下+発電設備なし)
- 電気工事士法:工事範囲(二種は一般用のみ)、義務と届出(届出先は都道府県知事)
- 電気用品安全法:PSEマーク(危険は菱形、安全は丸形)
法令は覚えてしまえば最も安定して点が取れる分野だ。早い段階で仕上げて、試験本番の得点源にしよう。
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