FP3級の不動産は「計算2問を落とさない」が最短ルート
FP3級は6分野からほぼ均等に出題され、不動産はそのうちの1分野です。ぴよパスでも不動産分野に66問を用意していますが、作問していて気づいたのは、この分野だけ計算問題の比率が明らかに高いということでした。
そして計算で問われるのは、実質建蔽率と容積率の2つだけです。ここを固めれば、残りは借地借家法・区分所有法・税金の知識問題になります。暗記量は他分野より少なく、得点効率はむしろ良い分野です。
| 押さえる順番 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 1. 建蔽率・容積率 | 計算手順と緩和・制限の条件 | 毎回出る。計算なので確実に取れる |
| 2. 借地借家法 | 存続期間の「30年→20年→10年」 | 数値が少なく、覚えれば落ちない |
| 3. 不動産の税金 | 取得・保有・譲渡の3タイミングで整理 | 税目が多いが、時点で分けると混ざらない |
| 4. 区分所有法・登記 | 決議要件と「公信力が無い」 | 論点が固定されている |
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建蔽率と容積率 ─ 「面」と「積み上げ」で別物と捉える
2つの用語が混ざるのは、どちらも「敷地面積で割る」からです。分子が違うだけだと整理してください。
- 建蔽率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 … 真上から見た面の広さの割合
- 容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積 … 全階を積み上げた床面積の割合
建蔽率は「敷地をどこまで覆ってよいか」、容積率は「何階分積めるか」を決める数字です。
建蔽率の緩和は「角地+10%」「防火地域の耐火建築物+10%」
指定建蔽率に加算される条件は2つで、両方に該当すれば合計+20%です。
| 条件 | 加算 |
|---|---|
| 特定行政庁が指定する角地 | +10% |
| 防火地域内に耐火建築物を建築(準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物も同様) | +10% |
🔴 角地の加算を「+20%」とする選択肢が定番の誤りです。角地は+10%で、+20%になるのは両方に該当した場合です。
制限が完全になくなる(100%になる)ケースもありますが、条件が限定されています。指定建蔽率が80%とされている地域内で、防火地域内に耐火建築物を建てる場合に限られます。「防火地域内に耐火建築物を建てれば必ず制限がなくなる」は誤りです。
容積率は「指定」と「前面道路×法定乗数」の小さい方
容積率でつまずくのはここです。指定容積率をそのまま使ってよいとは限りません。
前面道路の幅員が12m未満のときは、「指定容積率」と「前面道路の幅員 × 法定乗数」を比べて、小さい方が適用される。
法定乗数は用途地域で決まります。
| 用途地域 | 法定乗数 |
|---|---|
| 住居系 | 4/10 |
| その他(商業系・工業系など) | 6/10 |
実際に計算してみます。
第一種住居地域・敷地面積300㎡・指定建蔽率60%・指定容積率300%・前面道路の幅員4m(法定乗数4/10)
- 前面道路による容積率 = 4m × 4/10 = 160%
- 指定容積率300% と比べて小さいのは160%
- 最大延べ面積 = 300㎡ × 160% = 480㎡
誤答として置かれるのは次の3つです。どれも計算自体は正しく、見る場所を間違えているだけなので、手順を固定するのが対策になります。
| 誤答 | 何を間違えたか |
|---|---|
| 180㎡ | 建蔽率60%で計算した最大建築面積(延べ面積ではない) |
| 720㎡ | 法定乗数を住居系の4/10ではなく6/10とした(4m × 6/10 = 240%) |
| 900㎡ | 前面道路による制限を無視して指定容積率300%をそのまま使った |
2項道路とセットバック ─ 後退部分は敷地面積に入らない
