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技能試験は「持参した工具」で40分以内に作る試験
第二種電気工事士の技能試験は、配線図で与えられた課題を、支給された材料と自分で持参した工具で完成させる試験です。学科のように知識を答える試験ではなく、手を動かして作品を仕上げる試験なので、工具の良し悪しと使い慣れが結果に直結します。
一般財団法人 電気技術者試験センターが令和8年1月に公表した候補問題によると、令和8年度の技能試験は No.1〜No.13 の13問の配線図から1問が出題され、試験時間はすべての問題について40分の予定とされています。材料は会場で支給されますが、工具は支給されません。だからこそ、何を持っていくかを早い段階で決めておく価値があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方式 | 持参した作業用工具で、配線図の課題を支給材料で完成させる |
| 試験時間 | 40分 (令和8年度・すべての候補問題で同じ予定) |
| 候補問題 | No.1〜No.13 の13問が事前公表され、当日1問が出題 |
| 合否 | 欠陥が1つでもあると不合格 (欠陥の判断基準が公表) |
| 工具 | 自分で用意して持参 (会場では支給されない) |
| 材料 | 試験会場で支給 (練習材料は別に用意) |
工具と練習材料は別の買い物です。本記事は工具に絞って整理します。何回分の練習材料を買うかや、工具と材料をまとめたセットの選び方は、技能セット全体の選び方で扱っています。
指定工具7点をまず押さえる
受験案内では、技能試験で使う基本工具として「指定工具」が示されます。各年度の受験案内に従うのが前提ですが、第二種では次の7点が指定工具として案内されてきました。
| 指定工具 | 主な用途 |
|---|---|
| ペンチ | 電線の切断、曲げ、リングスリーブのねじり前の保持 |
| プラスドライバ | 器具の端子ねじを締める |
| マイナスドライバ | 端子台や連用器具の外し・締め |
| ナイフ (電工ナイフ) | ケーブル外装や被覆をむく |
| スケール (定規) | 切断寸法や心線の露出長を測る |
| ウォータポンププライヤ | ロックナットや露出形器具の締め付け |
| リングスリーブ用圧着工具 | リングスリーブの圧着と刻印 |
ここで誤解しやすいのが「指定工具だけ揃えれば足りる」という見方です。指定工具は最低限の品目であって、これだけで40分以内に欠陥なく作れるとは限りません。特にナイフでの被覆むきは、慣れていないと時間も心線の傷も増えます。
指定工具は「持っていく前提」で考える
指定工具は会場で貸し出されません。家にある普通のドライバやペンチで代用しようとする人もいますが、端子ねじをなめたり、切断位置がずれたりすると、それがそのまま欠陥につながります。
| よくある代用 | 起きやすい問題 |
|---|---|
| 家庭用の細いドライバ | 端子ねじをなめる、締め付けが甘くなる |
| 刃の傷んだペンチ | 切断面が荒れる、寸法がずれる |
| 圧着機能のないプライヤ | リングスリーブの刻印が付かない |
| メジャーなし | 心線露出長や寸法を目分量で誤る |
工具は一度買えば次回以降も使えます。練習材料のように消耗しないので、ここはケチらず、試験作業が安定する品を選ぶ方が後悔しにくいです。
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VVFストリッパは指定外だが実質の主役
指定工具7点にVVFストリッパ(ケーブルストリッパ)は含まれていません。それでも、技能試験対策ではこの工具が作業の中心になります。
理由は時間です。技能試験は40分でケーブルを切り、外装と被覆をむき、器具を付け、圧着し、結線まで終える必要があります。ナイフだけで被覆をむくと、1本ごとに時間がかかり、心線に傷を付けるリスクも上がります。VVFストリッパは、外装むきと被覆むきを一定の長さで安定して行えるため、練習段階から使う受験者が多くなっています。
| 観点 | ナイフ中心 | VVFストリッパ併用 |
|---|---|---|
| むきの速さ | 遅くなりやすい | 安定して速い |
| 心線の傷 | 力加減で傷つきやすい | 寸法を決めやすく傷が減る |
| 練習の負担 | 習熟に時間がかかる | 比較的早く慣れる |
