冷凍3種の計算は、単位と状態点をそろえて始める
冷凍3種の計算で混ざりやすいのは、冷媒1kg当たりの量と、装置が1秒間に処理する量です。式を覚える前に、問題文の単位がkJ/kg、kg/s、kg/h、kWのどれかを確認してください。この記事では、簡単なサイクルの編集部作成例で違いを確かめます。
| 量 | この記事の記号 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 冷凍効果 | q | kJ/kg | 冷媒1kgが蒸発器で受け取る熱量 |
| 冷凍能力 | Q | kW | 蒸発器で単位時間に受け取る熱量 |
| 圧縮の比仕事 | w | kJ/kg | 冷媒1kg当たりの圧縮仕事 |
| 圧縮動力 | L | kW | 単位時間当たりの圧縮仕事 |
| 成績係数 | COP | 単位なし | 冷凍能力と、定義した入力の比 |
p-h線図のhは比エンタルピーで、単位はkJ/kgです。日本冷凍空調学会のエンタルピー解説にあるように状態を表す量なので、hそのものを「装置の冷凍能力」とは呼びません。熱量や仕事との関係は、どの機器・過程を扱うかによって決まります。
状態点:番号の意味を、計算前に書く
ここでは定常運転の単段サイクルを考え、配管での熱の出入り・圧力損失と、運動・位置エネルギーの変化を無視します。圧縮機は断熱として扱います。実機でこれらが常にゼロという意味ではありません。
| 状態点 | この記事での位置 | 比エンタルピー |
|---|---|---|
| 1 | 圧縮機入口。例では蒸発器出口と同じ状態 | h1 |
| 2 | 圧縮機出口 | h2 |
| 3 | 凝縮器出口・膨張弁入口 | h3 |
| 4 | 膨張弁出口・蒸発器入口 | h4 |
状態点の番号は資料ごとに違います。問題文の図がこの表と違えば、図の機器名に合わせて読み替えてください。膨張弁を、外部との熱交換や軸仕事を無視する絞り過程として扱う場合は、h3=h4です。
日本冷凍空調学会の冷凍サイクル解説で、機器の位置とhの差を確認できます。状態が曖昧なときは、先にサイクルの復習ポイントへ戻ってください。
計算例:冷凍効果・能力・動力・COPを求める
次は単位を練習するための仮定値です。特定冷媒の物性値や公式過去問の数値ではありません。前節の条件の下で、h1=410、h2=450、h3=h4=250kJ/kg、冷媒循環量m=0.15kg/sとします。このh2は、ここで計算する圧縮過程の出口の値として与えています。
| 求める量 | 式 | この例の計算 |
|---|---|---|
| 冷凍効果q | h1−h4 | 410−250=160kJ/kg |
| 冷凍能力Q | m×q | 0.15×160=24kW |
| 圧縮の比仕事w | h2−h1 | 450−410=40kJ/kg |
| 圧縮動力L | m×w | 0.15×40=6kW |
| COP | Q÷L | 24÷6=4 |
kg/sにkJ/kgを掛けるとkJ/sになります。1kJ/s=1kWなので、能力と動力の単位がそろいます。この例ではCOPを、蒸発器の冷凍能力を冷媒の圧縮に必要な動力で割った値として定義しています。電動機や補機まで含む装置全体の電力消費を使った値とは区別してください。
同じ前提ならCOP=q÷wでも求まり、160÷40=4です。循環量が分子と分母で消えるためで、冷凍効果160kJ/kgと冷凍能力24kWが同じ量という意味ではありません。式を暗記するだけでなく、どこで単位が消えるかも確認しましょう。
kg/hと効率:換算と補正を重ねて間違えない
循環量がkg/hなら、kg/sにするには3600で割ります。先ほどと同じ流量は540kg/hなので、冷凍能力は540×160÷3600=24kWです。360で割ると10倍になってしまいます。
効率は、何の入力と出力の比なのかを先に確認します。「効率0.8」という数値だけで、hの差から求めた動力をさらに割るとは決められません。
| 問題で与えられたもの | 扱い |
|---|---|
| その圧縮過程の入口・出口h | 指定された仮定の下で動力を計算する。根拠なく効率で再補正しない |
| 理論動力と、理論動力÷実際の入力と定義した効率 | 実際の入力=理論動力÷効率 |
| 電動機の出力と電動機効率 | 効率の定義を確認し、電気入力を別に求める |
独立した例として、理論動力が6kW、効率を「理論動力÷実際の入力」と定義して0.8とすると、実際の入力は6÷0.8=7.5kWです。同じ24kWの冷凍能力をその入力で割るCOPは3.2になります。これは前節のh2からさらに補正した計算ではなく、効率の定義を学ぶ別の例です。
理論と実際のサイクルには圧縮過程や損失の違いがあります。日本冷凍空調学会の実サイクルの解説を読み、問題文がどちらの状態を与えているかを確かめてください。
法定冷凍能力は、kWの単純換算で決めない
保安管理技術で求める冷凍能力Qと、製造者区分や選任条件に使う「1日の冷凍能力」は、算定の目的が違います。法令のトン数を、前の例の24kWから一律に換算しないでください。
高圧ガス保安法第5条第3項は、省令の基準で算定すると定めています。冷凍保安規則第5条には設備方式別の基準があり、遠心式圧縮機では原動機の定格出力、吸収式では発生器の入熱量などを使います。ここは2026年度試験の基準日である2026年4月1日施行の版で確認しています。
解き直し:式の前提と単位を説明できるか確かめる
解き直すときは、状態点に機器名を書き、hの単位と流量の時間単位をそろえます。そのうえで、能力・動力・COPを順に求め、効率を使う場合はその定義を添えてください。この記事の式だけで試験の計算範囲を尽くすものではありません。
教材で説明を読み直す例として、ナツメ社『トコトンわかりやすい! 第3種冷凍機械責任者試験完全テキスト 第3版』は佐藤英男著、ISBN 9784816376665です。出版社の目次で構成を確認して選んでください。
上記はAmazonアソシエイトのリンクです。購入前に版・刷と正誤表・改訂情報を確認してください。保安管理技術の練習問題で式の意味を確かめ、説明できなかった箇所を独学の復習計画へ戻しましょう。





