- 手がかり再生は、16の物の絵を覚えて、ヒントなし・ヒントありの2回で名前を書く(最大32点)。
- 時間の見当識は、検査のときの年・月・日・曜日・時刻を書く5問(最大15点)。
- 本番の絵は、公開されている4パターンのうちの1つ(警察庁の通達)。
ぴよパスには認知機能検査そのものの練習はありません。更新の前に交通ルールを見直すなら、普通免許の学科試験の練習問題を分野ごとに無料で解けます。たとえば高齢運転者等専用場所の駐車の問題や高齢の歩行者の事故の問題から開けます。どれもぴよパスのオリジナル予想問題で、本試験の問題ではありません。
この記事は、警察庁の「認知機能検査について」のページと公開の資料、警察庁の通達(丁運発第72号・丙運発第28号)、道路交通法・施行令・施行規則(e-Gov法令検索)、警視庁・大阪府警察・神奈川県警察の案内を、2026年10月21日に確かめてまとめたものです。
結論: 認知機能検査の中身と判定の基準
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 更新期間が満了する日(誕生日の1か月後)の年齢が75歳以上の人 |
| 受けられる時期 | 更新期間が満了する日の6か月前から |
| 検査の項目 | 手がかり再生(16の絵)・時間の見当識(年月日・曜日・時刻) |
| 点数 | 手がかり再生は最大32点、時間の見当識は最大15点 |
| 総合点 | 2.499×手がかり再生の点+1.336×時間の見当識の点(小数点以下は切り捨て) |
| 判定 | 36点未満は「認知症のおそれがある」、36点以上は「認知症のおそれがない」 |
| 方法 | 検査用紙に書くか、タブレットにタッチペンで入力する |
| 手数料(標準額) | 1,050円(道路交通法施行令第43条。実際の額は都道府県の条例) |
検査の方法は道路交通法施行規則第26条の3が、判定の基準は同第29条の3が定めています。更新のとき以外にも、75歳以上の人が信号無視などの特定の違反をすると、臨時に同じ検査(臨時認知機能検査)を受けます(道路交通法第101条の7)。警察庁は、検査は「医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではありません」としています。
検査の流れ — 手がかり再生と時間の見当識
警察庁が公開している進行要領(検査員向けの台本)では、検査は次の順に進みます。
- 絵を覚える(手がかり再生の出題): 1枚に4つの絵が描かれた紙を4回見せられ、全部で16の物を覚えます。1枚の時間は「おおむね1分」です。検査員は「これは、大砲です。」のように物の名前を言ったあと、「この中に、楽器があります。それは何ですか?」と分類で尋ねます。口で答える必要はありません。
- 採点に関係しない課題(介入課題): 数字の表の中から、言われた数字に斜線を引きます。1回目は2つの数字、2回目は3つの数字で、それぞれ30秒です。絵を見てから答えるまでに時間を空けるための課題です。
- ヒントなしで書く(自由回答): 覚えた16の物の名前を、順番は気にせずに書きます。3分です。
- ヒントを見て書く(手がかり回答): 回答用紙に「戦いの武器」「楽器」「体の一部」などの16のヒントが並んでいて、1つのヒントに1つずつ名前を書きます。3分です。
- 時間の見当識: 「今年は何年ですか?」「今月は何月ですか?」「今日は何日ですか?」「今日は何曜日ですか?」「今は何時何分ですか?」の5問に答えます。2分です。
検査の前に、時計と携帯電話はカバンやポケットにしまうよう指示されます。消しゴムは使えず、書き間違えたら二重線で直します。「何年」は干支ではなく、西暦でも和暦でも構いません。全体の所要時間は警察庁の資料では決まっておらず、大阪府警察は「30分程度」と案内しています。
採点のしかたと36点の基準
採点は、警察庁の採点基準(公開のPDF)と施行規則第29条の3のとおりです。
手がかり再生(最大32点)
| 答え方 | 1つの物の点 |
|---|---|
| ヒントなしで正しく書けた | 2点 |
| ヒントなしでは書けず、ヒントを見て初めて書けた | 1点 |
| どちらでも書けなかった | 0点 |
書く順番は採点に関係しません。1つのヒントに2つ以上の名前を書くと誤答です。言い換え(方言・外国語・通称)や、示された絵に似たもの、誤字脱字は、受ける人に不利にならないよう正答として扱われます(ただし警察庁が別に示すものは誤答)。
