この記事で分かること
- 第二種電気工事士 学科試験の計算問題の出題数・出題傾向
- 4つの頻出パターン(オームの法則/電力計算/電圧降下/三相交流)の公式と解法手順
- 「確実に取る計算」と「捨てても許容できる計算」の優先順位
- 計算問題でよくある間違いと防ぎ方
- ぴよパスの練習問題を活用した効率的な演習法
なお、本記事は学科試験(筆記試験)の計算問題対策を対象としています。技能試験(複線図・実際の配線作業)は対象外です。
計算問題の全体像|50問中12〜13問は無視できない
第二種電気工事士の学科試験は4択マークシート50問・120分の試験で、合格基準は全体60%(30問以上)の正解です。科目別の足切りはありません。
この50問のうち、計算を伴う問題は12〜13問程度(約25%)。公式7分野のうち「電気に関する基礎理論」と「配電理論及び配線設計」を中心に出題されます。
出題分野別の計算問題数の目安
| 出題分野 | 配点(全50問中) | うち計算問題 |
|---|---|---|
| 電気に関する基礎理論 | 5〜6問 | 4〜5問 |
| 配電理論及び配線設計 | 5〜8問 | 5〜7問 |
| 電気機器・材料・工具 | 6〜11問 | ほぼなし |
| 電気工事の施工方法 | 3〜12問 | ほぼなし |
| 一般用電気工作物の検査方法 | 3〜5問 | ほぼなし |
| 配線図 | 6〜15問 | ほぼなし |
| 保安に関する法令 | 3問 | ほぼなし |
計算問題が集中するのは「基礎理論」と「配電理論」の2分野です。この2分野で合わせて10〜13問が出題され、そのうち計算を伴う問題が大半を占めます。
「計算問題を捨てる」と何が起きるか
合格基準は30問以上正解です。計算問題12問を全部捨てると、残り38問で30問以上(約79%)を取らなければなりません。暗記系の問題でそこまでの正答率を安定して出すのは、初学者にとっては相当の難度です。
「基本の計算パターンだけ覚えて6〜7問取る」という戦略の方が、現実的に得点を積み上げやすい構造になっています。
パターン1:オームの法則と合成抵抗
公式
V = I × R
(電圧V=電流I×抵抗R)
変形すると:
- 電流 I = V ÷ R
- 抵抗 R = V ÷ I
合成抵抗の計算
直列接続:抵抗を単純に足す
R合成 = R1 + R2 + R3
並列接続:逆数の和を取って最後に逆数にする
1/R合成 = 1/R1 + 1/R2
(2つの抵抗なら)
R合成 = R1 × R2 ÷ (R1 + R2)
計算例
R1 = 6Ω、R2 = 3Ω が並列接続されている回路に 100V の電圧をかけたとき、回路全体に流れる電流を求める。
- 合成抵抗 = 6 × 3 ÷ (6 + 3) = 18 ÷ 9 = 2Ω
- 電流 I = V ÷ R = 100 ÷ 2 = 50A
試験では「合成抵抗を求めてから電流を計算する」という2段階の問題が頻出です。並列の合成抵抗では「分母に和、分子に積」を使う公式を覚えておくと素早く計算できます。
この問題が「確実に取る計算」である理由
オームの法則は中学理科の内容であり、公式自体が単純です。「直列・並列どちらか」を問題文から判断できれば、あとは数値の代入だけで解けます。難易度が低く正解率も高い問題が多いため、最優先で練習するべきパターンです。
パターン2:電力・電力量の計算
公式
P = V × I(電力 W)
P = I² × R
P = V² ÷ R
W = P × t(電力量 Wh または kWh)
計算例
100V の電源に抵抗 20Ω の電熱器を接続したとき、消費電力を求める。
- 電流 I = V ÷ R = 100 ÷ 20 = 5A
- 電力 P = V × I = 100 × 5 = 500W
または「P = V² ÷ R = 100² ÷ 20 = 10000 ÷ 20 = 500W」とまとめて計算することもできます。
よく出る問題の形式
- 「消費電力が◯Wの電熱器を◯時間使用したときの電力量(kWh)を求めよ」
- 「電力料金を1kWhあたり◯円とすると、月間電気料金はいくらか」
電力量の問題では「Wh → kWh への変換(÷1000)」を忘れないことが重要です。
パターン3:電圧降下の計算
公式
e = 2 × I × R(単相2線式の電圧降下)
e = √3 × I × R(三相3線式の電圧降下)
ここで:
- e:電圧降下(V)
- I:電流(A)
- R:電線1本あたりの抵抗(Ω)
なぜ「2×」がつくのか
単相2線式は往復2本の電線で電流が流れます。電線1本あたりに IR の電圧降下が生じるため、往復で 2×I×R が全体の電圧降下になります。この「2倍」を忘れると答えが半分になるため、注意が必要です。
計算例
単相2線式 100V の電源から、電線抵抗 0.2Ω の電線で 10A の電流を流したとき、電圧降下はいくらか。
e = 2 × I × R = 2 × 10 × 0.2 = 4V
受電端の電圧 = 100 - 4 = 96V
配電理論での出題パターン
「電圧降下を一定値以内に抑えるために必要な電線の太さ(断面積)を求める」という形でも出題されます。この場合は公式を R について解き、電線の抵抗率と長さから断面積を計算します。公式の変形問題もパターン化して練習しておくと安心です。
パターン4:三相交流の電力計算
公式
P = √3 × V × I × cosθ(三相交流の有効電力)
ここで:
