運転免許の学科試験で「ひっかけ問題」と呼ばれるのは、教則の決まりと数字や例外、義務の強さなどが1か所だけ違う文の正誤を問う問題です。 正誤式なので、どの言葉で○×が決まるかが分かれば、初めて見る問題でも判断できます。ぴよパスでは、受験者が間違えやすい違い方を7つの型に分けています。
- 型1 「必ず」の言い切り — 付いていても正しい文がある。言葉の強さでなく、義務があるかで判断する。
- 型2 数字の入れ替え — 踏切の前後10メートルを5メートルにする、など。
- 型3 場所や条件の入れ替え — 「交差点やその付近」と「それ以外の場所」で決まりが違う。
- 型4 対象のすり替え — 一般原動機付自転車と自動二輪車、高速自動車国道と自動車専用道路。
- 型5 似た言葉の取り違え — 徐行と一時停止、駐車と停車。
- 型6 「できる」「してもよい」の範囲 — 許可で駐車できる場所と、できない場所。
- 型7 改正前の知識 — 2026年の改正で答えが変わった問題。
7つの型の問題は、科目ごとの練習問題でまとめて解けます。仮免の範囲なら速度・追越しや交差点・踏切、本免で加わる範囲なら駐車と停車や高速道路から始めてください。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事の例題は、すべて道路交通法(e-Gov法令検索・2026年10月21日の版)と「交通の方法に関する教則」で答えを確かめています。
学科試験は正誤式 — ひっかけに見える理由
仮免の学科試験は文章問題50問を30分、本免は文章問題90問とイラスト問題5問を50分で解き、どちらも90%以上の得点で合格です(警察庁の出題基準の通達、道路交通法施行規則第25条)。文章問題は正誤式で、1問1点です。
本試験の問題は、都道府県警察が教則の範囲内で作っていて、一般には公開されていません。警察庁の通達「学科試験の適正な管理について」(令和3年6月18日)は、漏えいを防ぐため、第二種・普通等(第一種)・原付・仮免許の学科試験ごとに10種類程度の問題のパターンを作り、試験の都度、パターンの一部や問題の順番を入れ替えるよう指示しています。神奈川県警察や静岡県警察の公開された規程では、紙の答案用紙で行う試験が終わると、問題用紙も答案用紙と一緒に回収するとしています。だから「ひっかけ問題100問」を丸暗記しても、同じ文が出るとは限りません。
「ひっかけ」については、2026年1月29日の国の障害者政策委員会で、委員から「不要と思われる「引っかけ」や「二重否定」などをなくしていく」視点での配慮を求める意見が出ました。警察庁は文書の回答で、問題の内容が分かりやすくなるよう配慮すること、担当の課長が問題の正誤や問題文が分かりづらくならないよう審査することを都道府県警察に指示している、としています。
受験者が「ひっかけ」と感じる問題の多くは、1つの言葉の違いで○と×が分かれる正誤式の作りによるものです。覚えるべきなのは文ではなく、どの言葉が違うと○×が変わるかです。
型1 「必ず」「どんな場合でも」の言い切り
「必ず」「どんな場合でも」が付いた文は×になりやすい、と言われます。けれど、本当に義務の決まりもあるので、言葉の強さだけでは判断できません。
例題(○×) 警察官が手信号で交通整理をしていて、その手信号が信号機の信号と違うときは、必ず手信号に従わなければならない。
答え: ○。警察官などは信号機の信号と違う意味の手信号をすることができ(道路交通法第6条第1項)、その場合は、その手信号に従わなければなりません(第7条)。教則第1章第3節も、警察官などの信号の方が優先するとしています。 この問題を解く →
例題(○×) 自動車で、信号機の青色の灯火に従って、左右の見通しがきかない交差点に入るときは、必ず徐行しなければならない。
答え: ×。左右の見通しがきかない交差点は徐行すべき場所ですが、道路交通法第42条第1号は「交通整理が行なわれている場合」と「優先道路を通行している場合」を除いています。信号機の青色の灯火に従って進むときは、交通整理が行われている場合に当たります。 この問題を解く →
2つを比べると、「必ず」が付いているかどうかでなく、例外が書かれているかで答えが分かれています。
型2 数字の入れ替え
距離・時間・人数の数字を、別の決まりの数字に入れ替えた文です。とくに駐車と停車の距離は、5メートルと10メートルが混ざりやすいところです。
例題(○×) 踏切の近くで駐車も停車も禁止されているのは、踏切とその端から前後5メートル以内の場所である。
答え: ×。道路交通法第44条第1項第6号は、踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10メートル以内を駐停車禁止としています。5メートルは、交差点の側端や横断歩道・自転車横断帯の前後の距離です。 この問題を解く →
