絶縁抵抗は、電線どうしの間や、電線と大地(地面)との間に、どれだけ電気が流れにくいかを表す抵抗の値です。値が大きいほど絶縁がよく、漏電や感電の危険が小さいことを示します。単位はふつうメガオーム(MΩ)を使います。
電路は、構造上やむを得ない場合などを除いて大地から絶縁しなければならず(電気設備に関する技術基準を定める省令(以下「電技省令」)第5条第1項)、低圧の電路では満たすべき絶縁抵抗の値が決まっています。第二種・第一種電気工事士の学科(検査方法・法令)で学ぶ論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(電技省令は2023年3月20日施行の版、消防法施行規則は2026年6月26日施行の版)、2026年9月29日に経済産業省のサイトから取得した電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正の版)、横河計測の「絶縁抵抗計・接地抵抗計」カタログをもとに書いています。
低圧電路の絶縁抵抗の基準値(電技省令第58条)
電気使用場所の、使用電圧が低圧の電路の電線相互間と電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の値以上でなければなりません(電技省令第58条)。
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
|---|---|---|
| 300ボルト以下 | 対地電圧が150ボルト以下 | 0.1メガオーム以上 |
| 300ボルト以下 | その他(対地電圧が150ボルトを超える) | 0.2メガオーム以上 |
| 300ボルトを超えるもの | 0.4メガオーム以上 |
対地電圧は、接地式電路では電線と大地との間の電圧、非接地式電路では電線間の電圧をいいます(同条の表)。基準値の分かれ目は、まず使用電圧が300ボルトを超えるかどうか、次に対地電圧が150ボルトを超えるかどうかです。
| 回路の例 | 対地電圧 | 基準値 |
|---|---|---|
| 単相2線式100ボルトの回路 | 100ボルト | 0.1メガオーム以上 |
| 単相3線式100/200ボルトの200ボルト回路 | 100ボルト | 0.1メガオーム以上 |
| 対地電圧が200ボルトの200ボルト回路 | 200ボルト | 0.2メガオーム以上 |
| 使用電圧が300ボルトを超える低圧の回路(400ボルト級など) | — | 0.4メガオーム以上 |
単相3線式100/200ボルトでは、中性線の対地電圧が0ボルト、中性線と外側の電線との間が100ボルト、外側の電線どうしが200ボルトです(パナソニック「電気・照明の用語」)。200ボルトの機器をつなぐ回路でも対地電圧は100ボルトなので、基準は0.1メガオーム以上になります。
経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」(以下「電技解釈」)第14条第1項は、この電路ごとの絶縁性能を、省令第58条によるか、絶縁抵抗測定が困難な場合は、使用電圧が加わった状態での漏えい電流が1mA以下であることで満たすとしています。停電できない設備では、この漏えい電流による判定が使われます。
なお、電気使用場所ではなく低圧電線路の絶縁部分については、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2,000分の1を超えないように、という別の決まりがあります(電技省令第22条)。電工2種の数字の覚え方は 第二種電気工事士の語呂合わせ で扱っています。
絶縁抵抗計(メガー)での測り方
絶縁抵抗は、電気機器や電路の使用を止めて、絶縁抵抗計(メガーとも呼ばれます)で測るのが一般的です。絶縁抵抗計は、測る部分に直流の電圧をかけて、流れる電流から抵抗値を求める計器です。測定器メーカーの資料では、低圧電路は次の順で測るとされています(横河計測「絶縁抵抗計・接地抵抗計」カタログ)。
- 開閉器を開いて停電させる
- 開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電線相互間と電路と大地との間を測る
- 測った値が基準値を下回ったら、分岐スイッチをすべて開き、幹線と分岐回路ごとに分けて測って、悪いところを絞り込む
