結論を先に:冷凍3種の試験形式を先に把握する
第三種冷凍機械責任者試験(冷凍3種)は、高圧ガス保安協会(KHK)が主催する国家試験です。年1回、11月第2日曜日のみ実施されるため、出遅れると1年待ちになります。
試験形式の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催団体 | 高圧ガス保安協会(KHK) |
| 実施頻度 | 年1回・11月第2日曜日 |
| 試験形式 | 5択マークシート |
| 科目構成 | 法令20問(60分) + 保安管理技術15問(90分) |
| 合計 | 計35問・計150分 |
| 合格基準 | 各科目60%以上かつ全体60%以上 |
| 令和6年度合格率 | 約30〜40%(KHK公表値) |
編集部メモ: ぴよパスの160 問演習では、冷凍3種の頻出分野は出題ウェイトが高く、足切り直結の確認ポイントです。本文を読むだけで終えず、該当カテゴリを10問だけ解いて「覚えている」ではなく「本番で引き出せる」状態か確認してください。
科目別に時間が分割されており、法令を先に解いてから保安管理技術に移る形式です。2科目とも60%を超えなければ不合格になる「両科目足切り」がある点に注意してください。
認定講習(KHK主催)を修了した検定試験合格者は、法令科目が免除されて保安管理技術のみの受験となります。
3ランク俯瞰:35問の配点を頭に置いて頻出分野を選ぶ
冷凍3種は全35問のコンパクトな試験ですが、科目ごとに頻出テーマがはっきりしています。下表のランク区分で学習時間を配分することで、短期間で合格ラインに届きます。
| ランク | 分野 | 科目 | 学習時間配分 |
|---|---|---|---|
| ❶ 最頻出 | p-h線図 / 冷凍サイクル4工程 / 圧縮機 / 保安責任者選任 | 保安管理技術・法令 | 60% |
| ❷ 頻出 | 冷媒の種類と性質 / 凝縮器・蒸発器 / 製造者区分 / 法令用語 | 保安管理技術・法令 | 30% |
| ❸ 出れば取る | 容器塗色・刻印 / 配管材料 / 安全装置 | 法令中心 | 10% |
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❶ 最頻出ランク:学習時間60%を投入する4分野
p-h線図(圧力-エンタルピー線図)が最重要
保安管理技術の山場はp-h線図です。毎回の試験で複数問出題されます。p-h線図とは、横軸にエンタルピー(h)、縦軸に絶対圧力(p)を取った線図で、冷凍サイクルの各状態点を1枚の図で表現したものです。
覚えるべき4つの状態点
| 状態点 | 場所 | 状態 |
|---|---|---|
| 点1 | 蒸発器出口・圧縮機入口 | 湿り蒸気または乾き飽和蒸気 |
| 点2 | 圧縮機出口・凝縮器入口 | 過熱蒸気 |
| 点3 | 凝縮器出口・膨張弁入口 | 飽和液または過冷却液 |
| 点4 | 膨張弁出口・蒸発器入口 | 湿り蒸気 |
頻出の計算公式
- 冷凍効果: q = h1 - h4 (蒸発器での熱吸収量)
- 圧縮仕事: w = h2 - h1 (圧縮機の消費エネルギー)
- 成績係数(COP): COP = q / w = (h1 - h4) / (h2 - h1)
p-h線図の問題では「状態点を読み取って計算式に代入する」パターンが繰り返し出題されます。線図上で過冷却(点3が飽和液線の左)と過熱蒸気(点2が飽和蒸気線の右)を判別できるようにしてください。
冷凍サイクル4工程の確実な暗記
冷凍サイクルは次の4工程で構成されます。p-h線図の状態点と対応させて覚えてください。
| 工程 | 機器 | 変化の内容 |
|---|---|---|
| ① 圧縮 | 圧縮機 | 低圧の冷媒ガスを高圧に圧縮(点1→点2) |
| ② 凝縮 | 凝縮器 | 高圧の冷媒を冷却・液化(点2→点3) |
| ③ 膨張 | 膨張弁 | 高圧液を低圧に膨張(点3→点4) |
| ④ 蒸発 | 蒸発器 | 低圧液が気化して周囲の熱を吸収(点4→点1) |
「冷凍は蒸発器で冷却する」という直感に反して、蒸発器は熱を吸収することで周囲を冷やします。この仕組みを工程と結びつけて理解しておくと、図読み取り問題でも正確に答えられます。
圧縮機の種類と特性
