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基本作業が技能の合否を左右する
第二種電気工事士の技能試験は、配線図1問を支給材料で40分以内に完成させる実技です。出題は公表済みの候補問題13問のうち1問ですが、どの問題が出ても登場する「基本作業」がいくつかあります。なかでも合否を分けやすいのが、輪づくり (のの字曲げ)、ランプレセプタクルの結線、リングスリーブの圧着と刻印の三つです。
この三つは多くの候補問題で繰り返し使う動作です。逆に言えば、ここで欠陥を出すと、出題された問題に関係なく失点します。技能試験は欠陥が一つでも不合格になるため、基本作業を「速く・正確に・毎回同じ手順で」できる状態にしておくことが土台になります。
この記事は、戦略や時間配分ではなく、手の動かし方そのものに焦点を当てます。寸法の考え方、つまずきやすい箇所、やりがちな欠陥を、作業ごとに整理していきます。なお寸法や刻印の細かな条件は、使う工具・教材や年度の課題で変わることがあるため、最終的には公式発表と手元の練習教材で確認してください。
技能の全体像や候補問題13問そのものをまだ把握していない場合は、先に概要を押さえると本記事が読みやすくなります。
まず三つの基本作業を地図にする
基本作業を個別に見る前に、全体の位置づけを地図にしておきます。三つの作業は、出てくる頻度も、欠陥の出やすさも違います。どこに練習時間を寄せるかを決める材料にしてください。
| 基本作業 | どんな動作か | 欠陥の出やすさ |
|---|---|---|
| 輪づくり (のの字曲げ) | 心線の先を輪にしてねじ端子へ巻く | 高い (向き・大きさ・露出) |
| ランプレセプタクル結線 | 台座に輪づくりした心線をねじ止め | 高い (輪づくりと外装処理が複合) |
| リングスリーブ圧着 | 電線を束ねサイズに応じた刻印で圧着 | 高い (刻印・サイズ・露出) |
| 差込形コネクタ接続 | 心線を所定長むいて差し込む | 中 (むき長さ・差し込み不足) |
輪づくりはランプレセプタクルや露出形コンセントの結線で使うため、二つはセットで考えると効率的です。リングスリーブの圧着は単独の動作ですが、刻印という独自の判断が入るぶん、覚えることが多めです。まずはこの三つを別々に固め、最後に課題のなかで通しで使う、という順序が現実的です。
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共通する「寸法の考え方」を先に決める
基本作業の精度は、心線や外装をむく長さで大きく変わります。長さがばらつくと、輪が台座に合わなかったり、圧着部から心線が出すぎたりして欠陥につながります。むき長さは作業ごとに目安があり、考え方を先に決めておくと毎回迷いません。
| 作業 | むく対象 | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 輪づくり (ペンチ) | 絶縁被覆 | 20mm前後 |
| ランプレセプタクル | 外装 (シース) | 40mm前後 |
| 露出形コンセント | 外装 (シース) | 30mm前後 |
| リングスリーブ圧着 | 絶縁被覆 | スリーブに合わせて確保 |
| 差込形コネクタ | 絶縁被覆 | コネクタの指定長 |
ここで挙げた数値はあくまで一般的な目安で、使う工具や手順によって調整します。大切なのは、自分の道具と手順での「正解の長さ」を一つ決め、毎回それを再現することです。VVFストリッパにはストリップゲージ (むき長さの目盛り) が付いており、これを使うと長さが安定します。むき長さの一覧は、よく整理されている教材や、技能向けの解説で確認しておくと迷いが減ります。
ペンチで作業する場合のコツとして、ペンチの刃のどの位置で心線を切ると目安の長さになるかを、自分の手で一度測っておく方法があります。位置を覚えてしまえば、毎回ゲージを当てなくても近い長さに切れるようになります。
工具そのものの選び方や、ストリッパを使うかナイフでいくかの判断は、別記事で整理しています。
輪づくり (のの字曲げ) のコツ
輪づくりは、心線の先端を「の」の字に丸め、ねじ端子に巻きつけられる形にする作業です。ランプレセプタクルや露出形コンセントで使い、ここでの欠陥が技能全体の失点に直結しやすい山場です。手順を分解すると、つまずく箇所が見えてきます。
| 手順 | 動作 | つまずきポイント |
|---|---|---|
| 1 | 絶縁被覆を目安長むく | むきすぎ・むき足りない |
| 2 | 心線の根元を直角に立てる | 曲げ位置がばらつく |
| 3 | ねじの締まる向きに先端を丸める | 逆向きに巻いてしまう |