時間の見当識(最大15点)
| 質問 | 正答の点 |
|---|---|
| 年 | 5点 |
| 月 | 4点 |
| 日 | 3点 |
| 曜日 | 2点 |
| 時刻 | 1点(検査の時刻から前後30分以上ずれたら誤答) |
空欄は誤答です。分からないときも、何か書いた方が点になる可能性があります。
総合点と判定: 総合点=2.499×手がかり再生の点+1.336×時間の見当識の点で、小数点以下は切り捨てます。36点未満なら「認知症のおそれがある」です。満点はおよそ100点になります。
警察庁の通達は、手がかり再生が15点以上なら、時間の見当識の点にかかわらず総合点は36点以上になると書いています(2.499×15=37.485)。
例題: 総合点を計算してみる
ぴよパスで作った計算の例です(本番の問題ではありません)。
例1: ヒントなしで8つ、ヒントを見てさらに4つ書けた。時間の見当識は、年・月・日・曜日が正しく、時刻だけ1時間ずれていた。
- 手がかり再生: 8×2+4×1=20点
- 時間の見当識: 5+4+3+2=14点
- 総合点: 2.499×20+1.336×14=49.98+18.704=68.684 → 68点(36点以上なので「認知症のおそれがない」)
例2: 時間の見当識が15点満点だった。手がかり再生は何点あれば36点に届くか。
- 1.336×15=20.04点。残りの15.96点を手がかり再生で取る。
- 手がかり再生6点なら2.499×6=14.994で、総合点は35点(35.034を切り捨て)。7点なら2.499×7=17.493で、総合点は37点(37.533を切り捨て)。
- 答え: 7点。たとえばヒントなしで3つ、ヒントを見てさらに1つ書ければ7点です。
時間の見当識の年(5点)と月(4点)は配点が大きいので、検査の日の年月日を落ち着いて書くことが点に効きます。
練習のしかた — 警察庁の検査用紙とイラスト4パターン
警察庁の「認知機能検査について」のページでは、次の資料を無料でダウンロードできます。
| 資料 | 中身 |
|---|---|
| 検査用紙 | 表紙・問題用紙(各検査の説明)・回答用紙(介入課題の数字の表・自由回答の16欄・ヒント16個・時間の見当識の5問) |
| イラスト(パターンA・B・C・D) | 1パターン4ページ(1ページに4つの絵)で16の物 |
| 採点方法・採点基準 | 総合点の式・36点の基準・正答と誤答の例 |
| 進行要領 | 検査員が読み上げる台詞と時間の目安。4パターンそれぞれの読み上げの文も載っている |
警察庁は、これらで「検査を体験することができます」とし、周りの人が検査員の役をして進めることを勧めています。進行要領は検査員向けの資料ですが、体験の参考にするよう書かれています。
家で体験するときの進め方
- 家族などに検査員の役を頼み、進行要領のとおりに読み上げてもらう。時間はストップウォッチで計る。
- イラストを1枚ずつ見せてもらう(1枚おおむね1分)。
- 介入課題(数字に斜線)をしてから、ヒントなし3分・ヒントあり3分で書く。
- 年月日・曜日・時刻を2分で書く。時計とカレンダーは見えない所に置く。
- 採点基準で点を付け、総合点を計算する。
本番の手がかり再生は、通達(丁運発第72号)で「パターンA、パターンB、パターンC、パターンD」のうち任意に選んだ1パターンを使うと決まっています。公開されている進行要領は、この通達の別添と同じ文です。
古い資料に注意: 2022年5月12日までの認知機能検査には「時計描画」があり、結果は3つの分類で判定されていました。時計描画や「第1分類」「76点」が出てくる解説や資料は、いまの検査とは違います。たとえば、検索で出てくる神戸市のPDF「改正道路交通法の認知機能検査について」は2017年の市の会議の資料で、改正前の中身です。
2022年5月13日に変わったこと
道路交通法施行規則の改正(令和4年内閣府令第7号)と施行令の改正(令和4年政令第16号)で(どちらも2022年5月13日施行)、検査は次のように変わりました。e-Gov法令検索で改正の前と後の条文を比べ、高齢者講習の時間は大阪府警察の案内で確かめています。
| 2022年5月12日まで | 2022年5月13日から | |
|---|---|---|
| 検査の項目 | 時間の見当識・手がかり再生・時計描画の3つ | 時間の見当識・手がかり再生の2つ |
| 判定 | 49点未満・76点未満などで3つの分類 | 36点未満か36点以上かの2つ |
