本記事のポイント
- 第三種冷凍機械責任者の合格率は約36%(高圧ガス保安協会公表データ 令和6年度)。決して高い水準ではないが、しっかり対策すれば独学で十分合格を狙える試験だ
- 合格率30〜37%のレンジで安定推移しており、試験委員会が難易度コントロールをしている傾向が読み取れる
- 「保安管理技術の足切り」が不合格の最大原因。ここを攻略できた人が受かる試験だ
- 冷凍3種のオリジナル練習問題(160問)で、今日から演習を積もう
合格率約36%という数字を正直に読む
高圧ガス保安協会が公表する令和6年度のデータによると、第三種冷凍機械責任者試験の合格率は約36%だ。受験者の3人に2人が不合格になる計算であり、「合格率36%」という数字を見て受験を躊躇する人は少なくない。
しかし結論から先に述べると、この試験は「対策を積んだ人が受かる」設計になっており、正しい学習戦略で臨めば独学でも合格できる試験だ。
合格率36%という数字の意味と、なぜ64%の受験者が落ちるのかを分解していくと、「やるべきことをやれば受かる試験」という構造が見えてくる。本記事では合格率の推移・他資格との比較・不合格の原因・受かる人の特徴を順番に解説する。
合格率の推移データ(直近5年間)
年度別データ
高圧ガス保安協会が公表するデータをもとにした、第三種冷凍機械責任者試験の直近5年間の合格率推移を示す。
| 年度 | 受験者数(概算) | 合格者数(概算) | 合格率(概算) |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 約8,200人 | 約2,500人 | 約30% |
| 令和3年度 | 約8,000人 | 約2,800人 | 約35% |
| 令和4年度 | 約7,800人 | 約2,900人 | 約37% |
| 令和5年度 | 約7,600人 | 約2,800人 | 約37% |
| 令和6年度 | 約7,600人 | 約2,750人 | 約36% |
(出典:高圧ガス保安協会「第三種冷凍機械責任者試験 試験結果」公表データに基づく概算値。実際の数値と若干異なる場合がある。)
推移から読み取れること
直近5年間の合格率は30〜37%のレンジで推移している。大きく振れることなく同じ水準で推移していることから、高圧ガス保安協会が試験の難易度をある程度コントロールしている様子がうかがえる。
受験者数はやや減少傾向にあるが、合格率は横ばいだ。受験者が減少しても合格率が上がらないということは、問題の難易度設定が受験者の減少に合わせて調整されていると考えられる。「受験者が減れば合格しやすくなる」という単純な話ではない点に注意が必要だ。
一方で「令和2年度の30%」という数字は例外的に低く、その前後の年度では35〜37%と比較的高い水準が続いている。令和6年度の36%は、近年の傾向の中では標準的な水準と判断できる。
年度ごとのデータは高圧ガス保安協会の公式サイトで「試験結果の概要」として確認できるため、最新のデータは公式情報を参照してほしい。
合格率36%は本当に難しいのか
ビルメン4点セットとの比較
第三種冷凍機械責任者は、ビルメン(建物設備管理)の現場で重宝される「ビルメン4点セット」の1つだ。同じビルメン4点セットに含まれる資格と合格率を比較してみる。
| 資格名 | 合格率の目安 | 計算問題 | 試験回数/年 |
|---|---|---|---|
| 危険物乙4 | 約30〜40% | 少量あり | 複数回(都道府県毎) |
| 二級ボイラー技士 | 約50〜60% | 少量あり | 複数回 |
| 第二種電気工事士(筆記) | 約60〜70% | 電気計算あり | 年2回 |
| 第二種電気工事士(技能) | 約65% | なし | 年2回 |
| 第三種冷凍機械責任者 | 約36% | ほぼなし | 年1回のみ |
合格率の数字だけ見ると、冷凍3種は二級ボイラー技士や第二種電気工事士と比べて低い水準にある。しかし、この比較には重要な背景がある。
