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学科対策は、知識・読図・計算を分けて復習する
第一種電気工事士の学科試験は、2026年度の案内では50問・1問2点で、合格基準は60点(30問正答)です。計算が苦手な場合も、知識問題だけで何点取れると決めつけず、分野別の演習から復習の優先順位をつけましょう。
この記事では、出題範囲を確認した後、直流回路と三相電力の計算2例を、条件・途中式・誤答の理由まで追います。後半では、配線図、高圧受電設備などの上乗せ範囲、CBTでの結果確認と復習の進め方を整理します。
学科試験の全体像:50問・140分、2026年度の合格基準は60点
2026年度の受験案内と公式の学科試験・CBT案内で、次の枠組みを確認できます。
| 項目 | 2026年度の案内 |
|---|---|
| 形式 | 四肢択一マークシート方式 または CBT方式 |
| 出題数 | 50問(1問2点) |
| 内訳 | 一般問題40問程度 + 配線図問題10問程度 |
| 試験時間 | 140分 |
| 合格基準 | 60点(30問正答) |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験を問わず受験できる) |
練習では、現行基準の60点を安定して超えることを目指します。過去の低い基準を当てにして目標を下げず、受験する年度の案内で確認してください。
また、受験資格がないことも押さえておきます。学科は誰でも受けられますが、試験に合格しても、第一種電気工事士の免状交付には別途実務経験(原則3年以上)が必要です。「学科合格=即免状」ではない点は、計画段階で必ず区別しておきましょう。試験合格と免状の関係は、第二種との比較記事で詳しく整理しています。
公式の9分野を、復習する内容に分ける
公式の出題範囲は9分野です。以下の「復習の入口」は編集部の学習整理で、分野別の配点や出題頻度を示すものではありません。
| 出題分野 | 復習の入口 |
|---|---|
| 1. 電気に関する基礎理論 | 電流・電圧・電力・抵抗、交流と回路計算 |
| 2. 配電理論・配線設計 | 配電方式、電線路、配線の考え方 |
| 3. 電気応用 | 照明・電熱・電動機の用途と原理 |
| 4. 電気機器・材料・受電設備 | 器具の名称だけでなく構造・性能・用途 |
| 5. 電気工事の施工方法 | 配線や機器設置など、工事ごとの方法 |
| 6. 自家用電気工作物の検査方法 | 点検・測定・試験の目的と使用器具 |
| 7. 配線図 | 図中の機器・接続・制御の読み取り |
| 8. 発電・送電・変電 | 設備の役割・構造・特性 |
| 9. 保安に関する法令 | 対象となる工事・設備と規定の対応 |
器具・材料・施工方法・法令の知識や配線図の読み取りも対策が必要です。ただし、特定の分野だけで60点分が出るとは限りません。分野別に問題を解き、知識の抜けと計算のつまずきを確認して、復習する順番を決めましょう。
計算問題は「どの電流・電圧か」を決めてから解く
計算を丸ごと捨てる前に、条件を図と式に移せるかを確かめてみましょう。公式の出題範囲には、電流・電圧・電力・電気抵抗、交流の基礎概念、電気回路の計算が含まれています。ここでは、直流の合成抵抗と三相の有効電力を独自の数値で練習します。実際の過去問ではなく、解き方を確認するためのオリジナル例題です。
例題1:並列部分をまとめて、電源から流れる電流を求める
理想的な直流24Vの電源に、4Ωの抵抗と「12Ω・6Ωの抵抗を並列につないだ部分」が直列に接続されています。導線の抵抗と電源の内部抵抗は無視します。電源から流れる電流は何Aでしょうか。

- 肢1:1A
- 肢2:2A
- 肢3:3A
- 肢4:6A
正解は肢3の3Aです。 最初に並列部分だけを一つの抵抗にまとめます。
- 並列部分の合成抵抗は、12 × 6 ÷ (12 + 6) = 4Ω。
- 電源から見た全体の抵抗は、直列の4Ωを加えて、4 + 4 = 8Ω。
- 電源電流は、オームの法則から24 ÷ 8 = 3A。
検算すると、直列の4Ωにかかる電圧は3 × 4 = 12V。残る並列部分にも24 − 12 = 12Vがかかります。12Ω側は12 ÷ 12 = 1A、6Ω側は12 ÷ 6 = 2Aで、分岐の電流を足すと1 + 2 = 3Aに戻ります。
肢1の1Aと肢2の2Aは、それぞれ分岐した先の電流です。問われている電源電流とは区別します。肢4の6Aは、並列部分の4Ωだけを使って24 ÷ 4とした値で、手前の直列抵抗を落としています。
図の見た目だけで式を選ばず、並列部分の両端が同じ二つの接続点につながっていることを確認してからまとめるのが要点です。
例題2:線間電圧・線電流・力率から三相全体の有効電力を求める