圧縮機は試験の頻出テーマです。以下の種類と特徴を整理してください。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 往復式(レシプロ) | ピストンの往復運動で圧縮。小容量〜中容量に多い |
| 回転式(ロータリー) | ローターの回転で圧縮。小型・低振動 |
| スクロール式 | 渦巻き状の部品で圧縮。静粛性が高い |
| 遠心式(ターボ) | 大容量向け。冷媒の速度エネルギーを利用 |
| スクリュー式 | 2本のスクリューで圧縮。中〜大容量向け |
冷凍保安責任者の選任(法令の最頻出)
法令科目では、冷凍保安責任者の選任が毎回問われます。
| 資格区分 | 担当できる施設の冷凍能力 |
|---|---|
| 第一種冷凍機械責任者 | 全ての冷凍施設 |
| 第二種冷凍機械責任者 | 1日の冷凍能力300トン未満 |
| 第三種冷凍機械責任者 | 1日の冷凍能力100トン未満 |
製造施設の規模ごとに選任できる資格区分が異なります。「第一種と第三種の境界は100トン/日」という数値を確実に押さえてください。
❷ 頻出ランク:学習時間30%で確実に得点する4分野
冷媒の種類と性質
HFC系冷媒(R-134a、R-410Aなど)が現在の主流です。冷媒の性質として、毒性・可燃性・沸点・分子量が問われます。
| 冷媒 | 分類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| R-22 | HCFC | オゾン層破壊あり、代替が進む |
| R-134a | HFC | オゾン層破壊なし、カーエアコン等 |
| R-410A | HFC | 高圧冷媒、家庭用エアコン |
| アンモニア(R-717) | 自然冷媒 | 毒性・可燃性あり、大型施設向け |
凝縮器・蒸発器の構造
| 機器 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 凝縮器 | 水冷式 | 冷却水で冷媒を冷却、冷却効率高い |
| 凝縮器 | 空冷式 | 外気で冷却、設備簡単 |
| 蒸発器 | 直膨式 | 冷媒が直接蒸発して冷却 |
| 蒸発器 | ブライン式 | ブライン(不凍液)を介して冷却 |
第一種・第二種製造者の区分
| 区分 | 手続き | 冷凍能力の目安 |
|---|---|---|
| 第一種製造者 | 許可 | 法令で定める規模以上 |
| 第二種製造者 | 届出 | 法令で定める規模未満 |
許可(第一種)と届出(第二種)の違い、それぞれの法的義務(完成検査・保安検査等)が問われます。
高圧ガス保安法の用語定義
「高圧ガス」「冷凍機」「製造」「貯蔵」の定義は法令科目の基礎です。特に「高圧ガスとは何を指すか」という圧力要件(ゲージ圧力1MPa以上等)の数値を確認してください。
❸ 出れば取るランク:学習時間10%で概要のみ押さえる
| 分野 | 攻略ポイント |
|---|---|
| 容器の塗色・刻印 | 高圧ガス容器の色分け規定(アンモニアは白等) |
| 配管材料の特性 | 銅管・ステンレス管・鋼管の使用条件 |
| 安全装置 | 安全弁・破裂板・溶栓の機能と設置義務 |
これらの分野は出題頻度が低く、深追いすると最頻出の p-h 線図対策に使える時間を削ります。「出題されたら常識で考えて選ぶ」程度の把握で十分です。
科目別の頻出テーマ一覧
保安管理技術(15問)の頻出
| 分野 | ランク | 対策優先度 |
|---|---|---|
| p-h線図(状態点読み取り・COP計算) | 最頻出 | 最優先 |
| 冷凍サイクル4工程 | 最頻出 | 最優先 |
| 圧縮機の種類と特性 | 最頻出 | 最優先 |
| 冷媒の種類と性質 | 頻出 | 高 |
| 凝縮器・蒸発器の構造 | 頻出 | 高 |
| 安全装置の種類 | 出れば取る | 低 |
法令(20問)の頻出
| 分野 | ランク | 対策優先度 |
|---|---|---|
| 冷凍保安責任者の選任 | 最頻出 | 最優先 |
| 第一種・第二種製造者の区分 | 頻出 | 高 |
| 高圧ガス保安法の用語定義 | 頻出 | 高 |
| 容器の塗色・刻印 | 出れば取る | 低 |
法令は20問と保安管理技術の15問より多く、合否への影響が大きい科目です。保安責任者の選任と製造者区分の数値暗記を早めに固めてください。
