接地工事は、電気機械器具の金属製の外箱や変圧器の低圧側の電路などを、接地線と接地極で大地につなぐ工事です。漏電したときに外箱に触れた人が感電する危険を小さくしたり、高圧と低圧が混ざったとき(混触)に低圧側の電圧が上がりすぎないようにしたりします。種類はA種・B種・C種・D種の4つで、電気設備の技術基準の解釈(以下「電技解釈」)第17条が、それぞれの接地抵抗値と接地線を決めています。
第二種・第一種電気工事士の学科(電気工事の施工方法・検査方法)の範囲に入るほか、消防設備士の甲種・乙種第4類(自動火災報知設備)や乙種第7類(漏電火災警報器)の範囲にも入ります。この記事は、2026年9月29日に経済産業省のサイトから取得した電技解釈(令和7年11月20日改正の版。経済産業省の内規で、法令ではない)と、パナソニックの用語解説(接地抵抗計)をもとに書いています。
A種・B種・C種・D種の早見表
| 種類 | 接地抵抗値 | 接地線(軟銅線の場合) | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| A種 | 10Ω以下 | 直径2.6mm以上 | 高圧・特別高圧の機械器具の金属製外箱 |
| B種 | 150÷Ig(Ω)以下(高圧または35,000V以下の特別高圧と低圧を結合する変圧器で、混触時の遮断装置があれば300÷Ig・600÷Ig) | 直径2.6mm以上(高圧と低圧を結合する変圧器の場合)。特別高圧と低圧を結合する変圧器(第108条の特別高圧架空電線路のものを除く)は直径4mm以上 | 高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側の中性点(または1端子) |
| C種 | 10Ω以下(0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下) | 直径1.6mm以上 | 使用電圧300V超の低圧の機械器具の金属製外箱 |
| D種 | 100Ω以下(0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下) | 直径1.6mm以上 | 使用電圧300V以下の低圧の機械器具の金属製外箱 |
接地抵抗値と接地線は電技解釈第17条、対象は第24条(B種)と第29条第1項(機械器具の金属製外箱)です。接地線は、軟銅線のかわりに同じ強さ以上の容易に腐食しにくい金属線(A種は引張強さ1.04kN以上、C種・D種は0.39kN以上)も使えます。
C種・D種で、移動して使う機器の接地線のうち曲げる必要がある部分は、多心コードか多心キャブタイヤケーブルの1心なら断面積0.75mm²以上、可とう性のある軟銅より線なら断面積1.25mm²以上でよいことになっています(第17条第3項第2号ハ)。
A種とB種の追加の決まり
人が触れるおそれがある場所にA種・B種の接地極と接地線を施設するときは、接地極を地下75cm以上の深さに埋め、接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分を合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管を除く)などで覆います(第17条第1項第3号・第2項第4号)。B種の接地抵抗値は、計算した値にかかわらず5Ω未満にする必要はありません(第24条第1項第2号)。
B種の計算は、たとえば1線地絡電流Igが5Aなら、原則150÷5=30Ω以下です。高圧側を1秒以下で自動的に遮断する装置があれば、600÷5=120Ω以下まで認められます。
どの機器にどの接地工事を施すか
機械器具の金属製の台と外箱(金属製外箱等)には、使用電圧で決まる接地工事を施します(電技解釈第29条第1項)。
| 機械器具の使用電圧 | 接地工事 |
|---|---|
| 低圧で300V以下(単相100V・200V、三相200Vなど) | D種 |
| 低圧で300V超(三相400V級など) | C種 |
| 高圧・特別高圧 | A種 |
金属管工事の金属管も、低圧屋内配線の使用電圧が300V以下ならD種、300Vを超えるならC種(接触防護措置を施すときはD種でよい)の接地工事を施します(電技解釈第159条第3項第4号・第5号)。
接地抵抗値の緩和の条件は「地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置」です。この装置は接地抵抗値を500Ωまで緩める条件で、それだけで接地工事を省略できるわけではありません。省略できるのは、水気のある場所以外で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器を施設したときなどです(第29条第2項第5号。次の章)。逆に、C種・D種の接地抵抗値が3Ω以下なら、金属製外箱を有する機器の電路の地絡遮断装置を省略できます(電技解釈第36条第1項第4号。住宅で対地電圧150Vを超える電路などは別の規定による。同条第2項)。
金属製外箱の接地(D種など)を省略できる場合
低圧の機械器具の金属製外箱等の接地は、次のどれかに当たるときは施さなくてよいことになっています(電技解釈第29条第2項の主なもの)。
| 省略できる場合 | 号 |
|---|---|
| 交流の対地電圧150V以下(直流300V以下)の機器を、乾燥した場所に施設する | 第1号 |
| 低圧用の機器を、乾燥した木製の床など絶縁性のものの上で取り扱うように施設する | 第2号 |
| 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機器を施設する | 第3号 |
