第二種電気工事士の学科の過去問は、試験を行う電気技術者試験センターが、筆記方式の回の試験問題と解答を無料で公開しています。ただし 公式に付いているのは答えの記号だけで、解説はありません。この記事では、解説の探し方と、令和8年度上期(2026年5月24日の筆記方式)の一般問題30問を分野ごとに数えた結果、理論・計算と検査から5つの型を選んで、同じ型の自作の例題で解き方まで説明します。公式の問題文は写さず、問番号と何を問う型かだけを示します。
解説はどこにあるか
| 探す先 | あるもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電気技術者試験センター | 筆記方式の回の試験問題と解答(CBT方式の問題は非公開) | 解き方の説明はない |
| 市販の過去問題集・講座の教材 | 問題ごとの解説 | 収録している回と、法令の版を確かめる |
| 自分で作る | 型ごとの解き方のメモ | 同じ型の問題を、数値を変えて解き直す |
公開されている回と入手のしかたは「第二種電気工事士の過去問の入手先」にまとめています。
公開される問題は、これから減っていきます。センターは、令和9年度(2027年度)から学科試験を原則としてCBT方式だけで行う と知らせています(令和8年4月8日)。CBT方式の問題は公開されないので、新しく公表される学科の問題はほとんど無くなる見込みです。解説の付いた問題集を探すより、公開済みの回を型に分けて、型ごとの解き方を自分で持つ ほうが、次の回にも使えます。
令和8年度上期の一般問題30問を、分野で分ける
学科は50問の四肢択一で、一般問題30問と配線図20問に分かれ、配点はどちらも1問2点です(試験問題)。合格基準点は60点です(受験案内)。電卓は使えないので、計算は筆算で解ける問題になっています。令和8年度上期の一般問題30問を、何を問う問題かで分けると次のとおりでした。
| 分野 | 問番号 | 問題数 | 問われた内容 |
|---|---|---|---|
| 理論・計算 | 問1〜7 | 7問 | 合成抵抗、軟銅線の抵抗の性質、電熱器の発熱量、力率の改善、三相回路の断線、電圧降下、単相3線式の電圧 |
| 配線の設計 | 問8〜10 | 3問 | 金属管に収めた電線の許容電流、幹線の太さ、分岐回路の設計 |
| 材料・器具・工具 | 問11〜18 | 8問 | 管の付属品、コードの許容電流、作業と工具の組合せ、誘導電動機、進相コンデンサ、写真の材料と工具(3問) |
| 施工方法 | 問19〜23 | 5問 | ケーブルの接続と絶縁処理、支持点間の距離、木造住宅の工事、D種接地工事、金属管工事 |
| 検査・測定 | 問24〜27 | 4問 | 測定器と用途、絶縁抵抗の基準、接地抵抗の測り方、漏れ電流の測り方 |
| 法令 | 問28〜30 | 3問 | 電気工事士法、電気用品安全法、電気設備に関する技術基準を定める省令 |
このうち数値を計算して答えるのは、問1・3・5・6・7と、配線の設計の問8・9です(問2・問4は電気の性質を問う)。理論・計算の7問は、公式と電気の性質を1つずつ覚えていれば解ける問題がほとんどです。検査・測定と法令の7問は、数値と用語を覚えていれば取りやすい問題です。以下の5つの型は、理論・計算から4つ、検査・測定から1つを選びました。例題は自作で、数値と問い方を公式の問題から変えています。
型1 理論:軟銅線の抵抗は、長さに比例し、直径の2乗に反比例する
令和8年度上期の問2は、軟銅線の電気抵抗について誤っている記述を選ぶ型です。公式の答えはロで、抵抗と断面積・直径の関係を取り違えた記述が誤りでした(抵抗は直径の2乗に反比例し、断面積には反比例)。
例題(自作) 長さが同じ軟銅線で、直径を 1.6 mm から 2.0 mm に替えた。抵抗は約何倍になるか。
解き方
- 電線の抵抗は R = ρL ÷ A(ρ: 抵抗率、L: 長さ、A: 断面積)
- 断面積は直径の2乗に比例する(A = πd² ÷ 4)。長さは同じなので、抵抗は直径の2乗に反比例する
- (1.6 ÷ 2.0)² = 0.8² = 0.64倍
ポイント 「長さに比例」「断面積に反比例」「直径の2乗に反比例」の3つと、銅などの金属は、温度が上がると抵抗が大きくなる ことをセットで覚えます。記述を選ぶ型では、断面積と直径を取り違えた肢(「断面積の2乗に反比例」など)、比例と反比例を入れ替えた肢、温度の向きを逆にした肢がよく並びます。
同じ型の練習(ぴよパスのオリジナル問題): 長さ2倍・断面積1/2の電線の抵抗・直径2倍・長さ2倍の銅線の抵抗
型2 計算:電熱器の発熱量は、kW・h に 3,600 を掛ける