幅員4m未満の道路でも、特定行政庁が指定したものは建築基準法上の道路として扱われます(法42条2項、いわゆる2項道路)。この道路に接する敷地では、原則として道路の中心線から水平距離2m後退した線が道路の境界線とみなされます。
🔴 このセットバック部分は、建蔽率・容積率を計算するときの敷地面積に算入できません。自己所有地であっても同じです。建築物や塀を建てることもできません。
後退距離を「1m」とする選択肢、「自己所有地なので敷地面積に入れられる」とする選択肢はいずれも誤りです。またセットバックは用途地域の種類に関係なく必要です。
借地借家法 ─ 存続期間は「30年 → 20年 → 10年」の階段
普通借地権(建物の所有を目的とする借地権)の存続期間は30年です。ここから更新のたびに短くなります。
| 場面 | 存続期間 |
|---|---|
| 当初 | 30年 |
| 最初の更新後 | 20年 |
| 2回目以降の更新後 | 10年 |
いずれも「これより長い期間を定めること」はできますが、短くはできません。🔴 30年より短い期間を定めても、借地権者に不利な特約として無効となり、存続期間は30年になります。期間を定めなかった場合も30年です。
出題では「最短は20年」「期間を定めなければ50年」といった数字が並びますが、当初はすべて30年と覚えれば切れます。
区分所有法 ─ 専有部分と敷地利用権は切り離せない
マンションのルールを定める法律で、押さえどころは4点に収まります。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 専有部分と敷地利用権 | 規約に別段の定めがある場合を除き、分離して処分できない |
| 共用部分の持分 | 各区分所有者が持つ専有部分の床面積の割合による(頭数で均等ではない) |
| 法定共用部分(廊下・階段・エレベーター) | 構造上全員の共用に供される部分なので、専有部分にはできない |
| 規約の効力 | 売買等で後から取得した特定承継人にも及ぶ |
決議要件は、変更の重さで3段階に分かれます。
| 決議事項 | 必要な多数 |
|---|---|
| 共用部分の軽微変更(形状・効用の著しい変更を伴わないもの)ほか一般的事項 | 区分所有者および議決権の各過半数(普通決議) |
| 共用部分の重大変更(形状または効用の著しい変更を伴うもの) | 各4分の3以上 |
| 建替え | 各5分の4以上 |
重大変更については、区分所有者の定数は規約で過半数まで減じることができます(議決権は減じられません)。「重大変更は全員の同意が必要」「軽微変更に5分の4以上が必要」はいずれも誤りです。
なお区分建物の登記では、敷地権(登記された敷地利用権)がある場合、専有部分についてした所有権移転などの登記の効力が敷地権にも及びます。そのため土地について別途登記をする必要がありません。
不動産登記 ─ 対抗力はあるが、公信力は無い
不動産登記の性質で問われるのは、実質この1点です。
- 対抗力はある … 登記をすることで第三者に権利を主張できる
- 公信力はない … 登記名義人が真実の権利者でなかった場合、その登記を信じて取引しても原則として保護されない
🔴 甲区(所有権に関する登記)であっても公信力は認められません。登記だけを信じて取引すると保護されないため、実務では現地調査等による確認が必要になります。「対抗力はないが公信力はある」といった入れ替えが選択肢に並ぶので、2語をセットで覚えてください。
売買契約に絡んでは危険負担が問われます。2020年4月施行の改正民法では、
| 滅失した時点 | 買主は代金を払うか |
|---|---|
| 引渡し前(当事者双方の責めに帰することができない事由=天災等) | 支払いを拒める(履行拒絶権) |
| 引渡し後 | 拒めない(引渡しにより危険が買主へ移転) |
目的物が滅失しても契約が当然に無効になるわけではなく、買主は契約の解除等ができます。
都市計画法 ─ 「市街化区域には用途地域を定める」で方向が決まる
| 区域 | 内容 |
|---|---|
