学科試験の標識問題で気をつけたいのは、名前の似た標識の取り違え と、標識が規制する相手・範囲の取り違え の2つです(本試験の問題は公開されていないので、出題の統計ではなく、教則と標識の決まりの書き分けから見た注意点です)。「通行止め」と「車両通行止め」、「駐車禁止」と「駐停車禁止」、「優先道路」と「前方優先道路」は、名前が近いのに意味がはっきり違います。この記事では、間違えやすい10組を、道路交通法と国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」(以下、教則)、標識の意味を定めた「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(以下、標識令)で確かめた内容で整理します。
ぴよパスでは、信号・標識・標示を扱う分野の○×問題を、普通免許の学科(30問)と原付の学科(28問)で、登録不要・無料で解けます。どちらも本試験の問題の写しではなく、教則と法令から独自に作った練習問題です。
結論: 名前ではなく「何を・誰に」で覚える
- 本標識は 規制・指示・警戒・案内の4種類、そこに 補助標識 が付きます。路面に描かれたものは「標識」ではなく 標示 です。
- 正誤式の標識問題では、似た名前の標識の 意味を入れ替えた文(例: 前方優先道路を「この道路が優先道路」とする)や、対象を入れ替えた文(例: 通行止めでも歩行者は通れる、とする)が誤りになります。
- 覚えるときは、標識の名前と一緒に「何を禁止・指定しているか」「誰が対象か」をセットにします。
- 補助標識の「軽」「原付」「二輪」などの略称は、日常の言葉と範囲が違います。特に 「軽」は軽車両ではありません。
まず分類: 本標識4種類・補助標識・標示
教則は、標識と標示を次のように分けています(第1章第2節)。分類そのものも出題範囲(教則 第1章第2節)です。
| 区分 | 役目(教則の説明) | 例 |
|---|---|---|
| 規制標識 | 特定の交通方法を 禁止 したり、特定の方法に従って通行するよう 指定 したりする | 車両通行止め、最高速度、一時停止、駐車禁止 |
| 指示標識 | 特定の交通方法が できること や、道路交通上決められた 場所 などを示す | 駐車可、横断歩道、安全地帯、優先道路 |
| 警戒標識 | 道路上の危険や注意すべき状況を 前もって知らせて 注意を促す | 踏切あり、道路工事中 |
| 案内標識 | 地点の名称、方面、距離などを示して 通行の便宜 を図る | 方面と距離 |
| 補助標識 | 本標識の意味を補足する。普通は本標識の下に付き、規制の理由・時間・曜日・車の種類などを特定する | 「8-20」(時間)、「終わり」、車の種類の略称 |
| 標示(規制標示・指示標示) | ペイントや道路びょうなどで 路面に 示された線・記号・文字 | 転回禁止、停止線、横断歩道 |
「禁止・指定」は規制、「できること・場所」は指示、と分けておくと、「特定の方法を禁止・指定する標識は指示標識である」(×) のような分類の入れ替えに引っかかりません。
間違えやすい標識10組
標識の意味は、標識令の別表第一と教則の付表3で確かめています。
| # | 間違えやすい組 | 違い |
|---|---|---|
| 1 | 通行止め / 車両通行止め / 歩行者等通行止め | 「通行止め」は 歩行者・遠隔操作型小型車・車・路面電車のすべて が通れない。「車両通行止め」は 車 だけ、「歩行者等通行止め」は 歩行者と遠隔操作型小型車 だけが対象 |
| 2 | 車両通行止め / 車両進入禁止 | 「車両通行止め」はどちらの方向からも車の通行を禁止。「車両進入禁止」は一方通行の道路の 出口 などで、標識のある側から入ること を禁止する |
| 3 | 駐車禁止 / 駐停車禁止 | 「駐車禁止」は駐車だけを禁止し、停車はできる。「駐停車禁止」は 駐車も停車も 禁止 |
| 4 | 一時停止 / 徐行 | 「一時停止」は交通整理が行われていない交差点かその手前の直近で、停止線の直前(なければ交差点の直前)で 止まる。「徐行」は すぐに止まれる速度で進む |
| 5 | 優先道路 / 前方優先道路 | 「優先道路」(指示標識)は この道路 が優先道路。「前方優先道路」(規制標識)は 交差する前方の道路 が優先道路 |
| 6 | 追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 / 追越し禁止 | 前者は追越しのために 右側部分へはみ出すこと を禁止。後者(補助標識「追越し禁止」付き)は 追越しそのもの を禁止 |
| 7 | 警笛鳴らせ / 警笛区間 | 「警笛鳴らせ」は その場所で 警音器を鳴らす。「警笛区間」は区間内の 左右の見通しのきかない交差点・見通しのきかない曲がり角・上り坂の頂上 を通るときに鳴らす |
| 8 | 車両横断禁止 / 転回禁止 | 「車両横断禁止」は道路の横断を禁止するが、道路外の施設や場所に出入りするための左折を伴う横断は除く。「転回禁止」はUターンを禁止 |
| 9 | 指定方向外進行禁止 / 一方通行 | 「指定方向外進行禁止」は交差点の手前で、矢印の方向以外へ進むこと を禁止。「一方通行」は 矢印と反対の方向へ通行すること を禁止 |
| 10 | 最高速度 / 最低速度 | 「最高速度」は自動車と路面電車の最高速度の指定と、原付の 時速30キロ以下 の最高速度の指定。「最低速度」は 自動車 の最低速度の指定で、原付は対象外 |
1・2 「止め」と「進入禁止」は、対象と方向で分ける
