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第一種電気工事士の難易度|学科と技能どちらが壁か・第二種との差

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第一種電気工事士の難易度|学科と技能どちらが壁か・第二種との差
目次

結論:第一種の難易度は「学科の高圧・計算」と「技能の60分・欠陥一発」に分かれる

第一種電気工事士の難易度を一言でまとめると、「合格率の数字ほど簡単ではないが、壁の場所がはっきりしている試験」です。合格率は学科・技能ともおおむね6割弱で高めに見えますが、難しさの正体は次の2か所に集約されます。

関門何が難しいか必要な力
学科高圧受電設備・自家用電気工作物が加わり、計算・電気理論・法令が第二種より深い暗記+理解+計算
技能候補問題10問・60分・欠陥が一つでも不合格。第一種固有の高圧結線が加わる作業の精度+速さ+段取り

つまり「第一種が難しい」と感じる理由は、漠然とした難しさではなく、学科で範囲が広がることと、技能で時間と欠陥の制約が厳しいことの2つです。どちらも別の能力なので、片方だけ得意でも合格には届きません。

この記事では、難易度の正体を学科・技能に分解し、第二種からの難度差、それぞれの突破ポイント、つまずきやすい人の傾向を整理します。年度ごとの合格率の数字そのものを詳しく知りたい人は、専用記事を先に確認してください(本記事では数字は目安・幅で扱います)。

第一種電気工事士の合格率・年度推移を確認する →

なお、電気工事の実作業や練習では感電・短絡の危険が伴います。本記事は学習上の難易度を解説するもので、実際の施工・通電は有資格者の指導や公式の安全手順に従ってください。


まず大前提:合格率6割弱は「素地がある人が受けて」の数字

難易度を語る前に、合格率の読み方をそろえておきます。第一種電気工事士の合格率は、学科・技能ともここ数年おおむね55〜60%前後で推移しています。数字だけなら「半分以上が受かる」ので、やさしく見えます。

ただ、この数字をそのまま自分に当てはめるのは危険です。理由は受験者層にあります。

見え方実際
合格率6割弱だからやさしい受験者の多くは第二種合格者や電気系の実務者
半分以上が受かる配線図が読める・工具を握ったことがある人が母集団の中心
初学者でも同じ確率素地のない初学者には数字以上に重い

第一種を受ける人は、すでに第二種を持っていたり、電気工事・設備保全の現場にいたりする割合が高めです。その人たちが受けて6割弱なので、まったくの初学者にとっては数字以上の重さがあると見るのが自然です。

だから「合格率が高い=簡単」と早合点せず、自分が初学者寄りか実務者寄りかで難易度を読み替える必要があります。年度別の正確な数字や、第二種との合格率比較は、合格率の記事で公式データから整理しています。

第一種と第二種の合格率を数字で比べる →


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学科の難易度:高圧・計算・電気理論・法令が第二種より一段深い

第一種の学科試験は、四肢択一の50問で、内訳は一般問題が40問程度、配線図問題が10問程度です。試験時間は140分(第二種は120分)。出題数だけ見ると第二種と同じ50問ですが、中身の負荷が違います。

学科で難易度が上がるポイントを分解すると、次のようになります。

分野第二種との違いつまずきポイント
高圧受電設備第二種にはほぼ無い領域キュービクル・変圧器・遮断器・保護装置の関係が言葉だけだと入りにくい
自家用電気工作物第一種で新登場施設側の設備・保守管理の前提知識が必要
計算・電気理論公式の数と適用範囲が増える電動機・力率・短絡電流など、暗記だけでは解けない
法令範囲が広がり見え方が変わる自家用設備や保安に関する条文が加わる
配線図高圧の配線図で出題図記号の種類が増え、低圧の感覚だけだと読めない

第二種は暗記中心で押し切れる部分が大きいのに対し、第一種は単純な暗記問題が減り、理解と計算で解く比重が上がります。配点の感覚としては、計算系がおおむね2割前後、暗記系が8割前後という見方もありますが、これは年度で変わるため目安です。

学科の合格基準点は、おおむね60点(100点満点)です。年度によって調整されることがあるため、断定はできませんが、過去の傾向では60点前後が続いています。50問で配点が均等に近いと考えると、6割前後の正答を安定して出せる状態が一つのラインです。

第一種電気工事士の勉強時間と分野配分を確認する →

学科の突破ポイントは「高圧を後回しにしない」

第二種の知識がある人ほど、低圧の見慣れた範囲から手をつけて、高圧を後回しにしがちです。しかし第一種の新規負荷は高圧側に集中しているので、先に高圧・自家用設備・計算をつぶす方が効率的です。低圧は第二種の貯金が効くため、復習は軽くて済みます。

