第二種電気工事士の技能試験は、公表されている候補問題13問のうち1問を、40分 で、支給された材料と自分で持参した工具で作る試験です。合否は作品に欠陥があるかどうかで決まり、欠陥が1つでもあれば不合格です。この記事では、試験を行う電気技術者試験センターの資料「技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月)から、試験で重視される能力・よくある欠陥・試験場のルールを整理し、そこから逆算した練習の順番をまとめます。資料の文は写さず、要点を自分の言葉で書いています(施工条件の色の指定の例だけは、試験問題の施工条件と同じ決まった言い回しです)。
コツ1 センターが重視する3つの能力を知る
センターの資料は、技能試験で重視する能力を3つ挙げています。
| 能力 | 中身 | 落とす例 |
|---|---|---|
| 回路を正しく組む | 配線図どおりに器具を置き、電気的に正しく接続・結線する | 未完成、接地線のつなぎ忘れ、取付枠の付け忘れ、誤接続 |
| 配線図と施工条件を読んで守る | 電線の色・接続のしかた・器具の向きなど、問題の条件に従う | 回路は正しいが、白と黒が逆、指定と違う接続方法 |
| 接続などの作業を確実に仕上げる | 被覆のはぎ取り・圧着・輪作りを、決まった順序と方法で仕上げる | 心線の傷、圧着マークの誤り、絶縁被覆の出すぎ |
2つ目が見落とされやすい点です。配線図と施工条件に従っていない作品は、回路が電気的に正しくても欠陥 と判断されます。練習のときから、作り始める前に施工条件を1行ずつ読み、色と接続方法に印を付ける習慣をつけます。
コツ2 よくある欠陥5つを、先につぶす
センターの資料は、技能試験で多く見られる欠陥として次の5つを挙げています(番号は欠陥の判断基準の項目)。
| 欠陥 | 対策 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 1. 未完成のもの | 40分で仕上げる練習を、時間を計って重ねる | 40分の時間配分 |
| 3. 誤接続・誤結線 | 作る前に複線図を描き、接続点ごとに電線の本数を書く | 複線図の覚え方 |
| 6-1. リングスリーブ用圧着工具の使い方が適切でない | スリーブの大きさと刻印を、電線の太さと本数から決める。刻印を誤ったら新しいスリーブでやり直す | リングスリーブの選び方と刻印 |
| 8-10. 引掛シーリングローゼットで、絶縁被覆が台座の下端から5mm以上出ている | シースと被覆をはぎ取る長さを、仕上がりから逆算して決める | 欠陥の判断基準 |
| 8-7. ランプレセプタクル・露出形コンセントの巻き付けの処理が不適切 | 輪作りの向きと大きさをそろえ、カバーが閉まる長さにする | 輪作りの手順と向き |
この5つは、多くの候補問題で起こり得ます。13問を1周する前に、この5つにつながる作業(ケーブルのはぎ取り・リングスリーブの圧着・輪作り・複線図)を繰り返して、毎回同じ仕上がりにできるようにしておくと、本番で崩れにくくなります。
コツ3 施工条件の色の指定は、ほぼ毎回入る
試験問題の施工条件には、電線の色の指定がほぼ毎回入ります(配線図や施工条件の詳しいところは、公表される候補問題ではなく試験問題に書かれます)。センターの資料にある指定の例は、次の形です(試験問題の施工条件の言い回しのまま。どの項目が入るかは問題ごとに違います)。
| 指定の例 | 内容 |
|---|---|
| 電源からの接地側の電線 | すべて白色 |
| 電源から点滅器までの非接地側の電線 | すべて黒色 |
| 白色の電線を結線する器具の端子 | ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセント・引掛シーリングの接地側の極(N・W・接地側と表示)、配線用遮断器の接地側の極(N) |
| 接地線 | 緑色 |
| 200 V回路の電源からの配線 | R相に赤色、S相に白色、T相に黒色 |
白と黒が逆になると、回路が動いても欠陥(電線の色別・器具の極性が施工条件と違うもの)になります。複線図を描くときに、白・黒・赤を色ペンか文字で書き分けておくと、作るときに迷いません。
コツ4 試験場で使えるもの・使えないものを確かめておく
センターの資料と「よくあるご質問」から、問い合わせが多い点をまとめます。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 電動工具 | 使えない。充電式のドライバなど電動の機能が付いた工具は、機能を切って使う場合も不可。使うと不正行為で失格 |
| 改造した工具・自作した工具 | 使えない。目盛を書き込む、持ち手を延ばすなど、改造の大小は問わない |