「通行止め」は名前に「車両」が付かないぶん範囲が広く、歩行者も通れません。「通行止め」の標識がある道路でも歩行者は通れる(×) は、この範囲の入れ替えです。
「車両進入禁止」は、標識令が「道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止される道路において、車両がその禁止される方向に向かつて進入することを禁止すること」と定める標識です。一方通行の道路の出口に立っていて、入口の側から進む車は通れます。どちらの向きでも車が通れないのは「車両通行止め」です。
3 駐車と停車の境目は「5分」と「すぐに運転できるか」
道路交通法第2条第1項第18号は、駐車を「客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること」、または運転者が車から離れて 直ちに運転することができない状態 にあることとし、5分を超えない貨物の積卸しのための停止と、人の乗降のための停止 を駐車から除いています。停車は「駐車以外のもの」です(同第19号)。
| 止め方 | 「駐車禁止」の場所 | 「駐停車禁止」の場所 |
|---|---|---|
| 人の乗り降りのための停止 | できる(停車) | できない |
| 5分以内の荷物の積卸し(運転者がすぐに運転できる状態) | できる(停車) | できない |
| 5分を超える荷物の積卸し・客待ち・荷待ち | できない(駐車) | できない |
| 運転者が離れてすぐに運転できない状態 | できない(駐車) | できない |
4 一時停止は「止まる位置」、徐行は「速度」
「一時停止」の標識は、交通整理が行われていない交差点かその手前の直近で一時停止すべきことを指定します。止まる位置は 停止線の直前、停止線がなければ交差点の直前 で(道路交通法第43条)、止まった後も交差する道路を通る車や路面電車の進行を妨げてはいけません。停止線がないときは交差点に少し入って止まる(×) のように、止まる位置を入れ替えると誤りの文になります。
徐行は「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」です(同法第2条第1項第20号)。徐行の標識の場所では止まる義務まではありません。
5 「前方」が付くと、優先なのは向こうの道路
「前方優先道路」の標識がある側は、優先道路に入っていく側 です。「前方優先道路」の標識はその道路が優先道路であることを示す(×) は、この入れ替えです。この標識の下には、補助標識「前方優先道路」が付きます(教則 付表3)。
6 追越しの標識は2種類、法律で禁止の場所はほかにもある
「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」は、右側部分にはみ出さずに行う追越しまでは禁止していません(○)。追越しそのものを禁止するのは、補助標識「追越し禁止」が付いた「追越し禁止」の標識です。
さらに道路交通法第30条は、標識がなくても、道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、こう配の急な下り坂、車両通行帯のないトンネル、交差点・踏切・横断歩道・自転車横断帯とその手前30メートル以内(交差点は優先道路を通行している場合を除く)での追越しを禁止しています。追越しが禁止されているのは「追越し禁止」の標識がある場所だけ(×) は、この点を突く問題です。
一方で、同条が追い越してはならない相手から除いているのは「特定小型原動機付自転車等」、つまり特定小型原付と自転車などの軽車両です。「追越し禁止」の場所でも、前を走る自転車を追い越すことまでは禁止されていません(「追越し禁止」の標識がある道路では、原付は前を走る自転車を追い越すことも禁止されている(×))。
7〜10 は「どこで」「何を除くか」「誰が対象か」
- 警笛区間 は、区間内のすべての場所で鳴らすのではなく、左右の見通しのきかない交差点、見通しのきかない道路の曲がり角・上り坂の頂上を通るときに鳴らします(道路交通法第54条第1項第2号)。
- 車両横断禁止 が除くのは、道路外の施設や場所に出入りするための 左折 を伴う横断です(標識令 別表第一)。右折して出入りする横断は除かれていません。
- 指定方向外進行禁止 で直進と左折の矢印が示されていれば、右折はできません(直進と左折の矢印が示されている交差点では、車は右折することができる(×))。
- 最低速度 は自動車の最低速度の指定なので、原付は対象外です(最低速度の標識がある一般道路では、原付もその最低速度に達しない速度で走ってはいけない(×))。最高速度の標識は、原付については時速30キロ以下の指定だけが効くので、「50」の標識があっても原付は時速30キロまでです。
補助標識の略称は、日常の言葉と範囲が違う
補助標識で車の種類を示すときは、教則の付表4の略称が使われます。範囲が日常の言葉とずれるものは、取り違えやすいので気をつけます。
| 略称 | 表す車(教則 付表4) | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 軽 | 長さ3.40メートル以下・幅1.48メートル以下・高さ2.0メートル以下の普通自動車(内燃機関のものは総排気量660cc以下) | 軽車両(自転車など)ではない |
| 原付 | 一般原動機付自転車 | 小型二輪車は含まない |
| 二輪 | 二輪の自動車と一般原動機付自転車 | 特定小型原付は含まない |
