結論:電気工事施工管理技士は「電気工事の現場監督」の国家資格
電気工事施工管理技士は、ビルや工場、商業施設などの電気設備工事の現場を統括する(=施工管理する)ための国家資格です。実際に配線などの作業を行う電気工事士とは役割が異なり、工程・品質・安全・原価を管理して工事全体をまとめるのが仕事です。資格は1級と2級に分かれます。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 主な立場 | 主任技術者 | 監理技術者・主任技術者 |
| 配置できる工事 | 一般建設業の現場 | 特定建設業を含む大規模現場 |
| 営業所の専任技術者 | 一般建設業 | 特定建設業も可 |
| 合格率の目安 | 50%前後 | 最終合格率は年度により18〜31%台 |
| 実施団体 | 一般財団法人 建設業振興基金 | 同左 |
押さえるべきポイントは次の3つです。
- 電気工事士(工事をする人)と電気工事施工管理技士(現場を管理する人)は別の資格
- 1級は監理技術者として大規模現場を、2級は主任技術者として中小規模の現場を担える
- 令和6年度から受験資格が変わり、第一次検定は年齢を満たせば誰でも受けられるようになった
この記事では、仕事の中身、1級と2級の違い、試験のしくみ、令和6年度に変わった受験資格、難易度、そして電気工事士・電験三種との違いと取る価値を整理します。制度は改定されることがあるため、最終的な確認は必ず公式サイトで行ってください。
電気工事施工管理技士は何をする資格か
施工管理とは、工事が安全に・予定どおり・決められた品質と予算で完成するよう現場をマネジメントする仕事です。電気工事施工管理技士は、その電気分野の専門家として次の4つを管理します。
- 工程管理:工期に間に合うようスケジュールを組み、進捗を調整する
- 品質管理:図面や仕様どおりの電気設備に仕上がっているかを確認する
- 安全管理:感電・墜落などの事故を防ぐ体制をつくる
- 原価管理:人件費・材料費をコントロールし、予算内に収める
現場で実際に手を動かして配線するのが電気工事士、その現場をまとめて工事を完成させるのが電気工事施工管理技士、という役割分担をイメージするとわかりやすいです。どちらも欠かせませんが、立場が上がるほど「作業」から「管理」へ仕事の重心が移っていきます。
建設業法では、一定規模以上の工事現場には主任技術者や監理技術者を置くことが義務づけられています。電気工事施工管理技士は、この技術者として配置できる国家資格なので、建設会社・電気工事会社にとって必要不可欠な存在です。
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1級と2級は何が違うか
最大の違いは、担当できる工事の規模です。
| 観点 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 現場での立場 | 主任技術者 | 監理技術者・主任技術者 |
| 営業所の専任技術者 | 一般建設業 | 特定建設業も可 |
| 想定する現場 | 中小規模の現場 | 大規模・元請の現場 |
| キャリア上の位置 | 入口の資格 | 上位の資格 |
2級は、一般建設業の営業所の専任技術者や、現場の主任技術者になれます。1級はそれに加えて、特定建設業の営業所の専任技術者や、大規模現場の監理技術者になれます。
特定建設業とは、ざっくり言うと下請に出す金額が大きい元請のこと。大きな現場を元請として動かすには1級が要る、と考えるとイメージしやすいです。そのため、まず2級を取って現場経験を積み、その後1級に進むのが王道のキャリアです。
第一次検定・第二次検定と「技士補」のしくみ
試験は第一次検定と第二次検定の2段階です。
- 第一次検定:マークシート方式。電気工学や施工管理の知識を問う。合格すると「電気工事施工管理技士補」の称号が得られる(令和3年度〜)
- 第二次検定:記述式が中心。施工経験にもとづいて、現場の課題と対策を書かせる問題が出る。合格して初めて「電気工事施工管理技士」になれる
2級は第一次と第二次を同じ日に受験できますが、1級は第一次検定に合格した人だけが第二次検定に進めます。
「技士補」は令和3年度に新設された称号です。とくに1級技士補は、主任技術者の資格などを持っていれば監理技術者の補佐として現場に配置でき、人手不足が深刻な建設業界で若手が早く責任ある立場に就けるようにする狙いがあります。第一次検定に受かった時点で技士補になれるので、第二次検定の前でも肩書きと役割が一段上がる、という設計です。
受験資格は令和6年度に大きく変わった
令和6年度(2024年度)から受験資格が見直され、第一次検定が格段に受けやすくなりました。
| 区分 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 2級 | 満17歳以上なら学歴・実務経験を問わず受験可 | 一定の実務経験が必要 |
| 1級 | 満19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受験可 | 一定の実務経験が必要 |
