製図2問は「消火剤量の算定」に集約される
甲種3類の実技は鑑別等5問と製図2問。製図で問われるのは系統図の読み書きと、消火剤量の算定です。そして算定は次の4つの型しかありません。
| 型 | 使う場面 | 計算の骨格 |
|---|---|---|
| ① 全域・体積式 | 全域放出方式 | 防護区画の体積 × 単位体積当たりの量 |
| ② 開口部加算 | 自動閉鎖装置を設けない開口部がある | ①+開口部の面積 × 単位面積当たりの量 |
| ③ 局所・面積式 | 燃焼面が一面に限定され可燃物が飛散しない | 防護対象物の表面積 × 単位面積当たりの量 × 係数 |
| ④ 局所・体積式 | ③以外の局所放出方式 | Q=X-Y(a/A) × 防護空間の体積 × 係数 |
落とす人の大半は④の係数を掛け忘れます。局所放出方式では必ず最後に係数を乗じる、と手順に組み込んでください。
① 全域・体積式 — 表を引く順序を固定する
不活性ガス(二酸化炭素)は、まず防火対象物の区分を判定します。
| 区分 | 体積1立方メートル当たり |
|---|---|
| 通信機器室 | 1.2キログラム |
| 指定可燃物(綿花類等) | 2.7キログラム |
| 指定可燃物(木材加工品又は木くず) | 2.0キログラム |
| 指定可燃物(合成樹脂類) | 0.75キログラム |
上記以外は防護区画の体積で区分が変わります。
| 防護区画の体積 | 体積1立方メートル当たり | 総量の最低限度 |
|---|---|---|
| 50立方メートル未満 | 1.00キログラム | — |
| 50以上150未満 | 0.90キログラム | 50キログラム |
| 150以上1,500未満 | 0.80キログラム | 135キログラム |
| 1,500以上 | 0.75キログラム | 1,200キログラム |
最低限度が罠です。たとえば体積160立方メートルなら 0.80×160=128キログラムですが、この区分の最低限度は135キログラムなので答は135キログラムになります。計算値を出したら必ず最低限度と比べてください。
粉末は消火剤の種別だけで決まるので単純です。
| 種別 | 主成分 | 体積1立方メートル当たり |
|---|---|---|
| 第1種粉末 | 炭酸水素ナトリウム | 0.60キログラム |
| 第2種・第3種粉末 | 炭酸水素カリウム/りん酸塩類等 | 0.36キログラム |
| 第4種粉末 | 炭酸水素カリウムと尿素との反応物 | 0.24キログラム |
ハロゲン化物は防火対象物の区分と消火剤の種別の両方で決まります。駐車場・自動車整備工場・電気設備室・ボイラー室・通信機器室にハロン1301を用いるなら0.32キログラムです。
② 開口部加算 — 単位が「面積当たり」に変わる
自動閉鎖装置を設けない開口部がある場合、①に加算します。体積当たりではなく面積当たりである点を取り違えないでください。
| 設備・区分 | 開口部の面積1平方メートル当たり |
|---|---|
| 二酸化炭素・通信機器室 | 10キログラム |
| 二酸化炭素・綿花類等 | 20キログラム |
| 二酸化炭素・木材加工品又は木くず | 15キログラム |
| 二酸化炭素・合成樹脂類 | 5キログラム |
| 二酸化炭素・上記以外 | 5キログラム |
| ハロン1301(駐車場等) | 2.4キログラム |
| 第1種粉末 | 4.5キログラム |
| 第2種・第3種粉末 | 2.7キログラム |
| 第4種粉末 | 1.8キログラム |
計算例: 通信機器室、体積500立方メートル、開口部3平方メートルに自動閉鎖装置なし。 1.2×500=600キログラム、10×3=30キログラムを加算して630キログラム。
なお自動閉鎖装置を設けない開口部の面積そのものにも上限があります。通信機器室・指定可燃物に係る部分は囲壁面積の1パーセント以下、それ以外は防護区画の体積の数値又は囲壁面積の数値のうち小さい方の10パーセント以下です。
③ 局所・面積式 — 係数を必ず最後に
燃焼面が一面に限定され可燃物が飛散するおそれがない場合は、表面積で計算します。
| 設備・消火剤 | 表面積1平方メートル当たり |
|---|---|
| 不活性ガス(二酸化炭素) | 13キログラム |
| ハロン2402 | 8.8キログラム |
| ハロン1211 | 7.6キログラム |
| ハロン1301 | 6.8キログラム |
| 第1種粉末 | 8.8キログラム |
| 第2種・第3種粉末 | 5.2キログラム |
| 第4種粉末 | 3.6キログラム |
表面積の注意点: 防護対象物の一辺の長さが0.6メートル以下の場合は、その辺を0.6メートルとして面積を計算します。
計算例: 不活性ガス(高圧式)、表面積4平方メートル。 13×4=52キログラム、高圧式の係数1.4を乗じて72.8キログラム。
52キログラムで止めると誤答です。
④ 局所・体積式 — Q=X-Y(a/A)
③以外の局所放出方式では、次の式で単位体積当たりの量を求め、防護空間の体積を乗じ、さらに係数を乗じます。
Q=X-Y(a/A) Q: 単位体積当たりの消火剤の量(キログラム毎立方メートル) a: 防護対象物の周囲に実際に設けられた壁の面積の合計 A: 防護空間の壁の面積の合計(壁のない部分も壁があると仮定して算入)
XとYは設備・消火剤で変わります。
| 設備・消火剤 | X | Y |
|---|---|---|
| 不活性ガス(二酸化炭素) | 8 | 6 |
| 第1種粉末 | 5.2 | 3.9 |
| 第2種・第3種粉末 | 3.2 | 2.4 |
| 第4種粉末 | 2.0 | 1.5 |
防護空間とは、防護対象物のすべての部分から0.6メートル離れた部分によって囲まれた空間をいいます。
計算例: 不活性ガス(低圧式)、a=10平方メートル、A=25平方メートル、防護空間の体積20立方メートル。 a/A=0.4 → Q=8-6×0.4=5.6キログラム毎立方メートル 5.6×20=112キログラム、低圧式の係数1.1を乗じて123.2キログラム。
係数の一覧を手元に置く
局所放出方式で乗じる係数だけを抜き出すとこうなります。
| 設備・消火剤 | 係数 |
|---|---|
| 不活性ガス(高圧式) | 1.4 |
| 不活性ガス(低圧式) | 1.1 |
| ハロン2402・ハロン1211 | 1.1 |
| ハロン1301 | 1.25 |
| 粉末(全種別) | 1.1 |
1.25はハロン1301だけ、1.4は不活性ガスの高圧式だけ。残りは全部1.1です。ここを一枚にまとめておけば、試験中に迷いません。
移動式は「1ノズル当たり」で数える
移動式は体積も面積も使わず、ノズルの数で決まります。
| 設備・消火剤 | 1ノズル当たりの消火剤の量 |
|---|---|
| 不活性ガス(二酸化炭素) | 90キログラム以上 |
| 第1種粉末 | 50キログラム以上 |
| 第2種・第3種粉末 | 30キログラム以上 |
| 第4種粉末 | 20キログラム以上 |
これと似た数値に放射能力(1ノズルにつき毎分の量)があります。不活性ガスは温度20度で毎分60キログラム以上、粉末は第1種45キログラム・第2種/第3種27キログラム・第4種18キログラムです。貯蔵量と放射能力は別の数値なので混ぜないでください。











