結論:4科目は性格が違う。同じ勉強法では攻略できない
電験三種の理論・電力・機械・法規は、同じ「電気の科目」でも性格がまるで違います。だから、全科目を同じやり方で進めると、どこかで必ず行き詰まります。最初に4科目のフォーマットと性格をつかんでおきましょう。
試験フォーマット(2023年度CBT移行後)
| 科目 | 問題数 | 試験時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 理論 | 選択式 約30問 | 90分 | 60点/100点 |
| 電力 | 選択式 約30問 | 90分 | 60点/100点 |
| 機械 | 選択式 約30問 | 90分 | 60点/100点 |
| 法規 | 選択式 約25問 | 65分 | 60点/100点 |
各科目の合格基準は100点満点の60点以上(年度によって調整される場合あり)。科目合格制度があり合格科目は翌年度を含む連続する3回まで免除されます。
科目別の性格と攻略軸
| 科目 | 性格 | 攻略の軸 |
|---|---|---|
| 理論 | 計算中心・全科目の土台 | 数学と電磁気を先に固める |
| 電力 | 暗記と計算の半々 | 理論の後に効率よく回収 |
| 機械 | 範囲が最大・得点源を作りにくい | 4機器を軸に頻出から積む |
| 法規 | 条文暗記+計算 | 計算問題を捨てない |
押さえるべき原則は3つです。
- 理論を最優先に固める。ここが他の3科目の計算の土台になる
- 機械を甘く見ない。範囲が最も広く、早めの着手が要る
- 法規の計算を捨てない。暗記科目と決めつけると足元をすくわれる
この記事では、4科目それぞれの勉強法・頻出分野・つまずき対処を具体化し、最後に攻略する順番を整理します。全体の勉強時間や配分の目安は、勉強時間の記事とあわせて読むと計画が立てやすくなります。
電気の計算にまだ慣れていない人は、第二種電気工事士の学科で基礎の感覚を作ってから理論に入ると、立ち上がりがスムーズです。
理論:数学と電磁気が9割。ここを最初に固める
理論は、電気・電子の基礎理論、電気回路、電磁気が中心の計算科目です。そして電験三種で最初に固めるべき科目です。理由は、理論の計算力が電力・機械・法規すべての計算問題の土台になるからです。
理論の攻略は、まず数学の土台から始めます。理論で必要な数学は三角関数・複素数・ベクトル・微分積分の初歩です。
具体的なレベル感を挙げると、「交流回路でインピーダンスをフェーザー表示(複素数)で表し、合成インピーダンスを計算する」「sin/cosを使ってコンデンサ・コイルの電圧・電流の位相差を求める」「微分でコイルの誘導起電力e=L(di/dt)を扱う」などが代表例です。ここに抵抗があると、交流回路やインピーダンスの計算で必ず手が止まります。数学に不安がある人は、電験向けの電気数学を一冊だけ通してから理論のテキストに入ると安全です。
次に重点を置くのが電磁気と交流回路です。電界・磁界、コンデンサとコイル、交流のベクトル表現などは、図と動きでイメージできるかどうかが理解の分かれ目です。ここは過去問を解きながら、解けなかった問題を「数学のつまずきか・イメージのつまずきか」で分類すると、対処がはっきりします。
理論でつまずいて長く止まると、後続の科目すべてが遅れます。テキストを何度読んでも電磁気が腑に落ちないなら、その単元だけ動画講座で補うのも合理的な判断です。
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電力:暗記と計算のバランス。理論の後に効率よく
電力は、発電(火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)、変電、送配電、電線路、電気材料などを扱う科目です。理論ほど数学的に重くはなく、暗記と計算が半々で、対策の的を絞りやすい科目です。
攻略のポイントは、理論の後に取り組むことです。送配電の計算(電圧降下・電力損失・短絡電流など)は理論の電気回路の知識をそのまま使うため、理論を先に固めておくと電力の計算が一気に楽になります。
学習は、発電方式ごとの仕組みと特徴(暗記分野)を押さえつつ、送配電の計算問題を過去問で繰り返すのが基本です。暗記分野は図とセットで覚えると定着しやすく、計算分野は理論で身につけた解法を電力の文脈で使い回す意識を持つと効率的です。範囲が読みやすいぶん、過去問の頻出テーマを押さえれば得点が安定しやすい科目です。
