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結論:学科は「計算で稼ぐ」より「落とさない分野で6割を組む」ゲーム
第一種電気工事士の学科試験は、四肢択一でおおむね50問。合格基準はおおむね60点前後(年度により多少変動)です。つまり、満点を取る試験ではなく、50問中30問程度を確実に積み上げれば抜けられる試験です。
ここを取り違えると、対策がぶれます。計算が苦手な人ほど「計算をなんとかしないと受からない」と思い込みがちですが、学科の中身を分解すると、計算はあくまで一部です。器具・材料・施工方法・法令・配線図といった暗記寄りの分野が多くを占めます。だから、攻め方の結論はシンプルです。
| 方針 | 中身 |
|---|---|
| 落とさない分野を固める | 器具・材料・施工方法・法令・配線図で確実に積む |
| 計算は捨てずに絞る | 公式が決まったパターン問題だけ拾う |
| 配線図で底上げ | 図記号・複線図・最少電線本数など得点源化する |
| 上乗せ範囲に時間を寄せる | 第二種にない高圧・自家用・発送変電を重点的に |
この記事では、学科の出題構成を分野別に整理し、得点源と捨て問の見極め、第二種学科からの上乗せ範囲、CBTの進め方、そして周回法までを順に解説します。合格率や全体の難易度から先に把握したい人は、専用記事も合わせて確認してください。
学科試験の全体像:50問・四肢択一・おおむね60点で抜ける
まず、対策の土台になる枠組みを押さえます。第一種電気工事士の学科試験の概要は、例年おおむね次のとおりです。
| 項目 | 内容(目安) |
|---|---|
| 形式 | 四肢択一マークシート方式 または CBT方式 |
| 出題数 | おおむね50問 |
| 内訳 | 一般問題40問程度 + 配線図問題10問程度 |
| 試験時間 | 例年140分前後 |
| 合格基準 | おおむね60点前後(50問中30問程度)。年度により調整あり |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験を問わず受験できる) |
ここで注意したいのは、合格基準が固定ではないことです。100点満点で60点が基本ラインですが、過去には年度によって58点や56点に調整された例もあります。だからといって「下がるはず」と当てにするのは危険で、対策は60点を安定して超えることを基準に組むのが安全です。最新の基準と確定値は、受験する年に公式の試験結果ページで確認してください。
また、受験資格がないことも押さえておきます。学科は誰でも受けられますが、試験に合格しても、第一種電気工事士の免状交付には別途実務経験(原則3年以上)が必要です。「学科合格=即免状」ではない点は、計画段階で必ず区別しておきましょう。試験合格と免状の関係は、第二種との比較記事で詳しく整理しています。
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出題分野を9つに分けて配点感覚をつかむ
学科の出題範囲は、公式の「学科試験のポイント」で大きく9つの分野に整理されています。これを得点源か計算寄りかで色分けすると、どこで点を組むかが見えてきます。
| 出題分野 | 性格 | 対策の位置づけ |
|---|---|---|
| 1. 電気に関する基礎理論 | 計算中心 | パターン問題に絞って拾う |
| 2. 配電理論・配線設計 | 計算+知識 | 公式が決まった問題を優先 |
| 3. 電気応用 | 知識寄り | 暗記で取りやすい |
| 4. 電気機器・材料・受電設備 | 暗記中心 | 得点源。写真・名称をつぶす |
| 5. 電気工事の施工方法 | 暗記中心 | 得点源。工事種別を整理 |
| 6. 自家用電気工作物の検査方法 | 知識寄り | 第一種固有。測定・試験を覚える |
| 7. 配線図 | 図の読み取り | 得点源化しやすい(後述) |
| 8. 発電・送電・変電の構造・特性 | 知識寄り | 第一種固有。広く浅く |
| 9. 保安に関する法令 | 暗記中心 | 得点源。条文の数字を覚える |
こうして並べると、暗記中心・知識寄りの分野(3〜9)が大半で、純粋な計算は1と2の一部に集中していることが分かります。つまり、計算が苦手でも、4・5・7・9のような暗記・読図系をしっかり取れば、6割のラインは組めます。
逆に言えば、計算を完璧にしようとして暗記分野を後回しにするのは効率が悪い選び方です。配点の取りやすさで優先順位を決めるのが、学科対策の基本姿勢になります。
計算が苦手でも受かる「得点設計」の作り方
ここが本題です。計算が苦手な人ほど、最初に「どこで何点取るか」の設計を決めてしまうとラクになります。50問中30問を目標に、無理なく届く配分の一例が次のとおりです。
