第三種冷凍機械責任者の模試や予想問題は、「何点取れたか」を確認するための道具ではありません。本当の使い道は、法令と保安管理技術のどちらで、どの分野を落としているかを科目別の正答率で突き止め、そこを復習で潰すことです。試験は法令・保安管理技術の2科目で、合格には各科目とも60%以上が必要です。片方が60%を割れば、もう片方が高得点でも不合格になります。
だからこそ、模試を「採点して終わり」にせず、科目別・分野別に弱点を見える化し、復習サイクルで埋めていく運用が効きます。この記事は、そのための受験時期・回数・復習の回し方を解説します。
この記事で分かること
- 模試をいつ・何回受けるかという時期と回数の目安
- 法令20問・保安管理技術15問という科目構成と、各60%の足切りの意味
- 科目別正答率から弱点分野を切り分ける手順
- 間違いを定着に変える「復習サイクル」の回し方
- 模試が1種類しか入手できないときの代替活用法
- 法令だけ固めて保安管理を放置する、ありがちな失敗の避け方
まず構成を押さえる:2科目・各60%が合格条件
戦略を立てる前提として、試験の中身を正確に把握します。第三種冷凍機械責任者の試験は択一式で、次の2科目です。
| 科目 | 出題数 | 合格に必要な正答率 |
|---|---|---|
| 法令 | 20問 | 60%以上 |
| 保安管理技術 | 15問 | 60%以上 |
ポイントは、総合点ではなく科目ごとに60%の足切りがあることです。法令で稼いでも、保安管理技術が60%未満なら不合格。模試を受けたら合計点ではなく、まず2科目それぞれの正答率を見るクセをつけてください。なお、検定試験(講習)に合格していれば保安管理技術が科目免除になる制度もあるため、自分がどの科目を受けるのかも最初に確認しておきましょう。
広告
模試を受ける時期と回数の目安
年1回しかない試験では、模試を「思いついたときに解く」より、学習計画の中に位置づける方が効果的です。次の3段階が目安になります。
| 時期 | 受験の目的 | この時点の目標 |
|---|---|---|
| 試験3ヶ月前(第1回) | 現状把握・弱点特定 | 40〜50%でも可。どの科目が先に60%を割るかを確認 |
| 試験1ヶ月前(第2回) | 補強の進捗確認 | 重点科目が60%に届いているかをチェック |
| 試験2週間前(第3回) | 本番リハーサル | 70%以上で合格圏確認。時間配分も固める |
初回模試の正答率が低くても落ち込む必要はありません。この段階の目的は「現在地と弱点の地図を描くこと」です。
ステップ1:科目別正答率で弱点を切り分ける
模試を解いたら、採点はこの順で行います。
- 法令・保安管理技術それぞれの正答率を出す
- 60%に届いていない科目を「重点科目」に決める
- 重点科目の中で、どの分野で落としたかを分類する
法令で落としやすいのは、用語の定義や、設備規模に関わる数値の取り違えです。保安管理技術で落としやすいのは、冷凍サイクルの理解にかかわる部分です。具体的には次のような分野が中心になります。
| 科目 | つまずきやすい分野 | 確認の着眼点 |
|---|---|---|
| 保安管理技術 | 冷凍サイクルの基本 | 圧縮・凝縮・膨張・蒸発の流れを説明できるか |
| 保安管理技術 | p-h線図(モリエル線図) | 各状態点が線図上のどこかを言えるか |
| 保安管理技術 | COP・冷媒・圧縮機 | 用語の意味と関係を取り違えていないか |
| 法令 | 用語の定義 | 似た用語を混同していないか |
| 法令 | 設備規模に関わる数値 | 100トン未満など区分の数値が曖昧でないか |
「保安管理技術が苦手」と科目単位で片づけず、p-h線図なのか冷凍サイクルなのかまで分野を絞り込むと、復習の的が定まります。
ステップ2:間違いを定着に変える復習サイクル
弱点分野が分かったら、次の模試までに復習サイクルで埋めます。解きっぱなしが一番もったいないので、1問ごとに次を回します。
- 間違えた問題の「なぜ間違えたか」を一言で書く(知識不足か、読み違いか)
- その分野の基本(例:p-h線図の状態点)に戻って理解し直す
- 数日空けて同じ問題をもう一度だけ解き、正答できるか確認する
- それでも外す問題に印を付け、直前期に集中して見直す
このサイクルの肝は、理解に戻ってから解き直すことです。冷凍サイクルやp-h線図は、暗記でなく仕組みで覚えると、初見の問題にも対応できます。逆に法令の数値や用語定義は、繰り返しの確認で取りこぼしを減らすのが有効です。
ステップ3:受けるたびに「弱点が減ったか」を見る
模試は1回で終わらせず、復習を挟んで複数回受けると効果が出ます。確認するのは合計点の上下ではなく、前回つまずいた分野が今回は取れているかです。
- 重点科目の正答率が60%を安定して超えてきたか
- 前回ミスした分野(例:p-h線図)を今回は落としていないか
- 時間内に最後まで解き切れるか
複数回受ける余裕があるなら、最後の1回は時間を計って本番に近い形で通すと、時間配分の感覚もつかめます。冷凍3種は受験のチャンスが限られるため、1回の本番で実力を出し切れるよう、模試で「解く流れ」に慣れておくと安心です。
模試が1種類しか入手できないときの活用法
「使える模試が1種類しかない」という状況では、同じ問題を繰り返すことになります。その場合でも、次のように使い分けると弱点特定の効果を保てます。
- 1回目: 解答を見ずに全問解き、科目別正答率と誤答分野を記録する
- 日を空けた2回目: 1回目の誤答問題だけを再度解き、知識が定着したかを確認する
- 仕上げとして: 消防試験研究センター等が公開している過去問題を組み合わせ、本番形式に慣れる
模試の解答を丸暗記してしまうのが唯一のリスクです。「なぜその答えか」という理解を優先し、答えそのものを覚えることを目的にしないことが重要です。
やりがちな失敗と回避策
失敗1:合計点だけ見て一喜一憂する
合計が良くても、片方の科目が60%未満なら不合格です。模試はまず科目別の正答率を見て、足切りに近い科目を特定しましょう。
失敗2:法令だけ固めて保安管理技術を後回しにする
法令は暗記で点を伸ばしやすいぶん、保安管理技術を放置しがちです。両科目それぞれに60%の足切りがあるので、苦手な保安管理技術こそ優先して補強します。
失敗3:解きっぱなしで同じ分野を落とし続ける
復習サイクルを回さないと、弱点分野が本番まで残ります。間違えた問題は理解に戻って解き直し、数日後に再確認してください。
まとめ:まず科目別正答率を出して重点科目を決める
第三種冷凍機械責任者の模試は、点数を測る道具ではなく、法令20問・保安管理技術15問のどこで落としているかを突き止め、復習サイクルで潰すための道具です。3ヶ月前の初回診断→1ヶ月前の補強確認→2週間前の本番リハーサルという時期を意識して、各60%の足切りを両科目で安定して超えることをゴールにしましょう。
次の一手として、オリジナル予想問題160問を解いて法令と保安管理技術の正答率を別々に出し、60%に届かない科目を重点科目に決めてください。そこから復習サイクルを回せば、足切りを安定して超えられます。
出典:
- 高圧ガス保安協会 第三種冷凍機械責任者試験 — 試験概要・受験案内
- 高圧ガス保安法 (昭和 26 年法律第 204 号)
- 冷凍保安規則 (昭和 41 年通商産業省令第 51 号)

































































