FP3級の債券は、利回りが4種類も出てくるところで手が止まります。応募者利回り・最終利回り・所有期間利回り・直接利回り——4つの公式を別々に暗記しようとすると、本番で必ず取り違えます。
ただ、このうち3つはまったく同じ形の式です。違うのは代入する値だけです。
先に結論:3つは1つの式でまとめられる
応募者利回り・最終利回り・所有期間利回りは、すべてこの形をしています。
(表面利率 + (手放すときの価格 − 買ったときの価格) ÷ 保有年数) ÷ 買ったときの価格 × 100
分子は「1年あたりに得られるもの」=毎年の利息+値上がり益を1年分に均したもの。分母は「自分が出したお金」です。
3つの違いは、いつ買って、いつ手放したかだけです。
| 買ったとき | 手放すとき | 名前 | |
|---|---|---|---|
| 発行時に買って償還まで持つ | 発行価格 | 額面(償還) | 応募者利回り |
| 途中で買って償還まで持つ | 購入価格 | 額面(償還) | 最終利回り |
| 途中で売る | 購入価格 | 売却価格 | 所有期間利回り |
▶️ 式は1本。表の行を読み替えるだけです。「応募者利回りの公式は…」と思い出す必要はありません。
⚠️ 分母は常に買ったときの価格です。額面ではありません。額面100円の債券を98円で買ったなら分母は98円になります。ここが最頻出の取り違えです。
直接利回りだけが別枠
残る直接利回りは、上の3つとは性質が違います。
表面利率 ÷ 買ったときの価格 × 100
値上がり益(差損益)を見ません。 「買った価格に対して、毎年いくら利息が入るか」だけを表す指標です。
見方を変えると、直接利回りは上の式から差益の項を落としたものです。だから保有年数が式に出てきません。売買のタイミングと無関係な指標だ、と理解しておけば十分です。
| 差損益を見るか | 保有年数が要るか | |
|---|---|---|
| 応募者・最終・所有期間 | 見る | 要る |
| 直接利回り | 見ない | 不要 |
「保有年数が問題文に出てきたら差益を計算する3つのどれか、出てこなければ直接利回り」という見分け方もできます。
名前の読み方で3つを区別する
3つの名前は、それぞれ状況を言葉で表しています。
- 応募者利回り … 新規発行に「応募」して買う。だから買った価格は発行価格
- 最終利回り … 「最終」=償還まで持つ。だから手放す価格は額面
- 所有期間利回り … 「所有期間」だけ持って売る。だから手放す価格は売却価格
最終利回りと応募者利回りはどちらも償還まで持つので、手放す側は同じ(額面)です。違うのは買う側だけ——ここを押さえると2つが混ざりません。
本番でやる手順を決めておく
計算そのものより、何を代入するかを先に確定させるほうが事故が減ります。
- 問題文から「いくらで買ったか」を取る → これが分母
- 「最後にいくらで手放すか」を取る(償還なら額面、売却なら売却価格)
- 差額を出し、保有年数で割る(1年あたりの差益)
- 表面利率を足す → これが分子
- 分子 ÷ 分母 × 100
ステップ3で年数で割るのを忘れると、差益がそのまま乗って値が大きくなります。「1年あたりに直す」を声に出して確認すると防げます。
つまずきやすい聞かれ方
- 「額面100円の新発債を99円で購入し、償還まで保有」→ 発行時に買って償還なので応募者利回り
- 「既発債を101円で購入し、償還まで保有」→ 途中で買って償還なので最終利回り
- 「99円で購入し、3年後に102円で売却」→ 途中で売るので所有期間利回り
- 「購入価格に対する年間の利息の割合」→ 差益を見ないので直接利回り
問題文に売却という語があれば所有期間利回り、償還まで持つなら応募者か最終、という切り分けが速いです。
まとめ
- 応募者・最終・所有期間の3つは同じ式。変わるのは買った価格・手放す価格・保有年数だけ
- 式は「(表面利率+1年あたりの差益)÷ 買った価格」の1本
- 分母は常に買ったときの価格。額面ではない(最頻出の取り違え)
- 直接利回りだけ差損益を見ない。だから保有年数が要らない
- 名前が状況を表している。応募=発行時に買う/最終=償還まで持つ/所有期間=途中で売る
- 最終と応募者は手放す側が同じ。違うのは買う側だけ
計算の型は解いて固めるのが最短です。FP3級の練習問題で金融資産運用の出題に当たってみてください。分野全体の整理はFP3級 金融資産運用攻略にあります。
同じ「規則で覚える」発想は他の分野でも使えます。FP3級 6つの係数の覚え方とFP3級 法定相続分の覚え方もあわせてどうぞ。











