技能試験の40分はこう区切る
第二種電気工事士の技能試験は、配線図1問を支給材料で40分以内に完成させる実技です。この40分は長く感じませんが、闇雲に手を動かすのではなく、最初から「複線図」「施工」「見直し」の3区間に区切って考えると、本番で迷いにくくなります。
| 区間 | やること | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 複線図・材料確認 | 単線図を読み、複線図を書き、支給材料を確認する | 5分前後 |
| 施工 | 切断・被覆むき・器具付け・圧着・差込を進める | 28分前後 |
| 見直し | 刻印・極性・露出長・寸法を確認する | 5分前後 |
この配分はあくまで目安で、3路・4路スイッチや端子台を含む問題、ランプレセプタクルが2つある問題などでは施工が膨らみます。ただ、どの問題でも崩してはいけない原則が一つあります。見直しの時間を「余ったら」ではなく「最初から予算として」確保することです。
技能試験は欠陥が1つでもあると不合格になります。完成させるだけを目指して40分を使い切ると、刻印違いや極性の取り違えに気づかないまま提出してしまいます。最後の数分は、点を取りに行く時間ではなく、点を落とさないための時間です。
そもそも技能試験がどういう試験かをまだ押さえていない人は、先に第二種電気工事士 技能試験とはで形式と当日の流れを確認しておくと、この記事の配分の話が入りやすくなります。
なぜ40分が足りなく感じるのか
「練習では間に合うのに本番では焦る」「13問のうち特定の問題だけ時間切れになる」という声は多いです。その正体は、本番に特有の難しさというより、一つ一つの作業の手戻りが積み重なった結果であることがほとんどです。
| 遅れの原因 | 一回あたり | 積み重なると |
|---|---|---|
| 複線図で接続に迷う | 数十秒〜1分 | 序盤で焦りを生む |
| 切断寸法を測り直す | 10〜20秒 | 箇所が多いと数分 |
| 輪づくりをやり直す | 30秒前後 | 器具が複数で響く |
| 刻印・サイズで悩む | 10〜30秒 | 接続点の数だけ増える |
| どの電線か探す | 5〜15秒 | 材料整理が甘いと頻発 |
一つ一つは小さくても、技能試験は接続点も器具も多い課題です。手戻りが10回重なれば、それだけで数分が消えます。つまり、時間が足りない原因の多くは本番ではなく、手順が体に入っていないことにあります。だから対策も「本番で速く動く」より「練習で迷いを消す」が本筋になります。
13問それぞれの作業量や差がつくポイントは第二種電気工事士 技能 候補問題13問の傾向と対策で扱っています。どの問題で施工が膨らむかを知っておくと、時間配分の見立ても立てやすくなります。
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複線図に何分かけるか
複線図は、施工に入る前の設計図です。ここで線の本数や接続先を間違えると、施工全体が誤接続になり、巻き返しがほぼ効きません。だからこそ、複線図の時間は「短くする」より「正確さを保ったまま短くする」と考えます。
| 段階 | 目安時間 | 練習での狙い |
|---|---|---|
| 練習初期 | 時間を計らない | 線の本数・接続を正確に書ける |
| 練習中期 | 5分以内 | 迷わず書ける図の型を固める |
| 仕上げ | 2〜3分 | 見ながら手が止まらない |
本番で2〜5分を目安にしますが、速さだけを追うと、施工中に図を読み返して止まることになり、かえって遅くなります。狙いは「書くのが速い図」ではなく「施工中に手が止まらない図」です。器具の位置、電線の色、接続方法まで一目で分かる自分なりの書き方を、練習で決めておきます。
複線図そのものの書き方や記号の決め方は第二種電気工事士 複線図の書き方で手順を追って解説しています。書く速さに不安がある人は、時間配分を詰める前にここを固めるのが先です。
なお、複線図を書く白紙の持ち込みはできないのが一般的で、問題用紙の余白に書きます。普段から余白サイズで書く練習をしておくと、本番で書ききれずに焦ることがありません。
施工の28分をどう使うか
施工は40分の大半を占める区間です。ここを「とにかく速く」ではなく、手戻りの出にくい順番で進めると、結果的に速くなります。一例として、作業を分単位で割り付けると次のような形になります(問題により前後します)。
| 経過時間 | この時点で終えたい作業 |
|---|---|
| 開始〜5分 | 複線図・材料確認を終える |
| 〜13分 | 各電線を寸法どおりに切り終える |
| 〜23分 | ランプレセプタクルやスイッチなどの器具付けを終える |
| 〜33分 | リングスリーブ圧着・差込形コネクタの接続を終える |
| 〜40分 | 見直しと最終確認 |
この「経過時間で区切る」考え方の利点は、遅れを早く自覚できることです。15分の時点でまだ切断が終わっていないなら、その時点で「巻き返しが必要」と分かります。終盤になって初めて気づくより、対処の選択肢が多く残ります。
施工を速くする土台は工具です。被覆むきの長さが安定するVVFストリッパー、刻印が確実に出るリングスリーブ用圧着工具が手に馴染んでいるかどうかで、同じ作業でも秒単位で差が出ます。工具選びの観点は第二種電気工事士 技能試験の工具で整理しています。
切断と加工は「まとめてから個別」
施工の前半でつまずきやすいのが、切る・むく・付けるを電線1本ごとに行き来してしまうことです。1本切って、むいて、付けて、また次を切って…と往復すると、工具の持ち替えが増えます。
複線図で全体の寸法が決まっているなら、まず必要な電線をまとめて切り、次に被覆むき、次に器具付け、という具合に同じ作業をまとめると、工具の持ち替えと迷いが減ります。どこまでまとめるかは手の慣れによりますが、「持ち替え回数を減らす」という視点で自分の手順を見直すと、施工時間は縮みます。
残り時間ごとの判断を決めておく
