語呂を作る前に、覚えなくていい数値を捨てる
甲種3類は不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の3設備をまとめて問われるため、数値の量が単純に3倍あります。ここで全部を語呂にすると、今度は語呂どうしが混ざります。
先に手を付けるべきなのは、条文の中にある数値どうしの関係です。消防法施行規則第21条の粉末の表を並べると、種別ごとの数値が一定の倍率で並んでいることが分かります。関係で導ける数値は覚える必要がありません。残った本当にバラバラな数値だけを語呂で固定する、という順番にすると暗記量が半分以下になります。
以下の数値は消防法施行令第16〜18条・消防法施行規則第19〜21条の条文から取っています。語呂は入口であって根拠ではないので、必ず条文に戻って確認してください。
IG-55 と IG-541 は名前が組成比そのもの
規則第19条第2項第2号は、消火剤の名前を組成比で定義しています。
| 消火剤 | 条文上の組成 | 名前との対応 |
|---|---|---|
| IG-55 | 窒素とアルゴンの容量比が 50対50 | 5と5 |
| IG-541 | 窒素とアルゴンと二酸化炭素の容量比が 52対40対8 | 5・4・(0.8→1) |
IG-541は「52・40・8」の頭を取って541です。ここは語呂を作るより、名前が組成比だと知っている方が早く、しかも忘れません。IG-55が窒素とアルゴンの2成分、IG-541が二酸化炭素を含む3成分という違いも同時に押さえられます。
放射圧力は6つの数字しかない
3設備を横に並べると、噴射ヘッドの放射圧力に出てくる値は 0.1 / 0.2 / 0.3 / 0.9 / 1.4 / 1.9 の6つだけです。
| 消火剤 | 放射圧力 | 根拠 |
|---|---|---|
| 二酸化炭素(高圧式) | 1.4メガパスカル以上 | 規則第19条第2項第2号イ |
| 二酸化炭素(低圧式) | 0.9メガパスカル以上 | 同上 |
| 窒素・IG-55・IG-541 | 1.9メガパスカル以上 | 規則第19条第2項第2号ロ |
| ハロン2402 | 0.1メガパスカル以上 | 規則第20条第2項第2号イ |
| ハロン1211 | 0.2メガパスカル以上 | 同上 |
| ハロン1301 | 0.9メガパスカル以上 | 同上 |
| HFC-23 | 0.9メガパスカル以上 | 規則第20条第2項第2号ロ |
| HFC-227ea・FK-5-1-12 | 0.3メガパスカル以上 | 同上 |
| 粉末(種別を問わず) | 0.1メガパスカル以上 | 規則第21条第2項第1号 |
ハロン系は2402→0.1、1211→0.2、1301→0.9と、ハロン番号が小さくなるほど圧力が上がります。「ニーヨンはゼロイチ、イチニイはゼロニイ、イチサンはゼロキュー」と番号と圧力を並べて読むと、3つまとめて入ります。
粉末が0.1でハロン2402と同じ、という重なりも覚えておくと選択肢の消去に使えます。
放射時間は「1分」を基準に、例外を2つだけ覚える
全域放出方式の放射時間は、基準を1分に置くと整理できます。
| 設備・消火剤 | 放射時間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 二酸化炭素(その他の防火対象物) | 1分 | 規則第19条第2項第3号イ |
| 二酸化炭素(通信機器室) | 3.5分 | 同上 |
| 二酸化炭素(指定可燃物) | 7分 | 同上 |
| 窒素・IG-55・IG-541 | 消火剤量の10分の9以上を1分以内 | 規則第19条第2項第3号ロ |
| ハロン2402・1211・1301 | 30秒以内 | 規則第20条第2項第3号イ |
| HFC-23・HFC-227ea・FK-5-1-12 | 10秒以内 | 規則第20条第2項第3号ロ |
| 粉末(全種別) | 30秒以内 | 規則第21条第2項第2号 |
二酸化炭素の3つは「通信は3.5分、指定可燃物は7分、ほかは1分」と、3.5分の倍が7分である点で結びつきます。「通信の倍が可燃物」で2つ同時に出ます。
ハロン系と代替ガスの差は「旧ハロンは30秒、代替は10秒」。代替ガスの方が短いのは、消火濃度に達するまでの設計が違うためです。数字の向きだけでも「代替は3分の1」と覚えておくと取り違えません。
局所放出方式は不活性ガス・粉末とも30秒以内で、こちらは設備をまたいで共通です(規則第19条第3項第3号、第21条第2項第2号)。
移動式の水平距離はハロゲン化物だけ20メートル
| 設備 | ホース接続口までの水平距離 | 根拠 |
|---|---|---|
| 不活性ガス | 15メートル以下 | 令第16条第3号 |
| ハロゲン化物 | 20メートル以下 | 令第17条第2号 |
| 粉末 | 15メートル以下 | 令第18条第2号 |
3つのうちハロゲン化物だけが仲間外れという形なので、「ハロゲンだけ二十(はたち)」で足ります。ホースの長さも同じ距離が使われるので、接続口の数値を覚えれば2問分になります。
粉末は「種別の順に薄くなる」で表が4つつながる
規則第21条の粉末の表は、第一種→第二種・第三種→第四種の順に必要量が減っていきます。しかも表どうしが一定の倍率でつながっています。
| 表 | 第一種 | 第二種・第三種 | 第四種 |
