この記事で分かること
- FP3級の相続・事業承継の出題傾向と頻出テーマ
- 法定相続人と法定相続分の整理
- 相続の承認・放棄と遺言の種類
- 相続税の計算と基礎控除
- 贈与税の暦年課税と相続時精算課税
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者の税額軽減
ぴよパスで 160 問 × 17 試験を運用していて気づいたのは、相続・事業承継は「法定相続分」「相続税の基礎控除」「贈与税110万円」の3ブロックを押さえれば、出題の7割をカバーできるということです。
相続・事業承継の出題傾向
FP3級の学科試験(60問)のうち、相続・事業承継は8〜10問程度出題されます。法定相続分の計算と相続税の基礎控除は毎回のように出題されます。
主な出題テーマは以下の通りです。
| テーマ | 頻度 |
|---|---|
| 法定相続人と法定相続分 | 非常に高い |
| 相続の承認・放棄 | 高い |
| 遺言(自筆証書・公正証書) | 高い |
| 相続税の基礎控除 | 非常に高い |
| 配偶者の税額軽減 | 高い |
| 小規模宅地等の特例 | 非常に高い |
| 贈与税(暦年課税・相続時精算課税) | 非常に高い |
| 贈与税の非課税特例(住宅取得・教育資金) | 中程度 |
ぴよパスの相続・事業承継練習問題で分野別に集中演習できます。
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相続の基礎
法定相続人
民法が定める相続人の順位は以下の通りです。
| 順位 | 対象 |
|---|---|
| 常に相続人 | 配偶者 |
| 第 1 順位 | 子(および代襲相続人の孫・ひ孫) |
| 第 2 順位 | 直系尊属(父母、いなければ祖父母) |
| 第 3 順位 | 兄弟姉妹(および代襲相続人の甥・姪) |
上位が 1 人でもいれば、下位は相続人になりません。
法定相続分
配偶者がいる場合の法定相続分は以下の通りです。
| 相続人の組合せ | 配偶者 | その他 |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 1/2 |
| 配偶者+直系尊属 | 2/3 | 1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4 |
同順位内の複数人は原則均等に分けます(例:子が 2 人なら各 1/4)。
代襲相続
被相続人より先に相続人が死亡していた場合、その者の子が代わって相続します。
- 子の代襲:孫・ひ孫まで無制限
- 兄弟姉妹の代襲:甥・姪の一代まで
相続の承認・放棄
3 つの選択肢
| 選択 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 単純承認 | 財産・債務をすべて承継 | 何もしなければ 3 か月で確定 |
| 限定承認 | 財産の範囲で債務を承継 | 3 か月以内・相続人全員で |
| 相続放棄 | 一切承継しない | 3 か月以内・各人単独で可 |
相続放棄すると最初から相続人でなかったものとみなされ、代襲相続も発生しません。
遺言
遺言の種類
| 種類 | 作成者 | 証人 | 検認 |
|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 本人(財産目録は PC 可) | 不要 | 必要(法務局保管制度利用時は不要) |
| 公正証書遺言 | 公証人 | 2 人 | 不要 |
| 秘密証書遺言 | 本人(内容秘密) | 2 人 | 必要 |
遺留分
一定の相続人に保障される最低限の取り分です。
- 対象:配偶者・子・直系尊属(兄弟姉妹には遺留分なし)
- 割合:直系尊属のみの場合は財産の 1/3、それ以外は 1/2
- 遺留分侵害額請求:知った時から 1 年以内・相続開始から 10 年以内
相続税
相続税の計算手順
相続税は以下の 4 ステップで計算します。
- 各人の課税価格の合計を求める
- 課税遺産総額=課税価格合計−基礎控除
- 法定相続分で按分して相続税の総額を計算
- 実際の取得割合で按分して各人の税額を決定
基礎控除(最頻出)
基礎控除 = 3,000 万円 + 600 万円 × 法定相続人数
例:法定相続人が配偶者と子 2 人の場合 → 3,000 万円 + 600 万円 × 3 人 = 4,800 万円
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠
非課税枠 = 500 万円 × 法定相続人数
相続放棄した者がいても、法定相続人数には含める(非課税枠の計算のみ)。
