消防設備士の講習は、甲種・乙種を問わず、消防設備士の免状を持つ全員が受ける法定講習です(消防法第17条の10)。期限は、免状の交付日以後の最初の4月1日から2年以内、その後は受講日以後の最初の4月1日から5年以内ごとです(消防法施行規則第33条の17)。手数料の国の標準額は7,000円です。
「消防設備士の更新」「再講習」「定期講習」「義務講習」と呼ばれることもありますが、どれもこの講習のことです。免状の写真を10年ごとに書き換える手続きは、講習とは別にあります。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法は2025年6月1日施行、消防法施行令は2025年10月1日施行、消防法施行規則は2026年6月26日施行の版)と、実施者の案内(2026年10月19日に確認)をもとに書いています。
講習の要点を1枚で
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 受ける人 | 消防設備士の免状の交付を受けている人全員(甲種・乙種、業務に従事しているかを問わない) | 消防法第17条の10 |
| 最初の期限 | 免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内 | 規則第33条の17第1項 |
| 2回目以降 | 講習を受けた日以後における最初の4月1日から5年以内(以後も同じ) | 同条第2項 |
| 行う者 | 都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む) | 消防法第17条の10 |
| 講習の中身 | 科目・時間などの細目は消防庁長官が定める | 規則第33条の17第3項 |
| 手数料 | 7,000円(都道府県の標準額。指定講習機関の講習は政令で7,000円) | 地方公共団体の手数料の標準に関する政令、消防法施行令第36条の8 |
期限の数え方 — 「最初の4月1日」から2年・5年
起点が「最初の4月1日」なので、期限はいつも3月31日で終わります。
| 例 | いつまでに受けるか |
|---|---|
| 2026年8月に免状の交付を受けた | 2027年4月1日から2年以内 → 2029年3月31日まで |
| 2029年1月に講習を受けた | 2029年4月1日から5年以内 → 2034年3月31日まで |
| 2026年2月10日に講習を受けた | 2026年4月1日から5年以内 → 2031年3月31日まで |
進む 2026年2月に受けた人と2026年5月に受けた人では、次の期限が1年違います(2031年3月末と2032年3月末)。2月の人は受講の直後に4月1日が来るからです。
講習区分 — 持っている類ごとに受ける
東京消防庁の令和8年度の案内では、講習は4つの区分に分かれていて、受講の時期も講習区分ごとに数えます。
| 講習区分 | 対象の免状 |
|---|---|
| 特殊消防用設備等 | 甲種特類 |
| 消火設備 | 甲種・乙種の第1類・第2類・第3類 |
| 警報設備 | 甲種第4類、乙種第4類・第7類 |
| 避難設備・消火器 | 甲種第5類、乙種第5類・第6類 |
たとえば甲4と乙6を持っている人は、「警報設備」と「避難設備・消火器」の2つの区分を受けることになります。
科目の一部免除: 講習を修了した日の翌日から6か月以内に別の区分を受けるときは、希望すれば法令の科目(千葉県の案内では「工事整備対象設備等関係法令及び防火に関する他法令等に関する事項」)の免除を受けられます。起点になるのは、一部免除を受けずに修了した講習です(一部免除を受けた講習からは数えません)。効果測定は免除されません。東京消防庁は、他の道府県で受けた講習でも一部免除を申請できるとしています。東京消防庁のオンライン講習では一部免除を受けられません。
どこで受けるか — 都道府県とオンライン
2026年10月19日に確かめた主な実施者の案内です。日程は年度ごとに変わるので、受ける前に最新の案内を確かめてください。
| 日本消防設備安全センター(オンライン) | 東京消防庁 | |
|---|---|---|
| 手数料 | 講習区分ごとに7,000円(非課税扱い) | 7,000円(非課税) |
| 形 | eラーニング。動画の視聴(講習科目は2時間30分以上と4時間以上)のあと、30分の効果測定 | 会場(午前9時〜午後5時。一部免除の人は午後1時から)とオンライン |
| 区分 | 特類を含む4区分 | オンラインでは特類を実施しない |
| 令和8年度の日程 | 第1回(申込み4月7日〜5月26日)・第2回(7月1日〜12月1日)・第3回(令和9年1月12日〜3月2日) | 回ごとの日程 |
| 修了の扱い | 修了証を免状と一緒に携行する(免状の裏面への記載は希望者が郵送で頼む) | — |
日本消防設備安全センターの案内には「消防設備士免状があれば受講可能!」とあり、受講者の住所の都道府県を限る記載はありません。千葉県は1講習7,000円(千葉県収入証紙)で、受付を千葉県消防設備協会が行っています。
受けないとどうなるか
- 講習を受けないことは、消防法第17条の10の違反です
- 消防設備士が消防法や命令の規定に違反しているときは、免状を交付した都道府県知事が免状の返納を命じることができます(消防法第17条の7第2項で準用する第13条の2第5項)
