「学科は受かりそうだけど、実技って何をすればいいの?」——FP3級でつまずきやすいのがここです。結論から言うと、実技は学科とは別の試験で、しかも実施団体によって受ける種目(科目)が違います。日本FP協会なら「資産設計提案業務」、きんざい(金融財政事情研究会)なら「個人資産相談業務」か「保険顧客資産相談業務」のどちらかを選びます。
ただ、身構える必要はありません。実技は学科で覚えた知識を、お客様の事例(資料)に当てはめて計算・判断する試験です。学科の土台があれば、地続きで対策できます。この記事では、団体ごとの種目の違い・どっちを選ぶか・出題の傾向(計算と提案)を表で整理し、学科の知識を実技にどう当てるかまで解説します。
結論: 実技は「別試験 + 団体で種目が違う + 学科の知識を事例に当てる」
まず全体像を、結論として一枚の表にまとめます。FP3級の実技は学科と独立した試験で、申込時に受ける種目を選びます。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 学科との関係 | 別試験。学科・実技それぞれで6割以上が合格の目安 |
| 団体ごとの種目 | FP協会=資産設計提案業務 / きんざい=個人資産相談業務 or 保険顧客資産相談業務 |
| 種目の選択 | 申込時に1種目を選ぶ(学科は両団体共通で有利不利なし) |
| 試験時間 | 実技はおおむね60分(学科は90分、それぞれ別枠) |
| 合格基準 | どちらの団体も6割以上(満点の数え方は団体で異なる、公式で要確認) |
| 試験方式 | 2024年度から学科・実技とも完全CBT化、通年で受験可能 |
| 対策の軸 | 学科で覚えた公式・知識を、事例の数値・資料に当てて解く |
FP3級そのものの全体像(2団体の違いや受験資格)を先に確認したい場合は、FP3級とは|試験概要・2団体の違い を読んでから戻ってくると、実技の位置づけがつかみやすくなります。
実技は学科とは別の試験
最初に押さえたいのは、実技は学科とは独立した別の試験だという点です。学科に受かったら自動で実技も受かる、というものではありません。学科・実技それぞれで6割以上を取る必要があります。
| 比較項目 | 学科試験 | 実技試験 |
|---|---|---|
| 出題形式 | ○×30問 + 三択30問の計60問 | 事例・資料を読んで解く(団体で形式が異なる) |
| 試験時間 | おおむね90分 | おおむね60分 |
| 団体差 | 両団体で同一問題 | 団体ごとに種目・問題が異なる |
| 合格基準 | 6割以上 | 6割以上 |
| 受検料 | 1科目分(公式で要確認) | 1科目分(公式で要確認) |
学科と実技は別枠なので、同じ日に続けて受けることも、日を分けて受けることもできます(CBT通年実施のため日程は柔軟)。一方が6割未満なら、その科目だけを後日あらためて受け直す形になります。最新の試験日程と申込手順は FP3級 CBT申込・日程 2026 で確認してください。
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団体ごとの種目の違いを整理する
ここがFP3級の実技で一番分かりにくいところです。実技は「資産設計提案業務」のような種目(科目)単位になっていて、どの種目を受けられるかが団体によって決まっています。
| 実施団体 | 受けられる種目 | 出題数(目安) | 満点(目安) |
|---|---|---|---|
| 日本FP協会 | 資産設計提案業務(1種類) | 20問 | 100点満点・60点以上で合格目安 |
| きんざい | 個人資産相談業務 | 大問5題×各3問=15問 | 50点満点・30点以上で合格目安 |
| きんざい | 保険顧客資産相談業務 | 大問5題×各3問=15問 | 50点満点・30点以上で合格目安 |
満点の数え方は団体で違いますが、合格ラインはどちらも「6割以上」で共通です。出題数・配点・合格基準は年度や改定で変わる場合があるため、申込前に各団体の試験要綱で最新情報を確認してください。