問3は、消費電力と使用時間から、電熱器の発熱量を kJ で求める型です。公式の答えはハで、電力量を kW・h で出して 3,600 を掛ければ求まります。
例題(自作) 消費電力 500 W の電熱器を1時間30分使ったときの発熱量 [kJ] はいくらか。
解き方
- 電力量を kW・h で出す。0.5 kW × 1.5 h = 0.75 kW・h
- 1 kW・h = 3,600 kJ なので、0.75 × 3,600 = 2,700 kJ
- 確かめ: 500 W × 5,400 秒 = 2,700,000 J = 2,700 kJ
ポイント 1 W は1秒あたり 1 J、1時間は 3,600 秒なので、1 kW・h = 3,600 kJ です。分で与えられたら時間に直してから掛けます。この型でよくある誤りは、W・h のまま答える(kJ に直し忘れる)ことと、1時間分だけで計算することです。
同じ型の練習: 3 kWの電熱器を30分使ったときの発熱量
型3 計算:単相2線式の電圧降下は、電線2本分で数える
問6は、電線のこう長(電源から負荷までの距離)・負荷の消費電力・電線の抵抗から、電圧降下を求める型です。公式の答えはロで、負荷の電流を出してから、往復2本分の 2rI で求まります。下の例題は、同じ式を逆に使って、こう長の上限を問う形にしました。
例題(自作) 単相2線式の配線で、10 A の抵抗負荷に電力を送る。電線の抵抗が 1 km あたり 8.0 Ω のとき、電線での電圧降下を 2 V 以下にするには、電線のこう長を何 m 以下にすればよいか。
解き方
- 単相2線式は、行きと帰りの 電線2本 に電流が流れる。電圧降下は e = 2rI(r は電線1本の抵抗)
- e を 2 V にするときの r を出す。2 = 2 × r × 10 より r = 0.1 Ω
- 1 km あたり 8.0 Ω なので、0.1 Ω になる長さは 0.1 ÷ 8.0 = 0.0125 km = 12.5 m。こう長は 12.5 m 以下
- 確かめ: 12.5 m なら r = 8.0 × 0.0125 = 0.1 Ω、e = 2 × 0.1 × 10 = 2 V
ポイント こう長は片道の長さです。単相2線式は 2rI、三相3線式は √3 rI と、係数だけが違います。よくある誤りは、電線1本分(片道)だけで計算することです。この例でそうすると、こう長を2倍の 25 m と答えてしまいます。
同じ型の練習: 20 A流れる単相2線式の往復の電圧降下
型4 計算:単相3線式は、負荷がそろうと中性線に電流が流れない
問7は、単相3線式の回路で、片側の負荷のスイッチを入れたときに、もう片側の負荷の電圧がどう変わるかを問う型です。公式の答えはニ(電圧が上がる)で、スイッチを入れて上下の負荷がそろうと中性線の電流が 0 になることが決め手です。
例題(自作) 単相3線式 100/200 V の回路で、電源の電圧線と中性線の間の電圧はそれぞれ 100 V で一定、電線1本の抵抗は 0.2 Ω とする。上側と下側に同じ 4.6 Ω の抵抗負荷があり、上側の負荷にだけスイッチ S がある。S を閉じる前と後で、中性線に流れる電流と、下側の負荷の電圧 V はそれぞれいくらか。
解き方
- S を閉じる前 は、下側の負荷だけに電流が流れ、電圧線と中性線の2本を通る。電流は 100 ÷ (0.2 + 4.6 + 0.2) = 20 A で、中性線にも 20 A 流れる。V = 100 − 20 × 0.4 = 92 V
- S を閉じた後 は、上下の負荷が同じなので、中性線では上下の電流が打ち消し合って 中性線の電流は 0 A になる。中性線での電圧降下も 0 なので、下側は電圧線1本分だけを考える。電流は 100 ÷ (0.2 + 4.6) ≒ 20.8 A。V = 100 − 20.8 × 0.2 ≒ 96 V
- S を閉じると、もう片側の V は 約 4 V 上がる
ポイント 単相3線式で上下の負荷がそろうと、中性線の電流は 0 になります。スイッチを入れると負荷が増えるのに電圧が上がるのはこのためで、「下がる」の肢に引っ張られないようにします。中性線が切れると、上下の負荷が200 Vに直列につながります。上下の負荷が違うと、抵抗の大きい側に100 Vを超える電圧がかかります。
近い型の練習: 中性線が断線したときに負荷にかかる電圧
型5 検査:絶縁抵抗の基準は、対地電圧で決まる
問25は、低圧屋内配線の電路と大地の間の絶縁抵抗の測定値が、電気設備に関する技術基準を定める省令(以下、電技省令)に適合しているかを問う型です。公式の答えはロで、対地電圧が200 Vの三相の回路が、求められる値を下回っていました。基準は電技省令 第58条にあり、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の値以上と決まっています。