| 市街化区域 | すでに市街地を形成している区域、およびおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域。少なくとも用途地域を定める |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域。原則として用途地域を定めない |
🔴 市街化調整区域は「建築が全面禁止」ではありません。農林漁業用の建築物など、一定の建築は認められます。また市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)が行われていない非線引き区域も存在します。「都市計画区域は必ず2つに区分される」は誤りです。
不動産の税金 ─ 「取得・保有・譲渡」の3タイミングで分ける
税目が多く見えますが、いつ課されるかで並べると混ざりません。
| タイミング | 税金 |
|---|---|
| 取得するとき | 不動産取得税・登録免許税・印紙税・(贈与なら贈与税、相続なら相続税) |
| 保有しているとき | 固定資産税・都市計画税 |
| 譲渡するとき | 譲渡所得に対する所得税・住民税 |
取得するとき
不動産取得税(地方税)は、売買・新築・贈与・交換などによる取得に課されます。🔴 相続による取得は課税対象外です。
課税標準の特例も頻出です。一定要件(床面積50㎡以上240㎡以下など)を満たす新築住宅を取得した場合、課税標準となるべき価格から1戸につき1,200万円を控除できます。🔴 税額から1,200万円を引くのではありません。また宅地を取得した場合の課税標準は、価格の2分の1(3分の1ではありません)です。
登録免許税は国税です(地方税ではありません)。課税標準は次のとおりで、実際の売買価格ではない点が問われます。
| 登記 | 課税標準 |
|---|---|
| 所有権の保存登記・移転登記 | 原則として固定資産税評価額 |
| 抵当権の設定登記 | 債権金額 |
| 建物新築時の表題登記など表示に関する登記 | 原則として課されない |
保有しているとき
固定資産税・都市計画税は、いずれも賦課期日が毎年1月1日で、納税義務者は1月1日時点の所有者です。
🔴 年の途中で売却しても、その年度分の納税義務者は法律上1月1日時点の所有者(売主)のままです。実務でよくある日割精算は、当事者間の契約による取り決めであって、納税義務者が変わるわけではありません。「12月31日時点の所有者」とする選択肢は誤りです。
都市計画税は原則として市街化区域内に所在する土地・家屋の所有者に対し、固定資産税と併せて市区町村が課税します。税率は0.3%が上限の制限税率で、市区町村がこれを超える税率を定めることはできません。
譲渡するとき
譲渡所得は「譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。何がどちらに入るかが問われます。
| 費用 | 扱い |
|---|---|
| 購入代金 | 取得費 |
| 購入時の仲介手数料・登録免許税・不動産取得税 | 取得費(付随費用として算入できる) |
| 譲渡時の仲介手数料 | 譲渡費用(取得費ではない) |
| 保有期間中の固定資産税・修繕費 | 🔴 取得費にも譲渡費用にも入らない |
取得費が不明な場合の概算取得費は、譲渡収入金額の5%相当額です。10%ではありません。
居住用財産の特例は2つを比較で押さえます。
| 特例 | 要件 | 効果 |
|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 所有期間の長短を問わない(短期でも可) | 譲渡所得から最高3,000万円を控除 |
| 買換え特例 | 譲渡年の1月1日時点で所有期間10年超かつ居住期間10年以上 | 課税の繰延べ(非課税ではない) |
🔴 この2つは併用できません(選択適用)。また3,000万円特別控除には次の制限があります。
- 配偶者・直系血族・生計を一にする親族等への譲渡には適用できない
- 適用を受けた年(前後2年を含む)は、住宅ローン控除と重複適用できない
計算問題も型が決まっています。
居住用財産(譲渡年の1月1日時点の所有期間8年)を7,000万円で譲渡。取得費2,000万円、譲渡費用500万円。3,000万円特別控除を適用した場合の課税長期譲渡所得金額は?