数字は「何の距離か」とセットで覚えると入れ替えに気づけます。本免で出る数字は本免の学科試験で覚える数字の一覧にまとめています。
型3 場所や条件の入れ替え
同じ相手(緊急自動車など)でもどこで出会ったか、同じ踏切でも信号機があるかどうかで、決まりが変わるものがあります。その場所や条件を入れ替えた文です。
例題(○×) 交差点やその付近以外の場所で緊急自動車が近づいてきたときも、道路の左側に寄って一時停止しなければならない。
答え: ×。一時停止しなければならないのは、交差点やその付近で、交差点を避けて道路の左側に寄るときです(道路交通法第40条第1項)。それ以外の場所では、道路の左側に寄って進路を譲ればよく、一時停止までは求められていません(同条第2項)。 この問題を解く →
例題(○×) 踏切に信号機があるときでも、自動車は踏切の直前で一時停止し、安全を確かめてから進まなければならない。
答え: ×。道路交通法第33条第1項は、踏切の直前で停止して安全を確かめることを原則としたうえで、「信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる」としています。信号機があるかどうかという条件で、決まりが変わる例です。 この問題を解く →
型4 対象のすり替え
正しい決まりを、別の車や別の道路に当てはめた文です。
例題(○×) 一般原動機付自転車は、後部座席が付いていれば二人乗りをしてもよい。
答え: ×。道路交通法施行令第23条第1号は、原動機付自転車の乗車人員を「一人をこえないこと」としています。後部座席の有無で二人乗りができるかが分かれるのは、自動二輪車の話です。 この問題を解く →
例題(○×) 一般原動機付自転車は、自動車専用道路を通行することができる。
答え: ×。教則第7章は、高速道路を高速自動車国道と自動車専用道路の両方を指す言葉とし、一般原動機付自転車は高速道路を通行できないとしています。「高速道路=高速自動車国道」と狭く覚えていると取り違えます。 この問題を解く →
型5 似た言葉の取り違え
「徐行」はすぐ止まれる速度で進むこと、「一時停止」はいったん止まることです。似た場面で、どちらが求められているかを入れ替えた文が出ます。
例題(○×) 普通自動車で交差点を右折しようとするときは、対向車線を直進してくる二輪車が見えにくくなることがあるので、交差点に入る前に一時停止しなければならない。
答え: ×。自動車や一般原動機付自転車が右折するときは、一方通行の道路を除き、あらかじめ道路の中央に寄り、交差点の中心の直近の内側を徐行しなければなりません(道路交通法第34条第2項・第4項)。対向車線の二輪車に十分注意するのは教則が求めるとおりですが、交差点の直前での一時停止は、「一時停止」の標識があるときなどに求められるもので、右折そのものの決まりではありません。 この問題を解く →
型6 「できる」「してもよい」の範囲
許可や例外で「できる」場面を、できない場面にまで広げた文です。
例題(○×) 横断歩道とその端から前後5メートル以内の場所でも、警察署長の許可を受ければ駐車することができる。
答え: ×。横断歩道とその前後5メートル以内は、駐車も停車も禁止されている場所です(道路交通法第44条第1項第1号・第3号)。警察署長の許可で駐車できるのは、駐車だけが禁止されている場所です(第45条第1項ただし書)。駐停車禁止の場所には、この許可の定めがありません。 この問題を解く →
型7 改正前の知識
2026年は、学科試験の範囲に関わる改正が続きました。それより前に作られた問題集やアプリでは、答えが今と違うことがあります。
- 2026年9月1日から、中央線や車両通行帯などがない一般道路での自動車の法定速度は時速30キロメートルになりました(道路交通法施行令第11条の改正)。
- 2026年4月1日から、車道を同じ方向に進む自転車などの右側を通過する(追い越す場合を除く)とき、十分な間隔がなければ、間隔に応じた安全な速度で進まなければならなくなりました(道路交通法第18条第3項。教則も令和8年国家公安委員会告示第9号で第5章第3節に同じ内容が加わりました)。
改正の中身は仮免の学科試験によく出る分野とひっかけの型で詳しく説明しています。
標識とイラスト問題のひっかけ
標識・標示では、形や色が似たものの取り違えがよく問われます。標識だけを取り上げた標識問題のひっかけの記事で、間違えやすい組を確かめてください。
本免のイラスト問題は、1つの場面に3つの正誤を答え、3つとも正しいときだけ2点です。1つでも間違えると0点なので、3つの文をそれぞれ別の問題として判断します。点数の組み立ては本免の学科試験に受かるコツにあります。
ひっかけに強くなる練習の仕方