| VVRなどの対応 | 太い・丸いケーブルに強い | 種類によりナイフ併用が要る |
ストリッパを使う場合も、ナイフを完全に捨てるわけではありません。丸形のケーブルや一部の作業ではナイフの方が扱いやすい場面があります。VVFストリッパを主役にしつつ、ナイフは補助として持っておく、という構成が現実的です。
ストリッパの被覆むき寸法やケーブルの扱いは、複線図の理解とセットで身につきます。単線図から複線図に落とす流れに不安がある人は、配線図 (複線図) の読み方を先に通しておくと、工具を動かす前のミスが減ります。
リングスリーブ用圧着工具は刻印で選ぶ
リングスリーブ用圧着工具は、技能試験で欠陥に直結しやすい工具です。リングスリーブの圧着では、接続する電線の本数と太さに応じて「小」「中」「○ (極小)」などの刻印を正しく付ける必要があります。
注意したいのは、圧着工具にはいくつか種類があることです。
| 圧着工具の種類 | 用途 | 技能試験での扱い |
|---|---|---|
| リングスリーブ用 (握り柄が黄色) | リングスリーブの圧着・刻印 | 技能試験で使う対応品 |
| 差込形コネクタ用 | コネクタ接続 | リングスリーブ用とは別物 |
| ギボシ・裸圧着端子用 | 自動車配線などの端子圧着 | 技能試験の課題には不向き |
技能試験で使うのはリングスリーブ用で、握り柄が黄色の試験対応品が広く使われています。差込形コネクタは工具なしで差し込む接続なので、コネクタ用の工具と混同しないようにします。
圧着の刻印が課題の指定と合っていないと欠陥になります。たとえば細い電線2本を「○」で圧着すべき箇所に「小」を刻印するといった取り違えは、慣れていても起きます。工具を選んだら、刻印の位置と握りの重さを練習で体に入れておきます。
あると有利な工具を優先順位で考える
指定工具とVVFストリッパが揃ったら、次は「あると作業が楽になる工具」です。これらは無くても作れますが、時間短縮やミス防止に効きます。すべて買う必要はなく、自分の弱点に合わせて足します。
| 工具 | 効く場面 | 優先度の目安 |
|---|---|---|
| 合格クリップ (接続補助具) | 圧着前に電線をまとめて保持 | 圧着が苦手なら高い |
| 布尺・ガイド付きスケール | 寸法取りを素早く正確に | 寸法ミスが多いなら高い |
| ケーブルカッター | 太いケーブルの切断 | 切断が遅いなら中 |
| ワイヤストリッパ | 細い単線・より線の被覆むき | 作業によっては中 |
| ウエス・小物入れ | 作業台の整理、部材管理 | あると安心 |
合格クリップのような補助具は、圧着前に複数の心線をずれないようまとめておけるため、リングスリーブのやり直しを減らせます。一方で、補助具に頼りすぎると本番で手間取ることもあるので、最終的には補助具なしでも作れる状態を目指して練習します。
工具を増やす前に「練習で使うか」を確かめる
便利そうだからと工具を増やしても、練習で使わなければ本番では活きません。技能試験は手の慣れがすべてなので、買った工具は練習で必ず通します。
| 判断 | おすすめの動き |
|---|---|
| 圧着でやり直しが多い | 合格クリップを試し、刻印確認を増やす |
| 寸法がずれる | ガイド付きスケールで測り方を固定 |
| 切断に時間がかかる | ケーブルカッターを検討 |
| 工具が多すぎて迷う | 本番で使う最小構成に絞る |
工具は多ければよいわけではありません。机の上に並べる数が増えるほど、本番で持ち替えに迷います。よく使う工具を手前に、使う頻度の低いものは数を絞る、という整理が時間配分に効きます。
工具はセットで買うか、ばらで買うか
ここまで読むと、何をどう買えばよいか迷うはずです。買い方は大きく2通りで、どちらが正解ということはありません。手元に何があるかで決めます。
| 買い方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 技能試験用 工具セット | 工具をほとんど持っていない初受験者 | 指定工具+VVFストリッパが揃っているか確認 |
| 圧着工具・ストリッパだけ買い足し | ペンチやドライバを既に持っている人 | 圧着工具がリングスリーブ用か、刻印が合うか |
| 工具+練習材料の一括セット | 準備の手間を減らしたい人 | 工具の内訳と練習材料の周回数を分けて確認 |