|---|---|---|---|
| 全域・体積1立方メートル当たり | 0.60kg | 0.36kg | 0.24kg |
| 開口部・面積1平方メートル当たり | 4.5kg | 2.7kg | 1.8kg |
| 局所・表面積1平方メートル当たり | 8.8kg | 5.2kg | 3.6kg |
| 移動式・1ノズル当たりの消火剤量 | 50kg | 30kg | 20kg |
| 移動式・1ノズルの毎分放射量 | 45kg | 27kg | 18kg |
ここに3つの関係があります。
- 開口部の値は、全域の値のちょうど7.5倍です(0.60×7.5=4.5、0.36×7.5=2.7、0.24×7.5=1.8)。全域の3つを覚えれば開口部の3つは計算で出ます。
- 移動式の毎分放射量は、消火剤量のちょうど0.9倍です(50×0.9=45、30×0.9=27、20×0.9=18)。「持っている量の9割を1分で出す」と読み替えられます。
- 局所の体積式 Q=X-Y(a/A) の係数も、YはXのちょうど0.75倍です(第一種5.2と3.9、第二種・第三種3.2と2.4、第四種2.0と1.5)。
結果として、語呂で覚えるべき粉末の数値は全域の 0.60 / 0.36 / 0.24 と、局所表面積の 8.8 / 5.2 / 3.6 と、Xの 5.2 / 3.2 / 2.0 だけになります。「ロクレイ・サンロク・ニーヨン」と3拍で唱えるのが一番短いです。
なお局所放出方式は最後に1.1を乗じます(規則第21条第3項第2号)。この係数を忘れる失点が多いので、係数だけは表とは別に「局所は最後に1割増し」で独立して覚えてください。
充てん比だけは種別の順に「上がる」
消火剤量が種別の順に減るのに対し、充てん比は逆に上がります。
| 消火剤の種別 | 充てん比の範囲 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第一種粉末 | 0.85以上1.45以下 | 規則第21条第4項第2号 |
| 第二種粉末・第三種粉末 | 1.05以上1.75以下 | 同上 |
| 第四種粉末 | 1.50以上2.50以下 | 同上 |
「量は減って、比は増える」と向きだけ先に固定しておくと、選択肢で数値が入れ替えられていても気づけます。
主成分と用途は言い換えで出る
| 種別 | 主成分(条文の表記) |
|---|---|
| 第一種粉末 | 炭酸水素ナトリウムを主成分とするもの |
| 第二種粉末 | 炭酸水素カリウムを主成分とするもの |
| 第三種粉末 | りん酸塩類等を主成分とするもの |
| 第四種粉末 | 炭酸水素カリウムと尿素との反応物 |
第二種と第四種がどちらも炭酸水素カリウム系で、第四種は第二種に尿素が反応したものという関係です。「カリウムに尿素を足すと第四種」で2つ同時に処理できます。
用途の指定も条文にあります。駐車の用に供される部分は第三種粉末(規則第21条第4項第1号ただし書)、道路の用に供される部分には全域放出方式・局所放出方式を設けてはならず、移動式に使う消火剤は第三種粉末(同項第1号の2、第5項第1号)。「駐車場も道路も第三種」でまとめられます。
単発で出る数値は圧力と時間に分けて置く
関係で導けず、素直に覚えるしかないものを最後に集めます。
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 銅管の耐圧(高圧式) | 16.5メガパスカル以上 | 規則第19条第5項 |
| 銅管の耐圧(低圧式) | 3.75メガパスカル以上 | 同上 |
| 落差 | 50メートル以下 | 規則第19条第5項・第21条第4項 |
| 低圧式貯蔵容器の圧力警報装置 | 2.3メガパスカル以上・1.9メガパスカル以下で作動 | 規則第19条第5項 |
| 窒素等の充てん圧力 | 温度35度において30.0メガパスカル以下 | 同上 |
| 起動用ガス容器(不活性ガス) | 24.5メガパスカル以上の圧力に耐える | 同上 |
| 遅延装置 | 20秒以上 | 規則第19条第5項 |
| 移動式のノズル(不活性ガス) | 温度20度で1ノズル毎分60キログラム以上 | 同上 |
| 加圧式粉末の圧力調整器 | 2.5メガパスカル以下に調整 | 規則第21条第4項 |
| 貯蔵容器等から配管の屈曲部まで | 管径の20倍以上 | 同上 |
圧力の語呂は「イチロクゴで高圧、サンナナゴで低圧」。銅管の2つは高圧式・低圧式の対で出るので、対のまま覚えます。
時間の語呂は「遅延はニジュウ秒」。放射時間の30秒・10秒と混ざりやすいので、遅延装置だけは「放射が始まる前の時間」と役割で切り分けておくと安全です。
語呂は条文に戻して確かめる
語呂は思い出す入口としては強力ですが、選択肢が「以上」と「以下」を入れ替えてくる問題には効きません。低圧式貯蔵容器の圧力警報装置が「2.3メガパスカル以上」と「1.9メガパスカル以下」で向きが逆になっているのが典型です。
語呂で数字を思い出したら、単位(メガパスカル/キログラム/メートル)と向き(以上/以下)を条文で1回だけ確認する。この一手間があるかどうかで、構造・機能の20問の正答率が変わります。
演習で定着させる
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