やりがちな順番おすすめの順番
低圧の復習から始めて安心する高圧・自家用設備・計算など新規分野から着手
計算を最後に回して時間切れ計算は早めに着手し、解けるパターンを増やす
配線図を低圧の感覚で読む高圧の図記号を新しく覚え直す

技能の難易度:候補問題10問・60分・欠陥が一つでも不合格

学科を抜けても、それで半分です。第一種の技能試験は、知識ではなく作業の試験で、ここで毎年4割前後が涙をのみます。仕組みを整理すると次のとおりです。

項目内容
候補問題10問が事前公表される(令和8年度ぶんは2026年1月に公表)
出題10問のうち1問
試験時間60分(第二種は40分)
判定欠陥が一つでもあれば不合格(減点方式ではない)
内容公表された配線図どおりに、支給材料で作品を組む

技能が難しい理由は、3つの制約が同時にかかることです。

  • どれが出るかわからない:10問すべてを作れる状態にしておく必要がある
  • 60分という時間:複線図・施工・見直しまでを時間内に終わらせる
  • 欠陥一発不合格:ほかが完璧でも、欠陥が一つあれば不合格になる

学科の知識と、技能の「時間内に欠陥なく作る力」は、まったく別の能力です。頭で結線を理解していても、手が60分以内に動かなければ点になりません。技能で落ちる人の多くは、知識不足ではなく手を動かす練習量と段取りの不足です。

候補問題10問の具体的な対策手順や時間配分は、技能の専用記事で詳しく整理しています。

第一種電気工事士 技能試験の候補問題対策・練習法を確認する →

「欠陥一発不合格」が技能を一段難しくしている

技能の難しさを象徴するのが、欠陥の扱いです。減点方式なら多少のミスは挽回できますが、第一種(および第二種)の技能は欠陥が一つでもあれば不合格になります。

欠陥になりやすい例防ぎ方
リングスリーブの圧着の刻印違い・サイズ違い刻印を毎回確認し、表で覚える
心線の露出・被覆のむきすぎ寸法を意識してむく練習を反復
極性の取り違え(W・接地側の誤り)複線図の段階で色と極性を確定させる
結線間違い・差し込み不足施工後に結線を一本ずつ追って確認
寸法の大幅な不足スケールで測りながら切る習慣をつける

何が欠陥にあたるかは、試験センターが欠陥の判断基準を公表しています。練習の早い段階でこれに目を通し、自分の作品を欠陥基準で自己採点できるようにしておくと、独学でも精度が上がります。最新の基準と候補問題は、必ず公式の公表資料で確認してください。


第一種固有の難所は「複線図の複雑さ」と「高圧の結線」

第二種の技能を経験している人ほど、第一種で戸惑うのが高圧まわりと、それに伴う複線図(単線図から書き起こす配線図)の複雑さです。低圧の基本作業は第二種と共通ですが、第一種では次の要素が加わります。

第一種で増える要素内容
変圧器の結線端子台を変圧器に見立てて結線する。一次側・二次側の取り違えに注意
CT・VT(計器用変成器)計器用変流器・計器用変圧器を端子台で代用した結線が出る
KIP線高圧機器内配線用の電線。被覆をむく感覚が低圧と違う
接地・極性高圧側を含む結線で、極性や接地の考え方がより重要になる

これらが入ると、単線図から複線図に起こす作業が第二種より複雑になります。「これは変圧器の代用」「ここはCT」と配線図の中で読み取れないと、複線図の段階で迷い、施工に進む前に時間を失います。逆に、高圧部分のパターンを候補問題で繰り返し作っておけば、本番で出ても落ち着いて手が動きます。

第二種をまだ持っていない、または低圧の作業に自信がない人は、先に第二種の技能で手の基礎を作る方が、結果的に第一種までの距離が縮みます。第一種と第二種の範囲・取る順番の違いは、比較記事で整理しています。

第一種と第二種の違い・取る順番を確認する →


第二種からの難度差を一枚で整理する

「第二種を取ったら第一種はどれくらい大変か」を知りたい人向けに、難度差を一枚にまとめます。

観点第二種電気工事士第一種電気工事士差のポイント
学科 出題数四肢択一50問四肢択一50問数は同じ
学科 試験時間120分140分第一種が20分長い=作業密度が高い
学科 範囲一般用・低圧中心高圧・自家用電気工作物まで範囲が広く、暗記より理解寄り
技能 候補問題13問(令和8年度)10問(令和8年度)数は第一種が少ないが1問が重い
技能 試験時間40分60分1問あたりの作業量が大きい
技能 固有要素低圧の基本作業変圧器・CT・VT・KIPなど高圧第一種固有の難所が加わる
受験資格なしなしどちらも年齢・学歴・実務不問で受験できる
免状交付試験合格後に申請しやすい試験合格後に実務経験3年が必要第一種は合格と免状が別

