この記事は、e-Gov法令検索の消防法(2025年6月1日施行の版)・消防法施行令(2025年10月1日施行の版)・消防法施行規則(2026年6月26日施行の版)と、消防試験研究センターの「試験実施状況(令和7年4月~令和8年3月)」・受験資格の案内で確かめています(2026年10月25日に確認)。年収や離職率など、消防設備士だけの公的な数字を確かめていないものは、数字を書いていません。
「やめとけ」と言われる理由と、確かめられること
| よく挙がる理由 | 法令・公的な資料で確かめられること |
|---|---|
| 乙種では工事ができない | 乙種ができるのは整備だけ。工事(設置に係るもの)ができるのは甲種(消防法第17条の6、施行規則第33条の3) |
| 甲種は受験資格が要る | 乙種免状の交付後2年以上の整備の経験、電気工事士、電気主任技術者、技術士、指定の学科・15単位以上などが要る。乙種は誰でも受験できる(消防試験研究センター) |
| 試験が難しい | 令和7年度の合格率は甲種計32.5%・乙種計38.3%。類によって26.8%〜64.7%(同) |
| 取った後も講習が続く | 免状の交付後最初の4月1日から2年以内、その後5年以内ごとに講習(施行規則第33条の17) |
| 消防設備士でなくてもできる作業がある | 点検は消防設備点検資格者もできる。消火栓設備のホース・ノズル・ヒューズ類・ネジ類の交換などの軽微な整備は資格が要らない(消防法第17条の3の3、施行令第36条の2第2項、施行規則第31条の6・第33条の2の2) |
| 夜間・休日の作業や、高い所の作業がある | 職場によって違い、消防設備士だけの公的な数字はこの記事では確かめていない |
| 給料が上がらない | 同上 |
乙種と甲種で、できることが違う
消防設備士免状の交付を受けていない人は、政令で決めた消防用設備等の工事(設置に係るもの)と整備をしてはいけません(消防法第17条の5)。そのうち、甲種は工事と整備、乙種は整備ができ、対象の設備は類ごとに決まっています(第17条の6、施行規則第33条の3)。
| 類 | 対象の設備 | 甲種 | 乙種 |
|---|---|---|---|
| 特類 | 特殊消防用設備等 | 工事・整備 | ― |
| 1類 | 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備 | 工事・整備 | 整備 |
| 2類 | 泡消火設備 | 工事・整備 | 整備 |
| 3類 | 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備 | 工事・整備 | 整備 |
| 4類 | 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備 | 工事・整備 | 整備 |
| 5類 | 金属製避難はしご・救助袋・緩降機 | 工事・整備 | 整備 |
| 6類 | 消火器 | ― | 整備 |
| 7類 | 漏電火災警報器 | ― | 整備 |
資格が要る工事からは、1類の設備では電源・水源・配管の部分が、2〜4類の設備では電源の部分が除かれています(施行令第36条の2第1項)。5類の金属製避難はしごは、固定式のものに限られます(同項第11号)。消火器と漏電火災警報器は、整備には資格が要りますが、設置の工事は資格が要る工事に入っていません(同条第1項・第2項)。
「乙種は意味ない」かどうかは、この「整備だけ」で足りる仕事かどうかで変わります。点検・整備の会社やビルの設備管理なら乙種が役に立つ場面がある一方、自動火災報知設備などの設置工事に携わるなら甲種が要ります。類ごとの違いは「消防設備士の種類と区別」、乙種4類でできる仕事は「消防設備士乙4でできる仕事」、13の区分の全体は「消防設備士とは」にまとめています。
甲種の受験資格と、令和7年度の合格率
受験資格:乙種は誰でも受験できます。甲種(特類以外)は、次のような国家資格や学歴、実務経験のどれかが要ります(消防試験研究センター)。
- 乙種消防設備士免状の交付を受けた後、2年以上の工事整備対象設備等の整備の経験
- 電気工事士免状、第1種・第2種・第3種電気主任技術者免状、技術士第2次試験の合格
- 大学・高等専門学校・専修学校などで、機械・電気・工業化学・土木・建築に関する授業科目を15単位以上修めた(または指定の学科を卒業した)
- 消防用設備等の工事の補助者として5年以上の実務経験(受験しようとする類の設備に限る) など
甲種特類は、甲種1〜3類のどれか1つ・甲種4類・甲種5類の3種類以上の免状が要ります。
合格率:消防試験研究センターの令和7年度(令和7年4月~令和8年3月)の数字です。
| 類 | 甲種 受験者 | 甲種 合格率 | 乙種 受験者 | 乙種 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 特類 | 1,292人 | 31.9% | ― | ― |
| 1類 | 12,934人 | 28.7% | 2,048人 | 28.5% |
| 2類 | 4,334人 | 27.2% | 790人 | 29.7% |
| 3類 | 4,353人 | 31.6% | 965人 | 26.8% |
| 4類 | 21,819人 | 34.5% | 8,047人 | 34.0% |
| 5類 | 4,226人 | 40.5% | 1,168人 | 41.2% |
| 6類 | ― | ― | 32,400人 | 35.6% |
| 7類 | ― | ― | 5,822人 | 64.7% |
| 計 | 48,958人 | 32.5% | 51,240人 | 38.3% |
7類を除くと、どの類も26.8%〜41.2%です。筆記は科目ごとに40%以上・全体で60%以上、実技は60%以上が合格の基準です。1科目でも40%を下回ると、全体の点が足りていても合格になりません(甲種特類は筆記だけ)。科目と配点の見方は、類ごとの難易度の記事(たとえば「消防設備士甲4の難易度」)にまとめています。