きんざいは個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務のどちらか一方を選んで受けます(両方同時には受けません)。FP協会は資産設計提案業務の1種類なので、選ぶ手間はありません。
どっちを選ぶ?種目選びの判断軸
「結局どれを選べばいいの?」という疑問に、立場別の目安で答えます。学科は両団体共通の同一問題なので、種目選びで学科の有利不利は生じません。実技の出題形式の好みと、手に入る問題集で決めて差し支えありません。
| あなたの立場 | おすすめ種目 | 理由 |
|---|---|---|
| 完全独学 | FP協会・資産設計提案業務 | 市販問題集の対応が多く、対策しやすい |
| 保険業務に関わる | きんざい・保険顧客資産相談業務 | 保険・リスク管理に出題が寄り、実務に直結 |
| 銀行・金融機関の業務 | きんざい・個人資産相談業務 | 金融・税・相続の事例が業務と整合しやすい |
| 幅広く浅く解きたい | FP協会・資産設計提案業務 | 6分野から広く出て、1問あたりは浅め |
| 少問で深く解きたい | きんざい(個人 or 保険) | 設問数が少なく、1事例を深掘りする形式 |
合格率の水準で見ると、一般にFP協会の資産設計提案業務は高め、きんざいの2種目はそれよりやや低めの傾向が知られています(受験者層の違いが背景にあり、試験の難しさそのものの差とは限りません)。数字の読み方は FP3級の合格率は何%? で団体差の正体まで整理しているので、種目を決める前に目を通しておくと納得して選べます。
出題傾向: 計算と提案の2本柱
実技の中身は、大きく「計算問題」と「提案・読み取り問題」の2本柱です。種目によって、どちらに比重が寄るかが変わります。
| 種目 | 計算の中心 | 提案・読み取りの中心 |
|---|---|---|
| FP協会・資産設計提案業務 | キャッシュフロー表・6つの係数・各種税額 | 提案書・各種資料からの数値読み取り、適切な選択肢の判断 |
| きんざい・個人資産相談業務 | 利回り・株式指標・相続税・所得税 | 家族構成や資産状況の事例に基づく助言の選択 |
| きんざい・保険顧客資産相談業務 | 生命保険料控除・必要保障額・退職所得 | 保険証券・保障内容の読み取りと提案 |
共通するのは、いずれも「資料を読んで、必要な数値を取り出し、公式に当てて計算する」流れだという点です。資料の読み取りに慣れていないと、知識はあっても時間内に解き切れません。問題集で資料付きの問題を繰り返し、どこに必要な数字があるかを素早く見抜く練習が効きます。
学科の知識を実技に当てる解き方
実技は学科の知識を事例に応用する試験なので、学科で覚えた公式がそのまま武器になります。代表的な「学科で覚えた知識 → 実技でこう使う」の対応を整理します。
| 学科で覚えること | 実技での使われ方 |
|---|---|
| 相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人数 | 事例の家族構成から相続人を数え、控除額を算出する |
| 利回り=リターン÷元本×100 | 金融商品の事例で、提示された利息や価格を当てて計算する |
| 生命保険料控除の区分 | 保険証券を読み、該当区分の控除額を求める |
| 6つの係数(終価・現価・年金終価ほか) | ライフプランの目標額や積立額を、資料の利率・年数で計算する |
ポイントは、公式を「形」で丸暗記せず「意味」で理解しておくことです。たとえば利回りを「リターン÷元本」という概念で押さえておけば、事例で問われ方が変わっても数字を正しい場所に入れられます。計算の型ごとの詳しい解き方は FP3級 計算問題対策 で、相続税の基礎控除を数値で解く例まで示しています。
学科がまだ固まっていないうちに実技だけ解いても、土台がないため得点が伸びにくいものです。学科の6分野を一巡し、頻出公式が頭に入ってから実技の事例演習に入る順番が無理がありません。
CBT化後の実技: 時間・形式・合格基準