工具をほとんど持っていないなら、技能試験用の工具セットの方が品目の抜けを防げます。セットを見るときは、ブランド名よりも「指定工具7点+VVFストリッパが入っているか」「圧着工具がリングスリーブ用か」を確認します。
工具と練習材料をまとめた一括セットを使う場合も、見るポイントは変わりません。電工石火のような実物練習セットは、工具と材料をワンストップで用意したい人向けです。中身の内訳と年度対応を確かめてから選びたい人は、電工石火レビューで工具付き・工具なしの違いを確認してから判断すると、過不足のない買い方に近づきます。
学科対策と工具準備は別の予算で考える
工具を揃えても、技能試験を受けられるのは学科試験の合格者または学科免除者です。学科がまだ不安なうちに工具と練習材料だけ買い込んでも、技能試験まで進めません。
| 段階 | 主に使うもの |
|---|---|
| 学科 | テキスト、演習問題、計算・配線図・法令対策 |
| 技能 | 指定工具、VVFストリッパ、練習材料、複線図 |
学科をまとめて固めたい人は通信講座や映像教材も選択肢です。学科の講座を役割別に比べたい場合は、独学と講座の比較を見ると、自分が講座を使うべきかどうかの判断軸が整理できます。SATのような総合講座を使う場合でも、技能の工具・材料は別に用意する必要があるため、予算は分けて考えます。
学科の腕試しをしておきたいなら、第二種電気工事士 学科の練習問題で配線図や計算の現在地を確認できます。技能準備と並行して、学科の取りこぼしがないかを点検しておくと安心です。
工具を買ったあとにやること
工具は買っただけでは合否に近づきません。届いたら、本番で使う手をつくる練習に入ります。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 全工具を手に取る | 握り、刃の位置、圧着の重さに慣れる |
| 1問を通しで作る | 切断・むき・圧着・結線の流れを体感する |
| 欠陥の判断基準を開く | 作れるだけでなく、欠陥を避ける視点を持つ |
| 工具の置き方を決める | 持ち替えの迷いを減らし、40分の中で動けるようにする |
最初の1問は速さを求めません。単線図から複線図へ移れるか、必要な電線と器具を取り出せるか、寸法を間違えないか、被覆むきと圧着が安定するか、を順番に確認します。手順が固まってから、2問目以降で時間を詰めます。
候補問題13問には、ランプレセプタクルや連用取付枠の取り付け、リングスリーブによる接続といった共通作業が多く含まれます。問題ごとに配線図は違っても、工具の使い方そのものは共通点が多いので、まずは基本作業を安定させることが時間短縮の近道になります。
まとめ:工具は「本番で使う手」をつくる投資
第二種電気工事士の技能試験は、40分で欠陥なく作品を仕上げる試験です。工具は、その手をつくるための投資だと考えると選びやすくなります。
押さえる順番はシンプルです。まず指定工具7点を揃え、次にVVFストリッパを主役に据え、圧着工具は刻印が正しく付くリングスリーブ用を選びます。そのうえで、自分の弱点に合わせて合格クリップやガイド付きスケールなどを足します。
工具をほとんど持っていない初受験者は、品目の抜けを防げる技能試験用セットが無難です。ペンチやドライバを持っているなら、圧着工具とストリッパだけ買い足す手もあります。どちらにしても、本番で使う工具で練習できるかを基準にしてください。
工具が揃ったら、次の一歩は練習材料を何回分用意するかです。工具と材料の両方を見渡したい人は、技能セット全体の選び方へ進み、自分に必要な範囲を決めていきましょう。
出典・確認先
- 一般財団法人 電気技術者試験センター 第二種電気工事士の試験概要 — 技能試験の方式・受験資格
- 一般財団法人 電気技術者試験センター 第二種電気工事士の技能試験の候補問題 — 令和8年度候補問題13問・試験時間40分
- 一般財団法人 電気技術者試験センター 技能試験に係る欠陥の判断基準等について — 欠陥の判断基準
- 一般財団法人 電気技術者試験センター よくあるご質問 (技能試験に持参する工具) — 持参工具・受験案内の案内
※ 指定工具の品目、電動工具の扱い、圧着工具の規格などは年度で更新される場合があります。受験前に必ず最新の受験案内 (電気技術者試験センター) で確認してください。








































































