冷凍3種固有の要因が合格率を押し下げている
冷凍3種の合格率が比較的低い理由として、試験の内容の難しさだけでなく、以下の2つの構造的な要因がある。
- 年1回実施(11月)のみ: 失敗すると次の機会まで1年待つことになる。「今回は様子見で受けてみよう」という記念受験が他の資格より少なく、受験者の本気度が全体的に高い。しかも受験料が14,700円と高額のため、準備が不十分でも申し込んでしまう層が一定数いる。
- 科目足切り型の合否判定: 法令と保安管理技術の2科目でそれぞれ60%以上の正答率が必要だ。どちらか一方でも60%を下回れば、もう一方で満点を取っても不合格になる。
計算問題がほぼ出ない5肢択一試験という構造は、理系の計算が苦手な文系出身者にとってはむしろ有利だ。「合格率36%だから難しい試験」という単純な解釈より、「対策の仕方が合否を分ける試験」という理解が正確だ。
合格率を左右する「本気度フィルター」
受験料14,700円と試験が平日(例年11月の第2日曜日ではなく、都道府県によっては平日実施の場合もある)に実施されることを踏まえると、冷凍3種の受験者は「今年取る」という明確な動機を持った人が多い。それでも合格率が36%という水準である事実は、対策なしで受かる試験ではないことを示している。
逆に言えば、「きちんと学習した受験者の合格率」はこの数字より高い可能性がある。学習時間が不足した状態で受験する人が一定数いることが、全体の合格率を引き下げている構造だ。
なぜ64%の人が落ちるのか
合格率の裏側にある「64%の受験者が落ちる理由」を5つに整理する。自分が同じ轍を踏まないための確認リストとして読んでほしい。
理由1:保安管理技術の足切りに引っかかる
不合格の最多原因がこれだ。法令は20問中12問以上(60%)正解すれば合格ラインをクリアできるが、保安管理技術は15問中9問以上(60%)の正解が必要だ。
法令を懸命に勉強して法令で高得点を取っても、保安管理技術が8問以下(53%以下)なら即不合格になる。「法令は得意だから保安管理技術は後回し」という学習順序が命取りになる。
保安管理技術のオリジナル練習問題(80問)で、足切り回避の実力を先に固めることが攻略の核心だ。
理由2:学習開始時期が遅い
冷凍3種は年1回・11月実施という制約から、学習開始が9〜10月になってしまうケースが多い。試験本番まで2〜3ヶ月を切った状態から始めると、特に保安管理技術の「冷凍サイクルの物理的理解」が間に合わない。
余裕を持って合格するには8月開始(試験の3ヶ月前)を目安にしたい。社会人の場合、平日30分+休日2時間のペースで3ヶ月続けると、学習時間の合計は60〜80時間になる。この学習量が合格ラインの目安だ。
理由3:計算問題がないからと学習を舐める
「冷凍3種は計算問題がほぼ出ない」という情報だけを受け取り、「暗記するだけで受かる簡単な試験」と誤解して短期の詰め込みで受験するケースがある。
暗記すべき内容の量は決して少なくない。法令では高圧ガス保安法・冷凍保安規則・容器保安規則の3つの法令にまたがる条文内容を、数値の精度まで正確に覚える必要がある。保安管理技術では冷凍サイクル・各機器の構造・冷媒の特性・安全装置の動作原理など、理解と暗記を組み合わせた学習が求められる。
「計算がない = 楽」という思い込みが、準備不足での受験につながっている。
理由4:冷凍サイクルと p-h 線図の物理イメージが掴めないままパターン暗記に走る
保安管理技術で最も多くの受験者がつまずくのが、冷凍サイクルの仕組みとp-h線図(圧力-エンタルピー線図)の理解だ。「圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器」の4要素がそれぞれ何をしているか、冷媒がどのような状態変化をしているかをイメージできないまま用語だけを暗記しようとすると、応用問題や組み合わせ選択問題で対応できなくなる。
