結論:扱う工事が「電力」か「通信」かで選ぶ
電気工事施工管理技士と電気通信工事施工管理技士は、名前が似ていて混同されがちですが、扱う工事がはっきり違います。ざっくり言うと、電気を「送る・使う」ための工事が電気工事、情報を「伝える」ための工事が電気通信工事です。
| 比較項目 | 電気工事施工管理技士 | 電気通信工事施工管理技士 |
|---|---|---|
| 扱う工事 | 受変電・電灯・動力など「電力」の電気設備 | 通信網・LAN・無線など「通信」の電気通信設備 |
| 実施団体 | 建設業振興基金 | 全国建設研修センター |
| 資格の歴史 | 古くからある定番資格 | 令和元年度新設の新しい資格 |
| 年収の目安 | 2級400万円台/1級500〜700万円 | 2級400万円台/1級平均550万円前後 |
| 需要の背景 | 配置義務+高齢化・人手不足 | 配置義務+5G・IoT成長+新設の希少性 |
押さえてほしいのは次の3点です。
- 違いの本質は「電力」か「通信」か。扱う工事も必要な知識も別物
- 難易度はどちらも第二次の記述が壁で、水準はおおむね近い
- 迷ったら「いま自分が関わる工事」「これから伸ばしたい分野」で選ぶ
順番に、2つの違い → 難易度 → 年収・将来性 → どっちを取るべきか → 両方取る価値、と見ていきます。
2つの資格の違い:対象工事と実施団体
まず、いちばん大事な「対象とする工事の違い」を整理します。
| 資格 | 主な対象工事 |
|---|---|
| 電気工事施工管理技士 | 受変電設備、電灯・動力、配電盤など「電力」の電気設備工事 |
| 電気通信工事施工管理技士 | モバイル基地局、LAN・光ファイバ、放送・情報設備など「通信」の電気通信工事 |
どちらも電気系の施工管理ですが、電気を「送る・使う」ための工事が電気工事、情報を「伝える」ための工事が電気通信工事です。隣り合った分野ですが、扱う設備も必要な知識も別物なので、自分が関わる工事に合った資格を選ぶことが何より大切です。
実施団体も異なります。
- 電気工事施工管理技士:一般財団法人 建設業振興基金が実施
- 電気通信工事施工管理技士:一般財団法人 全国建設研修センターが実施
申込先や受検の手引きも別々なので、受験を決めたらそれぞれの公式案内を確認してください。資格そのものの全体像は、それぞれの入門記事にまとめています。
電気通信工事施工管理技士とは|1級・2級の違いと取る価値 →
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難易度・合格率を比べる
難易度は、どちらもおおむね近い水準です。共通点と違いを整理します。
共通点:第二次検定の記述が最大の壁
- 第一次検定はマークシート方式で、過去問演習で対応しやすい
- 第二次検定は記述式が中心で、自分の施工経験を採点者に伝わる文章で書く力が問われる
- 合格基準はどちらも得点60%以上が目安。満点を狙う試験ではない
知識があっても文章化に慣れていないと第二次で得点しづらい、という構造はどちらも同じです。落ちる人の多くは第二次でつまずきます。
違い:電気通信は新設ゆえ過去問の蓄積が少ない
電気通信工事施工管理技士は令和元年度に新設された資格なので、電気工事施工管理技士に比べて過去問や対策情報の蓄積がまだ少なめです。そのぶん、最新の出題傾向を公式や教材でこまめに確認する重要度が高くなります。
それぞれの合格率の傾向や、第二次が壁になる理由は、各クラスタの合格率記事で詳しく整理しています。
年収・将来性を比べる
年収は、どちらも級・経験・勤務先の規模で大きく変わり、平均レンジは近い水準です。一つの目安として整理します。
| 観点 | 電気工事施工管理技士 | 電気通信工事施工管理技士 |
|---|---|---|
| 年収の目安 | 2級400万円台/1級500〜700万円 | 2級400万円台/1級平均550万円前後 |
| 需要を支える仕組み | 配置義務+高齢化・人手不足 | 配置義務+5G・IoT成長+新設の希少性 |
| 将来性のタイプ | 景気に左右されにくい安定需要 | これから伸びる成長分野+希少性 |
将来性の「色」が少し違うのがポイントです。
- 電気工事は、建設業法の配置義務に加えて、業界の高齢化・人手不足が有資格者の価値を押し上げています。景気に左右されにくい「安定」が強みです。
- 電気通信は、配置義務に加えて、5G・IoT・データセンターの拡大という成長要因と、令和元年度新設ゆえの希少性が評価を押し上げています。「これから伸びる」が強みです。