機械:範囲が最大。4機器を軸に得点源を作る
機械は、電験三種で範囲が最も広い科目です。回転機(直流機・誘導機・同期機)、変圧器、パワーエレクトロニクス、照明、電熱、電気化学、自動制御、情報と、扱うテーマが多岐にわたります。範囲が広いぶん、得点源を作りにくく、苦戦する人が多い科目です。
攻略の定石は、直流機・誘導機・同期機・変圧器の「4機器」を軸に固めることです。過去問の出題傾向を見ると、機械科目30問のうち4機器(直流機・誘導機・同期機・変圧器)が毎年概ね12〜16問程度を占め、科目全体の40〜55%に相当します。まずここを過去問で繰り返し解けるようにし、次にパワーエレクトロニクス・照明・自動制御・情報といった残りのテーマへ広げます。
機械で失敗しやすいのは、範囲の広さに圧倒されて、あれもこれもと薄く手を出すパターンです。一度に全部を完璧にしようとせず、頻出の4機器から確実に得点を積み上げる発想に切り替えると、機械は「得点できない科目」から「計算で稼げる科目」に変わります。範囲が広いぶん早めに着手し、長い助走をとるのが安全です。
法規:条文暗記+計算。計算問題を捨てない
法規は、電気事業法などの関係法令と、電気施設管理で構成される科目です。範囲が比較的限られ、直前期の追い込みが効きやすいため、暗記科目と思われがちです。しかし、ここに落とし穴があります。
法規には電気施設管理の計算問題が出ます。需要率・負荷率・不等率、力率改善、接地・絶縁などの計算は、配点の大きい設問になりやすく、ここを捨てると合格ラインが一気に遠のきます。「法規は暗記だけ」と決めつけて計算を後回しにすると、本番で点が伸びません。
攻略は、条文と用語の暗記で土台を作りつつ、計算問題も必ず過去問で手を動かしておくことです。計算のパターンは限られているので、頻出の計算問題を繰り返せば、法規は安定して60点を超えやすい科目になります。暗記は直前期に伸ばせますが、計算は早めに慣れておくのが安全です。
どの順番で攻略するか:理論 → 機械 → 電力 → 法規
4科目の性格を踏まえると、攻略の順番には合理的な型があります。
- 理論——すべての土台。最初に厚く時間をかける
- 機械——範囲が最大。早めに着手して長い助走をとる
- 電力——理論の計算が活きる。理論の後が効率的
- 法規——範囲が限られ直前期に伸びる。後半に回せる
科目合格制度を使って複数年で攻略するなら、1年目に理論+電力(計算系の土台)、2年目に機械+法規、という分割が現実的です。いずれにせよ、土台の理論を早い回で確実に取りに行くことが、計画全体を成功させる鍵になります。理論が残っていると、後半の科目の理解も進みません。
複数年計画の具体的な組み方や、独学での進め方は、それぞれの記事で整理しています。
理論や機械を独学で抱えるか講座に任せるか判断したい人は、独学と講座の分かれ目や各社の特徴をまとめた記事もあわせて読むと、科目ごとの投資先を決めやすくなります。
各科目の理論・機械でイメージがつかめず時間を溶かしそうな人は、その単元だけ動画講座で補うのも一つの手です。
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ぴよきちメモ
電験三種の4科目は、よく「4つの別々の試験」と言われます。理論は数学、機械は範囲との戦い、電力は暗記と計算の往復、法規は条文と計算のハイブリッド。同じ勉強法で4科目を均一に進めようとすると、必ずどこかで噛み合わなくなります。
ぼくが一番伝えたいのは、「機械を甘く見ない」と「法規の計算を捨てない」の2つ。この2つは、油断した人がきれいに足元をすくわれるポイントです。機械は範囲の広さに早めに向き合う、法規は計算を最初から勉強に入れる。これだけで、合格がぐっと近づきます。
そして全部の出発点は、やっぱり理論。理論の数学と電磁気を最初に固められれば、残り3科目の景色はずいぶん変わって見えるはずです。
出典・参考








































































































