結論: 証券外務員の計算問題は「五肢選択で高配点」だから丸ごと捨てない
証券外務員試験 (実施: 日本証券業協会 / JSDA) の計算問題は、五肢選択 (1問10点) で出やすく、○×問題 (1問2点) より1問あたりの重みが大きいのが最大の特徴です。配点は 440点満点が目安、合格基準は 得点率7割程度 とされ、五肢選択をまとめて落とすと得点率7割の壁が一気に重くなります。だからこそ「計算は苦手だから全部捨てる」という戦い方は不利になりやすく、頻出パターンを型で押さえて得点源に変えるのが現実的です。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 計算問題の配点上の位置づけ | 多くが五肢選択=1問10点。○× (1問2点) より重い |
| 全体の配点・合格基準 | 440点満点が目安・得点率7割程度 (年度/公式で要確認) |
| 「丸ごと捨てる」判断 | 不利になりやすい。数問で大きな差がつく |
| 現実的な方針 | 頻出パターンを式ごと暗記し、応用の一部だけ濃淡を付ける |
| 電卓 | 一般に持ち込み不可、ソフト電卓+貸与メモ用紙で計算 (要公式確認) |
数値 (配点・合格基準・保証金率など) は年度や公式案内で変わる場合があります。本記事は学習法の解説であり、具体的な投資判断や特定銘柄の推奨は行いません。最新の数値は日本証券業協会など公式の案内で確認してください。
お金の計算に共通する基礎は、FP3 級の計算対策の考え方とも重なります。利回りや税の計算に苦手意識がある人は、そちらの「式を覚えて繰り返す」発想も参考になります。
なぜ計算問題を捨てると不利になるのか
証券外務員試験の配点は、問題形式によって1問あたりの点数が違います。一般に ○×方式は1問2点、五肢選択方式は1問10点 (五肢択二は各5点) とされ、計算問題はこの五肢選択で出ることが多い分野です。
| 形式 | 1問の配点 (目安) | 計算問題の出やすさ |
|---|---|---|
| ○×方式 | 2点 | 知識確認が中心 (一部に計算の考え方) |
| 五肢選択方式 | 10点 | 計算問題が出やすい |
| 五肢択二 | 各5点 | 計算・知識の複合で出ることがある |
たとえば一種では、五肢選択が30問で1問10点=300点、○×が70問で1問2点=140点、合計440点というのが配点の目安として紹介されています (回により構成は変わります)。1問10点の五肢選択を数問落とすと、それだけで数十点が動くため、計算をまるごと放棄すると得点率7割 (308点が目安) のラインが急に遠くなります。
逆に言えば、計算問題は出題パターンが安定しているため、型を覚えれば「取りやすい高配点問題」になります。捨てるよりも、頻出だけでも確実に拾う方が得点効率は高くなりやすいのです。
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二種と一種で「計算の範囲」はどう変わるか
証券外務員は一般に 会員二種・会員一種 を指し (銀行等向けの特別会員区分もあります)、二種が基本商品、一種がその上位という関係です。計算問題の範囲も、この商品範囲の差に対応します。
| 区分 | 取扱いの範囲 | 計算問題の主な範囲 |
|---|---|---|
| 二種 | 株式・債券・投資信託など基本商品 | 債券利回り・委託手数料・PER など |
| 一種 | 二種の範囲 + 信用取引・デリバティブ等全商品 | 二種の範囲 + 信用取引 (保証金・追証)・デリバティブ (証拠金・損益図) |
二種で問われる計算は、一種でも共通の土台になります。まず二種範囲 (利回り・手数料系) を固め、一種ではデリバティブと信用取引の計算を上乗せする順番だと、範囲が増えても整理しやすくなります。一種のデリバティブ計算は金融知識がないと取っつきにくいと言われますが、出る形は決まっているため、後述の「型」で攻略できます。
頻出計算パターン一覧 (種別ごとの守備範囲)
まず全体像を表で押さえます。どれを優先して守るかを決めるための地図として使ってください (出題頻度は教材・回により幅があります)。
| # | 計算テーマ | 主な区分 | 守る優先度 (目安) |
|---|---|---|---|
| 1 | 株式の売買代金・最低売買単位 (単元株) | 二種・一種 | 高 |
| 2 | 委託手数料 (約定代金×料率) | 二種・一種 | 高 |
| 3 | 債券の直接利回り | 二種・一種 | 高 |
| 4 | 債券の最終利回り・応募者利回り・所有期間利回り | 二種・一種 | 高 |
| 5 | PER (株価収益率)・PBR・配当利回り | 二種・一種 | 中〜高 |
| 6 | 信用取引の委託保証金・委託保証金率 | 一種 | 中〜高 |
| 7 | 信用取引の追加保証金 (追証) | 一種 | 中 |
| 8 | デリバティブの証拠金所要額 | 一種 | 中 |
| 9 | 先物・オプションの損益図 (ペイオフ) | 一種 | 中 |
| 10 | 投資信託の基準価額まわりの計算 | 二種・一種 | 中 |
このうち 1〜4は二種・一種共通で出題が安定しており、最優先で守る対象です。6〜9は一種で加わる範囲で、ここを取れるかが一種の得点を左右します。
利回り計算の型 (債券は「分母が買付価格」)
債券の利回り計算は「避けて通れない頻出」と各講座でも繰り返し指摘される定番です。式の形を覚えれば当てはめるだけで解けます。考え方の中心は「1年あたりの利益 (利息+償還差損益の1年分) を、買付価格で割る」です。