配偶者の税額軽減
配偶者は以下のいずれか多い金額まで相続税が非課税になります。
- 1 億 6,000 万円
- 法定相続分相当額
ただし、相続税の申告が必要(税額が 0 でも申告書提出)。
相続税の申告期限
被相続人の死亡を知った日の翌日から 10 か月以内。
贈与税
暦年課税
1 月 1 日〜 12 月 31 日の 1 年間に受けた贈与について課税されます。
- 基礎控除:年間 110 万円(受贈者 1 人あたり)
- 税率:超過累進(10%〜55%)
- 申告期限:翌年 2 月 1 日〜 3 月 15 日
相続時精算課税
60 歳以上の親・祖父母から 18 歳以上の子・孫への贈与に適用できます。
- 特別控除:累計 2,500 万円
- 超過分:一律 20%
- 年 110 万円基礎控除(2024 年 1 月新設):この分は相続財産に加算されない
- 相続時:贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算
一度選択すると暦年課税には戻れません。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間 20 年以上の配偶者から居住用不動産または取得資金を贈与された場合、2,000 万円まで控除(基礎控除 110 万円と合わせて 2,110 万円)。
その他の非課税特例
| 特例 | 非課税枠 |
|---|---|
| 住宅取得等資金 | 最大 1,000 万円(省エネ等住宅)・500 万円(それ以外) |
| 教育資金一括贈与 | 1,500 万円(30 歳まで、学校以外は 500 万円) |
| 結婚・子育て資金 | 1,000 万円(結婚関連は 300 万円) |
小規模宅地等の特例
被相続人が居住・事業に使っていた土地を相続人が取得した場合、評価額を減額できる特例です。
| 種類 | 面積上限 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330 ㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 400 ㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200 ㎡ | 50% |
特定居住用宅地等の適用要件
- 配偶者:無条件で適用
- 同居親族:申告期限まで居住・所有を継続
- 別居親族(家なき子):被相続人に配偶者・同居親族がいないこと、相続前 3 年以内に自分または配偶者の持家に住んでいないこと
財産評価
相続・贈与財産の評価は以下のルールで計算します。
土地
| 評価方法 | 対象 |
|---|---|
| 路線価方式 | 市街地 |
| 倍率方式 | 郊外・農村部 |
上場株式
以下の 4 価格のうち最も低い価格で評価。
- 相続開始日の終値
- 相続開始月の終値の月平均額
- 相続開始月前月の終値の月平均額
- 相続開始月前々月の終値の月平均額
取引相場のない株式
原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式)と特例的評価方式(配当還元方式)があります。
事業承継税制(法人版・個人版)
後継者が非上場株式等を承継する際、一定要件のもとで相続税・贈与税の納税が猶予・免除される制度です。特例措置(2018 〜 2027 年)は 100%猶予・免除で、特例承継計画の提出が必要です。
学科試験で取るべき目標点
相続・事業承継は 8〜10 問出題されるので、6〜8 問正解を目指せば合格水準です。
優先して押さえるテーマ
- 法定相続人と法定相続分の計算
- 相続税の基礎控除(3,000 万円+ 600 万円×法定相続人数)
- 贈与税の暦年課税 110 万円と相続時精算課税 2,500 万円
- 配偶者の税額軽減(1.6 億円または法定相続分)
- 小規模宅地等の特例(特定居住用 330 ㎡・80%)
まとめ
- 法定相続分:配偶者+子なら 1/2 ずつ、配偶者+兄弟姉妹なら 3/4・1/4
- 相続放棄:3 か月以内・最初から相続人でなかったことになる
- 相続税の基礎控除:3,000 万円+ 600 万円×法定相続人数
- 死亡保険金の非課税枠:500 万円×法定相続人数
- 贈与税:暦年課税 110 万円、相続時精算課税 2,500 万円
- 配偶者の税額軽減:1.6 億円または法定相続分(申告必須)
- 小規模宅地等の特例:特定居住用 330 ㎡・80% 減
相続・事業承継は数字を覚える分野ですが、頻出の基礎控除・法定相続分・贈与税 110 万円を確実にすれば 6 点は取れます。ぴよパスの相続・事業承継練習問題で繰り返し演習しましょう。