| 4 | 輪の大きさを端子ねじ径に合わせる | 輪が大きすぎ・小さすぎ |
| 5 | 輪を閉じて根元の隙間を詰める | 輪が開いたまま残る |
最重要は手順3の向きです。ねじは右に回して締まるため、輪も右巻き (時計回り) に作ります。逆向きに作ると、ねじを締めたときに輪が広がり、心線が浮いたりはみ出したりします。輪を作る前に「このねじはどちらに回ると締まるか」を確認し、その向きへ「の」の字を寝かせる意識を持つと安定します。
輪の大きさは、端子ねじがちょうど通る程度が目安です。大きすぎると締めたとき輪がずれて心線がはみ出し、小さすぎるとねじが入りません。むき長さが一定なら輪の大きさも安定するので、手順1の精度がそのまま効いてきます。輪を閉じたとき、根元に大きな隙間や心線の重なりが残らないように、最後に軽く整えます。
輪づくりは、ケーブルの端材があれば机の上で何回でも練習できます。課題を作る前に、まずこの動作だけを繰り返して手になじませると、本番で迷わなくなります。
ランプレセプタクルの結線のコツ
ランプレセプタクルは、輪づくりした心線を台座のねじ端子に巻きつけて固定する器具です。輪づくりに加えて、外装のむき長さやケーブルの収まりも見られるため、基本作業のなかでも複合的で、注意点が多い箇所です。
| チェック項目 | 望ましい状態 |
|---|---|
| 外装むき長さ | 台座に合った長さ (40mm前後が目安) |
| 心線の輪 | ねじの締まる向きに右巻き |
| ねじ締め | 心線が3/4以上ねじに掛かり、ゆるみがない |
| 心線の露出 | 端子から心線が大きくはみ出していない |
| 台座への収まり | ケーブルが台座にきちんと収まっている |
結線の流れは、外装を目安長むく → 心線を被覆ごと適切な長さに整える → 輪づくりする → 台座のねじに右巻きで掛けて締める、という順です。ねじを締めるときは、輪がねじの回転に巻き込まれる向きになっていれば、締めるほど輪が締まり、心線が安定します。逆向きだと締めるほど開くので、ここでも向きの確認が効きます。
露出に関する欠陥は、むき長さの調整で防げます。心線が端子から大きくはみ出していたり、逆に被覆が端子に噛み込んでいたりすると欠陥になり得ます。台座の縁に被覆の境目がくる程度を目安に、心線だけがねじに掛かるよう整えます。
ランプレセプタクルは「輪づくり」と「外装処理」の合わせ技です。輪づくりが安定していれば、残りは外装長と締め方の管理になります。先に輪づくりを単独で固めておくと、ランプレセプタクル全体が一気に楽になります。
リングスリーブの圧着と刻印のコツ
リングスリーブの圧着は、複数の電線を束ねて専用工具でつぶし、電気的に接続する作業です。特徴は「刻印」という独自の判断が入ること。接続する電線の太さと本数の組合せで、使うスリーブのサイズと刻印 (○・小・中) が決まります。この組合せを間違えると欠陥になります。
| 電線の組合せ (例) | スリーブ | 刻印の例 |
|---|---|---|
| 1.6mm 2本 | 小 | ○ |
| 1.6mm 3〜4本 | 小 | 小 |
| 2.0mm 2本 | 小 | 小 |
| 1.6mmと2.0mmの混在 (本数による) | 小〜中 | 小または中 |
| 太い・本数が多い組合せ | 中 | 中 |
この表は代表的なイメージで、実際の組合せはもっと細かく決まっています。混在や本数が増えるケースは判断を間違えやすいため、自分が出会う候補問題に出てくる組合せだけでも、確実に覚えておくと安全です。なお1.6mm 2本のときだけ、使うスリーブは小でも刻印は○になる点は、間違えやすいので押さえておきましょう。
圧着の動作で大切なのは、刻印を一度で確実に出すことです。圧着工具は握り柄が黄色の試験対応品を使うと、○・小・中の刻印が明確に出ます。スリーブの中心をダイス (圧着部) で捉え、根元まで握り込んでつぶします。刻印に欠けや重なりができると欠陥と判断され得るため、ずらさず一度で決めるのが基本です。
圧着はやり直しがききません。失敗したらスリーブ部分を切り、被覆をむき直して接続からやり直すことになります。だからこそ練習段階で、握る位置と力の入れ方を固めておく価値があります。あわせて、スリーブの先端から心線をすべて出すこと、心線と被覆の境目をスリーブの下端に合わせることを意識すると、露出系の欠陥を防げます。
刻印やサイズ間違いは、欠陥のなかでも頻出のつまずきです。欠陥の判断基準そのものを体系的に押さえておくと、圧着以外の作業でも取りこぼしが減ります。
リングスリーブと差込形コネクタの使い分け
候補問題では、接続にリングスリーブを使う指定の箇所と、差込形コネクタを使う指定の箇所があります。配線図で指定された方法に従う必要があり、勝手に置き換えると条件を満たしません。それぞれの作業のクセを押さえておきます。
