結論:第二種合格者は100〜150時間、初学者は半年・200〜300時間が目安
第一種電気工事士の勉強時間は、前提によって倍以上変わります。ネットで「30時間」と書く人も「300時間」と書く人もいるのは、出発点が違うからです。目安を一枚にまとめると、こうなります。
| タイプ | 学科 | 技能 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 第二種合格者・電気の素地あり | 50〜100時間 | 20〜40時間 | 100〜150時間 |
| 完全な初学者 | 100時間以上 | 30〜50時間 | 200〜300時間(半年が目安) |
| 電気系の実務者 | 30〜60時間 | 10〜30時間 | 60〜100時間 |
受験者アンケートでも、学科の勉強時間は「10〜30時間」「30〜50時間」「50〜100時間」と広く分布し、技能は「10時間程度」から「150〜200時間」まで人によって大きく違います。だから、他人の合計時間をそのまま自分に当てはめると見誤ります。大事なのは、自分がどのタイプに近いかを先に決めることです。
この記事では、なぜこれほど幅が出るのかを学科・技能に分けて分解し、試験日から逆算した現実的なペースまで整理します。合格率や難易度の全体像から先に知りたい人は、専用記事も合わせて確認してください。
勉強時間の幅は「第二種を持っているか」でほぼ決まる
目安に倍以上の差が出る最大の理由は、第二種電気工事士の知識があるかどうかです。
第一種の学科は、第二種の延長で解ける部分が少なくありません。学科はどちらも四肢択一・50問で、第一種は一般問題40問程度+配線図問題10問程度という構成です。配線図の図記号、工具、低圧の基礎がすでに頭に入っている人は、新しく覚える範囲が「高圧受電設備・自家用電気工作物・保安」に絞られます。
一方、完全な初学者は、電気理論の計算や複線図の読み書きという土台から始めます。ここに時間を取られるため、同じ合格でも学科だけで100時間を超えることが珍しくありません。
| 前提 | 学科で重くなる部分 | 学科の体感 |
|---|---|---|
| 第二種合格者 | 高圧受電設備・自家用設備・保安 | 延長で進む。計算は復習中心 |
| 完全な初学者 | 電気理論の計算・複線図・図記号すべて | 土台づくりから。時間が読みにくい |
| 電気系の実務者 | 試験形式への慣れ | 知識は足りる。演習で形を整える |
つまり、勉強時間を見積もる第一歩は「自分が今どれだけ電気を分かっているか」を正直に把握することです。第二種を持っていないなら、まず第二種から入る方が、結果的に第一種までの総時間も短くなりやすいです。
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学科は「計算」と「高圧」で時間が決まる
学科の50問は、ざっくり次の分野に分かれます。時間配分のクセを知っておくと、勉強時間の見積もりがぶれにくくなります。
| 学科の分野 | 中身 | 時間のかかり方 |
|---|---|---|
| 電気理論・計算 | オームの法則、交流、電力、電気設計の計算 | つまずく人が最も多い。配点も無視できない |
| 電気機器・材料・工具 | 変圧器、電動機、高圧機器、材料の用途 | 暗記中心。第一種固有の高圧機器が増える |
| 法令・施工・検査 | 電気事業法、施工方法、絶縁・接地、測定 | 暗記中心。条文の見え方に慣れが要る |
| 配線図 | 図記号、複線図、機器の読み取り(10問程度) | 第二種の延長。素地があれば軽い |
時間が膨らみやすいのは計算と、第一種で新しく増える高圧受電設備まわりです。計算が苦手な人はここに学科時間の半分近くを使うこともあります。逆に、暗記分野(機器・法令)は問題演習を繰り返せば積み上がりやすく、時間が読みやすい領域です。
学科の到達目標は明確です。50問中30問(60点)で合格なので、満点は要りません。計算で全問取りにいくより、暗記分野を固めて確実に取り、計算は典型パターンで取れる問題を落とさない、という配分の方が時間効率は高くなります。
技能は「候補問題10問 × 周回数」で逆算する
技能試験の練習時間は、感覚ではなく候補問題の数から逆算できます。
第一種の技能試験は、あらかじめ公表される候補問題10問の中から1問が出題され、60分で施工します。判定は欠陥が一つでもあれば不合格になる方式なので、練習のゴールは「10問のどれが出ても、60分以内に欠陥ゼロで完成できる」状態です。
練習時間は、おおまかに次のように見積もれます。