| 分野グループ | ねらう姿勢 | 考え方 |
|---|---|---|
| 器具・材料・受電設備 | 取りきる | 写真・名称・用途は暗記で確実に |
| 施工方法・検査方法 | 取りきる | 工事種別・測定の手順を整理 |
| 法令 | 取りきる | 条文の数字・区分を覚える |
| 配線図 | 大半を取る | 図記号・複線図・本数を反復 |
| 計算(基礎理論・配電) | 拾えるだけ拾う | 決まったパターンだけ確実に |
この設計のポイントは、計算を「捨てる」のではなく「絞る」ことです。計算を全部放棄すると、取りこぼしたときの余白がなくなって危険です。一方で、ベクトル計算や複雑な交流回路まで完璧にしようとすると、暗記分野の時間を食います。
だから、計算は「毎年のように出る、公式が決まったパターン問題」だけを反復して取れるようにします。たとえば、合成抵抗、オームの法則を使う基本回路、電力・電力量、簡単な電圧降下のように、解き方が固定されている問題です。これらは手順を覚えれば落ち着いて解けます。応用度の高い計算は深追いせず、暗記分野で埋め合わせる、という割り切りが効きます。
計算をどこまで捨てるかの線引きや、独学で進める際のつまずきどころは、独学記事でも具体的に整理しています。
配線図は「暗記+読図」で得点源にできる
配線図問題(10問程度)は、計算が苦手な人にとって大きな得点源になります。配線図は計算ではなく、図記号の知識と複線図の読み取りで解ける問題が多いからです。
配線図で問われやすい要素を整理すると、対策の的が絞れます。
| 問われる要素 | 中身 | 対策 |
|---|---|---|
| 図記号の名称・用途 | 器具・機器のシンボルを読む | 図記号一覧を暗記する |
| 使用器具・材料 | 図中で使う材料を選ぶ | 器具の知識と結びつける |
| 最少電線本数 | 配線に必要な電線数を数える | 複線図を書いて数える |
| 接続・極性 | 結線や極性を読み取る | 複線図の手順を固める |
| 工事の種類・条件 | 施工条件を図から判断する | 施工方法の知識と連動 |
配線図は、技能試験の複線図とも地続きです。学科で複線図を書く練習をしておくと、技能対策の前倒しにもなります。図記号を覚え、複線図を素早く書けるようにしておけば、配線図問題はまとまった点になります。
ただし、第一種の配線図は高圧受電設備(キュービクル)まわりが入る点に注意します。変圧器、遮断器、計器用変成器などの図記号と役割は、第二種にはない範囲です。ここは後述の上乗せ範囲としてつぶしておきます。技能側の高圧の難所と合わせて対策すると、理解が一度で済みます。
なお、配線図でも電気工事は感電や短絡の危険を伴う作業です。学習はあくまで図と知識の範囲にとどめ、実際の作業は有資格者の指導のもと、電源を切る・絶縁を確認するといった基本の安全手順を守る前提で進めてください。
第二種学科からの「上乗せ範囲」だけに時間を寄せる
すでに第二種電気工事士の学科を経験している人は、ゼロからやり直す必要はありません。重なる部分は土台として活き、第一種で新しく増える範囲に時間を寄せるのが効率的です。
| 区分 | 第二種と重なる | 第一種で上乗せ |
|---|---|---|
| 基礎理論 | オームの法則・基本回路 | より複雑な交流・三相の計算 |
| 配電・配線設計 | 低圧の配線設計 | 高圧側を含む配電の考え方 |
| 機器・材料 | 低圧の配線器具 | 受電設備・高圧機器 |
| 施工方法 | 一般用の施工 | 自家用電気工作物の施工 |
| 検査方法 | (限定的) | 自家用の検査・測定 |
| 法令 | 一般用中心 | 保安・自家用に関する法令 |
| 配線図 | 低圧の図記号 | 高圧受電設備の図記号 |
| 発電・送電・変電 | (ほぼ無し) | 構造・特性が新規で追加 |
こうして見ると、第一種で本当に新しいのは「高圧・自家用・発送変電」のかたまりだと分かります。第二種経験者は、この上乗せ範囲を重点的に学べば、学科全体の負荷をかなり下げられます。
逆に、第二種をまだ持っていない、または低圧の基礎に不安がある人は、いきなり第一種から入ると土台づくりと上乗せを同時にやることになり、負担が大きくなります。順番の考え方は、比較記事と勉強時間の記事で整理しています。
CBT方式の進め方:早めに受けて結果を確定する
近年の学科試験は、CBT方式(コンピュータで受験する方式)が中心になっています。年度によっては、上期はCBTのみで筆記方式が設定されない期もあります。実施方式と期間は年度で変わるため、申込み前に公式で確認するのが前提です。
CBTと筆記の特徴を整理すると、選び方の判断がつきます。