| 手数料の標準額 | 750円 | 1,050円 |
| 高齢者講習 | 検査の結果で2時間と3時間に分かれた | 検査の結果にかかわらず2時間(普通自動車を運転できる免許の人) |
同じ2022年5月13日に、令和2年改正の道路交通法の施行で、75歳以上で一定の違反歴がある人が受ける運転技能検査も始まりました。
受ける時期・予約・手数料・持ち物
| 警視庁 | 大阪府警察 | 神奈川県警察 | |
|---|---|---|---|
| 通知 | 有効期間満了日の6か月前までに届くよう発送 | 有効期間満了日の約190日前に送付 | 更新期間満了日のおおむね6か月前に郵送 |
| 予約 | 予約制(WEB予約・電話予約。本人以外が代わってWEB予約もできる) | 試験場や教習所へ直接予約 | 完全予約制 |
| 手数料 | 警察施設は1,050円(教習所は教習所ごとに違う) | 標準額1,050円(教習所は違う場合がある) | 1,050円 |
| 結果 | 検査後に結果通知書を交付(更新のときに要る) | 検査が終わったあと検査場所で結果通知書を渡す | 「おそれあり」「おそれなし」として通知 |
警視庁が挙げる持ち物は、「検査と講習のお知らせ」のはがき・検査手数料・黒色ボールペン・運転免許証とマイナ免許証(持っている人)・眼鏡や補聴器(必要な人)です。医師の診断書を出した人など、検査が免除される場合もあります(施行規則第29条の2の3)。
高齢者講習・運転技能検査との違い
| 対象 | 中身 | 合否 | |
|---|---|---|---|
| 高齢者講習 | 更新期間満了日に70歳以上 | 普通自動車を運転できる免許の人は、講義30分・運転適性検査器材による指導30分・実車指導60分の2時間(手数料の標準額6,600円)。二輪・原付などの免許だけの人と運転技能検査の対象者は、実車指導のない1時間(2,950円) | 無い(試験ではない) |
| 認知機能検査 | 更新期間満了日に75歳以上 | 手がかり再生・時間の見当識 | 無い(36点を基準に判定) |
| 運転技能検査 | 75歳以上で普通自動車を運転できる免許を持ち、決められた期間に一定の違反(警察は11類型と案内)をした人 | コースを走る課題。100点からの減点方式 | 有る(第一種免許は70点以上、第二種免許は80点以上。合格しないと更新できない) |
75歳以上の人は、高齢者講習と認知機能検査の両方を受けます。運転技能検査の対象になる人は、さらに運転技能検査を受け、高齢者講習は実車指導のない1時間(標準額2,950円)になります。警視庁の案内では、更新のときの誕生日が令和4年10月12日以降の人は(いま更新する人はこれに当たります)、検査と講習を受ける順番は自由です。
「認知症のおそれがある」と判定されたら
- 直ちに認知症というわけではなく、免許の更新の手続はできます(警察庁の進行要領・神奈川県警察の案内)。
- 臨時適性検査か、医師の診断書を出すよう命じられ、医師の診断を受けます(道路交通法第102条)。
- 認知症と診断されると、聴聞などの手続を経て、免許の取消しや停止になります。
- 検査は何回でも受け直せますが、受けるたびに手数料が要ります。受け直して「おそれがない」と判定されれば、臨時適性検査や診断書の提出命令の対象になりません(警察庁のQ&A 問5)。
民間のテスト・アプリ・本
公的な練習の材料は、上の警察庁の資料です。ほかに、民間の練習の道具もあります(中身は確かめていません)。
- JAFのウェブ「認知機能検査テスト」: JAF(一般社団法人日本自動車連盟)が2024年5月24日に公開したオンラインのテストで、JAFは警察庁公開の資料をもとに再編成したと書いています。
- アプリ: App StoreやGoogle Playに、個人や民間の会社が出している認知機能検査の練習アプリがあります。警察庁や警察が出しているアプリは見つかりませんでした。
- 本: 「運転免許認知機能検査模擬テスト〈2027年版〉」(扶桑社・2026年9月発売)や「受かる!運転免許認知機能検査〈2026-27〉」(芸文社・2026年9月発売)など、毎年の版で出ています。版を選ぶときは、2022年5月13日からの2項目の検査に合わせた版かを確かめます。
まとめ
- 認知機能検査は、75歳以上の免許更新で受ける「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つの検査。合格・不合格ではなく判定。