テキストの文章を読むだけでなく、冷凍サイクルの図を見ながら「各部位で何が起きているか」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解することが、保安管理技術の得点を安定させるカギだ。
理由5:法令の細かい数値を覚えきれない
高圧ガス保安法・冷凍保安規則には、冷凍能力による区分(第一種製造者・第二種製造者の判定基準)や各種届出・検査の期限など、数値の暗記が必須な規定が多数ある。
「だいたいこのくらい」という曖昧な記憶では、5択の選択肢の中から正確な数値を特定できない。数値絡みの問題は 法令のオリジナル練習問題 で繰り返し演習し、「問題の文脈とセットで数値を覚える」方法が定着への近道だ。
受かる人の特徴
合格者に共通している特徴を、学習時間・教材・学習順序・メンタルの4つの観点で整理する。
学習時間:60〜80時間(3ヶ月)
独学合格者の学習時間は60〜80時間が目安だ。設備管理の実務経験がある人や、高圧ガスの知識をすでに持っている人はこの水準で合格するケースが多い。まったくの初学者の場合は80〜100時間を見込んでおくのが安全だ。
1日あたりの学習時間に換算すると「平日30分・休日2時間」を3ヶ月継続することで、合計70〜80時間に到達できる。この量を3ヶ月で積み上げることが、合格者の標準的なペースだ。
教材:テキスト1冊 + 練習問題集(ぴよパスの160問)
教材の選び方は「1冊のテキストを3周する」が基本だ。複数のテキストに手を出すより、1冊を繰り返し読んで内容を定着させる方が合格に近づく。
テキスト選定の要点は以下の3点だ。
- 最新版であること(冷凍保安規則は定期改正されるため、発行年と改訂情報を確認する)
- 冷凍サイクルの図解が充実していること(p-h線図の各ポイントが視覚的に確認できるもの)
- 法令と保安管理技術の両科目をカバーしていること
テキストに加えてぴよパスのオリジナル練習問題160問を演習に使うことで、「テキストを読んで理解する → 問題を解いて確認する → 解説を読んで定着させる」というサイクルを効率よく回せる。
通勤時間のスマホ学習でもぴよパスの問題を周回できるため、隙間時間の積み上げが学習時間の底上げにつながる。
学習順序:保安管理技術を先に固めてから法令へ
多くの受験者が法令から学習を始めるが、合格者の傾向を見ると保安管理技術から取り組む順序が効果的だ。
1ヶ月目:保安管理技術の用語と冷凍サイクルを完全制覇。圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器の役割、p-h線図の読み方、主要な安全装置の動作原理を理解レベルで習得する。
2ヶ月目:法令(高圧ガス保安法・冷凍保安規則・容器保安規則)の条文内容を数値の精度まで暗記する。第一種製造者・第二種製造者の区分基準、各種届出・検査の周期などを表にまとめて繰り返し書き出す方法が効果的だ。
3ヶ月目:2科目を横断して練習問題を解き、弱点テーマを重点的に補強する。最終週は模擬試験モードで本番形式(35問)を解いて、科目別の得点を確認する。
メンタル:「年1回しかない」という危機感と「今年取る」というコミットメント
「年1回の試験」という事実は学習のプレッシャーになる一方で、「今年取るしかない」という強いコミットメントを生む。合格者に多い共通点として、「1年待つのが嫌だから絶対に今年受かる」という動機が学習継続力を支えているケースがある。
1回の受験で受かるためには、8月から3ヶ月の準備期間を確保して計画的に進めることが必要だ。
ぴよパスでの合格戦略
ぴよパスでは第三種冷凍機械責任者の2科目に対応したオリジナル練習問題160問を公開している。合格率36%を超える側に回るための使い方を説明する。
保安管理技術(80問)で足切り回避を徹底する
不合格の最多原因である「保安管理技術の足切り」を回避するために、保安管理技術の練習問題80問は繰り返し周回してほしい最重要カテゴリだ。
冷凍サイクルの原理・各機器の構造と機能・安全装置・運転管理の各テーマが80問に網羅されており、苦手なテーマを重点的に演習できる。各問に詳細な解説がついているため、「なぜその選択肢が正解か(または不正解か)」の根拠まで確認できる。
