甲種3類の数値を覚えるときは、消火剤・放出方式・単位・以上/以下を一組にします。数字だけが合っていても、全域と移動式、放射圧力と容器の耐圧を入れ替えると答えが変わります。
このページでは比較表で違いを確かめ、独自の短いフレーズと確認例で思い出す練習をします。語呂は編集部の学習補助で、公式の名称の由来や設計式の代わりではありません。
IG-55は50・50、IG-541は52・40・8
まず、成分を読む順番を固定しましょう。
| 消火剤 | 成分の順序 | 容量比 |
|---|---|---|
| IG-55 | 窒素:アルゴン | 50:50 |
| IG-541 | 窒素:アルゴン:二酸化炭素 | 52:40:8 |
出典:消防法施行規則第19条第2項第2号ロ。IG-541は「窒素ごじゅうに、アルゴンよんじゅう、炭酸ガスはち」と、成分名まで続けて唱えます。合計100になることも自分で確かめてください。
「541」という文字から5:4:1をそのまま答えないこと。条文が定める容量比は52:40:8です。名前の語源を推測して比率を作り直す必要はありません。
全域放出の放射圧力は、消火剤名と対にして覚える
次は全域放出方式の噴射ヘッドの放射圧力です。容器内の圧力や配管の耐圧とは別の数値です。
| 消火剤・方式 | 噴射ヘッドの放射圧力 | 規則の根拠 |
|---|---|---|
| CO₂・高圧式 | 1.4 MPa以上 | 第19条第2項第2号イ |
| CO₂・低圧式 | 0.9 MPa以上 | 同号イ |
| 窒素・IG-55・IG-541 | 1.9 MPa以上 | 同号ロ |
| ハロン2402 | 0.1 MPa以上 | 第20条第1項第2号イ |
| ハロン1211 | 0.2 MPa以上 | 同号イ |
| ハロン1301 | 0.9 MPa以上 | 同号イ |
| HFC-23 | 0.9 MPa以上 | 同号ロ |
| HFC-227ea・FK-5-1-12 | 0.3 MPa以上 | 同号ロ |
| 粉末 | 0.1 MPa以上 | 第21条第1項第1号 |
出典:消防法施行規則第19〜21条。単位MPaはメガパスカルです。
ハロンは「ニーヨンはゼロイチ、イチニイはゼロニイ、イチサンはゼロキュー」と対で読みます。番号の大小から圧力の順番は導けません。1211の方が1301より小さな番号ですが、圧力も0.2 MPaの方が小さいからです。
粉末とハロン2402がともに0.1 MPa以上、という一致は確認に使えます。ただし、同じ圧力だから同じ設備の条件が全部使える、とは考えないでください。
放射時間は「何を、どれだけ、何秒以内に」で確認する
全域放出方式の比較です。表の時間は、その時間ちょうど放射するという意味ではありません。
| 消火剤・対象 | 放射できる時間・量の条件 | 規則の根拠 |
|---|---|---|
| CO₂・通信機器室 | 所定量を3.5分以内 | 第19条第2項第3号イ |
| CO₂・指定可燃物を貯蔵/取り扱う部分(可燃性固体類・可燃性液体類を除く) | 所定量を7分以内 | 同号イ |
| CO₂・その他の防火対象物またはその部分 | 所定量を1分以内 | 同号イ |
| 窒素・IG-55・IG-541 | 所定量の90%以上を1分以内 | 同号ロ |
| ハロン2402・1211・1301 | 所定量を30秒以内 | 第20条第1項第3号イ |
| HFC-23・HFC-227ea・FK-5-1-12 | 所定量を10秒以内 | 同号ロ |
| 粉末 | 所定量を30秒以内 | 第21条第1項第2号 |
出典:消防法施行規則第19〜21条。所定量は、CO₂が第19条第4項第1号イ、窒素等が同号ロ、ハロンが第20条第3項第1号イ、HFC等が同号ロ、粉末が第21条第3項第1号による量です。
CO₂は「通信サンテンゴ、除外を見てナナ、ほかイチ以内」。7分の行では、括弧内の除外条件まで確認します。窒素等は「九割以上、一分以内」と、90%と時間の両方を思い出してください。