| 自二輪 | 大型自動二輪車と普通自動二輪車 | 一般原動機付自転車は含まない |
| 小二輪 | 小型二輪車(125cc以下など)と一般原動機付自転車 | 「原付」より広い |
「軽」の補助標識に自転車などの軽車両は含まれない(○) のように、原付の学科では補助標識の略称も範囲に入ります(教則 第1章第2節2(6)・付表4)。
色でつかむ覚え方(教則の付表3の色から)
教則の付表3は、標識ごとに色を示しています。下の表は付表3の色の書き方をそのまま並べたもので、同じ書き方の中に、図柄に斜めの帯が無い標識も入っています。色だけで種類が決まるわけではありませんが、大まかな見当をつける手がかりになります。
| 色の特徴(教則 付表3) | 主な標識 | 読み方の目安 |
|---|---|---|
| わく(と斜めの帯)が赤、縁と地が白 | 通行止め、車両通行止め、車両横断禁止、転回禁止、追越し禁止 | 「〜してはいけない」 |
| 斜めの帯とわくが赤、地が青 | 駐停車禁止、駐車禁止 | 止めることの禁止 |
| 地が赤 | 車両進入禁止(帯と縁は白)、一時停止(文字と縁線は白) | 「入るな」「止まれ」 |
| わくが赤、文字が青、縁と地が白 | 最高速度、徐行、前方優先道路 | 速度・進み方の指定 |
| 地が青 | 一方通行、指定方向外進行禁止、専用通行帯(以上は規制標識)、駐車可、優先道路、横断歩道、安全地帯(以上は指示標識) | 青地には規制標識も指示標識もあるので、名前で区別する |
| 縁と地が黄、記号が黒 | 警戒標識(踏切あり、道路工事中など) | 前もって注意 |
青地の標識には規制標識(一方通行など)と指示標識(駐車可など)の両方があります。「青だから指示標識」と決めつけず、禁止・指定なのか、できること・場所なのかで分けてください。
例題: 標識の○×
例題1 「車両進入禁止」の標識は、一方通行の道路の出口などで、標識のある側から車が進入することを禁止するものである。
答え: ○。どちらの方向からも車が通れないのは「車両通行止め」です。 この問題を解く →
例題2 「駐車禁止」の標識がある場所でも、5分以内の荷物の積卸しのための停止であれば、原付を止めることができる。
答え: ○。5分以内の荷物の積卸しのための停止は駐車にあたらず停車です(道路交通法第2条第1項第18号)。 この問題を解く →
例題3 本標識には、規制標識・指示標識・警戒標識・案内標識の4種類がある。
答え: ○。補助標識は本標識の意味を補足するもので、本標識の4種類には入りません。 この問題を解く →
ぴよパスで標識の問題を練習する
標識・標示は仮免にも本免にも出る範囲です(教則の第1章)。分野ごとの○×で、意味と対象を確かめながら解いてください。
| 分野 | 問題数 | こんな人に |
|---|---|---|
| 普通免許: 信号・標識・標示と警察官の指示 | 30問 | 普通免許の仮免・本免、教習所の効果測定の前 |
| 原付: 信号・標識・標示と警察官の指示 | 28問 | 原付免許。二段階右折の標識や補助標識の略称も |
| 普通免許の学科(全11分野) | 300問 | 標識以外の範囲もまとめて |
| 原付の学科(全10分野) | 240問 | 原付の範囲をまとめて |
どの問題にも、教則や法令の該当箇所を示した解説が付いています。間違えた問題は、解説を読んだあとに分野ごとに解き直せます。
まとめ
- 本標識は規制・指示・警戒・案内の4種類と補助標識。路面に描かれたものは標示。
- 「通行止め」は歩行者も通れない。「車両進入禁止」は一方通行の出口から入ることの禁止。
- 「駐車禁止」でも、人の乗り降りや5分以内の荷物の積卸しのための停車はできる。「駐停車禁止」はどちらもできない。
- 「前方優先道路」は前方の道路が優先道路。「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」は、はみ出さない追越しまでは禁止しない。
- 補助標識の「軽」は軽自動車の大きさの普通自動車で、軽車両ではない。
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出典
- 国家公安委員会「交通の方法に関する教則」第1章第2節(標識・標示の意味)、付表3(標識・標示の種類と意味・色)、付表4(車両の種類と略称)(警察庁掲載の令和6年11月版と、その後の改正告示 令和8年第9号・第32号): https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/20241113kyousoku.pdf
- 国家公安委員会告示 令和8年第32号(交通の方法に関する教則の改正): https://www.npa.go.jp/laws/kaisei/kokuji/20260717_kyousoku.pdf
- 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第一(e-Gov法令検索・2026年9月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50004002003
- 道路交通法 第2条第1項第18号〜第20号(駐車・停車・徐行)、第30条(追越しを禁止する場所)、第43条(指定場所における一時停止)、第54条(警音器の使用等)(e-Gov法令検索・2026年7月21日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105