ポイントは、第一次検定は実務経験ゼロでも受けられるようになったことです。学生のうちに第一次に合格して「技士補」になり、就職後に実務経験を積んで第二次検定に挑む、という進み方ができます。
一方で第二次検定は実務経験が必須で、必要な年数はルートによって異なります(1級では、特定実務経験を含む実務経験を一定年数求めるルートなどがあります)。また、令和6〜10年度は旧制度の受験資格も使える経過措置の期間で、令和11年度の受験からは新制度のみになります。
自分がどのルートに当てはまるか、第二次検定に必要な実務経験は何年かは、年度ごとに細かく定められています。受験前に必ず公式の受験案内で最新条件を確認してください。
第一次・第二次それぞれの年齢要件や実務経験のルート、経過措置の使い方は、受験資格の記事で詳しく整理しています。
電気工事施工管理技士の受験資格(令和6年度改正)を確認する →
難易度と合格率の目安
合格率の目安は次のとおりです。
- 2級:第一次・第二次とも40〜60%程度で、最終的には50%前後で推移
- 1級:第一次40〜50%程度・第二次60〜70%程度だが、両方を通した最終合格率は年度により18〜31%台
数字だけ見ると2級はやさしめに見えますが、第二次検定の記述問題でつまずく人が多いのが1級・2級共通の壁です。自分の施工経験を、採点者に伝わる文章で書けるかどうかが合否を分けます。知識を覚えるだけでなく、書く練習を早めに始めるのが攻略のカギです。
1級・2級それぞれの年度別の合格率や、数字を読むときの注意点は、合格率の記事で詳しく整理しています。
難易度の位置づけとしては、電気工事士より上、電験三種(第三種電気主任技術者)より下というのが一般的な見方です。電気工事士で電気の基礎と現場を、施工管理技士で現場管理を、というように電気系のキャリアを積み上げていく人が多くいます。
電験三種の難易度がどのくらいかは、合格率の記事で詳しく整理しています。
電気工事士・電験三種との違いと、取る価値
電気系の資格は名前が似ていて紛らわしいので、役割で整理します。
| 資格 | 役割 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 電気工事士 | 電気工事の作業 | 現場で手を動かす人 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工事の管理 | 現場をまとめる監督 |
| 電験三種 | 電気設備の保安監督 | 完成後の設備を守る人 |
施工管理技士は「工事を完成させるまで」を、電験三種は「完成した設備を運用・保安する」段階を担う、と分けると違いがつかみやすいです。
取る価値はどこにあるか。建設業では主任技術者・監理技術者・専任技術者の配置が法律で義務づけられているため、これらになれる有資格者は会社にとって必要不可欠です。その結果、待遇に表れやすいのが特徴です。
- 資格手当:2級でおおむね月5,000円、1級で月10,000円程度を支給する会社が多い
- 年収:1級保有者は500〜700万円程度が相場とされ、無資格・2級のみの場合より高めの傾向
- 転職・昇進:監理技術者になれる1級は求人での評価が高く、建設業許可の取得を通じて独立にもつながる
※金額は会社・地域・経験年数によって変わります。あくまで目安として捉えてください。
年収の実際や1級・2級の差、需要を支える配置義務と人手不足の仕組みは、年収・将来性の記事で詳しく整理しています。
独学でも合格は十分可能ですが、つまずきやすいのは第二次検定の記述対策です。自分の経験を答案にまとめる作業は独学だと客観的な添削を受けにくく、ここで動画講座や添削サービスを使う人が多くいます。
独学と講座のどちらで進めるか、添削の有無や対応級など講座を選ぶときの判断軸は、講座選びの記事で詳しく整理しています。
SAT 電気工事施工管理技士講座を公式サイトで確認する ※PRリンクです。受講前に対応級(1級/2級)・最新の講座内容・価格・対応年度を必ず確認してください。
ぴよきちメモ
電気工事施工管理技士でいちばん誤解されやすいのが、「電気工事士の上位資格でしょ?」という思い込みです。実際はまったく別の役割の資格。電気工事士は現場で配線する人、施工管理技士は現場をまとめる監督です。だから、両方持っていると「作業もできるし管理もできる」人材として一気に強くなります。
それと、令和6年度の改正は本当に大きいです。昔は実務経験を積まないと受験すらできませんでしたが、いまは第一次検定なら年齢だけで受けられる。学生や異業種から目指す人にとっては追い風です。まずは技士補を取って、働きながら第二次へ——という道が現実的になりました。
ねらい目だと思うのは、第二次の記述対策を早めに始めること。知識は後からでも詰め込めますが、「経験を文章にする」のは練習がいります。受けると決めたら、書く練習だけは先に始めておくと後がラクですよ。
出典・参考
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