局所放出方式では、CO₂・ハロン・粉末はいずれもそれぞれの所定量を30秒以内に放射する基準です(第19条第3項第3号、第20条第2項第1号、第21条第2項第1号)。不活性ガスの局所放出で使える消火剤はCO₂に限られます(第19条第5項第2号の3)。窒素・IGまで一緒にして覚えないようにします。
移動式は「接続口までの水平距離」とホースを分ける
| 移動式設備 | 防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離 | 施行令の根拠 |
|---|---|---|
| 不活性ガス | 15m以下 | 第16条第3号 |
| ハロゲン化物 | 20m以下 | 第17条第2号 |
| 粉末 | 15m以下 | 第18条第2号 |
「接続口、ハロゲンだけ二十」と、何までの距離かを入れて覚えます。出典:消防法施行令第16〜18条。
ホースの長さは、接続口から水平距離15mまたは20mの範囲内にある防護対象物の各部分へ、有効に放射できる長さと定められています(それぞれ第16条第4号、第17条第3号、第18条第3号)。「ホースは15m以下」「必ず20m」と読み替える規定ではありません。
粉末の量は、単位と放出方式を先に見る
次の値は、第一種/第二種・第三種/第四種の順です。第二種と第三種は同じ列を使います。
| 算定する項目 | 第一種 | 第二種・第三種 | 第四種 |
|---|---|---|---|
| 全域・防護区画の体積当たり | 0.60 kg/m³ | 0.36 kg/m³ | 0.24 kg/m³ |
| 自動閉鎖装置のない開口部への加算 | 4.5 kg/m² | 2.7 kg/m² | 1.8 kg/m² |
| 条件を満たす局所・表面積当たり(1.1を掛ける前) | 8.8 kg/m² | 5.2 kg/m² | 3.6 kg/m² |
| 移動式・1ノズル当たりの貯蔵量の下限 | 50 kg | 30 kg | 20 kg |
| 移動式・1ノズル当たりの毎分放射量の下限 | 45 kg/分 | 27 kg/分 | 18 kg/分 |
出典:消防法施行規則第21条第3項第1号・第2号イ・第4号、第5項第2号。全域の所要量は体積から計算し、開口部に自動閉鎖装置を設けない場合は、開口部面積による量を加えます。
局所の表面積による算定を使うのは、燃焼面が一面に限定され、可燃物が飛散するおそれがない場合です。表面積は、一辺が0.6m以下ならその辺を0.6mとして計算する規定にも注意します(第19条第4項第2号イで第20・21条にも定義)。最後に1.1を掛けた量以上が必要です。
暗記の補助として、全域の数値を7.5倍すると開口部の数値になります。ただし、kg/m³とkg/m²は異なる単位です。「開口部に必要な総量は常に全域の7.5倍」という意味ではありません。
移動式の50・30・20と45・27・18も、数字だけなら0.9倍の関係です。しかし、貯蔵量と毎分放射能力はそれぞれ下限の規定です。実際に貯蔵した量すべてについて「その9割を1分で放射する」と置き換えることはできません。
局所の体積式は、Qを総量と取り違えない
粉末の局所放出で表面積の条件に該当しない場合は、次の式を使います。
Q=X-Y×(a/A)
Qは単位体積当たりの消火剤量(kg/m³)、aは実際に設けられた周囲の壁面積、Aは壁のない部分も壁があると仮定して求めた防護空間の壁面積です。aとAの単位はm²です。
| 粉末の種別 | X | Y |
|---|---|---|
| 第一種 | 5.2 | 3.9 |
| 第二種・第三種 | 3.2 | 2.4 |
| 第四種 | 2.0 | 1.5 |
出典:消防法施行規則第21条第3項第2号ロ。YはXの0.75倍なので、係数を思い出した後の検算に使えます。
Qが出たら防護空間の体積Vを掛け、通信機器室ではさらに0.7を掛けます。その後、局所放出の1.1を掛けます。防護空間は防護対象物の各部分から0.6m離れた部分で囲む空間です。対象物そのものの体積をそのまま代入しないでください。
編集部の計算例として、第一種粉末・通信機器室以外、a/A=0.5、防護空間V=10m³なら、Q=5.2−3.9×0.5=3.25 kg/m³。必要量は3.25×10×1.1=35.75kg以上です。3.25はまだ総量ではありません。
