FP3級の相続分野で、毎回出題されるのに毎回間違えられるのが法定相続分です。「配偶者と子」「配偶者と父母」「配偶者と兄弟姉妹」の3パターンを別々に暗記しようとすると、本番で必ず混ざります。
ところがこの3つには、きれいな数の規則があります。
先に結論:配偶者の取り分は 1/2 → 2/3 → 3/4
配偶者と一緒に相続人になる人の順位が下がるほど、配偶者の取り分は増えます。
| 配偶者と並ぶ相続人 | 順位 | 配偶者 | もう一方 |
|---|---|---|---|
| 子 | 第1順位 | 1/2 | 1/2 |
| 直系尊属(父母など) | 第2順位 | 2/3 | 1/3 |
| 兄弟姉妹 | 第3順位 | 3/4 | 1/4 |
配偶者の取り分だけを縦に読むと 1/2 → 2/3 → 3/4。
順位の数字がそのまま分子になり、分母はそれに1を足した数です。
- 第1順位(子)→ 1/2
- 第2順位(直系尊属)→ 2/3
- 第3順位(兄弟姉妹)→ 3/4
もう一方の取り分は残りなので、1/2 → 1/3 → 1/4 と分母だけが増えていきます。こちらも「順位 + 1」が分母です。
▶️ 覚えるのは「順位の数字」だけです。3つのパターンを別々に記憶する必要はありません。
なぜ順位が下がると配偶者が増えるのか
規則として覚えるだけでも十分ですが、理由を知っておくと忘れにくくなります。
血のつながりが近い相続人ほど、被相続人の財産を受け継ぐ理由が強いと考えられています。子は最も近く、次が父母、その次が兄弟姉妹です。近い相続人ほど多く取り、遠くなるほど配偶者の割合が上がる——この向きさえ合っていれば、数字も自然に出てきます。
配偶者がいなければ、順位の一番上が全部
上の表は「配偶者と誰が並ぶか」の話です。配偶者がいない場合はもっと単純で、順位の一番上にいる人たちだけで全部を分けます。
| 相続人 | 取り分 |
|---|---|
| 子だけ | 子が全部 |
| 子がおらず直系尊属だけ | 直系尊属が全部 |
| 子も直系尊属もおらず兄弟姉妹だけ | 兄弟姉妹が全部 |
⚠️ 順位は上が1人でもいれば下には回りません。子がいるなら父母は相続人になりません。「全員を足す」のではなく「一番上の順位で止まる」と考えてください。
同じ順位に複数人いるときは均等
順位が決まったら、その中は原則として均等に分けます。
配偶者と子2人なら、子の取り分1/2をさらに2人で分けるので、それぞれ1/4です。配偶者1/2・子1/4・子1/4で合計1になります。
⚠️ 例外がひとつあります。父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の半分になります。兄弟姉妹が相続人になる第3順位のときだけ関係する話で、ここはひっかけとして出ます。
相続放棄と代襲相続で順位が動く
計算そのものより、誰が相続人なのかが変わる場面のほうが失点しやすいところです。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 相続放棄 | 最初から相続人でなかったものとして扱う(人数から外す) |
| 代襲相続 | 亡くなった人の取り分を、その子が引き継ぐ |
相続放棄は順位そのものを動かします。 子が全員放棄すれば相続人は次の順位である直系尊属になり、それにともなって配偶者の取り分も1/2から2/3へ変わります。「人数が減る」だけでなく「順位が移る」ところまで追ってください。
一方、代襲相続では全体の配分は変わりません。 子が先に亡くなっていて孫が2人いるなら、その子の取り分を孫2人で分けるだけです。1人分が下の世代で分割されると考えれば迷いません。
本番でやる手順を決めておく
法定相続分の問題は、順番を固定すると事故が減ります。
- 相続放棄した人を先に外す
- 残った人で順位の一番上を決める(子 → 直系尊属 → 兄弟姉妹)
- 配偶者がいるなら、順位の数字から配偶者の取り分を出す(順位/順位+1)
- もう一方の取り分は残り
- 同順位に複数人いれば均等に割る(半血の兄弟姉妹だけ半分)
- 代襲相続があれば、その1人分を下の世代で分ける
ステップ1を最後に回すと、順位の判定ごとやり直しになります。放棄を先に処理するのがコツです。
まとめ
- 配偶者の取り分は 1/2 → 2/3 → 3/4。順位の数字が分子、+1 が分母
- もう一方は残りで 1/2 → 1/3 → 1/4。覚えるのは配偶者側だけでよい
- 順位は上が1人でもいれば下に回らない。全員を足さない
- 同順位は均等。例外は半血の兄弟姉妹が半分だけ
- 相続放棄は順位を動かす(配偶者の取り分まで変わる)/代襲相続は配分を変えない
- 手順は「放棄を外す → 順位を決める → 配偶者を出す」の順に固定する
配分の判断は、実際に問題を解くと一気に固まります。FP3級の練習問題で相続分野に当たってみてください。相続税の計算や各種特例まで含めた全体像はFP3級 相続・事業承継攻略にまとめています。
同じ「規則で覚える」発想は係数でも使えます。FP3級 6つの係数の覚え方もあわせてどうぞ。