- 譲渡所得 = 7,000万 −(2,000万 + 500万)= 4,500万円
- 所有期間5年超なので長期譲渡所得
- 3,000万円特別控除を適用 → 4,500万 − 3,000万 = 1,500万円
誤答は「4,500万円(特別控除の適用を忘れた)」「2,000万円(譲渡費用500万円を引き忘れた)」です。引く順番を固定して、必ず3行書くのがミスを防ぐ最短の方法です。
不動産 66問で、建蔽率・容積率の手順が身についたか試す →
残り時間別 不動産攻略の優先順位
| 残り時間 | やること |
|---|---|
| 1か月以上 | 建蔽率・容積率を数値違いで反復。借地借家法の「30年→20年→10年」を固める |
| 2週間 | 税金を取得・保有・譲渡の3タイミングで表にする。区分所有法の決議要件を確認 |
| 1週間 | 容積率の「小さい方を採る」手順と、セットバック部分は敷地面積に入らない点を再確認 |
| 直前3日 | 3,000万円特別控除と買換え特例の併用不可、固定資産税の賦課期日1月1日だけ見直す |
落ちる人の失敗パターンと回避策
指定容積率をそのまま使ってしまう 前面道路の幅員が12m未満なら必ず「幅員 × 法定乗数」と比べます。問題文に幅員が書いてある時点で、比較させる意図があると考えてください。
建蔽率と容積率の答えを取り違える 「最大建築面積」を聞かれているのか「最大延べ面積」なのかを、計算を始める前に丸で囲みます。誤答選択肢には必ず両方が置かれています。
税金を税目ごとにバラバラに覚える 不動産取得税・登録免許税・固定資産税・都市計画税・譲渡所得を横並びで暗記すると混ざります。取得・保有・譲渡の3タイミングに置き直すだけで、どの税がいつ出てくるか迷わなくなります。
FP3級 不動産で得点するためのチェックリスト
- 建蔽率=建築面積÷敷地面積、容積率=延べ面積÷敷地面積を言える
- 前面道路12m未満なら「幅員×法定乗数」と指定容積率を比べ、小さい方を採ると決めた
- 法定乗数は住居系4/10・その他6/10を覚えた
- 建蔽率の緩和は角地+10%、防火地域内の耐火建築物+10%、両方で+20%と押さえた
- セットバック部分は敷地面積に算入できないと理解した
- 普通借地権の存続期間を「30年→20年→10年」で言える
- 区分所有法の決議を過半数・4分の3・5分の4で区別できる
- 登記に対抗力はあるが公信力はないと言える
- 不動産取得税は相続では課されないと覚えた
- 固定資産税の賦課期日が1月1日で、年途中に売っても納税義務者は売主だと理解した
編集部より ─ 作問して気づいた、不動産分野の伸ばし方
不動産66問の解説を作る中で見えたのは、この分野で失点する人の多くが「知らない」のではなく「見る場所を間違えている」ということでした。容積率の誤答が典型で、指定容積率だけを見て計算した答えも、法定乗数を取り違えた答えも、計算そのものは正しく行われています。
だからこそ、暗記量を増やすより手順を固定するほうが効きます。容積率なら「幅員が書いてあるか確認 → 2つ計算 → 小さい方」、譲渡所得なら「収入 − 取得費 − 譲渡費用 → 特別控除」と、毎回同じ順番で書き下すだけで正答率が変わります。
もう1つは、税金を時点で並べ直すことです。税目の名前で覚えると似た名称が混ざりますが、「買うときに払う」「持っている間に毎年払う」「売って儲かったら払う」と生活の順番に置くと、抜けにくくなります。
出典
- 建築基準法第42条第2項(2項道路)・第52条(容積率)・第53条(建蔽率)
- 借地借家法第3条・第4条(借地権の存続期間)
- 建物の区分所有等に関する法律第17条(共用部分の変更)・第22条(分離処分の禁止)
- 地方税法第73条の14(不動産取得税の課税標準の特例)・第359条(固定資産税の賦課期日)
- 租税特別措置法第35条(居住用財産の3,000万円特別控除)・第36条の2(買換え特例)
- 一般社団法人 金融財政事情研究会「ファイナンシャル・プランニング技能検定」 https://www.kinzai.or.jp/











