「第二種電気工事士の合格率は約60%」——この数字だけを見て、難しいと感じる人もいれば、簡単そうだと油断する人もいます。どちらも、合格率の読み方を一段間違えています。
合格率は、正しく読むと「自分が何をすれば残りの合格側に入れるか」を教えてくれる数字です。この記事では、直近5年の推移・学科と技能の合格率の違い・落ちる約4割の中身、という順で読み解き、数字に振り回されずに対策へ変える方法を整理します。
この記事で分かること
- 第二種電気工事士 学科の合格率、直近5年(令和3〜7年度)の推移
- 学科と技能で合格率を分けて見るべき理由と最終両方突破率の概算
- 合格基準が絶対評価であることの意味と、安心していい根拠
- 落ちる約4割が、どこでつまずいているか
- 合格率の数字を、そのまま自分の対策に翻訳する手順
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学科の合格率:直近5年の推移
第二種電気工事士の学科試験(旧:筆記試験)の合格率は、一般財団法人 電気技術者試験センターが毎年公表しています。
| 年度 | 学科 上期 | 学科 下期 | 年度計 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度(2021年度) | 60.4% | 57.7% | 59.2% |
| 令和4年度(2022年度) | 58.2% | 53.3% | 56.0% |
| 令和5年度(2023年度) | 59.9% | 58.9% | 59.4% |
| 令和6年度(2024年度) | 60.2% | 55.9% | 58.2% |
| 令和7年度(2025年度) | 57.7% | 55.4% | 56.6% |
| 令和8年度(2026年度) | 62.2% | 実施前 | — |
いずれも公表されている受験者数・合格者数から算出した値です。令和3〜7年度の年度計は56.0〜59.4%(5年平均57.9%)で、年度計で60%を超えた年度はありません。回別で見ても53.3〜62.2%の範囲に収まっており、年度や上期/下期による大きなブレはありません。出題傾向が安定しているため、特定の年度が極端に難化することは少ない試験です。
なお令和2年度(2020年度)の上期学科試験は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止され、下期のみの実施でした。上期は学科免除者に対する技能試験だけが行われています。
合格基準点は60点、四肢択一50問で1問2点なので50問中30問以上の正解です。これは上位何%だけが受かる相対評価ではなく、基準点を超えれば全員受かる絶対評価です。勝負相手は他の受験者ではなく基準点の30問です。
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学科・技能・最終突破率の3段階
合格率でいちばん多い誤解が、学科と技能をひとまとめにすることです。第二種電気工事士は「学科試験」と「技能試験」の2段階で、学科に合格(または免除)した人が技能試験へ進みます。
| 段階 | 数値 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 学科試験 | 年度計で56〜59%(回別53.3〜62.2%) | まずここを通過する第一関門 |
| 技能試験 | 年度計で70〜73% | 学科合格者が受験するため受験者の質が高い |
| 最終両方突破率 | およそ40〜43% | 学科合格率×技能合格率の概算(令和7年度なら0.566×0.718≒40.6%) |
「合格率が約60%だから半分以上は受かる」と聞いて学科のことだと思い込むと、技能の準備が後手に回ります。逆に技能の話と取り違えると、学科を過度に怖がります。合格率を見るときは、必ず「これは学科の数字か、技能の数字か」を確認してください。技能には技能の対策が別途必要だと分けて捉えるのが、踊らされない読み方です。
落ちる「約4割」の中身を見る
約60%が受かるなら、約4割は学科で落ちます。合格率を対策に変えるカギは、受かる側ではなく落ちる側を見ることにあります。落ちる人がどこでつまずくかが分かれば、自分が避けるべき道がはっきりするからです。
学科で落ちる代表的な理由は2つです。
| 落ちる理由 | なぜ起きるか | 対策の向き |
|---|---|---|
| 計算問題を捨てすぎる | 苦手意識で丸ごと手を付けない | 頻出パターンだけでも取りにいく |
| 配線図(複線図)の対策不足 | 後回しにして演習が足りない | 早めに着手して反復する |
絶対評価で30問取ればいい試験なので、「計算は全部捨てて他で稼ぐ」という作戦を取る人がいます。ところが計算や配線図はまとまった配点があり、ここを丸ごと落とすと、残りで満点近くを求められて一気に苦しくなります。約60%という数字の裏で4割が落ちるのは、得点源を自分から手放しているケースが少なくない、ということです。
計算や配線図を独学で潰しきる自信がないなら、映像講座を使うかどうかの判断材料を先に見て、独学と併用の線引きを決めておくと落ちる側に回りにくくなります。
合格率を対策に翻訳する
ここまでの読み方を、そのまま行動に落とすとこうなります。
| 合格率の読み方 | 自分の対策 |
|---|---|
| 約60%・絶対評価 | 満点でなく「30問取る」設計にする |
| 学科と技能は別 | まず学科を通す、技能は別枠で準備する |
| 落ちるのは計算・配線図 | この2分野を捨てず、優先して仕上げる |
合格率は、眺めて安心したり不安になったりするための数字ではありません。「絶対評価で30問」「学科に集中」「計算と配線図を捨てない」——この3点に翻訳できた時点で、約60%は自分にとって十分に届く数字に変わります。
まとめ:合格率は「落ちる側」から読むと対策になる
第二種電気工事士の学科の合格率は、令和3〜7年度の年度計で56〜59%と安定しています。これを正しく読むには、まず絶対評価だと理解し(満点不要・30問でよい)、学科と技能を分けて見て(技能は年度計70〜73%、両方を通す最終突破率はおよそ40〜43%の2段階)、落ちる約4割の中身(計算の捨てすぎ・配線図不足)を確認することです。数字に踊らされる人はここを飛ばし、数字を対策に変える人はここを押さえます。
次の一歩として、今日のうちに自分が「計算問題を捨てる前提で考えていないか」を確認してください。捨てる気でいたなら、頻出パターンを1つ解いてみる——それだけで、落ちる4割から合格側へ一歩動けます。
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出典:
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験 試験結果と推移」 — 受験者数・合格者数(合格率はここから算出)
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「学科試験のポイント」 — 120分・50問・一般問題30問程度・配線図問題20問程度
- 電気工事士法 — 第二種電気工事士の業務範囲の規定










