鑑別5問を先に固める理由
甲種3類の実技は鑑別等5問と製図2問で、実技単独で60%以上が必要です。先に固めるべきは鑑別です。
- 出題される機器が3設備の構成部品に限られる
- 「名称 → 用途 → 設置位置」の3点で答えられれば得点になる
- 鑑別で覚えた機器がそのまま製図の要素になる
鑑別5問で4問取れれば製図に余裕が生まれます。逆に鑑別を落とすと製図2問でほぼ満点が必要になります。
設備に固有の機器を先に切り分ける
甲3で最も効率がよいのは、どの機器がどの設備のものかを先に区別することです。
粉末にしかない機器
| 機器 | 役割 | 付く方式 |
|---|---|---|
| 定圧作動装置 | 起動装置の作動後、貯蔵容器等の圧力が設定圧力になったとき放出弁を開放させる。貯蔵容器等ごとに設ける | 加圧式 |
| 圧力調整器 | 加圧用ガスの圧力を2.5メガパスカル以下に調整する | 加圧式 |
| 指示圧力計 | 使用圧力の範囲を緑色で表示する | 蓄圧式 |
| クリーニング装置 | 配管内の残留消火剤を処理する | 全方式 |
| 排出装置 | 貯蔵容器等の残留ガスを排出する | 全方式 |
| 加圧用ガス容器 | 貯蔵容器等の直近に設置し確実に接続する | 加圧式 |
加圧式か蓄圧式かで機器が分かれるのが粉末の特徴です。加圧式には圧力調整器と定圧作動装置、蓄圧式には指示圧力計。ここを取り違えると鑑別で落とします。
粉末は消火剤が固体なので、放射後に配管へ残ると固結します。だからクリーニング装置が要る。この理屈で覚えると忘れません。クリーニングに必要な量のガスは別容器に貯蔵します。
不活性ガスにしかない機器
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 低圧式貯蔵容器の液面計及び圧力計 | 零下18度以下で貯蔵する二酸化炭素の状態を確認する |
| 圧力警報装置 | 2.3メガパスカル以上及び1.9メガパスカル以下の圧力で作動する |
| 自動冷凍機 | 容器内部の温度を零下20度以上零下18度以下に保持する |
| 破壊板 | 低圧式貯蔵容器の異常な圧力上昇を逃がす |
| 起動用ガス容器 | 全域放出方式(二酸化炭素)に設ける。24.5メガパスカル以上に耐え、内容積1リットル以上・二酸化炭素0.6キログラム以上・充てん比1.5以上 |
| 閉止弁 | 集合管又は操作管に設け、意図しない放出を防ぐ |
低圧式貯蔵容器まわりの4点セット(液面計・圧力計/圧力警報装置/自動冷凍機/破壊板)は、低温で貯蔵するから必要になる機器です。高圧式(常温貯蔵)には要りません。
3設備に共通する機器
| 機器 | 役割・要件 |
|---|---|
| 選択弁 | 貯蔵容器を共用し防護区画が2以上あるとき、区画ごとに設ける。防護区画以外の場所に設け、選択弁である旨といずれの区画のものかを表示する |
| 安全装置・破壊板 | 貯蔵容器と選択弁等の間に設ける |
| 容器弁 | 二酸化炭素を常温で貯蔵する容器、窒素・IG-55・IG-541を貯蔵する容器に設ける |
| 音響警報装置 | 起動装置の操作・作動と連動して自動的に警報を発し、消火剤放射前に遮断されない。全域放出方式は音声による警報装置 |
| 手動起動装置 | 防護区画外で区画内を見とおせ、容易に退避できる箇所。操作部の高さ0.8メートル以上1.5メートル以下、外面は赤色 |
| 自動手動切替え装置 | 自動及び手動を表示する表示灯を設け、切替えはかぎ等によらなければ行えない構造 |
混同しやすいペア
- 定圧作動装置 ≠ 圧力調整器 — 定圧作動装置は「設定圧力に達したら放出弁を開ける」タイミングの装置。圧力調整器は「2.5メガパスカル以下に落とす」圧力の装置。役割の階層が違う
- 指示圧力計 ≠ 圧力警報装置 — 指示圧力計は蓄圧式粉末に付き緑色表示で常時監視する。圧力警報装置は低圧式貯蔵容器に付き2.3/1.9メガパスカルで警報を出す
- クリーニング装置 ≠ 排出装置 — クリーニング装置は配管の残留消火剤を処理。排出装置は貯蔵容器等の残留ガスを排出
- 選択弁 ≠ 閉止弁 — 選択弁は複数区画から1つを選ぶ弁。閉止弁は集合管・操作管で流路を遮断する保安用の弁
- 起動用ガス容器(不活性ガス)≠ 起動用ガス容器(粉末) — 内容積が1リットル以上 vs 0.27リットル以上、貯蔵量が0.6キログラム以上 vs 145グラム以上。充てん比はどちらも1.5以上
標識と表示の問題も落とせない
二酸化炭素は人体に危害を及ぼすため、表示の規定が細かく定められています。
- 貯蔵容器の見やすい箇所: 充てん消火剤量、消火剤の種類、製造年、製造者名(二酸化炭素を貯蔵する容器は消火剤の種類の表示を要しない)
- 貯蔵容器を設ける場所及び防護区画の出入口等: 二酸化炭素が人体に危害を及ぼすおそれがあること、消火剤が放射された場合は立ち入ってはならないことを表示した標識(日本産業規格A8312(2021)の図A.1、一辺の長さが0.3メートル以上)
- 移動式の貯蔵容器の直近: 赤色の灯火及び移動式不活性ガス消火設備である旨並びに消火剤の種類を表示した標識
移動式は灯火と標識の両方が必要で、どちらか一方では足りません。
答え方の型
鑑別は記述式なので、名称だけでは不十分な設問があります。次の型で答えると要素が漏れません。
「◯◯(名称)で、△△するために□□に設ける」
例:
- 「定圧作動装置で、起動装置の作動後に貯蔵容器等の圧力が設定圧力に達したとき放出弁を開放させるために、貯蔵容器等ごとに設ける」
- 「選択弁で、貯蔵容器を共用する複数の防護区画のうち火災が起きた区画にだけ消火剤を送るために、防護区画以外の場所に設ける」
設置位置や条件まで書くと加点されやすく、落とすと知っていても減点されます。
演習
当サイトの甲種3類 練習問題 126問では、実技カテゴリ36問のうち18問を鑑別の知識問題として公開しています。写真を使わない形式ですが、「この特徴をもつ機器はどれか」という問い方で名称と用途の結びつきを確認できます。記述の練習に入る前段として、まずここで取りこぼしを洗い出してください。
製図側の対策は甲3の製図対策で、消火剤量の計算を4つの型にまとめています。鑑別で覚えた機器がそのまま系統図の部品になるので、この順番で進めると効率がよくなります。