| 項目 | リングスリーブ | 差込形コネクタ |
|---|---|---|
| 接続方法 | 圧着工具でつぶす | 心線を差し込む |
| 判断要素 | サイズと刻印の選択 | むき長さの管理 |
| やり直し | 切ってやり直し | 抜いて差し直し可の場合あり |
| 主な欠陥 | 刻印・サイズ違い、露出 | 差し込み不足、露出 |
差込形コネクタは、心線をコネクタの指定長にむいて、奥まで差し込むのが基本です。むき長さが短いと差し込み不足になり、長いとコネクタの外に心線が露出します。差し込んだあと、心線がコネクタの確認窓から見えているか、根元から心線が露出していないかを確認します。
リングスリーブは判断 (刻印・サイズ) が、差込形コネクタはむき長さの管理が、それぞれ要になります。どちらも露出系の欠陥が出やすい点は共通しているので、心線を出しすぎない・足りなくしないという感覚を、両方の練習で作っておくと安心です。
基本作業でやりがちな手のミス
基本作業の欠陥は、知っていれば避けられるものが多いです。練習のたびに自分の作品を見直し、次のような「手のクセ」が出ていないかを確認すると、本番での取りこぼしが減ります。
| やりがちなミス | 起きる作業 | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| 輪を逆向きに巻く | 輪づくり・ランプレセプタクル | ねじの締まる向きを先に確認 |
| 心線をむきすぎる | 輪づくり・圧着・コネクタ | むき長さの目安を固定する |
| 刻印を外す・ずらす | リングスリーブ圧着 | 中心を捉え一度で握り込む |
| 差し込み不足 | 差込形コネクタ | 奥まで差し確認窓を見る |
| 被覆を噛み込む | ランプレセプタクル | 心線だけがねじに掛かる長さに |
これらはどれも、むき長さと向きの管理に集約されます。逆に言えば、むき長さを一定にし、ねじの向きを毎回確認するだけで、基本作業の欠陥はかなり減らせます。完成を急いで雑になるほどミスが増えるので、練習では速さより先に正確さを安定させるのが順序として効果的です。
自分が作った接続部を、欠陥の視点で点検する習慣をつけておくと、当日も同じ目で見直せます。作る力と、欠陥を見抜く力は別物だと意識しておきましょう。
単独練習で手に覚えさせる
基本作業は、課題を1作品まるごと作らなくても、端材があれば単独で何回でも練習できます。むしろ通し練習に入る前に、三つの基本作業を切り出して反復するほうが、結線で詰まりにくくなります。状態に応じた練習の組み立て方を整理します。
| 自分の状態 | 重点的に練習すること |
|---|---|
| まだ何も作っていない | 輪づくりを端材で繰り返す |
| 輪は作れる | ランプレセプタクルで外装処理まで通す |
| 結線はできる | リングスリーブの刻印判断を固める |
| 一通りできる | 三つを通しで使い、時間を意識する |
目標は、寸法をいちいち計らなくても、近い長さに手が動く状態です。輪づくりとリングスリーブの圧着は特に反復が効くので、すきま時間に端材で手を動かすだけでも上達します。ここが固まると、候補問題13問に入ったとき、結線そのもので止まることが減ります。
練習に必要なのは、本番と同じ手を作る工具と、繰り返し使える練習材料です。材料を何回分そろえるか、工具をどこまで買い足すかで迷ったら、独学で進めるか練習セットを使うかという視点で整理すると決めやすくなります。
候補問題13問そのものの傾向や練習の優先順位は、基本作業が固まった次のステップです。あわせて読むと、どの問題に時間を寄せるかの判断がしやすくなります。
次の一歩
第二種電気工事士の技能で合否を左右する基本作業は、輪づくり・ランプレセプタクル結線・リングスリーブ圧着の三つに整理できます。共通するのは、むき長さを一定に保つことと、ねじの締まる向きを毎回確認すること。この二つを手に入れるだけで、基本作業の欠陥は大きく減らせます。
まずは端材を用意して、輪づくりとリングスリーブの圧着を、手が勝手に動くまで繰り返してください。そのうえでランプレセプタクルで外装処理まで通し、最後に候補問題のなかで三つを使う流れへ進みます。寸法や刻印の正確な条件は、年度の課題と手元の練習教材、そして電気技術者試験センターの公式発表で確認しながら進めましょう。基本作業が固まれば、どの候補問題が出ても土台は揺らぎません。
出典・参考








































































































