技能試験は「欠陥ゼロで完成」が合格ライン
第二種電気工事士の技能試験は、配線図で示された1つの課題を、支給された材料と自分で持参した工具で時間内に完成させる試験です。試験時間は40分で、当日は事前に公表される候補問題13問の中から1問が出題されます。
ここで多くの受験者がつまずくのが、合否の決まり方です。学科のように点数で何割取れば合格、という形ではありません。技能試験は、作った作品に欠陥があるかどうかで判定されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 40分 |
| 課題 | 配線図1問を支給材料で完成させる |
| 候補問題 | 13問が事前公表(当日はうち1問) |
| 合否の決まり方 | 欠陥の有無で判定(点数制ではない) |
| 不合格になる欠陥の数 | 1つでも欠陥があれば不合格 |
| 実施回数 | 年2回(上期・下期)、学科合格者・免除者が受験 |
つまり技能試験の対策は、「作れるようになる」ことと「欠陥を残さない」ことの両方が必要です。手は動くのに不合格、という人は、完成度は足りていても欠陥の見落としが原因になっていることがあります。この記事では、欠陥の判断基準を読者目線で区分し、40分の中で何を見直せばよいかを整理します。
なお、欠陥の判断基準そのものは一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しています。本記事は公表内容を学習者向けに要約・整理したものなので、最終的な判定基準は受験前に公式で確認してください。
「欠陥が1つで不合格」になった経緯を知っておく
技能試験の欠陥は、かつて「重大欠陥」と「軽欠陥」に分けられ、軽欠陥は一定数まで許容される考え方がありました。現在はこの区別がなくなり、欠陥の重い軽いを問わず、1か所でも欠陥と判定されれば不合格になります。
| 観点 | 以前の考え方 | 現在 |
|---|---|---|
| 欠陥の区分 | 重大欠陥・軽欠陥に分類 | 区別せず一律に「欠陥」 |
| 軽い不備の扱い | 軽欠陥は一定数まで許容 | 1つでも不合格 |
| 受験者が意識すること | 大きなミスを避ける | 小さな不備も残さない |
この変更が示しているのは、技能試験が「だいたい作れていればよい」試験ではない、ということです。実際の電気工事では、接続のゆるみや被覆の傷といった小さな不備が発熱や漏電につながり得ます。試験はその感覚を問うているため、寸法のわずかなずれや圧着の不備も判定の対象になります。
裏を返せば、対策の方向ははっきりしています。派手な技術より、ひとつひとつの作業を欠陥なく仕上げる安定感を作ることです。
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欠陥の判断基準を5つの区分で押さえる
公表されている判断基準は項目数が多く、最初に全部覚えようとすると挫折しやすいです。学習の入り口としては、大きく5つの区分でとらえると整理しやすくなります。
| 区分 | どんな欠陥か | 代表的な例 |
|---|---|---|
| 未完成 | 課題が完成していない | 結線の残り、器具の付け忘れ、ケーブル未接続 |
| 配置・寸法・接続方法の相違 | 配線図や施工条件と違う | 器具の位置違い、ケーブル長の不足、指定外の接続 |
| 誤接続・誤結線 | つなぎ方が間違っている | 回路が成立しない結線、極性を無視した接続 |
| 色別・極性の相違 | 電線の色や極性が条件と違う | 接地側・非接地側の取り違え、指定色の不一致 |
| 電線の損傷 | 心線や被覆を傷めている | 心線の傷、素線切れ、被覆のむき過ぎ |
この5区分は、作業の流れと対応しています。複線図を起こす段階で「配置・接続方法」、ケーブルを切る段階で「寸法」、結線する段階で「誤結線・色別・極性」、被覆をむいて圧着する段階で「損傷」を意識する、という具合です。作業の各場面で「いまどの欠陥が出やすいか」を結びつけて覚えると、本番で手が止まりにくくなります。
候補問題ごとの配線図そのものは公式が示すものを使うとして、欠陥の考え方はどの問題でも共通です。区分で理解しておけば、初見に近い施工条件でも応用が利きます。配線図の読み取りに不安が残る人は、複線図の起こし方を扱った第二種電気工事士 配線図(複線図)の読み方も合わせて確認しておくと、配置・接続の欠陥を減らしやすくなります。
作業工程ごとの「やりがちな欠陥」チェック
ここからは、実際の作業順に沿って、見落としやすいポイントを挙げます。手順を体に入れるときの確認リストとして使ってください。
複線図とレイアウトで起きる欠陥
最初に単線図から複線図を起こし、器具とケーブルの配置を決めます。ここでの間違いは、後工程をすべて巻き込みます。
| 確認すること | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 接地側・非接地側の色を決めたか | 色別・極性の欠陥につながる |
| 器具の位置が配線図どおりか | 配置の相違で欠陥になる |
| ジョイント部分の接続方法を決めたか | 誤結線や接続方法の相違を招く |
複線図の段階で色と極性を決め切っておくと、結線時の迷いが減ります。
ケーブル切断・寸法で起きる欠陥
支給されるケーブルは、やり直しの余裕が大きくありません。切る前に寸法を確認する習慣が効きます。
| 確認すること | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 施工寸法から逆算した長さか | 寸法の相違や、ケーブル不足で未完成 |
| ボックス内の余長を考えたか | 結線時に長さが足りなくなる |
| 切り間違いの予備を意識したか | 残り材料が尽きてやり直せない |
寸法は、おおむねの許容範囲を超えて短いと欠陥と判定され得ます。長さの目安を体で覚えるのが近道です。
結線・圧着で起きる欠陥
リングスリーブと差込形コネクタの接続は、多くの候補問題に共通する山場です。欠陥判定も集中します。