法令(80問)で条文の数値を体に染み込ませる
法令のオリジナル練習問題80問は、高圧ガス保安法・冷凍保安規則・容器保安規則の頻出テーマを網羅している。各問にはlegalBasis(根拠条文)が付されており、「どの条文のどの数値が問われているか」が一目で確認できる。
条文の数値は「問題の文脈とセットで繰り返し解く」方法が最も効果的だ。法令問題を80問すべて解き終えた時点で、主要な数値規定の多くが自然に記憶されている状態を目指す。
模擬試験モードで本番感覚を養う
試験本番は「法令20問+保安管理技術15問」の計35問、2時間30分という形式だ。模擬試験モードでは本番と同じ形式で実力を測定でき、科目別の得点分布も確認できる。
試験の1ヶ月前には必ず模擬試験を解いて、「法令・保安管理技術のそれぞれが60%を超えているか」を確認しておこう。どちらかが60%に届いていなければ、残り1ヶ月をその科目の集中対策に充てる。
無料体験から始める
各カテゴリの最初の5問は無料で解ける。まずは保安管理技術の練習問題から無料の5問に取り組み、「今の自分がどこでつまずくか」を把握することから始めてほしい。
全160問と模擬試験モードを利用するには月額480円のプランへの移行が必要だが、現在はFREE CAMPAINGとして全機能を無料で利用できる期間を設けている。この期間中に全160問を周回して合格力を高めてほしい。
まとめ:合格率36%を超える側に回るための2つの柱
第三種冷凍機械責任者の合格率約36%という数字は、きちんと対策した受験者が受かる試験であることを示している。「年1回・科目足切り・受験料14,700円」という条件が「本気の受験者のみが集まる試験」を作り出しており、それでも64%が落ちるのは「準備の量と質」の差だ。
合格率36%を超える側に回るための柱は2つだ。
柱1:保安管理技術は「暗記」ではなく「物理イメージ」から入る 冷凍サイクルの仕組みをp-h線図で視覚的に理解してから機器の名称・役割を覚える順序が効率的だ。保安管理技術の足切りを回避することが合格への第一条件であり、ここに最も多くの学習時間を投入することが正しい戦略だ。
柱2:法令は「数値の正確な記憶」が得点を決める 高圧ガス保安法・冷凍保安規則の数値規定を繰り返しの問題演習で体に染み込ませることで、法令で高得点を確保する。法令の高得点が保安管理技術の不安定な得点を吸収するバッファになる。
独学で3ヶ月・60〜80時間の準備を積んで、この2つの柱を両立した受験者が合格している。「合格率36%」は、適切な対策を積めば超えられる数字だ。
まずはぴよパスの保安管理技術の練習問題(無料5問)を解いて、今の自分の現在地を確認するところから始めてほしい。自分がどのテーマでつまずくかを把握することが、3ヶ月の学習計画を立てる最初のステップだ。
関連記事・ページ
- 第三種冷凍機械責任者を独学で合格する勉強法【2026年最新版】
- 冷凍3種「法令」科目の頻出論点と攻略対策
- p-h線図(モリエル線図)の読み方を完全マスター
- 消防設備士甲種4類の合格率と難易度|約30%の背景と合格するための3大戦略
- ビルメン4点セット完全ガイド|4資格の難易度・受験料・合格率を徹底比較
- 冷凍3種 オリジナル練習問題トップ(全科目)
- 冷凍3種 法令 練習問題(80問)
- 冷凍3種 保安管理技術 練習問題(80問)
- 冷凍3種 本番形式の模擬試験(35問)
出典
- 高圧ガス保安協会「令和6年度 第三種冷凍機械責任者試験 試験結果」(公表データに基づく概算値)
- 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号・最新改正版)
- 冷凍保安規則(昭和41年通商産業省令第51号・最新改正版)
- 容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号・最新改正版)