本免のイラスト問題は、交通の場面のイラストを見て、3つの文の正誤を答える問題です。 普通免許の本免では5問出て、1問2点。ただし点がもらえるのは3つの文をすべて正しく答えたときだけで、1つでも間違えると0点です。警察庁の通達は、実際の交通場面から危険を認知して必要な判断をする力を見る問題だとしています。
- 本免は文章問題90問(1問1点)とイラスト問題5問(1問2点)の100点満点・50分で、90点以上が合格です。
- 3つの文に正しい文と誤りの文がいくつ入るかの決まりは、公開されている資料には書かれていません。1つずつ判断します。
- イラスト問題は教則の特定の章からではなく、危険の予測に関わる内容を各章各節から横断的に出します。
- 警察庁の通達や主な警察の試験案内に、例題は載っていません(2026年10月21日に確かめた範囲)。
イラスト問題の文が正しいかどうかは、教則の決まりで決まります。ぴよパスでは、その元になる決まりを○×で練習できます。歩行者や子どもの場面は通行するところと歩行者の保護、右折や踏切の場面は交差点・踏切・坂道とカーブ・AT車、夜間や雨の場面は夜間・悪天候・緊急時の問題が当たります。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事は、警察庁の通達・国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」・都道府県警察の試験案内(どれも2026年10月21日に確認)で確かめた内容です。
イラスト問題の決まり
警察庁の通達「学科試験の出題形式、出題範囲及び出題基準等について」(令和5年3月30日・丁運発第46号)が、問題数と配点を決めています。2026年4月から運用されている通達「運転免許試験の適正な実施について」も、試験業務の点検表で、学科試験がこの通達に合っているかを着眼点に挙げていて、今も出題の基準です。
| 免許 | 文章問題 | イラスト問題 | 時間 | 合格 |
|---|---|---|---|---|
| 普通・大型・中型・準中型・大型特殊・二輪・二種など(本免) | 90問(1問1点) | 5問(1問2点) | 50分 | 90点以上(100点満点) |
| 原付・小型特殊 | 46問(1問1点) | 2問(1問2点) | 30分 | 45点以上(50点満点) |
| 仮免許 | 50問(1問1点) | 出題しない | 30分 | 45点以上(50点満点) |
- 文章問題は正誤式、イラスト問題は「三肢の正誤式」です。1つのイラストに3つの文があり、それぞれを正しいか誤りかで答えます。
- 配点は、3つの文の答えがすべて正しい場合だけです(通達)。神奈川県警察や宮城県警察の試験案内も、1つのイラストにつき3問で、全部正解のときだけ点が入ると説明しています。
- 合格基準の90%は、学科試験の合格基準として道路交通法施行規則第25条が決めています。
3つそろえる難しさ
イラスト問題は、文1つずつの正答率より、3つそろう率のほうがずっと低くなります。たとえば1つの文を正しく判断できる率が9割でも、3つとも正しくそろう率は 0.9×0.9×0.9=約73%です。
イラスト問題を落とすと、文章問題で落とせる数が減ります。
| 落としたイラスト問題 | 文章問題で落とせる数 |
|---|---|
| 0問 | 10問まで |
| 1問 | 8問まで |
| 2問 | 6問まで |
| 3問 | 4問まで |
イラスト問題1問は文章問題2問分です。本免全体の点の組み立ては本免の学科試験に受かるコツにまとめています。
公開されている例題がない理由
学科試験の問題は、都道府県警察が作ります。警察庁の通達「学科試験の適正な管理について」(令和3年6月18日・丁運発第135号)は、教則の範囲内から出題すること、各都道府県の交通の実態や事故の状況に応じて問題を作ること、10種類程度のパターンを作っておくこと、少なくとも5年程度で全面的に更新することを求めています。
そのため、全国で公開されている「イラスト問題の過去問」はありません。2026年10月21日に、警察庁の通達の一覧と、神奈川・宮城・愛知・大阪・警視庁の試験案内を見ましたが、イラスト問題の例題(絵と3つの文)は載っていませんでした(47都道府県のすべては見ていません)。
警視庁のサイトには「危険予測トレーニング」という教材があり、交差点の右折や裏通りの走行などの場面で危険を考える練習ができます。交通安全の学習用の教材で、学科試験の例題ではありません。
解き方 — 3つの文を1つずつ判断する
- 場面の中の見えていない所を探す — 止まっている車の陰、見通しの悪い交差点、右折待ちの対向車の向こう、カーブの先など。
- 相手の動きを考える — 子ども・高齢者・自転車・二輪車が、次にどう動くことがあるか。
- 文を1つずつ教則に当てはめる — 文の行動や考えが、その場面での教則の決まりに合っているかで判断します。ほかの2つの文の答えにつられないようにします。
- 決めつけや思い違いの文は、教則の決まりと照らす — 「歩道にいるから出てこない」のように相手が動かないと決めつける文や、「先に入ったから先に行ける」のように優先を思い違えた文は、教則の決まり(子どもの飛び出しへの注意・右折時の進行妨害の禁止など)と照らして判断します。