どちらも建設業法の配置義務に支えられているため、需要の「固さ」は共通しています。そのうえで、安定を重視するか、成長分野での希少性を取るかが、将来性の選び方になります。年収の中身は、それぞれの年収記事で深掘りしています。
どっちを取るべきか:タイプ別の選び方
ここまでをふまえて、どちらが向くかをタイプ別に整理します。年収や難易度はおおむね近いので、決め手は「いま関わる工事」と「これから伸ばしたい分野」です。
電気工事施工管理技士が向く人
- 受変電設備・電灯・動力など、電力系の電気工事の現場が中心の人
- 建設・設備業界で景気に左右されにくい安定を重視したい人
- 第二種・第一種電気工事士など、電力系の資格と組み合わせてキャリアを作りたい人
電気通信工事施工管理技士が向く人
- 基地局・LAN・光ファイバ・情報設備など、通信系の工事の現場が中心の人
- 5G・IoTなどこれから伸びる分野で専門性を高めたい人
- 新設資格の希少性を武器にしたい人
いちばん現実的な判断軸は、第二次検定の実務経験です。第二次は自分が担当した工事の経験を記述するため、いま関わっている工事に対応する資格のほうが、経験記述を書きやすく合格に近づきます。本業から遠い資格を先に取っても、第二次の経験記述で苦労しがちです。まずは本業に近いほうから——これが失敗しにくい選び方です。
両方取る価値はあるか
結論から言うと、両方取る価値はあります。電力と通信の両方の現場を管理できる人材は希少で、対応できる工事の幅が広がるぶん評価されやすくなります。
後押しになるのが、令和6年度の改正です。第一次検定が年齢要件のみで受けられるようになり(学歴・実務経験を問わない)、片方を持っている人が、もう片方の第一次に挑戦しやすくなりました。第一次に合格すれば「技士補」になれます。
ただし、順序は大切です。
- 第二次検定はそれぞれの工事の実務経験が必要なので、同時に二兎を追うより、まず本業に近い一方で1級まで固めるのが効率的
- もう一方は、第一次から段階的に——というのが、無理のない進め方
「電力も通信もまたぐ現場が増えてきた」「キャリアの幅を広げたい」と感じたタイミングで二つ目に挑むと、実務経験とも噛み合いやすくなります。
取ると決めたら:学習と講座
どちらを選んでも、合否を分けるのは第二次検定の経験記述です。第一次はマークシートなので過去問演習で対応しやすい一方、第二次は自分の施工経験を文章にする力が要ります。独学だと「自分の答案が合格レベルか分からない」のが弱点なので、記述だけ添削を使うと効率よく弱点を埋められます。
通信講座の選び方は、それぞれの講座記事にまとめています。
電気工事施工管理技士の通信講座おすすめと選び方を確認する →
SATは、電気工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士の両方の講座を扱っており、第二次の経験記述の添削にも対応しています。どちらを受けるか決めたら、対応級や記述添削の有無を公式で確認してみてください。
SAT 施工管理技士講座を公式サイトで確認する ※PRリンクです。受講前に対応資格(電気工事/電気通信)・対応級(1級/2級)・記述添削の有無・最新の講座内容・価格・対応年度を必ず確認してください。
電力系の基礎から固めたい人は、第二種電気工事士の独学と講座の比較も参考になります。
ぴよきちメモ
「電気工事施工管理技士と電気通信工事施工管理技士、どっちがいいの?」という質問、すごく多いんです。でも答えはシンプルで、いま自分がやっている工事に近いほう。これがいちばん失敗しません。
理由は第二次検定。第二次は自分の施工経験を文章で書く試験だから、本業から遠い資格を先に取ると、書くネタがなくて苦労するんです。逆に、いまの現場の経験がそのまま答案のネタになる資格なら、勉強も合格もぐっとラクになります。
将来性の色だけ覚えておくといいかも。電気工事は「人手不足に支えられた安定」、電気通信は「5Gで伸びる成長と希少性」。どっちも建設業法の配置義務があるから需要は固い。安定が欲しいか、伸びる分野で先行したいか、で選んでみてください。
そして、できる人はぜひ両方を視野に。令和6年度の改正で第一次は年齢だけで受けられるようになったので、片方を取ったあと、もう片方の第一次に挑戦するハードルが下がりました。電力と通信の両方を管理できる人は本当に希少。まずは一本、本業に近いほうから。数字や制度は年度で動くので、最後はかならず各実施団体の公式で答え合わせしてくださいね。
出典・参考








































































