- 間違えた問題は「どの言葉で×になったか」を1つ書き出す。 「10メートル→5メートル」「交差点付近→それ以外」「駐車禁止→駐停車禁止」のように書くと、7つの型のどれに弱いかが見えます。
- ○だった問題も、どこを変えると×になるかを考える。 例外や数字の場所が分かり、次に入れ替えられたときに気づけます。
- 否定が重なる文は、言い換えてから判断する。 「〜しなくてもよいわけではない」のような文は、「〜しなければならない」と肯定の形に直すと、教則の文と比べやすくなります。
- 教則の章ごとに解く。 仮免は第1章・第4章・第5章などの範囲、本免はそれに駐車と停車・夜間の灯火・高速道路・二輪車などが加わります。範囲の違いは仮免の学科試験によく出る分野と本免の学科試験に受かるコツで確かめられます。
練習問題と模擬試験
科目ごとの練習問題は普通免許の学科試験のページから、無料で解けます。仮免モード(文章問題50問・30分)と本免モード(文章問題90問・50分)で通して解く模擬試験は Premium の機能です(イラスト問題は含みません)。
まとめ
- 「ひっかけ」と感じる問題の多くは、教則の決まりと1つの言葉だけが違う文の正誤を問う問題。どの言葉で○×が決まるかを見抜けば、初めての問題でも判断できる。
- 「必ず」が付いていても正しい文はある。言葉の強さでなく、例外や義務が書かれているかで判断する。
- 数字・場所・対象・似た言葉・「できる」の範囲・改正の型を、間違えた問題ごとに書き出して弱い型をつぶす。
- 本試験の問題は公開されておらず、パターンを入れ替えて出題される。警察庁は、問題が分かりづらくならないよう審査するよう指示している。文の丸暗記より、決まりの理解が近道。
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出典
- 道路交通法 第6条・第7条・第18条・第33条・第34条・第40条・第42条・第44条・第45条(e-Gov法令検索・2026年10月21日の版で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
- 道路交通法施行令 第11条・第23条(e-Gov法令検索・2026年9月1日施行の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000270
- 道路交通法施行規則 第25条(学科試験の合格基準): https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000002060
- 警察庁「学科試験の出題形式、出題範囲及び出題基準等について(通達)」令和5年3月30日 丁運発第46号: https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20230330_46.pdf
- 警察庁「学科試験の適正な管理について(通達)」令和3年6月18日 丁運発第135号: https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20210618_135.pdf
- 警察庁「交通の方法に関する教則」(全文。2024年11月の版): https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/20241113kyousoku.pdf
- 国家公安委員会告示 令和8年第32号(交通の方法に関する教則の改正): https://www.npa.go.jp/laws/kaisei/kokuji/20260717_kyousoku.pdf
- 警察庁 通達 丁交企発第80号(令和8年4月14日・令和8年国家公安委員会告示第9号による教則の改正): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kouki/kouki2026414_80.pdf
- 内閣府 第87回 障害者政策委員会(令和8年1月29日)「委員からのご意見に対する回答」(警察庁の回答): https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_87/pdf/jigo_s2.pdf
- 神奈川県警察「運転免許取扱要綱の制定について」第16条: https://www.police.pref.kanagawa.jp/assets/entry/830008.txt
- 静岡県警察「自動車及び一般原動機付自転車の運転免許等に関する訓令」第14条: https://www.pref.shizuoka.jp/police/_res/projects/project_police/_page_/002/000/929/koutuu027-6.pdf