- 1問を一通り作る:慣れないうちは60〜90分、慣れると40〜50分
- 候補問題10問 × 2〜3周:つまずく問題を重点的に追加
- 複線図を書く練習:1問あたり数分まで短縮できると本番が楽になる
第二種で技能を経験している人なら、合計20〜40時間で形になることが多いです。手を動かすのが苦手な人や初学者は、もっと厚めに見ておきます。
ここで多くの人が失敗するのが、学科に時間を使いすぎて技能の練習時間が足りなくなるパターンです。技能は知識ではなく作業なので、直前にテキストを読んでも間に合いません。学科の手応えが見えた段階で、早めに工具・材料をそろえて手を動かし始めるのが安全です。
候補問題10問をどう練習するか、第一種固有の高圧部分にどう対応するかは、技能試験の専用記事で詳しく整理しています。
試験日から逆算して、週間ペースに落とす
合計時間が見えたら、試験日から逆算して週単位のペースに落とします。第一種電気工事士試験は年2回(上期・下期)実施されます。
| タイプ | 学習開始の目安 | 週あたりの目安 |
|---|---|---|
| 第二種合格者 | 学科試験の2〜3か月前 | 平日1時間+休日2〜3時間 |
| 完全な初学者 | 半年前 | 平日1〜2時間+休日3〜4時間 |
| 電気系の実務者 | 1〜2か月前 | すき間時間+休日にまとめて |
例えば初学者が合計250時間を半年(約26週)でこなすなら、週あたり約10時間。平日1.5時間×5日=7.5時間+休日2.5時間で、ほぼ届きます。第二種合格者が120時間を10週でこなすなら週12時間で、こちらは短期集中型です。
ポイントは、学科合格から技能試験までの期間が短いことです。学科に全力を注いで合格しても、そこから技能をゼロから始めると間に合わないことがあります。学科対策の後半で技能の候補問題に着手し、学科の負荷を技能へなだらかに引き継ぐ計画にしておくと、時間が破綻しにくくなります。
具体的な学習の進め方は、独学ルートと通信講座それぞれの記事で整理しています。
時間を圧縮できるところと、削ってはいけないところ
勉強時間は、やみくもに削ると合格から遠のきます。圧縮していい部分と、削ると危ない部分を分けて考えます。
| 削っていい | 削ると危ない |
|---|---|
| 学科の満点狙い(30問取れれば合格) | 計算の基礎理解(後半で効いてくる) |
| 苦手分野の完璧主義 | 技能の手を動かす練習量 |
| 何冊もテキストを買い回ること | 複線図を素早く書く練習 |
| 出題頻度の低い論点の深追い | 候補問題10問を一通り作る経験 |
時間を圧縮したい人がまず見直すべきは、学科の満点狙いと苦手分野の完璧主義です。合格は60点なので、取れる問題を確実に取る方が速い。一方で、技能の練習量と複線図のスピードは、削ると本番で手が止まる直結要因なので、ここは時間を確保します。
高圧受電設備や複線図が言葉だけでは頭に入らない人は、動画講座で理解までの時間を短縮するのも一つの手です。ただし、講座を使っても技能の手を動かす時間は別に必要です。
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ぴよきちメモ
第一種電気工事士の勉強時間は、「何時間で受かるか」より「自分がどのタイプか」で考える方が外しません。第二種を持っているなら100〜150時間、完全な初学者なら半年・200〜300時間が現実的な出発点です。
幅が大きいのは不安に見えますが、裏を返せば、第二種の土台がある人ほど短く済むということです。だから未経験なら、第二種で電気の手触りを作ってから第一種へ進む方が、合計の時間も気持ちもラクになります。
そして、時間配分でいちばん効くのは「技能の練習を後回しにしないこと」です。学科は60点で受かる試験、技能は欠陥ゼロで完成させる試験。性質が違う2つに、別々に時間を割り当てておけば、直前で慌てずに済みます。
出典・参考
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の学科試験のポイント
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士 技能試験候補問題
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の試験結果と推移
- 経済産業省 — 電気工事士











































































