| 電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧300V以下・容量3kVA以下)を施設し、負荷側の電路を接地しない | 第4号 |
| 水気のある場所以外で、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型)を施設する | 第5号 |
| 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける | 第6号 |
金属管工事の金属管のD種接地工事は、管の長さ(つないだ全長)が4m以下で乾燥した場所に施設するとき、または交流対地電圧150V以下で管の長さが8m以下のものに簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設するときに省略できます(電技解釈第159条第3項第4号)。
接地抵抗が小さいほど安全な理由と測り方
単相100Vの機器が漏電し、巻線が金属製外箱に完全に触れた(完全地絡)とします。変圧器のB種接地の抵抗が20Ω、機器のD種接地の抵抗が80Ωなら、地絡電流は100÷(20+80)=1Aで、外箱と大地の間には80Ω×1A=80Vがかかります。D種接地の抵抗を5Ωに下げると、地絡電流は100÷25=4A、外箱の電圧は5Ω×4A=20Vに下がります(電線の抵抗は考えない場合)。接地抵抗を小さくするほど、触れたときにかかる電圧が下がります。
接地抵抗は、接地極の形・大きさと、周りの土の抵抗率(土質や湿り気で変わる)で決まります。接地線は銅線なので、その抵抗は接地極から周りの大地へ電流が広がるときの抵抗に比べてごく小さく、接地線を太くしても接地抵抗はほとんど変わりません。接地極を湿った深い地層まで打ち込んだり、間隔をあけて本数を増やしたりすると下がります。
接地抵抗は接地抵抗計(アーステスター)で測ります(パナソニックの用語解説より)。
- 三極法(精密測定):測る接地極にE端子(緑のコード)、地面に打ち込んだ2本の補助接地極にP端子(黄)とC端子(赤)をつなぐ。先に地電圧が3V以下であることを確かめてから測る。補助接地極の位置は計器の取扱説明書に従う
- 二極法(簡易測定):補助接地極を打ち込めない屋内などで、接地抵抗の低い既設の接地極(金属製の埋設物など)を利用する。P端子とC端子を短絡して既設の接地極につなぎ、E端子を測る接地極につなぐ。電流は測る接地極から大地を通って既設の接地極へ流れるので、指示値には既設の接地極の接地抵抗も含まれる(その分を差し引く)
- 活線では測らない:電気が流れている電線での測定は感電のおそれがある
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| D種接地工事の接地抵抗値は、原則10Ω以下である | 誤り | 原則100Ω以下。10Ω以下はA種・C種(電技解釈第17条) |
| 0.5秒以内に自動的に遮断する装置があれば、D種接地工事の接地抵抗値は500Ω以下でよい | 正しい | 第17条第4項第1号 |
| 使用電圧400Vの低圧の電動機の金属製外箱には、D種接地工事を施す | 誤り | 300V超の低圧はC種(第29条第1項) |
| D種接地工事の接地線は、直径2.6mm以上の軟銅線でなければならない | 誤り | 1.6mm以上。2.6mmはA種など(第17条第3項・第4項) |
| 容量10kVAの絶縁変圧器を施設して負荷側を接地しなければ、外箱の接地を省略できる | 誤り | 省略できるのは容量3kVA以下(第29条第2項第4号) |
| 定格感度電流15mA・動作時間0.1秒の漏電遮断器を付ければ、水気のある場所でも接地を省略できる | 誤り | 水気のある場所以外に限る(第29条第2項第5号) |
| 接地抵抗の大部分は、接地線そのものの抵抗である | 誤り | 大部分は接地極の周りの大地側の抵抗(銅の接地線の抵抗はごく小さい) |
| B種接地工事の接地抵抗値は、1線地絡電流Igが5Aなら原則30Ω以下である | 正しい | 150÷Ig(第17条第2項) |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、接地工事の論点を確かめられます。
- 電工2種:D種接地工事の原則の接地抵抗値を選ぶ1問
- 電工2種:C種接地工事を施さなければならないものを選ぶ1問
- 電工2種:D種接地工事を省略できる場合を選ぶ1問
- 電工2種:接地抵抗についての誤りを選ぶ1問
- 乙7:B種接地工事の接地抵抗値の上限を求める1問
- 甲4:感知器の金属製外箱に施すD種接地工事の接地抵抗値を選ぶ1問
漏電遮断器の働きと絶縁の基準は 絶縁抵抗の基準と測定、対地電圧の考え方は 単相と三相の違い で整理しています。語呂合わせで覚えたい人は 第二種電気工事士の語呂合わせ も参考になります。
出典
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第17条・第24条・第29条・第36条・第159条(令和7年11月20日改正の版。経済産業省の内規で、法令ではない)
- パナソニック「接地抵抗計の意味・解説・呼称|TERASU辞書」(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/skill/dictionary/earthtester.html 、2026年10月20日に確認)
当サイトの問題は電気工事士試験・消防設備士試験の問題ではありません。法令や公開資料をもとに独自に作った練習問題です。電気技術者試験センター・消防試験研究センターとは関係ありません。