教則の文には、「〜しなければなりません」「〜してはいけません」(法令で決まっていること)と、「〜しましょう」(心得)などの言い方があります。どちらも本免の範囲です。
場面ごとの危険と教則の根拠
イラスト問題によく使われる場面と、判断の根拠になる教則の場所です。節の番号は2026年10月21日時点の教則によります(2026年4月1日の改正で、第5章第3節7の(3)が新しく入り、それより後の番号が1つずつ下がりました)。
| 場面 | 起こりうること・決まり | 教則の場所 |
|---|---|---|
| 歩行者のそば | 歩行者との間に安全な間隔を空けるか、徐行しなければならない | 第5章第3節1(1) |
| 自転車の追越し・追抜き | 追越しのときはふらつきなどを予想して間隔を空けるか徐行。追抜きで十分な間隔がないときは、間隔に応じた安全な速度で進む | 第5章第3節7(2)(3) |
| 止まっている車のそば | 急にドアが開いたり、車の陰から人が飛び出したりすることがある | 第5章第3節1(5) |
| 横断歩道の手前で止まっている車 | そのそばを通って前に出る前に一時停止しなければならない | 第5章第3節2(3) |
| 子どもが独りで歩いている | 一時停止か徐行をして、安全に通れるようにしなければならない。突然飛び出すことがある | 第5章第3節4(1) |
| 止まっている通学通園バス | そのそばを通るときは、徐行して安全を確かめなければならない | 第5章第3節4(2) |
| 見通しの悪い交差点・曲がり角・上り坂の頂上 | 徐行しなければならない場所。左右の見通しがきかない交差点は、信号機などで交通整理が行われている場合と優先道路を通行している場合を除く | 第5章第4節4 |
| 交差点の右折 | 対向車線を直進する二輪車が見えにくくなることがある。先に交差点に入っていても、直進車や左折車の進行を妨げてはいけない | 第5章第7節1(1)・2(5) |
| 交差点の左折 | 大型車は内輪差が大きく左後方が見えにくい。歩行者や自転車などの巻き込みに注意 | 第5章第7節1(3)・第5章第3節7(5) |
| 夜間 | 歩行者や自転車の発見が遅れる。自分の車と対向車のライトで、道路の中央付近の歩行者が見えなくなることがある | 第6章第3節1(1)(2) |
| 雨の日 | 降り始めの舗装道路は滑りやすい。歩行者のそばでは速度を落として泥や水をはねないようにしなければならない | 第6章第4節1(4)(5) |
| 踏切 | 前の車に続いて渡るときでも一時停止。向こう側が混んでいて踏切内で動けなくなるおそれがあるときは入ってはいけない | 第6章第1節1(1)(4) |
場面を文章で描いた練習問題
ぴよパスのオリジナルの練習問題です。本試験のイラスト問題の写しではなく、場面を文章で描いて、3つの文の正誤を考える形にしています。3つとも正しく答えられたら、イラスト問題なら2点です。
場面1 — 駐車車両と、歩道を歩く子ども
片側1車線の道路を走っています。左側に車が1台駐車していて、その先の歩道を小学生くらいの子どもが1人で歩いています。
- 駐車している車の陰から人が出てくることがあるので、速度を落とし、間隔を空けて通る。
- 子どもは歩道を歩いているので、車道に出てくることはないと考え、そのままの速度で進む。
- 子どもが独りで歩いているので、一時停止か徐行をして、安全に通れるようにする。
答え: 1 ○・2 ×・3 ○。止まっている車のそばでは、人が飛び出すことがあります(教則第5章第3節1(5))。子どもが独りで歩いているときは、一時停止か徐行が必要で、教則は子どもが突然路上に飛び出すことがあるとしています(第5章第3節4(1))。2は「出てこない」と決めつけているので誤りです。 子どもの場面の問題を解く →
場面2 — 右折待ちの対向車の向こう
信号機のある交差点で、右折しようと交差点の中で待っています。対向車線にも右折待ちの大型トラックが止まっていて、その向こうの直進の車線は見えにくくなっています。右折した先には横断歩道があります。
- 対向の大型トラックが止まっているので、その陰から直進してくる車や二輪車はいない。
- 右折した先の横断歩道を渡る人がいないことが明らかでなければ、その手前で止まれるように速度を落として進む。
- 自分の車が先に交差点に入っていても、直進してくる車の進行を妨げてはいけない。
答え: 1 ×・2 ○・3 ○。教則は、右折しようとするときは対向車線を直進する二輪車が見えにくくなることがあるとしています(第5章第7節1(1))。見えない所に車がいないと決めつける1は誤りです。横断歩道に近づくときは、渡る人がいないことが明らかな場合のほかは、手前で止まれるように速度を落とします(第5章第3節2(2))。先に交差点に入っていても、直進車の進行を妨げてはいけません(第5章第7節2(5))。 右折の問題を解く →
場面3 — 夜、雨が降り始めた
夜、交通量の少ない郊外の片側1車線の道路を走っていると、雨が降り始めました。対向車が近づいてきます。左側の歩道には、傘をさして歩く人がいます。
- 雨の降り始めの舗装道路は滑りやすいので、速度を落とし、車間距離を十分にとる。
