結論:技能は「候補問題10問 × 欠陥ゼロ × 60分」を体に入れる勝負
第一種電気工事士の技能試験は、知識ではなく作業の試験です。攻略の枠組みはシンプルで、次の3つを体に入れれば合格圏に入ります。
- 公表される候補問題10問のどれが出ても、配線図どおりに組める
- 欠陥ゼロで完成させる(欠陥が一つでもあれば不合格)
- 60分以内に、複線図から施工・見直しまで終わらせる
学科を突破した人でも、技能では約4割が不合格になります。原因のほとんどは知識不足ではなく、手を動かす練習量と段取りの不足です。逆に言えば、候補問題10問を正しく練習すれば、技能は十分に攻略できます。
この記事では、技能試験の仕組み、第一種固有の難所、60分の時間配分、工具と練習量を順に整理します。合格率や全体の難易度から先に把握したい人は、専用記事も合わせて確認してください。
技能試験の仕組み:10問公表・1問出題・欠陥が一つでも不合格
第一種電気工事士の技能試験では、試験を実施する電気技術者試験センターが、毎年あらかじめ候補問題10問を公表します(令和8年度ぶんは2026年1月に公表されました)。本番では、この10問の中から1問が出題されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 候補問題 | 10問が事前公表される |
| 出題 | 10問のうち1問 |
| 試験時間 | 60分 |
| 判定 | 欠陥が一つでもあれば不合格 |
| 内容 | 公表された配線図どおりに、支給材料で作品を組む |
ポイントは、どれが出るか当日までわからないことと、減点方式ではないことです。欠陥が一つでもあると、ほかが完璧でも不合格になります。だから練習のゴールは「10問のどれが出ても、欠陥ゼロで時間内に完成できる」状態です。
何が欠陥にあたるかは、試験センターが「欠陥の判断基準」を公表しています。練習の早い段階で一度目を通し、自分の作品を欠陥基準で自己採点できるようにしておくと、独学でも精度が上がります。判定基準や候補問題の最新版は、必ず公式の公表資料で確認してください。
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なぜ学科を抜けた人でも約4割が落ちるのか
技能の合格率は、近年おおむね6割弱です。学科を突破してきた人たちが受けてこの数字になるのは、技能が学科とまったく別の能力を問うからです。
学科は「知っているか」を問う試験で、机に向かう勉強が効きます。技能は「時間内に欠陥なく作れるか」を問う試験で、頭で理解していても手が動かなければ点になりません。落ちる人に共通するのは、次のようなパターンです。
| 落ちやすいパターン | 何が起きているか |
|---|---|
| 学科に時間を使いすぎて技能が直前 | 候補問題を作る回数が足りず、本番で手が止まる |
| テキストを読んで分かった気になる | 複線図は書けても、実際の結線で迷う |
| 1周だけで満足する | 苦手な問題が出たときに対応できない |
| 時間配分を決めていない | 施工に集中しすぎて見直しの時間が残らない |
| 欠陥基準を知らない | 自分では完成のつもりが、判定で欠陥になる |
技能は、知識の試験ではなく段取りと反復の試験です。だから対策は「いつ始めるか」と「何周するか」で差がつきます。学習時間全体の中で技能をどう配分するかは、勉強時間の記事で逆算しています。
第一種固有の難所は「高圧」まわり
第二種電気工事士の技能を経験している人ほど、第一種で戸惑うのが高圧部分です。低圧の基本作業(ランプレセプタクル、連用器具、リングスリーブ圧着、差込形コネクタなど)は第二種と共通ですが、第一種では次の要素が加わります。
| 第一種で増える要素 | 内容 |
|---|---|
| 変圧器の結線 | 端子台を変圧器に見立てて結線する。一次側・二次側の取り違えに注意 |
| CT・VT(計器用変成器) | 計器用変流器・計器用変圧器を端子台で代用した結線が出る |
| KIP線 | 高圧機器内配線用の電線。被覆をむく作業の感覚が低圧と違う |
| 接地・極性 | 高圧側を含む結線で、極性や接地の考え方がより重要になる |
これらは、第二種の延長では対応しきれません。配線図の中で「これは変圧器の代用」「ここはCT」と読み取れないと、結線で迷って時間を失います。逆に、高圧部分のパターンを候補問題で繰り返し作っておけば、本番で出ても落ち着いて手が動きます。
第二種をまだ持っていない、または低圧の作業に自信がない人は、先に第二種の技能で手の基礎を作る方が、結果的に第一種までの距離が縮みます。
60分の時間配分は「複線図→材料確認→施工→見直し」で組む