2024年度から、FP3級は学科・実技ともに完全CBT化されました。会場のパソコンで解答する方式で、通年いつでも予約して受験できます(年末年始など一部の休止期間あり)。
| 項目 | 実技試験の内容(目安) |
|---|---|
| 試験方式 | CBT(テストセンターのパソコンで解答) |
| 試験時間 | おおむね60分 |
| 出題数 | FP協会20問 / きんざい15問(大問5題×各3問) |
| 合格基準 | 6割以上(満点の数え方は団体で異なる) |
| 実施時期 | 通年(休止期間を除く)、予約制 |
| 結果通知 | CBTのため受験後の確認は早め(公式で要確認) |
CBT化にあたって、出題形式・問題数・合格基準といった試験の中身は基本的に変わっていません(学科の試験時間が短縮された点が主な変更)。電卓は会場の画面上の電卓を使うか持ち込み可否が決まっているなど、操作面のルールは事前確認が安全です。当日の流れや持ち物の不安は、CBT全体の進め方を FP3級 CBT申込・日程 2026 で確認しておくと落ち着いて臨めます。
残り期間別の実技対策プラン
学習の残り期間に合わせて、実技対策のやることを段階で示します。学科と並行する前提です。
| 残り期間 | やること |
|---|---|
| 2ヶ月以上 | 受ける種目を決定。学科の6分野を一巡し、頻出公式を「意味」で理解する |
| 1ヶ月 | 種目の問題集で資料付き問題を反復。計算の型ごとに手を動かす |
| 2週間 | 苦手な計算型と読み取りに絞って重点演習。時間を計って解く |
| 3日 | 頻出公式と資料の読み取り手順を最終確認。新しい型には手を出さない |
実技は資料を読む時間がかかるぶん、本番の時間配分の感覚を事前につかんでおくのが効きます。学科側の時間配分や全体の学習量の組み立ては FP3級 勉強時間 80-100時間プラン を土台にすると、実技対策の時間も無理なく差し込めます。
実技でつまずく典型パターンと対策
最後に、実技で得点を落としやすいパターンと、その対策をまとめます。
学科が固まる前に実技だけ解く。 知識の土台がないまま事例を解いても、何を問われているか掴めず時間を浪費します。学科の6分野を一巡し、頻出公式が入ってから実技演習に移ると効率的です。
資料の読み取りに不慣れで時間切れになる。 知識はあっても、提案書や保険証券のどこに必要な数字があるか分からないと手が止まります。問題集で資料付き問題を繰り返し、必要な数値を素早く拾う練習をしておきましょう。
公式を「形」で丸暗記して事例で詰まる。 「直接利回りは利息÷価格」と形だけ覚えると、提示条件が変わったときに当てはめ方を間違えます。「リターン÷元本」のように意味で押さえれば、事例の数字でも迷いません。
まとめ: 次の一手は「受ける種目を決める」
FP3級の実技は、学科とは別の試験で、実施団体によって受ける種目が違います。独学なら問題集の多い日本FP協会の資産設計提案業務、保険業務に関わるならきんざいの保険顧客資産相談業務、といった具合に立場で選べます。学科は両団体共通なので、種目選びで学科の有利不利は生じません。
中身は「資料を読んで、学科で覚えた公式を事例の数値に当てて計算・判断する」流れです。学科の知識が地続きで活きるので、6分野の基礎を固めてから実技の事例演習に入る順番が無理なく、合格基準の6割を安定させやすくなります。
今日できる次の一手は、受ける種目を決めることです。種目が決まれば対応する問題集が定まり、資料の読み取りと計算の練習にすぐ取りかかれます。出題数・配点・合格基準・試験日程は年度で変わる場合があるため、申込前に各団体の公式で最新情報を確認してください。
出典:
- 日本FP協会 — 3級FP技能検定 試験要綱・実施概要(資産設計提案業務)
- 一般社団法人 金融財政事情研究会 (きんざい) — 3級FP技能検定 実施要領(個人資産相談業務・保険顧客資産相談業務)
- 厚生労働省「ファイナンシャル・プランニング技能検定」













































