消防設備点検資格者は、消防庁長官の登録を受けた法人(登録講習機関)の講習を修了し、その機関が発行する免状を受けた人です(消防法施行規則第31条の6第7項)。消防用設備等の点検ができます(消防法第17条の3の3)。消防設備士は試験に合格して都道府県知事の免状を受ける資格で、類ごとに工事(甲種)・整備・点検ができます。点検資格者には工事と整備の権限はありません。
点検の制度と、点検を資格者にさせる建物は、消防設備士の甲種・乙種のどの類でも、試験科目「消防関係法令」(消防法施行規則第33条の10)の範囲に入る論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法は2025年6月1日施行、消防法施行令は2025年10月1日施行、消防法施行規則は2026年6月26日施行の版)と、一般財団法人日本消防設備安全センターの案内(2026年10月20日に確認)をもとに書いています。
消防設備士と点検資格者の違いを1枚で
| 項目 | 消防設備士 | 消防設備点検資格者 |
|---|---|---|
| 取り方 | 都道府県知事が行う試験に合格し、免状の交付を受ける(消防法第17条の7・第17条の8) | 登録講習機関の講習を修了して免状を受ける(規則第31条の6第7項)。センターの講習では最後に修了考査がある |
| できること | 類ごとに工事(甲種のみ)・整備・点検 | 点検(第1種・第2種・特種の範囲) |
| 受験・受講の資格 | 乙種は誰でも受験できる。甲種は受験資格が要る | 消防設備士・電気工事士などの資格か、学歴と実務経験などが要る |
| 期限・更新 | 免状に有効期限の定めはないが、2年以内・5年ごとの法定講習(消防法第17条の10、消防法施行規則第33条の17) | 免状は交付日以後の最初の4月1日から5年以内。5年ごとの再講習(センターの案内) |
| 受けないとき | 講習を受けないと返納命令の対象になりうる | 再講習を受けないと資格を失う(規則第31条の6第8項第6号) |
点検資格者の受講資格には甲種・乙種の消防設備士が入っているので、消防設備士が点検資格者の講習を受けて、免状の類以外の設備の点検の範囲を広げることもできます。
第1種・第2種・特種で点検できる設備
日本消防設備安全センターの「点検できる消防用設備等及び特殊消防用設備等の種類」の表を、消防設備士の類と並べると次のとおりです。点検できる設備の種類は、消防庁長官が定めます(規則第31条の6第6項)。
| 点検資格者 | 点検できる設備(センターの表から) | 同じ設備を点検できる消防設備士 |
|---|---|---|
| 第1種 | 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備・共同住宅用スプリンクラー設備 | 第1類 |
| 第1種 | 泡消火設備・特定駐車場用泡消火設備 | 第2類 |
| 第1種 | 動力消防ポンプ設備・消防用水・連結散水設備・連結送水管 | 第1類・第2類 |
| 第1種 | 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備 | 第3類 |
| 第1種 | 消火器・簡易消火用具 | 第6類 |
| 第1種 | パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備 | 第1類・第2類・第3類 |
| 第2種 | 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備・共同住宅用自動火災報知設備など | 第4類 |
| 第2種 | 避難器具 | 第5類 |
| 第2種 | 漏電火災警報器 | 第7類 |
| 第2種 | 非常警報器具・非常警報設備・排煙設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備など | 第4類・第7類 |
| 第2種 | 誘導灯・誘導標識 | 第4類または第7類の消防設備士のうち、電気工事士か電気主任技術者の免状を持つ人 |
| 特種 | 特殊消防用設備等 | 特類 |
覚えるときは「第1種=水と泡とガスと消火器(機械系統)」「第2種=感知・警報・避難・電気(電気系統)」と分けると整理しやすくなります。誘導灯は、消防設備士なら電気工事士か電気主任技術者の免状も要る、という条件がつく点が目立ちます。
講習と再講習 — 3日間・修了考査・5年ごと
日本消防設備安全センターの案内(2026年10月20日に確認)による講習の形です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講習 | 第1種と第2種に分けて、それぞれ3日間。科目は火災予防概論・消防法規・点検制度・建築基準法規と、設備ごとの技術基準と点検要領 |
| 修了考査 | 講習の最後に2時間。合格すると「消防設備点検資格者免状」が交付される |
| 免状の有効期限 | 交付を受けた日以後の最初の4月1日から5年以内(平成12年消防庁告示第14号) |
| 再講習 | おおむね5時間。第1種・第2種の再講習は映像での講義。受講料と免状交付手数料の合計は10,520円 |
進む 有効期限は、消防設備士の講習と同じく、交付日以後の最初の4月1日から数えます。消防設備士の講習の期限の数え方は 消防設備士の講習 にまとめています。
受講資格 — 誰が講習を受けられるか