| 観点 | CBT方式 | 筆記方式 |
|---|---|---|
| 出題内容・難易度 | 同等(有利不利はないとされる) | 同等 |
| 日程 | 期間内で日時・会場を選べる | 試験日が固定 |
| 結果の確定 | 早めに受けて先に確定できる | 試験日まで待つ |
| 向く人 | 予定を調整して早く片付けたい人 | 紙に書き込んで整理したい人 |
CBTで気をつけたいのは、画面上で配線図を見ながら解く点です。紙のように図に書き込めないので、複線図や本数の数え方を頭の中、またはメモ用紙で素早く整理する練習をしておくと安心です。普段の演習から、図記号と複線図を見ずに処理できるところまで仕上げておくと、画面でも手が止まりません。
CBTの予約手順や試験日程、申込みの流れは、申込み記事でまとめています。
過去の出題傾向を踏まえた周回法
学科は、出題範囲と問われ方の傾向が年度を超えて似ています。だから、分野別の問題演習を繰り返すのが王道です。回数そのものより、「解けるまで反復する」考え方で組み立てます。
おおまかな周回の流れは次のとおりです。
- 1周目:全体像をつかむ — 分野別に一通り解き、自分が取れる分野と苦手分野を把握する
- 2周目:間違いをつぶす — 1周目で落とした問題を中心に解き直す
- 3周目:苦手分野と配線図を総仕上げ — 計算の捨て所を確定し、配線図と上乗せ範囲を固める
この進め方で、本番想定の60点(50問中30問)を安定して超える状態を作るのがゴールです。模範解答集や分野別問題集を使うと、傾向に沿った演習がしやすくなります。テキスト選びは専用記事で比較しています。
学科は独学でも十分に届く試験ですが、高圧受電設備や発送変電のイメージが言葉だけでは入りにくい人は、図や動画のある教材・講座を併用すると理解までの時間を短縮できます。とくに、自家用電気工作物まわりは図がないとつかみにくい領域です。
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学科対策で見落としやすいポイント
最後に、得点設計が崩れやすい落とし穴を整理しておきます。
| 見落とし | 起きること |
|---|---|
| 計算を完璧にしようとする | 暗記分野の時間が足りなくなる |
| 配線図を後回しにする | 取りやすい得点源を落とす |
| 上乗せ範囲を軽く見る | 高圧・自家用・法令で取りこぼす |
| 合格基準の下振れを当てにする | 60点未満で計画すると危ない |
| 学科合格=免状と思い込む | 免状の実務経験要件で計画が崩れる |
学科は、配点の取りやすさで優先順位を決め、60点を安定して超える設計を作れば、計算が苦手でも十分にねらえます。初心者で全体の進め方を一から知りたい人は、ロードマップ記事で学科から技能、免状までの流れを通しで確認しておくと迷いません。
ぴよきちメモ
第一種電気工事士の学科は、「計算ができないと受からない試験」ではありません。50問中30問を組めれば抜けられる試験で、その30問の多くは器具・材料・施工方法・法令・配線図という暗記・読図系から取れます。
計算が苦手な人がやるべきは、計算を捨てることではなく「絞る」ことです。公式が決まったパターン問題だけ確実に拾い、残りは取りやすい分野で埋める。配線図は複線図と図記号の練習で得点源化できますし、第二種経験者なら上乗せ範囲(高圧・自家用・発送変電)に時間を寄せれば負荷はぐっと下がります。
合格基準は年度で多少動くので、当てにせず60点を安定ラインに置くこと。そして、学科に受かっても免状には実務経験が残ることを忘れないこと。この2つを押さえておけば、得点設計どおりに進めて学科を抜けられます。
出典・参考
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の学科試験のポイント
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士の試験概要
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の問題と解答
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第一種電気工事士試験の試験結果と推移
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 電気工事士の免状交付
- 経済産業省 — 電気工事士

















































































