- P:有効電力(W)
- V:線間電圧(V)
- I:線電流(A)
- cosθ:力率
計算のコツ:「√3 ≒ 1.73」として計算します。試験では √3 の近似値を使う旨が問題文に記載されることが多いです。
計算例
三相3線式 200V の電源に力率 0.8 の三相負荷を接続し、10A の電流が流れているとき、有効電力を求める(√3 ≒ 1.73 とする)。
P = √3 × V × I × cosθ
= 1.73 × 200 × 10 × 0.8
= 1.73 × 1600
≒ 2768W ≒ 2.77kW
「捨て問」の判断基準
三相交流の計算は、単純な数値代入なら十分解けます。ただし「単線図の回路構成から電流を逆算する」「力率・無効電力・皮相電力まで連立して求める」という応用問題は解法が複雑になります。
「P = √3×V×I×cosθ」の基本形で解ける問題は確実に取る、連立方程式が必要な応用問題はいったんスキップする、というメリハリをつけることが時間配分の鍵です。
確実に取る計算 vs 捨てても許容できる計算
合格するために必要な考え方は「全問解こうとしない」ことです。計算問題には難易度のばらつきがあります。
確実に取るべき計算(基本パターン)
| 問題の種類 | 難易度 | 対策 |
|---|---|---|
| オームの法則(単純な1段階計算) | 低 | 公式暗記だけで解ける |
| 直列/並列の合成抵抗 | 低〜中 | 公式と手順を繰り返し練習 |
| 電力 P=VI(1段階) | 低 | 公式暗記だけで解ける |
| 電圧降下(単相2線式、数値代入型) | 中 | 「2×IR」の公式を確実に覚える |
| 三相電力(P=√3VIcosθ の数値代入) | 中 | √3≒1.73 と合わせて練習 |
スキップを検討できる計算(応用パターン)
| 問題の種類 | 難易度 | 理由 |
|---|---|---|
| 直列・並列混合回路の複雑な合成抵抗 | 高 | 計算ステップが多く時間がかかる |
| 三相回路の線電流と相電流の連立問題 | 高 | 回路構成の把握に時間が必要 |
| インピーダンスZ・リアクタンスXの計算 | 高 | 複素数・ベクトル計算の知識が必要 |
重要なのは「スキップした問題は後で戻る」ことです。120分の試験時間は十分にあります。計算問題を後回しにして暗記系の問題を先に解き、残り時間で計算問題に取り組む戦略が有効です。
よくある計算ミスと防ぎ方
ミス1:並列の合成抵抗で「積÷和」を忘れる
直列は足すだけですが、並列は「R1×R2÷(R1+R2)」という計算が必要です。単純に「R1+R2」と足してしまうと直列の答えになります。並列の場合は「合成抵抗は各抵抗より必ず小さくなる」という感覚チェックを習慣にしてください。
ミス2:電圧降下で「2倍」を忘れる
単相2線式の電圧降下は「2×I×R」ですが、「I×R」だけで計算してしまうミスが頻出します。「往復2本の電線」というイメージを持って、2倍を忘れないようにしましょう。
ミス3:単位の換算を忘れる
電力量の問題で「W×時間=Wh」まで計算したあと、「kWh に変換するために÷1000」を忘れるケースがあります。また電線の長さ(m)と抵抗率(Ω/km)が混在するときに単位変換を怠ると計算結果が大きく外れます。問題文の数値の単位を読み取ってから計算に入る習慣をつけてください。
ミス4:力率 cosθ を掛け忘れる
三相電力の計算で「P=√3×V×I」だけで終わってしまい、力率 cosθ を掛けないミスがあります。試験で力率の数値が問題文に出てきたら「必ず使う数値」として意識し、公式の最後に掛けることを確認してください。
ぴよパスの練習問題で計算問題を演習する
計算問題は「公式を覚える」だけでなく、「実際に手を動かして数値を当てはめる」経験が必要です。頭で分かっていても、試験本番で計算ミスをするのは演習不足が原因であることがほとんどです。
オームの法則・電力計算・電圧降下の問題は「電気基礎理論・配電理論」カテゴリに収録しています。
配線図・器具材料など暗記系の問題も合わせて演習したい場合は、以下のカテゴリも活用してください。
計算問題に慣れたら模擬試験で総合力を確認する
計算の各パターンを個別に練習したら、50問の模擬試験を通して「本番の時間配分で解けるか」を確認しましょう。
120分で50問というペースは、1問あたり2分24秒です。計算問題に集中して時間を使いすぎると、他の問題を見直す時間がなくなります。実際の試験では「まず暗記問題を速攻で解き、残り時間で計算問題に集中する」という順序が効果的です。模擬試験を繰り返すことで、この時間感覚が身につきます。
まとめ:計算問題攻略の3ステップ
- 4パターンの公式を正確に覚える:オームの法則(V=IR)、電力(P=VI)、電圧降下(e=2IR)、三相電力(P=√3VIcosθ)の4つを「分子・分母の構造」まで含めて暗記する
- 練習問題で繰り返し手を動かす:ぴよパスの練習問題で数値を当てはめる操作を繰り返し、「公式を見なくても解ける」状態まで定着させる
- 「確実に取る計算」と「スキップする計算」を見極める:基本パターンの計算問題を確実に正解し、応用問題は時間が余ったときに取り組む戦略で、計算問題の得点を安定させる
計算問題は公式と手順を正しく覚えれば確実に得点できる問題です。苦手意識がある方も、まずオームの法則と電力計算の2パターンから始め、段階的にパターンを増やしていくと無理なく対策できます。