粉末の主成分・充てん比・用途を対応させる
| 種別 | 主成分など | 充てん比の範囲 |
|---|---|---|
| 第一種 | 炭酸水素ナトリウムを主成分とする | 0.85以上1.45以下 |
| 第二種 | 炭酸水素カリウムを主成分とする | 1.05以上1.75以下 |
| 第三種 | りん酸塩類等を主成分とする | 1.05以上1.75以下 |
| 第四種 | 炭酸水素カリウムと尿素との反応物 | 1.50以上2.50以下 |
出典:消防法施行規則第21条第3項第1号イ・第4項第2号。第二種と第四種を比べるときは、第四種の「尿素との反応物」まで答えます。単に2つの粉を混ぜる説明とは区別してください。
全域放出・局所放出の粉末設備を駐車の用に供する部分へ設ける場合は第三種粉末です(第21条第4項第1号ただし書)。道路の用に供する部分には全域放出・局所放出を設けられず、移動式に使う粉末は第三種です(同項第1号の2、第5項第1号)。「第三種」だけでなく、設置できる放出方式も確認します。
耐圧・警報・遅延は、何の数値かを省かない
| 覚える対象 | 基準 | 規則の根拠 |
|---|---|---|
| CO₂配管に用いる銅管・高圧式 | 16.5 MPa以上に耐える | 第19条第5項第7号ロ(イ)(2) |
| 同・低圧式 | 3.75 MPa以上に耐える | 同上 |
| CO₂低圧式貯蔵容器の圧力警報 | 2.3 MPa以上・1.9 MPa以下で作動 | 第19条第5項第9号ロ |
| 窒素・IG-55・IG-541の貯蔵容器 | 35℃における充てん圧力30.0 MPa以下 | 第19条第5項第5号ロ |
| 全域CO₂の遅延装置 | 起動操作から容器弁等の開放まで20秒以上 | 第19条第5項第19号イ(イ) |
| 加圧式粉末の圧力調整器 | 2.5 MPa以下に調整できる | 第21条第4項第8号 |
| 粉末の貯蔵容器等から配管の屈曲部まで | 原則、管径の20倍以上 | 第21条第4項第7号ヘ |
出典:消防法施行規則第19・21条。銅管には材質・同等以上の強度などの条件もあります。表は圧力の数値を取り違えないための抜粋です。粉末の屈曲部までの距離は、消火剤とガスが分離しない措置を講じた場合の例外があります。
「銅管、イチロクゴ高圧・サンテンナナゴ低圧」「警報、高いニーテンサン・低いイッテンキュー」と、対象と向きを一緒に読みます。全域CO₂の20秒は放射が始まる前の遅延で、噴射ヘッドからの放射時間とは別です。
表を隠して4つ確認し、問題へ進む
次は編集部の確認例です。答えを先に読まず、数字の条件まで説明してみてください。
- IG-541の容量比を、成分の順に言う。 窒素52:アルゴン40:二酸化炭素8。5:4:1ではありません。
- 移動式ハロゲン化物の20mは、どこまでの距離か。 防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離の上限です。ホースそのものの長さを一律20mとする意味ではありません。
- 第二種粉末を全域で使い、体積100m³、自動閉鎖装置のない開口部が2m²ある場合の計算は。 0.36×100+2.7×2=41.4kg以上。局所の1.1は掛けません。これは与えた条件での量の計算例で、設備全体の適法性を判定したものではありません。
- 全域CO₂の7分を覚えるとき、一緒に確認する除外条件は。 指定可燃物のうち可燃性固体類・可燃性液体類は、その7分の行から除かれます。
答えを確認できたら、全域粉末の量の組み合わせを解く、粉末の充てん比を解く、粉末の放射圧力と時間を解く、CO₂と指定可燃物の放射時間を解くへ進めます。練習問題と解説は登録不要・無料です。
全体を練習する場合は甲種3類の構造・機能・工事・整備へ。計算の流れは甲種3類の製図対策、機器の名称と役割は鑑別対策で確認できます。
法令確認日:2026年9月11日施行時点。消防試験研究センターのFAQ Q30では、改正法令は施行日以降の試験に適用すると案内されています。受験日までに改正がある場合は、その日の適用法令を確認してください。