本番で時間が押したとき、その場で考えると焦ります。あらかじめ「残り◯分ならこうする」を決めておくと、手が止まりません。
| 残り時間 | 状況 | とる行動 |
|---|---|---|
| 残り15分 | 器具付けが途中 | 仕上げの丁寧さを一段落として接続を優先 |
| 残り10分 | 未接続が残る | 見た目より回路を最後まで通すことに集中 |
| 残り5分 | ほぼ完成 | 刻印・極性・露出長の確認に切り替える |
| 残り2分 | 仕上げ中 | 新しい作業を始めず、未完成箇所だけ潰す |
判断の軸はシンプルで、未完成は欠陥として扱われるという一点です。だから時間が押したら、輪づくりの形を整える、被覆の端を切りそろえるといった見た目の仕上げは後回しにし、未接続をなくすことを最優先にします。きれいだが未完成の作品より、多少粗くても回路が通った作品のほうが、合格基準には近づきます。
欠陥の具体的な判断基準は第二種電気工事士 技能試験の欠陥と判断基準で整理しています。何が一発不合格になるのかを先に知っておくと、終盤に「どこを捨ててどこを守るか」の判断が速くなります。
巻き返しが必要なときの優先順位
遅れに気づいたとき、すべてを取り戻そうとすると、どこも中途半端になります。守る順番を決めておくと、巻き返しが効きます。
| 優先度 | 守るもの | 理由 |
|---|---|---|
| 最優先 | 回路を最後まで通す | 未完成は欠陥扱いになる |
| 高 | 刻印・極性・接続方法 | 一つでも誤ると不合格 |
| 中 | 指定された寸法 | 大きく外れると欠陥 |
| 低 | 輪づくりや被覆端の見た目 | 欠陥に当たらない範囲なら許容 |
ここで大切なのは、「低」の項目は雑にしてよいという意味ではない点です。あくまで時間が足りないときの捨てる順番であり、本来はすべて整っているのが理想です。ただ、40分という制約の中では、点を失わない箇所から守るのが現実的な戦い方になります。
そして、この巻き返しの場面を本番で初めて経験すると、判断する余裕がありません。練習の段階で、わざと時間を短く設定して「巻き返しモード」を体験しておくと、本番で慌てにくくなります。
見直しの5分で見る5点
最後の見直しは、技能試験でもっとも費用対効果の高い時間です。短時間で確認でき、かつ当たると一発不合格になる項目から、上から順に見ます。
| 確認する点 | 見るところ |
|---|---|
| リングスリーブの刻印・サイズ | 小・中などの刻印が条件と合っているか |
| 極性 | 接地側 (白) と非接地側 (黒) の取り違えがないか |
| 心線の露出長 | 接続部から心線が出すぎ・差し込み不足がないか |
| 差込形コネクタ | 奥まで差し込まれ、心線が見えていないか |
| 指定寸法 | 施工条件で指定された長さから大きく外れていないか |
この5点に絞る理由は、全部を均等に見る時間がないからです。器具付けの増し締めや、ケーブルの取り回しの美しさまで見たくなりますが、限られた数分では、失点に直結する箇所を優先します。
見直しを「余った時間にやること」にしてしまうと、押したときに真っ先に削られます。そうではなく、見直しは40分の中にあらかじめ組み込まれた工程だと考えてください。
時間配分が身につく練習の積み方
時間配分は、知識として知っていても本番では機能しません。手が覚えていて初めて、40分の中で自然に区切れるようになります。練習は、段階を踏むと定着しやすいです。
| 段階 | 練習の内容 | 時間との向き合い方 |
|---|---|---|
| 1周目 | 13問を一通り作る | 時間を計らず手順を覚える |
| 2周目 | 苦手な問題を重点的に | 区間ごとに時間を計る |
| 仕上げ | 本番想定で通しで作る | 40分通しで複数問を回す |
1周目から時間を計ると、手順が固まる前に焦りだけが身について逆効果です。まず作り方を覚え、2周目から区間タイムを計り、仕上げで40分通しを回す。この順番だと、時間配分が「我慢」ではなく「身についた手順」になります。
材料は練習で消えるため、何周するかで必要なセットが変わります。独学で進めるか講座を使うかも含め、練習量の設計は第二種電気工事士 技能試験セットの選び方で整理しています。実際の練習セットの中身を具体的に見たい場合は、電工石火 技能セットのレビューも判断材料になります。手を動かす回数が確保できるかどうかが、そのまま40分の余裕につながります。
まとめ:40分は「見直しを先に予約する」と回る
第二種電気工事士の技能試験の40分は、複線図に5分前後、施工に28分前後、見直しに5分前後という3区間で考えると整理できます。要点は、見直しを余った時間ではなく最初から確保すること、経過時間で遅れを早く自覚すること、そして時間が押したら未完成を作らないことを最優先にすることです。
次の一歩は、まず1問を時間を計らずに通しで作り、自分が複線図・施工・見直しのどこで時間を使っているかを知ることです。現在地が分かれば、2周目以降でどの区間を詰めるべきかが見えます。区間タイムを計りながら13問を回せば、40分は「足りない時間」から「区切れる時間」に変わります。
試験時間、候補問題、欠陥の判断基準、日程などは年度や回によって更新されることがあります。最終確認は、一般財団法人 電気技術者試験センターの公式情報で行ってください。
出典・参考
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士の試験概要」
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士の技能試験の候補問題」
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「技能試験に係る欠陥の判断基準等について」








































































