正弦波の平衡三相交流で、負荷の線間電圧は400V、線電流は10A、力率は0.8です。電圧・電流はいずれも実効値とします。この負荷が消費する三相合計の有効電力は約何kWでしょうか。√3 = 1.732として、小数第2位まで求めてください。
- 肢1:約3.20kW
- 肢2:約5.54kW
- 肢3:約6.93kW
- 肢4:約9.60kW
正解は肢2の約5.54kWです。 与えられた400Vは線間電圧、10Aは線電流なので、三相全体の有効電力は次の式で求めます。
P = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率
P = 1.732 × 400 × 10 × 0.8 = 5,542.4W ≒ 5.54kW
WからkWへ直すときは1,000で割ります。400V × 10Aだけで止めず、三相の係数√3と力率0.8を確認しましょう。
- 肢1の約3.20kW:400 × 10 × 0.8と計算し、√3を落としています。
- 肢3の約6.93kW:√3 × 400 × 10は皮相電力の約6.93kVAです。力率を掛けていないため、有効電力を答えていません。
- 肢4の約9.60kW:3 × 400 × 10 × 0.8とし、線間電圧・線電流をそのまま相電圧・相電流として使っています。
別の形で検算するなら、この平衡負荷を等価なY結線として考えます。相電圧は400 ÷ √3 V、相電流は10Aなので、三相分の3 × (400 ÷ √3) × 10 × 0.8も約5.54kWになります。与件が相電圧・相電流に変われば、式に入れる量も変わります。
解き直しでは、誤りを「条件・式・単位」に分ける
例題1で分岐電流を答えたなら、まず「どこの電流を求めるか」を図に書き込みます。例題2で√3や力率を落としたなら、線間・線電流・有効電力という条件に印を付けてから式を選びます。最後だけ数値がずれた場合は、WとkWの換算や丸める位置を確認してください。
この2例だけで計算範囲全体を網羅したことにはなりません。分野別問題集で解けなかった問題を条件・式・単位のどこで止まったかに分け、同じ型を解き直すところから進めましょう。
配線図は「暗記+読図」で得点源にできる
配線図問題は10問程度です。図記号の名称だけでなく、機器の役割・接続・制御を読み取る練習が必要です。計算と無関係な分野と決めつけず、図に書かれた条件を一つずつ確認します。
配線図を読む際には、次の点を整理すると復習しやすくなります。
| 問われる要素 | 中身 | 対策 |
|---|---|---|
| 図記号の名称・用途 | 器具・機器のシンボルを読む | 図記号一覧を暗記する |
| 使用器具・材料 | 図中で使う材料を選ぶ | 器具の知識と結びつける |
| 最少電線本数 | 配線に必要な電線数を数える | 複線図を書いて数える |
| 接続・極性 | 結線や極性を読み取る | 複線図の手順を固める |
| 工事の種類・条件 | 施工条件を図から判断する | 施工方法の知識と連動 |
配線図は、技能試験の複線図とも地続きです。学科で複線図を書く練習をしておくと、技能対策の前倒しにもなります。図記号を覚え、複線図を素早く書けるようにしておけば、配線図問題はまとまった点になります。
ただし、第一種の配線図は高圧受電設備(キュービクル)まわりが入る点に注意します。変圧器、遮断器、計器用変成器などの図記号と役割は、第二種にはない範囲です。ここは後述の上乗せ範囲としてつぶしておきます。技能側の高圧の難所と合わせて対策すると、理解が一度で済みます。
なお、配線図でも電気工事は感電や短絡の危険を伴う作業です。学習はあくまで図と知識の範囲にとどめ、実際の作業は有資格者の指導のもと、電源を切る・絶縁を確認するといった基本の安全手順を守る前提で進めてください。
第二種学科からの「上乗せ範囲」だけに時間を寄せる
すでに第二種電気工事士の学科を経験している人は、ゼロからやり直す必要はありません。重なる部分は土台として活き、第一種で新しく増える範囲に時間を寄せるのが効率的です。
| 区分 | 第二種と重なる | 第一種で上乗せ |
|---|---|---|
| 基礎理論 | オームの法則・基本回路 | より複雑な交流・三相の計算 |
| 配電・配線設計 | 低圧の配線設計 | 高圧側を含む配電の考え方 |
| 機器・材料 | 低圧の配線器具 | 受電設備・高圧機器 |
| 施工方法 | 一般用の施工 | 自家用電気工作物の施工 |
| 検査方法 | (限定的) | 自家用の検査・測定 |
| 法令 | 一般用中心 | 保安・自家用に関する法令 |
| 配線図 | 低圧の図記号 | 高圧受電設備の図記号 |
| 発電・送電・変電 | (ほぼ無し) | 構造・特性が新規で追加 |
こうして見ると、第一種で本当に新しいのは「高圧・自家用・発送変電」のかたまりだと分かります。第二種経験者は、この上乗せ範囲を重点的に学べば、学科全体の負荷をかなり下げられます。