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 300 V以下で、対地電圧が150 V以下 | 0.1 MΩ以上 |
| 300 V以下で、上の区分以外 | 0.2 MΩ以上 |
| 300 Vを超えるもの | 0.4 MΩ以上 |
例題(自作) 次の4つの低圧の回路について、電技省令の絶縁抵抗の基準値(何 MΩ 以上か)を答えよ。
- ① 単相2線式 100 V の照明の回路
- ② 単相3線式 100/200 V から取った、使用電圧 200 V のエアコンの回路
- ③ 一方の線を接地した単相2線式 200 V の回路(対地電圧 200 V)
- ④ 三相3線式 400 V の回路
解き方
- ①:使用電圧 100 V・対地電圧 100 V。300 V以下で対地電圧150 V以下なので 0.1 MΩ
- ②:電圧線どうしの間は200 Vでも、単相3線式は中性線を接地しているので、大地との間は100 V。対地電圧が150 V以下なので 0.1 MΩ
- ③:使用電圧は300 V以下だが、対地電圧が200 Vで150 Vを超えるので 0.2 MΩ。1線を接地した三相3線式 200 Vも、対地電圧は200 Vなので同じく 0.2 MΩ
- ④:使用電圧が300 Vを超えるので 0.4 MΩ
ポイント まず使用電圧が300 Vを超えるかを見て、300 V以下なら 0.1 MΩ か 0.2 MΩ かを、使用電圧ではなく対地電圧で決めます。「200 Vの回路」と書いてあっても、単相3線式から取った回路なら対地電圧は100 Vです。測った値が基準以上かを問う問題も、基準値が出せればすぐに判定できます。
近い分野の練習: 竣工検査で絶縁抵抗を測る箇所
配線図の20問は、図記号と複線図で解く
配線図の20問は、1つの住宅などの配線図を見て、図記号・器具・電線の本数・使う材料を答える問題です。図記号の覚え方と得点しやすい順番は「学科の配線図20問の攻略」、ボックスの中の電線の本数や接続のしかたは「複線図の覚え方」で、技能試験の準備と一緒に練習できます。
解説のない過去問を、解説つきの練習に変える手順
- 解答のPDFで答え合わせをする — 1問2点で点数を出し、60点に何問足りないかを数えます。
- 間違えた問題に、型の名前を付ける — 「単相3線式で中性線の電流が0」「対地電圧で絶縁抵抗」のように、何を問う型かを短く書きます。
- 型ごとに、解き方を3〜4行で書く — 上の例題の「解き方」と「ポイント」の形で、自分のノートに書きます。
- 数値を変えて解き直す — 自分で数値を変えて解き、書いた解き方が使えるかを確かめます。ぴよパスの同じ分野の練習問題にも、1問ごとに解説が付いています。
- 元の過去問に戻る — 何日か空けて、もう一度解きます。
ぴよパスの第二種電気工事士の練習問題は、分野ごとに登録不要・無料で解けます。間違えた問題の解き直しも無料です。
本番と同じ形で通して解く 模擬試験 は Premium(月980円)の機能です。
当サイトの問題について
ぴよパスの問題と、この記事の例題は、電気技術者試験センターが公表している問題を写したものではなく、電気設備に関する技術基準を定める省令などの法令や公的な資料、電気の基本的な法則をもとに独自に作った オリジナルの予想問題 です。本試験の問題は、センターのホームページでご覧ください。
出典
- 一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度第二種電気工事士上期試験(筆記方式)」の試験問題と解答(2026年5月24日実施。分野の数え方と型の確認にだけ使い、問題文は写していません)
- 同「令和8年度第二種電気工事士上期試験」の試験問題(問題数・配点・受験上の注意事項)
- 同「令和8年度第二種電気工事士下期試験受験案内」(合格基準点)
- 同「電気工事士学科試験(一種、二種)のCBT方式への移行について(令和9年度〜)」(令和8年4月8日)
- 同「第二種電気工事士試験 試験問題と解答」(2026年10月21日に確認)
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第58条(低圧の電路の絶縁性能。2026年10月21日に e-Gov 法令検索で確認)
次に読む
- 第二種電気工事士の過去問の入手先 — 公開されている回とCBTの扱い
- 学科の配線図20問の攻略 — 図記号・複線図・材料問題の得点順
- 第二種電気工事士の試験日2026 — 下期の筆記方式は10月25日