絶縁抵抗計の定格測定電圧には25ボルトから1,000ボルトまでいくつかの段階があり、同じカタログが日本産業規格(JIS C 1302)の解説を引いて示す使用例では、100ボルト系の低圧配電路には100ボルトまたは125ボルト、200ボルト系には250ボルト、600ボルト以下の低圧配電路の維持管理や竣工時の検査には500ボルトといった使い分けの例が示されています。測定のあとの回路には直流の電荷が残ることがあるため、自動で放電して完全放電を確かめられる機能を持つ機種もあります。
停電できない回路では、リーククランプテスタで漏れ電流を調べる方法もあります(同カタログ)。その場合の目安は、前の節の電技解釈第14条の漏えい電流1mA以下です。
消防用設備の配線の絶縁抵抗
消防用設備の配線にも、絶縁抵抗の基準が消防法施行規則で決まっています。測るときの絶縁抵抗計の電圧まで指定されているのが特徴です。
| 設備 | 測る絶縁抵抗計 | 基準 | 根拠(消防法施行規則) |
|---|---|---|---|
| 自動火災報知設備 | 直流250ボルト | 電源回路と大地・配線相互間:対地電圧150ボルト以下は0.1メガオーム以上、150ボルト超は0.2メガオーム以上。感知器回路・附属装置回路:一の警戒区域ごとに0.1メガオーム以上 | 第24条第1号ロ |
| ガス漏れ火災警報設備 | 直流500ボルト | 電源回路:対地電圧150ボルト以下は0.1メガオーム以上、150ボルト超は0.2メガオーム以上。検知器回路など:一の警戒区域ごとに0.1メガオーム以上 | 第24条の2の3第1項第5号ロ |
| 非常警報設備 | 直流250ボルト | 電源回路:対地電圧150ボルト以下は0.1メガオーム以上、150ボルト超は0.2メガオーム以上 | 第25条の2第2項第4号イ |
自動火災報知設備がどの建物に要るかは 自動火災報知設備の設置基準 に、受信機の回線は P型1級・P型2級受信機の違い にまとめています。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 使用電圧300ボルト以下・対地電圧150ボルト以下の電路の絶縁抵抗は、0.1メガオーム以上 | 正しい | 電技省令第58条 |
| 単相3線式100/200ボルトの200ボルト回路は、対地電圧200ボルトとして0.2メガオーム以上が要る | 誤り | 対地電圧は100ボルトなので0.1メガオーム以上 |
| 使用電圧が300ボルトを超える低圧の電路の絶縁抵抗は、0.2メガオーム以上 | 誤り | 0.4メガオーム以上 |
| 低圧電路の絶縁抵抗は、電線と大地との間だけを測ればよい | 誤り | 電線相互間と電路と大地との間の両方(電技省令第58条) |
| 絶縁抵抗測定が困難な低圧電路は、使用電圧が加わった状態の漏えい電流が1mA以下なら絶縁性能を満たす | 正しい | 電技解釈第14条第1項第2号 |
| 絶縁抵抗の基準は、値が小さいほど良い「以下」の基準である | 誤り | 絶縁抵抗は「以上」。値が大きいほど絶縁がよい |
| 自動火災報知設備の感知器回路の絶縁抵抗は、直流250ボルトの絶縁抵抗計で一の警戒区域ごとに0.1メガオーム以上 | 正しい | 消防法施行規則第24条第1号ロ |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、絶縁抵抗の論点を確かめられます。
出典
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第5条・第22条・第58条(e-Gov法令検索・2023年3月20日施行の版)
- 消防法施行規則 第24条・第24条の2の3・第25条の2(e-Gov法令検索・2026年6月26日施行の版)
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第14条(令和7年11月20日改正の版。経済産業省の内規で、法令ではない)
- 横河計測株式会社「絶縁抵抗計・接地抵抗計」カタログ(Bulletin MY)
- パナソニック「電気・照明の用語(電圧)」
当サイトの問題は電気工事士試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。電気技術者試験センターとは関係ありません。