学科の出題数は同じでも、第一種は範囲が広く時間も長い。技能は候補問題の数が少ない代わりに、1問の作業量が大きく高圧が加わる。第二種の知識・技能は土台として活きますが、そのまま延長では届かない部分が高圧側に集中する、というのが難度差の正体です。

第二種を飛ばして第一種から受けることも制度上は可能ですが、低圧の基礎がないと学科も技能も負荷が重くなります。完全未経験なら、第二種を入口にした方が学習がつながります。


難易度に「もう一段」加わる:免状交付の実務経験

第一種の難しさは、試験そのものだけではありません。合格率や試験範囲には表れない壁として、試験に合格しても、それだけでは第一種電気工事士の免状をもらえないという点があります。

電気工事士法施行規則の改正により、令和3年4月以降に免状交付を申請する場合、試験合格日にかかわらず、必要な実務経験は3年以上に統一されています(かつては5年でした)。

項目内容
受験資格なし(年齢・学歴・実務経験を問わず受験できる)
試験合格学科+技能の両方に合格
免状交付の要件原則として実務経験3年以上
申請先居住地の都道府県知事

つまり、未経験のまま第一種に合格しても、免状の段階で止まる可能性があります。これは「試験の難しさ」とは別の、制度上の段差としての難しさです。試験合格を「即・第一種として働ける」と思い込んでいると、ここで計画が崩れます。

なお、第一種試験の合格者は、産業保安監督部に申請することで認定電気工事従事者認定証を取得できるルートがあり、簡易電気工事(600V以下で使用する自家用電気工作物に係る工事)に従事できる場合があります。ただしこれは第一種免状そのものではありません。試験合格と免状交付は必ず分けて考えてください。

第一種電気工事士の申込み・試験日程・免状の流れを見る →


つまずきやすい人の傾向と、難易度を下げる進め方

最後に、第一種でつまずきやすい人の傾向を整理します。自分が当てはまるなら、その対策を先に打っておくと難易度を体感的に下げられます。

つまずきやすいタイプ何が起きるか先に打つ手
完全初学者(低圧の素地がない)学科の高圧も低圧も同時に重く、技能の手が動かない第二種を入口にして低圧の土台を作る
計算アレルギーがある学科の電気理論・計算で失点が重なる計算を早めに着手し、解けるパターンを増やす
高圧設備を見たことがないキュービクル・変圧器が言葉だけで頭に入らない写真・動画つき教材や講座で実物イメージを補う
技能を直前に回す候補問題を作る回数が足りず本番で手が止まる学科の手応えが見えたら早めに工具・材料をそろえる
欠陥基準を知らない完成のつもりが判定で欠陥になる公表の欠陥基準で毎回自己採点する

難易度を下げる進め方は、難しく考える必要はありません。

  1. 学科は高圧・自家用設備・計算など新規分野から着手し、6割前後を安定して超える状態を作る
  2. 自分が落としやすい分野(計算・法令・配線図)を演習で特定して重点的につぶす
  3. 技能は候補問題10問を実際に手で作り、欠陥ゼロ・60分以内を体に覚えさせる
  4. 学科合格を待たず、早めに工具・材料をそろえて技能の練習に着手する

独学で進められるかは、特に高圧のイメージ技能の練習環境で決まります。配線図やキュービクル、変圧器まわりが言葉だけで頭に入る人は独学で十分です。逆に、図や写真がないと高圧設備のイメージがわかない人は、動画講座を併用する方が理解までの時間を節約できます。

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高圧受電設備のイメージでつまずきやすい人や、学科と技能のペース配分を一人で組むのが不安な人は、通信講座も比較対象に入れて構いません。ただし、講座を使っても技能の手を動かす練習と免状の実務要件は別に残ります。


ぴよきちメモ

第一種電気工事士の難易度は、「全体としてどれくらい難しいか」より、「どこが壁か」で捉える方がはっきりします。壁は学科の高圧・計算と、技能の60分・欠陥一発不合格の2か所。漠然と身構えるより、この2か所を狙って対策する方が近道です。

合格率6割弱という数字は高めですが、それは電気の素地がある人たちが受けての数字です。初学者がそのまま自分に当てはめると見誤ります。自分が初学者寄りなら、第二種で低圧の土台を作ってから第一種へ進むと、学科も技能もぐっとつながります。

そして、試験の難しさとは別に、免状交付には実務経験3年という段差が残ります。ここを最初から見込んでおけば、「合格したのに働けない」という回り道を避けられます。難易度は、試験範囲だけでなく免状までの道のりで見るのが正解です。


出典・参考

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この記事の執筆者

ぴよパス編集部

ぴよパス編集部 / 資格試験コンテンツ編集

担当領域: 消防設備士、危険物取扱者、衛生管理者、ボイラー技士、冷凍機械責任者、 電気工事士、FP 技能検定、IT パスポート、宅地建物取引士、登録販売者 など 20 試験の問題作成・解説執筆を担当

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