| 確認すること | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 電線の太さ・本数に合うスリーブと刻印か | 刻印違い・サイズ不一致で欠陥 |
| 所定の位置で圧着したか | 規定外圧着で欠陥 |
| 被覆をかみ込んでいないか | かみ込み・露出過多で欠陥 |
| 差込形コネクタの差し込み量は適切か | 心線露出や差し込み不足で欠陥 |
圧着は一度行うとやり直しに時間がかかります。刻印の選択を声に出して確認するなど、自分なりの確認動作を決めておくと安定します。
器具付け・仕上げで起きる欠陥
ランプレセプタクルや連用取付枠への器具付けは、ねじや輪づくりの仕上げが見られます。
| 確認すること | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 輪づくりの向き・ねじ締めは適切か | 巻き方向違い・締め不足で欠陥 |
| 心線の露出が出過ぎていないか | 露出過多で損傷・欠陥 |
| 器具を破損していないか | 部品破損で欠陥 |
ランプレセプタクルや連用取付枠、リングスリーブ接続は多くの問題で共通するため、ここを安定させると合格が一気に近づきます。
候補問題13問への向き合い方
候補問題は毎年1月頃に一般財団法人 電気技術者試験センターから13問が公表されます。当日はその中から1問が出題されますが、どれが出るかは試験まで分かりません。
13問はそれぞれ配線図が異なりますが、作業の中身は共通点が多いのが特徴です。
| 共通しやすい作業 | 内容 |
|---|---|
| 複線図を起こす | どの問題でも最初に行う |
| リングスリーブ接続 | 多くの問題で登場する |
| 差込形コネクタ接続 | ジョイント部で頻出 |
| ランプレセプタクルの結線 | 出題されることが多い |
| 連用取付枠への器具付け | スイッチ・コンセント類で共通 |
そのため、まず共通作業を体に入れ、そのうえで問題ごとの違い(使う器具、ボックスの有無、特殊な施工条件)を確認していく進め方が向いています。13問を一度ずつ作り、苦手な問題だけ二周目に回す、という配分が現実的です。
公式が示す配線図や施工条件は問題ごとに細かく決まっているため、練習でも実際の条件をよく読む癖をつけておきましょう。本番では、見慣れた問題でも施工条件が一部変わることがあります。
40分の時間配分と見直しの作り方
技能試験で意外と多いのが、技術はあるのに時間切れで未完成、というパターンです。未完成は欠陥として不合格になるため、時間配分は欠陥対策そのものです。
| 時間帯(目安) | やること |
|---|---|
| 開始〜5分 | 複線図を起こし、色・極性・寸法を決める |
| 5〜10分 | ケーブルを切断し、被覆をむく |
| 10〜30分 | 器具付け・結線・圧着を進める |
| 30〜37分 | 全体を組み上げ、完成させる |
| 37〜40分 | 欠陥の最終チェック(寸法・極性・損傷) |
この配分はあくまで目安で、得意・不得意で前後します。大事なのは、最後に見直しの数分をしっかり残すことです。完成だけで時間を使い切ると、せっかく作っても極性違いや圧着不備に気づけません。
見直しでは、5区分のうち特に「色別・極性」「損傷」「未完成(つなぎ残し)」を順に確認します。ここを習慣にすると、ケアレスな欠陥をその場で拾えます。時間配分の作り方は学科の試験当日にも通じる考え方なので、第二種電気工事士 試験当日の流れと持ち物も参考になります。
独学とセット練習、どちらで仕上げるか
欠陥を減らす手は、結局のところ反復でしか作れません。問題は、その練習環境をどう用意するかです。
| 進め方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 独学(自分で材料調達) | 工具・材料を見分けられる経験者 | 候補問題13問分の材料の揃え漏れに注意 |
| 練習セット利用 | 初受験で何を買うか迷う人 | 年度対応と練習回数(周回数)を確認 |
| 動画・講座併用 | 手順や欠陥判定を映像で確認したい人 | 学科講座と技能セットは別物 |
技能は手を動かす回数がそのまま完成度に直結するため、材料を切らさず繰り返せる環境が鍵になります。何を買えばよいか迷う場合は、工具・材料・練習回数の選び方を整理した記事や、技能用の実物練習セットを扱う電工石火 技能セットレビューを判断材料にしてください。独学と講座のどちらで進めるか自体に迷うなら、第二種電気工事士 独学と講座の比較も合わせて読むと方針を決めやすくなります。
なお、技能の腕試しに入る前に学科の知識が曖昧なら、第二種電気工事士 学科の演習問題で配線図や器具の知識を確認しておくと、複線図起こしの欠陥が減ります。
まとめ:完成させてから「欠陥ゼロ」を取りにいく
第二種電気工事士の技能試験は、欠陥が1つあるだけで不合格になる、判定のはっきりした試験です。だからこそ、対策の優先順位は明確です。
まずは40分で完成させる手を作る。そのうえで、未完成・寸法・接続・色別と極性・損傷の5区分で欠陥を見直す目を養う。この順番を守るだけで、つまずきの多くは防げます。
| 次の一歩 | 内容 |
|---|---|
| 判断基準を読む | 公式の欠陥判断基準を一度通読する |
| 共通作業を固める | リングスリーブ・差込形コネクタ・器具付けを反復 |
| 13問を一度ずつ作る | 苦手だけ二周目に回す |
| 見直しを習慣化 | 最後の数分で極性・損傷・つなぎ残しを確認 |
欠陥の判断基準そのものは一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しています。本記事の区分はあくまで学習の入り口なので、受験前には公式の最新基準を確認し、自分の作品をその目で見直せる状態を作っておきましょう。完成させる手と、欠陥を見抜く目。この両輪がそろえば、技能試験は十分に越えていけます。
出典・参考








































































