- 歩行者を少しでも早く見つけるため、対向車と行き違うときも前照灯を上向きのままにしておく。
- 雨の日は泥や水がはねるのはしかたがないので、歩行者のそばでも速度を落とす必要はない。
答え: 1 ○・2 ×・3 ×。雨の降り始めの舗装道路はスリップしやすく、雨の日は速度を落として車間距離を十分にとります(教則第6章第4節1(2)(4))。前照灯は上向きが基本ですが、対向車と行き違うときは減光するか下向きに切り替えます(第6章第3節2(2))。歩行者のそばを通るときは、速度を落として泥や水をはねないようにしなければなりません(第6章第4節1(5))。 泥はねの問題を解く →
場面4 — 向こう側が混んでいる踏切
遮断機と警報機のある踏切に近づいています。前の車が踏切を渡っていて、踏切の向こう側は車が詰まっています。警報機は鳴っていません。
- 踏切の手前で一時停止したら、窓を開けるなどして、自分の目と耳で左右の安全を確かめる。
- 前の車に続いて渡るときは、前の車が安全を確かめているので、一時停止をしなくてよい。
- 向こう側が混んでいて、踏切の中で止まってしまうおそれがあるときは、踏切に入ってはいけない。
答え: 1 ○・2 ×・3 ○。踏切の直前では一時停止し、窓を開けるなどして自分の目と耳で安全を確かめます(教則第6章第1節1(1))。前の車に続いて通過するときでも一時停止が必要で、向こう側が混雑していて踏切内で動けなくなるおそれがあるときは入ってはいけません(第6章第1節1(4))。
練習問題と模擬試験
イラスト問題も教則の範囲から出ます(道路交通法第97条第3項)。文章問題の練習で決まりを固めておくと、イラスト問題の判断も速くなります。
- 止まっている車と見通しの悪さ: 違法な駐車や停車は飛び出し事故の原因になる
- 通学通園バス: 止まっている通学通園バスのそばを通るとき
分野ごとの練習問題は普通免許の学科試験のページから無料で解けます。本免と同じ文章問題90問・50分で通して解く模擬試験(本免モード)は Premium の機能です。模擬試験にはイラスト問題はまだ入っていないので、本番ではイラスト問題5問の分の時間を残して文章問題を解く必要があります。
まとめ
- 本免のイラスト問題は5問・1問2点。3つの文をすべて正しく答えたときだけ点が入る。
- 1つの文の判断が9割正しくても、3つそろうのは約73%。1問落とすと文章問題で落とせる数が2問減る。
- 正誤の数の決まりは公開されていないので、3つの文を1つずつ教則に当てはめる。
- 公開の例題は見当たらない。問題は都道府県警察ごとに作られ、教則の範囲から出る。
関連記事
出典
- 警察庁「学科試験の出題形式、出題範囲及び出題基準等について(通達)」(丁運発第46号・令和5年3月30日): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20230330_46.pdf
- 警察庁「運転免許試験の適正な実施について(通達)」(丁運発第22号・令和8年2月4日): https://www.npa.go.jp/laws/notification/menkyo20260204_22.pdf
- 警察庁「学科試験の適正な管理について(通達)」(丁運発第135号・令和3年6月18日): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20210618_135.pdf
- 国家公安委員会「交通の方法に関する教則」(警察庁・2024年11月13日版): https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/20241113kyousoku.pdf ・令和8年国家公安委員会告示第9号による一部改正(警察庁の通達・令和8年4月14日): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kouki/kouki2026414_80.pdf (令和6年第47号・令和8年第32号の改正もあるが、この記事で引いた節には関わらない。告示の一覧: https://www.npa.go.jp/laws/kaisei/kokuji/npsc.html )
- 道路交通法施行規則 第25条(e-Gov法令検索・2026年10月21日の版): https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000002060
- 神奈川県警察「普通免許(運転免許センターで直接学科試験及び技能試験を受験する方)の手続について」: https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/menkyo/mes83012.html
- 宮城県警察「指定自動車教習所を卒業して学科試験を受ける方(普通免許)」: https://www.police.pref.miyagi.jp/menkyo/siken/siken_shiteisotufutuu.html
- 警視庁「危険予測トレーニング」: https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/game/yosoku/index.html