逆に、第二種をまだ持っていない、または低圧の基礎に不安がある人は、いきなり第一種から入ると土台づくりと上乗せを同時にやることになり、負担が大きくなります。順番の考え方は、比較記事と勉強時間の記事で整理しています。
CBT方式の進め方:正答数の表示と合否発表を区別する
2026年度下期は、申込み時にCBT方式と筆記方式を選びます。CBTは期間内で受験日時・会場を予約します。実施方式は受験する年度・期の案内で確認してください。
| 観点 | CBT方式 | 筆記方式 |
|---|---|---|
| 解答する場所 | パソコンの画面 | 問題用紙とマークシート |
| 日程 | 指定期間内の日時・会場を予約 | 指定された試験日 |
| 結果の確認 | 終了後に正答数を確認。合否は後日発表 | 公表された解答で自己採点。合否は後日発表 |
終了時の正答数表示は、合否の発表とは別です。 2026年度下期のCBTでは、受験日から2週間経過後の12時から、マイページで合否を確認できる予定です。発表時期は受験案内で確認してください。
CBTで気をつけたいのは、画面上で配線図を見ながら解く点です。紙のように図に書き込めないので、複線図や本数の数え方を頭の中、またはメモ用紙で素早く整理する練習をしておくと安心です。普段の演習から、図記号と複線図を見ずに処理できるところまで仕上げておくと、画面でも手が止まりません。
CBTの予約手順や試験日程、申込みの流れは、申込み記事でまとめています。
間違えた理由を残して解き直す
分野別の演習では、間違えた問題に「知識が抜けた」「図の接続を読み違えた」「式や単位を間違えた」と短く理由を残します。同じ誤りが続く分野に戻るための目印です。
復習を3段階に分けるなら、次のように進められます。
- 1周目:全体像をつかむ — 分野別に一通り解き、自分が取れる分野と苦手分野を把握する
- 2周目:間違いをつぶす — 1周目で落とした問題を中心に解き直す
- 3周目:苦手分野と配線図を総仕上げ — 計算の条件・式・単位を確認し、配線図と上乗せ範囲も解き直す
この進め方で、本番想定の60点(50問中30問)を安定して超える状態を作るのがゴールです。模範解答集や分野別問題集を使うと、傾向に沿った演習がしやすくなります。テキスト選びは専用記事で比較しています。
学科は独学でも十分に届く試験ですが、高圧受電設備や発送変電のイメージが言葉だけでは入りにくい人は、図や動画のある教材・講座を併用すると理解までの時間を短縮できます。とくに、自家用電気工作物まわりは図がないとつかみにくい領域です。
学科対策で見落としやすいポイント
最後に、得点設計が崩れやすい落とし穴を整理しておきます。
| 見落とし | 起きること |
|---|---|
| 計算を完璧にしようとする | 暗記分野の時間が足りなくなる |
| 配線図を後回しにする | 取りやすい得点源を落とす |
| 上乗せ範囲を軽く見る | 高圧・自家用・法令で取りこぼす |
| 合格基準の下振れを当てにする | 60点未満で計画すると危ない |
| 学科合格=免状と思い込む | 免状の実務経験要件で計画が崩れる |
復習の優先順位は、自分が間違えた問題から決めます。計算が苦手なら、この記事の例のように条件を区切り、式に入れる量を確かめるところから始めましょう。初心者で全体の進め方を一から知りたい人は、ロードマップ記事で学科から技能、免状までの流れを通しで確認しておくと迷いません。
ぴよきちメモ
直流の例では「分岐前か、分岐後か」、三相の例では「線間か、相か」「有効電力か、皮相電力か」が答えを分けました。公式を覚えるときは、何を代入する式なのかも一緒に確認しましょう。
次は、解説を見ずに2例を計算し直してみてください。途中で止まったら、その式で使う条件だけを読み返します。知識・読図の演習も組み合わせ、2026年度の合格基準60点を安定して超える状態を目指しましょう。
出典・参考
- 電気技術者試験センター — 2026年度下期受験案内(50頁:合格基準・合否発表)
- 電気技術者試験センター — CBT方式のご案内
- 東北学院大学 授業資料 — 電子回路の基礎(オームの法則・直並列抵抗)
- 三菱電機FA eラーニング — 三相交流回路の電力、電力量
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の学科試験のポイント
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の試験概要
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の問題と解答
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の試験結果と推移
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 電気工事士の免状交付
- 経済産業省 — 電気工事士