取った後の手間:講習・写真・着工届
講習:消防設備士は、都道府県知事などが行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければなりません(消防法第17条の10)。期限は、免状の交付を受けた日以後の最初の4月1日から2年以内、その後は講習を受けた日以後の最初の4月1日から5年以内ごとです(施行規則第33条の17)。消防設備士の仕事をしていない人も対象です。法令に違反している消防設備士には、免状を交付した都道府県知事が免状の返納を命ずることができます(消防法第17条の7第2項で準用する第13条の2第5項)。講習の申込み方と期限の数え方は「消防設備士の講習」にまとめています。
写真:免状には過去10年以内に撮影した写真を載せると決まっていて(施行規則第33条の5第2項)、写真が撮影から10年を過ぎたら、遅滞なく、新しい写真を添えて免状の書換えを申請します(施行令第36条の5、施行規則第33条の6)。
着工届:甲種が、消防設備士でなければできない工事をするときは、着手しようとする日の10日前までに、設備の種類や工事の場所などを消防長又は消防署長に届け出ます(消防法第17条の14)。
消防設備士でなくてもできる作業と、消防設備士でないとできない作業
点検:建物の関係者は、消防用設備等を定期に点検して、結果を消防長又は消防署長に報告しなければなりません(消防法第17条の3の3)。点検は1年以内で消防庁長官が決める期間ごと、報告は特定防火対象物(百貨店・ホテル・病院など)が1年に1回、それ以外が3年に1回です(施行規則第31条の6)。延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物などでは、消防設備士か消防設備点検資格者に点検させなければなりません(施行令第36条第2項)。消防設備点検資格者は、消防設備士や電気工事士などの人が、消防庁長官の登録を受けた法人の講習を修了してなるものです(施行規則第31条の6第7項)。
整備:屋内消火栓設備の表示灯の交換や、屋内・屋外消火栓設備のホース・ノズル・ヒューズ類・ネジ類などの部品の交換、消火栓箱・ホース格納箱の補修といった軽微な整備は、消防設備士でなくてもできます(施行令第36条の2第2項、施行規則第33条の2の2)。
まとめると、消防設備士でないとできないのは、政令で決めた設備の工事(甲種)と、軽微なものを除く整備(甲種・乙種)です。点検だけの仕事なら、消防設備士でなくても消防設備点検資格者で足りる場面があります。
後悔しないために確かめること
「やめとけ」と言われる理由には、会社ごとに違うものもあります。求人票や面接で、次の点を確かめる方法があります。
| 確かめる点 | 理由 |
|---|---|
| 主な仕事が点検・整備か、工事か | 乙種で足りるか、甲種が要るかが変わる |
| 作業の時間帯 | 建物の営業時間外に点検する現場があるかで、夜間・休日の作業の有無が変わる |
| 時間外労働の協定(36協定)の時間 | 会社ごとに協定で決めている |
| 資格の取得と講習の費用の扱い | 講習は5年以内ごとに続き、甲種の受験には経験や資格が要ることがある |
| 高い所の作業の安全教育 | 避難器具や天井の感知器など、高い所の作業がある設備もある |
資格の勉強から始める人は、乙種なら受験資格がないので、まず受ける類の法令の問題を解いてみると、範囲の広さをつかみやすくなります。
取り違えやすい点
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 乙種消防設備士は、免状の類の設備の工事ができる | 誤り | 乙種ができるのは整備だけ(消防法第17条の6、施行規則第33条の3) |
| 消防用設備等の点検は、消防設備士しかできない | 誤り | 消防設備点検資格者もできる。点検させる義務のない建物では関係者が自ら点検する(消防法第17条の3の3) |
| 最初の講習は、免状の交付から5年以内に受ければよい | 誤り | 最初は交付後最初の4月1日から2年以内(施行規則第33条の17) |
| 6類(消火器)と7類(漏電火災警報器)には甲種がない | 正しい | 甲種は特類と1〜5類(施行規則第33条の3) |
| 甲種特類を受けるには、甲種の3種類以上の免状が要る | 正しい | 甲種1〜3類のどれか1つ・甲種4類・甲種5類(消防試験研究センター) |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、この記事の法令の範囲を確かめられます。
出典
- 消防法 第13条の2・第17条の3の3・第17条の5・第17条の6・第17条の7・第17条の10・第17条の14(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 消防法施行令 第36条・第36条の2・第36条の5(同・2025年10月1日施行の版)
- 消防法施行規則 第31条の6・第33条の2の2・第33条の3・第33条の5・第33条の6・第33条の17(同・2026年6月26日施行の版)
- 一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況(令和7年4月~令和8年3月)」・「受験資格」・「甲種について」・「試験の方法」(合格基準)(いずれも2026年10月25日に確認)
当サイトの問題は消防設備士試験の問題ではありません。法令や公開資料をもとに独自に作った練習問題です。消防試験研究センター・消防庁とは関係ありません。



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