- 総合点=2.499×手がかり再生(最大32点)+1.336×時間の見当識(最大15点)。36点未満で「認知症のおそれがある」。
- 手がかり再生が15点以上なら36点以上が確定。見当識が満点なら手がかり再生7点で届く。
- 警察庁が検査用紙・イラスト4パターン・採点方法・進行要領を公開していて、家で体験できる。本番の絵はこの4パターンのうちの1つ。
- 更新期間満了日の6か月前から受けられ、手数料の標準額は1,050円。時計描画や3分類の資料は2022年5月より前の古いもの。
関連記事
出典
- 警察庁「認知機能検査について」: https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html
- 警察庁 認知機能検査の採点方法: https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/saiten_r03.html
- 警察庁 認知機能検査のQ&A: https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/faq_r03.html
- 警察庁 運転技能検査の案内: https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ginoukensa.html
- 警察庁丁運発第72号「認知機能検査の実施要領について(通達)」(令和7年2月28日・令和7年3月24日から運用): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo070228_72.pdf
- 警察庁丙運発第28号「認知機能検査の運用について(通達)」(令和7年2月28日): https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo070228_28.pdf
- 警察庁 高齢運転者対策の概要(令和8年のPDF): https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/pdf/r08_koureiuntengaiyou.pdf
- 道路交通法(e-Gov法令検索・2026年7月21日施行の版)第101条・第101条の4・第101条の7・第102条
- 道路交通法施行令(e-Gov法令検索・2026年9月1日施行の版)第43条、令和4年政令第16号による改正の前後
- 道路交通法施行規則(e-Gov法令検索・2026年9月1日施行の版)第26条の3・第29条の2の3・第29条の3、令和4年内閣府令第7号による改正の前後
- 警視庁「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)」: https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshu/koshu/over75.html
- 大阪府警察「運転免許更新手続(75歳以上の方)」: https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/untenmenkyo/over70/3716.html
- 大阪府警察「70歳以上の免許更新制度が変わりました(令和4年5月13日から)」: https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/untenmenkyo/over70/12649.html
- 神奈川県警察「75歳以上の方の運転免許更新手続(高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査)」: https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/menkyo/mes83136.html
- JAF「エイジド・ドライバー総合応援サイト」: https://jaf.or.jp/common/safety-drive/online-training/senior
- JAF Mate Online「JAFが高齢者の免許更新をサポート! 「認知機能検査テスト」をウェブ公開」: https://jafmate.jp/car/traffic_topics_20240524_2.html


