FP3級のタックスプランニングで手が止まるのが、総合課税と分離課税の振り分けです。10種類ある所得のうち、どれが分離課税なのか——これを一覧で丸暗記しようとすると、本番で必ず混ざります。
実は、分離課税になる所得には共通する事情があります。そこから考えると、覚える対象がぐっと減ります。
先に確認:2つの課税方式の違い
| 方式 | 計算のしかた |
|---|---|
| 総合課税 | 複数の所得を合算してから累進税率をかける |
| 分離課税 | その所得だけを切り離して単独で税額を計算する |
総合課税では、他の所得が多い人ほど税率が上がります。分離課税ではその所得単独で決まるので、他の所得の大きさに影響されません。
分離される理由:一度にドカンと入るから
分離課税になる所得を並べると、性格がそろっています。
| 所得 | どういうお金か |
|---|---|
| 退職所得 | 長年の勤務に対する対価が、退職時に一度に |
| 山林所得 | 長年かけて育てた山林を、伐採・譲渡して一度に |
| 土地建物等の譲渡所得 | 長期間保有した資産を、売却して一度に |
| 株式等の譲渡所得 | 保有していた株式を、売却して一度に |
いずれも「長い期間かけて溜まった価値が、ある年に一度だけ実現する」お金です。
これを他の所得と合算してしまうと、その年だけ所得が跳ね上がり、累進税率で極端に重い税負担になってしまいます。長年こつこつ働いた対価が、受け取り方のせいで重く課税されるのは不合理です。だから切り離して計算します。
▶️ 「一度にドカンと入るものは分けて計算する」——この一言で4つが説明できます。
⚠️ 利子所得も分離課税(源泉分離課税)ですが、こちらは理由が違います。金額が小さく件数が膨大なので、受け取る時点で天引きして完結させるほうが実務的だからです。利子だけは別枠と覚えてください。
退職所得が優遇される理由も同じ
退職所得には控除が設けられ、さらに一定の計算上の配慮がされています。これも「長年の勤務の対価であり、その後の生活資金でもある」という性格から来ています。
理由が分かると、山林所得が同じ扱いになることが自然に結びつきます。 木を育てるのに何十年もかかるという点で、勤続年数と同じ構造だからです。
譲渡所得だけは中で分かれる
つまずきやすいのが譲渡所得です。譲渡所得のすべてが分離課税ではありません。
| 譲渡した資産 | 課税方式 |
|---|---|
| 土地建物等 | 分離課税 |
| 株式等 | 分離課税 |
| それ以外(ゴルフ会員権・金地金など) | 総合課税 |
「土地建物と株式は分離、それ以外は総合」と切ってください。ここは選択肢のひっかけによく使われます。
残りは総合課税
分離されるものを押さえてしまえば、残りは全部総合課税です。
| 総合課税になる所得 |
|---|
| 不動産所得 / 事業所得 / 給与所得 / 一時所得 / 雑所得 / 配当所得(原則) / 譲渡所得のうち上記以外 |
📌 配当所得は原則が総合課税です。ただし上場株式等の配当については申告分離課税を選ぶことも、一定の場合に申告不要とすることもできます。「原則は総合、ただし選択の余地がある」と理解しておけばFP3級では十分です。
本番でやる手順
- その所得が 「長くかけて溜まったものが一度に実現したか」 を考える → 該当すれば分離
- 利子なら分離(源泉で完結する別枠)
- 譲渡所得なら「土地建物か株式か」を確認 → そうでなければ総合
- それ以外は総合課税
丸暗記した一覧を思い出すのではなく、性格から判定するのがこの分野のコツです。一覧は確認用に使ってください。
まとめ
- 総合課税は合算して累進、分離課税は単独で計算
- 分離されるのは「長い期間かけて溜まった価値が一度に実現する所得」=退職・山林・土地建物の譲渡・株式の譲渡
- 利子だけは別枠(源泉で天引きして完結させる実務的な理由)
- 譲渡所得は中で分かれる。土地建物と株式は分離、それ以外は総合
- 分離を押さえれば残りは全部総合課税
- 配当所得は原則が総合。上場株式等は選択の余地がある
判定は問題を解くと一気に固まります。FP3級の練習問題でタックスプランニングの出題に当たってみてください。分野全体の整理はFP3級 タックスプランニング攻略にあります。
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