消防法施行規則第31条の6第7項は、点検資格者の講習を受けられる人として次を挙げています。
- 消防設備士
- 電気工事士
- 管工事施工管理技士
- 水道法の布設工事監督者の資格を持つ人
- 建築物調査員・建築設備等検査員の資格者証を持つ人
- 一級建築士・二級建築士
- 大学・高等専門学校などで機械・電気・工業化学・土木・建築の学科を修めて卒業し、消防用設備等の工事・整備の実務経験が1年以上の人
- 高等学校などで同じ学科を修めて卒業し、実務経験が2年以上の人
- 消防用設備等の工事・整備の実務経験が5年以上の人
- これらと同等以上の知識と技能があると消防庁長官が認める人
日本消防設備安全センターの案内は、このほかに技術士(機械部門など)、電気主任技術者、海技士(機関)、建築基準適合判定資格者検定の合格者、消防行政の実務経験1年以上の人、建築行政の実務経験2年以上の人を挙げています。実務経験には、簡易消火用具の整備や消防用設備等の設計・販売・点検などは含まれないとしています。
点検を資格者にさせなければならない建物
消防用設備等の点検は、別表第一の防火対象物((二十)項の舟車を除く)の関係者の義務です(消防法第17条の3の3、消防法施行令第36条第1項)。そのうち次の建物は、消防設備士か消防設備点検資格者に点検させなければなりません(消防法施行令第36条第2項)。それ以外の建物は、関係者が自ら点検できます。
| 号 | 建物 |
|---|---|
| 1号 | 特定防火対象物(劇場・飲食店・百貨店・ホテル・病院・福祉施設など、特定用途の複合用途の建物、地下街、準地下街)で延べ1,000m²以上 |
| 2号 | 共同住宅・学校・工場・事務所などで延べ1,000m²以上のうち、消防長または消防署長が指定したもの |
| 3号 | 特定用途の部分が避難階以外の階(1階と2階を除く。令第4条の2の2第2号)にあり、避難階か地上に直通する階段が2つ以上ない建物(屋外階段か避難上有効な構造なら1つ) |
| 4号 | 全域放出方式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するもの)がある建物(規則第31条の6の2) |
点検の周期は1年以内で消防庁長官が定める期間で(規則第31条の6第1項)、東京消防庁の案内では、機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回です(平成16年消防庁告示第9号)。結果の報告は、特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です(規則第31条の6第3項)。
乙6:資格者に点検させる建物(令第36条第2項)を問う1問 →
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消防設備点検資格者は、自動火災報知設備の工事ができる | 誤り | 工事は甲種第4類の消防設備士(点検資格者ができるのは点検) |
| 消防設備点検資格者の講習は、消防庁長官の登録を受けた法人が行う | 正しい | 規則第31条の6第7項 |
| 消防設備点検資格者の講習は、資格や実務経験がなくても受けられる | 誤り | 規則第31条の6第7項の各号に当たる人に限られる |
| 延べ1,000m²以上の特定防火対象物は、消防設備士か消防設備点検資格者に点検させる | 正しい | 令第36条第2項第1号 |
| 延べ1,000m²以上の事務所は、すべて資格者に点検させる | 誤り | 消防長または消防署長が指定したものだけ(同項第2号) |
| 点検の結果は、どの建物でも1年に1回報告する | 誤り | 特定防火対象物は1年に1回、それ以外は3年に1回 |
| 消防設備点検資格者は、再講習を受けないと資格を失う | 正しい | 規則第31条の6第8項第6号 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で確かめられます。
- 乙6:登録講習機関を問う1問
- 乙4:資格者による点検が義務になる建物を問う1問
- 甲4:資格者による点検が特に必要な建物(総務省令)を問う1問
- 甲4 法令・基礎の練習問題・乙6 法令の練習問題・乙4 法令の練習問題
消防設備士の類ごとの仕事の範囲は 消防設備士乙4でできる仕事 に、工事の前後の届出は 消防の着工届と設置届の違い にまとめています。
出典
- 消防法 第17条の3の3・第17条の5〜第17条の8・第17条の10(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 消防法施行令 第4条の2の2・第36条・別表第一(同・2025年10月1日施行の版)
- 消防法施行規則 第31条の6・第31条の6の2・第33条の10・第33条の17(同・2026年6月26日施行の版)
- 一般財団法人日本消防設備安全センター「消防設備点検資格者とは」「第1種・第2種消防設備点検資格者講習」「第1種・第2種・特種 消防設備点検資格者再講習」、東京消防庁「消防用設備等点検報告制度」(いずれも2026年10月20日に確認)
当サイトの問題は消防設備士試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。消防試験研究センターとも日本消防設備安全センターとも関係ありません。


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