60分は、慣れていないと足りません。だから、作業の順番をあらかじめ決めておきます。おおまかな配分の例は次のとおりです。
- 複線図を書く(数分):単線図を複線図に起こす。ここを速く正確にできると後がラクになる
- 材料・器具の確認(数分):支給材料を並べ、不足や寸法を確認する
- 施工(40分前後):ケーブルの切断・被覆むき・結線・圧着・器具付けを進める
- 見直し(残り時間):結線、極性、圧着の刻印、被覆の傷、寸法を欠陥基準で点検する
最も差がつくのは、複線図を書くスピードです。本番で複線図に時間を取られると、施工が圧迫されます。候補問題10問の複線図を、1問あたり数分で書けるところまで練習しておくと、当日の余裕がまったく違います。
見直しの時間を必ず残すことも重要です。欠陥は一つでも不合格なので、施工を駆け足で終えるより、見直しで欠陥を一つ潰す方が合格に直結します。
工具と材料をそろえて、候補問題10問を最低2周する
技能は、教材を読むだけでは1点も伸びません。工具と材料をそろえ、実際に手を動かすのが唯一の対策です。
必要なものは大きく2つです。
- 工具:指定工具(ペンチ、ドライバー、電工ナイフまたはケーブルストリッパー、スケール、ウォーターポンププライヤなど)に加え、リングスリーブ用圧着工具(JIS適合・刻印が出るもの)が必須
- 練習用材料:候補問題10問に対応した電線・器具のセット。1周では足りないため、2〜3周分を見込む
練習の進め方は、欲張らず段階を踏みます。
- まず候補問題10問を一通り、時間を気にせず最後まで組む
- 2周目は、つまずいた問題と高圧部分を重点的に作り直す
- 3周目は、複線図から60分以内・欠陥ゼロを意識して通しで仕上げる
材料は消耗品なので、間違えても作り直せる量を確保しておくと安心です。工具は第二種と共通で使えるものも多いので、すでに持っている人は不足ぶんだけ買い足します。
学科と技能の両方を一人で組み立てるのが不安な人や、高圧の結線が言葉だけではイメージできない人は、動画講座を併用すると理解までの時間を短縮できます。
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独学で詰まりやすいのは「複線図」と「高圧の結線イメージ」
技能は独学でも十分合格できます。実際、候補問題10問を繰り返し作り込んで独学で受かる人は多いです。ただし、独学で時間を失いやすいポイントが2つあります。
| 詰まりやすい点 | 対処 |
|---|---|
| 複線図が素早く書けない | 10問の複線図を、見ずに書けるまで反復する |
| 高圧の結線がイメージできない | 変圧器・CT・VTの代用結線を、写真や動画で確認しながら作る |
| 欠陥の自己採点ができない | 公表の欠陥基準で、自分の作品を毎回チェックする |
| 60分に収まらない | 通し練習で、複線図と施工の時間を計る |
複線図と高圧部分は、文章だけだと頭に入りにくい領域です。市販テキストの図や、工具メーカー・講座が公開している施工写真・動画を併用すると、理解が一気に進みます。独学でいくか講座を使うかは、ここでつまずくかどうかで判断すると外しません。
ぴよきちメモ
第一種電気工事士の技能は、「頭のよさ」ではなく「練習量と段取り」で決まる試験です。候補問題10問が事前にわかっているのだから、やることは明確で、10問を欠陥ゼロ・60分で組めるように体に入れるだけです。
落ちる人の多くは、能力が足りないのではなく、技能の練習を後回しにして時間が足りなくなっています。学科の手応えが見えたら、すぐに工具と材料をそろえて手を動かし始めてください。
第二種の経験がある人は、低圧の基本はそのまま活きます。あとは変圧器・CT・VT・KIPといった高圧部分に集中すれば、第一種の技能はぐっと近づきます。複線図を速く書く練習と、見直しの時間を残す段取り。この2つを守れば、技能で約4割の不合格側ではなく、合格側に入れます。
出典・参考
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の技能試験の候補問題
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の概要
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の試験結果と推移
- 経済産業省 — 電気工事士











































































