- 千葉県の案内は「受講期限内に受講しない場合は、加点対象となりますので注意してください。」と書いています。この「加点」は、都道府県が返納命令の判断に使う違反点数のことです。たとえば青森県の処分基準(消防設備士免状の返納命令)は、講習の受講義務違反を違反行為の1つとし、受講期限を過ぎたとき(その後も1年ごとに受講しなかったとき)に違反があったものとして、過去3年以内の点数が20点に達した免状の種類について返納を命じるとしています
消防法の罰則の条(第38条以降)には、講習の受講義務(第17条の10)の違反そのものを罰金などで罰する規定は見当たりません。また、講習を受けないと免状が自動的に失効するという定めもありません。期限を過ぎていることに気づいたら、受講する都道府県か実施者の案内で申込みの方法を確かめ、早めに受講します。日本消防設備安全センターのオンライン講習は、受講対象者を「最初の4月1日から2年以内の方」「5年以内の方」と書いていて、期限を過ぎた人が受けられるかは書いていません。
免状の写真の書換え・再交付は別の手続き
| 手続き | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 写真の書換え | 免状の記載事項は「過去十年以内に撮影した写真」。法令の基準は撮影日、消防試験研究センターの案内は交付日(前回の写真の書換えの完了日)から10年で、その前に書き換える(手数料1,600円) | 規則第33条の5第2項・施行令第36条の5 |
| 写真以外の書換え | 氏名・本籍地の都道府県などが変わったら遅滞なく(手数料700円)。申請先は免状を交付した知事か、居住地・勤務地の知事 | 施行令第36条の4・第36条の5 |
| 再交付 | 亡失・滅失・汚損・破損のとき、交付または書換えをした知事に申請(手数料1,900円)。なくした免状が出てきたら10日以内に再交付をした知事に提出 | 施行令第36条の6 |
| 免状の携帯 | 業務に従事するときは免状を携帯する | 消防法第17条の13 |
住所は免状の記載事項に入っていないので、引っ越しでは書換えは要りません(施行令第36条の4)。手数料は国の標準額(地方公共団体の手数料の標準に関する政令・同省令)と消防試験研究センターの案内によります。
危険物保安講習との違い
| 消防設備士の講習 | 危険物保安講習 | |
|---|---|---|
| 受ける人 | 消防設備士の全員 | 取扱作業に従事している危険物取扱者だけ |
| 最初の期限 | 免状の交付日以後の最初の4月1日から2年以内 | 従事してから1年以内(特例あり) |
| 2回目以降 | 最初の4月1日から5年以内 | 最初の4月1日から3年以内 |
| 手数料(標準額) | 7,000円 | 5,300円 |
危険物保安講習の数え方は 危険物保安講習とは にまとめています。
正誤の文で確かめる — ひっかけの型
消防設備士試験の筆記の科目「消防関係法令」(消防法施行規則第33条の10)の範囲に入る論点で、どの類にも共通です。
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 講習は、工事や整備の業務に従事している消防設備士だけが受ける | 誤り | 消防設備士の全員 |
| 最初の講習は、免状の交付を受けた日から5年以内に受ける | 誤り | 交付日以後の最初の4月1日から2年以内 |
| 2回目以降は、講習を受けた日以後の最初の4月1日から5年以内に受ける | 正しい | 規則第33条の17第2項 |
| 講習を受けないと、免状は自動的に失効する | 誤り | 失効の定めはない。返納命令の対象になりうる |
| 講習の科目・時間の細目は、講習を行う都道府県知事が定める | 誤り | 消防庁長官が定める |
| 業務に従事するときは、免状を携帯しなければならない | 正しい | 消防法第17条の13 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で確かめられます。
受験資格と合格後の免状の申請は 消防設備士 受験資格・免状申請・定期講習 完全ガイド にまとめています。
出典
- 消防法 第13条の2・第17条の7・第17条の10・第17条の13(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 消防法施行令 第36条の4・第36条の5・第36条の6・第36条の8(同・2025年10月1日施行の版)
- 消防法施行規則 第33条の5・第33条の6・第33条の10・第33条の17(同・2026年6月26日施行の版)
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令 本則の表二十三の項(同・2025年4月1日施行の版)、同政令に規定する総務省令で定める金額等を定める省令 第4条
- 東京消防庁「消防設備士講習」・令和8年度 講習案内、一般財団法人日本消防設備安全センター「消防設備士オンライン講習」、千葉県「工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習(消防設備士義務講習)」、青森県「不利益処分に関する処分基準(消防法)」(消防設備士免状の返納命令)、一般財団法人消防試験研究センター「写真の書換え」(いずれも2026年10月19日に確認)
当サイトの問題は消防設備士試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。消防試験研究センターとは関係ありません。


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