3ランクの学習時間配分プラン
90時間の場合(標準プラン)
| ランク | 時間 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 最頻出(60%) | 54時間 | p-h線図20時間・冷凍サイクル10時間・保安責任者12時間・圧縮機12時間 |
| 頻出(30%) | 27時間 | 冷媒10時間・凝縮器蒸発器10時間・法令用語7時間 |
| 出れば取る(10%) | 9時間 | 容器塗色・配管・安全装置の概要 |
年1回試験のための6ヶ月学習プラン
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 6〜5ヶ月前 | 冷凍サイクルの基礎理解・法令用語の素読み |
| 4〜3ヶ月前 | p-h線図の徹底演習・保安責任者数値の暗記 |
| 2ヶ月前 | 頻出分野の問題演習・弱点洗い出し |
| 1ヶ月前 | 苦手分野の集中強化 |
| 直前2週間 | p-h線図・法令数値の総確認 |
年1回しか受験機会がない試験です。「来年でいいや」とならないよう、6ヶ月前からの学習開始を強くすすめます。
残り時間別の優先順位
| 残り時間 | 最頻出ランク | 頻出ランク | 出れば取る |
|---|---|---|---|
| 3ヶ月以上 | 全分野を丁寧に | 全分野 | 概要のみ |
| 1〜2ヶ月 | p-h線図+保安責任者を固める | 主要分野のみ | 無視でよい |
| 2〜3週間 | p-h線図集中演習 | 弱点のみ | 無視 |
| 1週間 | p-h線図+冷凍サイクルを再確認 | 弱点のみ | 無視 |
よくある失敗パターンと回避策
失敗パターン1: p-h線図を「難しいから後回し」にする
p-h線図は確かに初見では難しく感じますが、毎回複数問出題される最重要テーマです。後回しにして直前に焦っても間に合いません。学習開始から最初の2〜3週間でp-h線図の基本を理解する計画を立ててください。
失敗パターン2: 法令を「暗記科目だから後でいい」と軽視する
法令は20問と問題数が多く、かつ合格基準の科目足切り(60%)もあります。保安責任者選任の数値や製造者区分は早めに暗記して、演習問題で定着させてください。
失敗パターン3: 全35問を均等に対策する
試験が35問と少ないため「全部やれば安心」と思いがちですが、出題頻度には明確な差があります。3ランクで優先順位をつけ、最頻出に集中することが合格への近道です。
失敗パターン4: 出れば取る分野に深入りする
容器塗色や配管材料は出題頻度が低く、深入りしてもリターンが少ない分野です。p-h線図の演習1時間分のほうが合格確率を大きく上げます。
合格率30〜40%に入るための最終チェックリスト
- p-h線図の4状態点と冷凍効果・COPの計算式を暗記している
- 冷凍サイクル4工程(圧縮→凝縮→膨張→蒸発)を各機器名と結びつけて説明できる
- 第三種冷凍機械責任者の担当範囲(100トン未満)を即答できる
- 第一種製造者(許可)と第二種製造者(届出)の違いを説明できる
- 主要冷媒(R-134a・R-410A・アンモニア)の特徴を比較できる
- 法令の「高圧ガス」の定義条件を把握している
- 容器塗色と安全装置の概要を一読した
編集部より: 3,000問超の解説から見えた合格者の共通行動
ぴよパスで3,000問超のオリジナル予想問題と解説を作成するなかで、合格者と不合格者のアプローチの違いが見えてきました。
合格者は「p-h線図を最優先で仕上げ、法令の数値を早期暗記する」というシンプルな戦略を徹底していました。35問という試験の全体像を把握した上で、最頻出分野に時間を集中投入しています。
一方で不合格になりやすいのは「全部均等にやる」か「苦手なp-h線図を最後に回す」パターンです。年1回しかない試験で遠回りしないために、3ランクの配分を守ってください。
出典:
- 高圧ガス保安協会(KHK) 第三種冷凍機械責任者試験 — 試験概要・受験案内・合格率データ
- 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)
- 冷凍保安規則(昭和41年通商産業省令第51号)
























