| テスタなどの計測器 | 使えない |
| デジタル表示機能の付いた工具(電子ノギスなど) | 使えない(受験案内) |
| 保護板 | 配付されたものだけを使う(受験案内) |
| 電線を一時的に束ねるクリップ | 使える。試験の終了までに必ず外す |
| 小さな部品を入れる小箱 | 使えない。支給される材料箱を使う |
| 工具箱・工具袋 | 机の上に置ける(周りの受験者の迷惑にならない範囲で) |
| ケーブルにペンで印を付ける | できる |
| スケールを貼る | 机には貼らず、試験開始後に保護板(厚紙)に貼る |
| 作業の姿勢 | 椅子に座って行う。力を入れるときに一時的に立つのはよいが、立ち続けると失格 |
材料は、試験開始の前に材料表と照らし合わせて確かめる時間があります。足りない・不良がある場合はそのときに申し出ます。作業が始まった後は、リングスリーブ・差込形コネクタ・端子ねじ以外の材料は交換も追加もされません。 切りすぎたケーブルは取り替えてもらえないので、寸法は配線図から逆算して切ります(寸法が配線図に示された寸法の50%以下だと欠陥。器具は中心から測る)。
センターは、カッターナイフでけがをして手当てのために退出する人が増えているとして、カッターナイフを使わないよう呼びかけています。被覆のはぎ取りは、ストリッパで練習しておきます。持参する工具は「技能試験の工具」にまとめています。
コツ5 練習は「作業 → 複線図 → 13問 → 時間 → 見直し」の順に
上の4つから逆算した練習の順番です。
| 段階 | やること | できたかの目安 |
|---|---|---|
| 1. 基本作業 | ケーブルのはぎ取り、輪作り、リングスリーブの圧着、差込形コネクタ、器具への結線 | 5つの作業を、毎回同じ仕上がりでできる |
| 2. 複線図 | 候補問題の配線図から複線図を描き、接続点の本数とスリーブの刻印を書き込む | 1問を数分で描ける |
| 3. 13問を1周 | 時間を気にせず、13問を1回ずつ作る | 施工条件の読み落としがない |
| 4. 時間を計る | 40分を計って作る。描く・切る・つなぐ・見直すの時間を記録する | 35分ほどで作り終えて、見直しの時間が残る |
| 5. 見直しの手順を決める | 作り終えたら、決まった順に確かめる(下の表) | 手順が毎回同じ |
実物の材料で13問を作るには、練習用の材料が要ります。1回分の量と選び方は「実技練習キットの選び方」、候補問題の中身は「技能試験の候補問題」にまとめています。過去の試験問題と、センターが公表している解答の入手先は「技能試験の過去問」にあります。
作り終えたあとの見直しの順番
| 順番 | 確かめること | 対応する欠陥 |
|---|---|---|
| 1 | 配線図のすべての器具・接地線・取付枠があるか | 未完成 |
| 2 | 複線図と見比べて、接続点ごとの電線の本数と行き先が合っているか | 誤接続・誤結線 |
| 3 | 白・黒・赤・緑と、器具の接地側の極(受金ねじ部・N・W)が施工条件どおりか | 色別・極性の相違 |
| 4 | リングスリーブの大きさと刻印、差込形コネクタの奥まで差し込まれているか | 圧着接続・差込接続の不備 |
| 5 | 被覆の出すぎ・はぎすぎ、輪作りの向きと締め付け | 器具への結線の不備 |
学科の配線図の問題で、複線図の土台をつくる
技能試験の複線図は、学科の配線図の問題と同じ図記号を使います。ぴよパスの第二種電気工事士の練習問題は、分野ごとに登録不要・無料で解けて、1問ごとに解説が付いています。
- 配線図 — 図記号、電線の本数、ボックスの中の接続
- 配線器具・電気機器・工具材料 — 器具と工具の名前と用途
ぴよパスには技能の作品を判定する機能はありません。作業の練習は、実物の材料で行ってください。
出典
- 一般財団法人電気技術者試験センター「技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月。技能試験で重視する3つの能力、試験当日の流れ、使用する工具、電線の色別、よくある欠陥事例、よくある問合せ。色の指定の例は施工条件の言い回しのまま、ほかは要点を自分の言葉で書き、文は写していません)
- 同「技能試験に係る欠陥の判断基準等について」
- 同「令和8年度第二種電気工事士下期試験受験案内」(技能試験で使えない工具・保護板)
- 同「第二種電気工事士試験」のページ(2026年10月21日に確認)
次に読む
- 技能試験の欠陥の判断基準 — 一発で不合格になる項目
- 40分の時間配分 — 複線図・作業・見直しの配分
- 第二種電気工事士の技能試験とは — 日程・候補問題・持参する工具
- 複線図の覚え方 — 単線図から複線図にする規則