| 利回りの種類 | ざっくりした意味 | 分子に入る主な要素 |
|---|---|---|
| 直接利回り | 買った価格に対する毎年の利息の割合 | 表面利率 (年利息) |
| 最終利回り | 既発債を償還まで持つ場合の利回り | 利息 + (額面−買付価格) の1年分 |
| 応募者利回り | 新発債を償還まで持つ場合の利回り | 利息 + (額面−発行価格) の1年分 |
| 所有期間利回り | 償還前に途中売却する場合の利回り | 利息 + (売却価格−買付価格) の1年分 |
たとえば直接利回りは「年利息 ÷ 買付価格 × 100」で求めます。表面利率1.8%・買付価格101円なら、1.8 ÷ 101 × 100 = 約1.78% という形です。最終・応募者・所有期間は、分子に「価格差を残存 (所有) 年数で割った1年分の差損益」を足すだけで、分母はいずれも買付 (発行) 価格という共通点があります。
型としての覚え方:
- 分子 = 1年分の利息 + (ゴールの価格 − スタートの価格) ÷ 年数
- 分母 = 買付 (または発行) 価格
- ×100 で % にする
この3行を紙に書いてから数字を入れる癖をつけると、種類を取り違えても式の形で気づけます。
株式・手数料・指標の型 (単位の取り違えに注意)
株式まわりの計算は、単位 (株数・円・%) のかけ違いさえ防げば失点しにくい分野です。
| テーマ | 型 (考え方) | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 売買代金 | 株価 × 株数 | 単元株 (最低売買単位) を株数に反映し忘れる |
| 委託手数料 | 約定代金 × 料率 | %を小数に直し忘れる (0.3%→0.003) |
| 受渡代金 | 買い: 約定代金+手数料 / 売り: 約定代金−手数料 | 買いと売りで符号が逆 |
| PER | 株価 ÷ 1株当たり純利益 (EPS) | EPS と株価の取り違え |
| 配当利回り | 1株配当 ÷ 株価 × 100 | 利回りの分母は株価 |
委託手数料は「約定代金 × 料率」で、たとえば約定代金100万円・料率0.3%なら 1,000,000 × 0.003 = 3,000円、という当てはめです。%は小数に直してから掛ける、買い・売りで手数料の足し引きが逆になる——この2点を手順に組み込むと、五肢選択でひっかけられにくくなります。
PERや配当利回りは「分母が株価」という共通点を押さえると混乱しません。指標系は○×でも問われるため、式を覚えておくと計算でも知識問題でも両取りできます。
一種で加わる信用取引・デリバティブの型
一種で上乗せされるのが信用取引とデリバティブの計算です。ここは「覚える式は多くないが、条件文の読み取りで差がつく」領域です。
| テーマ | 型 (考え方) | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 委託保証金 | 約定代金 × 委託保証金率 | 率は問題文の指定値を使う |
| 最低委託保証金率 | 国内株の信用取引で30%が一つの目安 | 最低保証金額の下限にも注意 |
| 追加保証金 (追証) | 値下がりで保証金維持率を下回った分を追加 | 覚える式は基本1つ、あとは反復 |
| デリバティブの証拠金所要額 | 建玉・指定の証拠金率から算出 | 先物の取引単位 (乗数) を反映 |
| オプションの損益図 | 権利行使価格・プレミアムから損益を作図 | 買い手は損失限定・売り手は利益限定 |
委託保証金率は問題文で指定された率を使い、たとえば国内株の信用取引では最低委託保証金率30%が一つの目安として扱われます (外国株の信用取引では50%程度が目安とされるなど、対象で異なります)。追証は「覚える公式は1つで、あとは問題をできるだけ多く解く」のが攻略の近道と各講座でも案内されています。
オプションの損益図は、買い手は支払ったプレミアム分が最大損失で利益は限定なし、売り手は受け取ったプレミアムが最大利益で損失は限定なし、という非対称をつかむと、五肢選択の損益判定が速くなります。式の暗記より「形」で覚えるのがコツです。
電卓なし・筆算前提の工夫
証券外務員試験は CBT (プロメトリックの会場でパソコン受験) で行われ、一般に電卓の持ち込みは不可とされています。会場では画面上のソフト電卓と、受付で貸与されるメモ用紙 (A4程度)・筆記具を使う形が案内されています (足りなければ追加で受け取れるとする案内もあります)。持ち物や使用ツールは会場・年度で扱いが変わる場合があるため、申込時の公式案内を必ず確認してください。
この環境を前提にした工夫:
| 場面 | 工夫 |
|---|---|
| 普段の学習 | ソフト電卓 (PC/スマホの電卓アプリ) と紙だけで解く練習をする |
| 式の整理 | 数字を入れる前に式を紙に書き切ってから計算する |
| 単位ミス対策 | 株・円・% の単位をメモに明記し、変換を可視化する |
| 桁の確認 | 約定代金など桁が大きい計算は、概算で桁を先に見積もる |
| 時間配分 | ○×で素早く加点 → 五肢選択の計算にメモ用紙の時間を回す |
ソフト電卓は普段使う電卓と操作感が違うため、本番で初めて触ると手間取りがちです。学習段階から「紙に式 → ソフト電卓で数値」という流れを固定化しておくと、当日の計算が安定します。
「捨ててよい範囲」と「捨ててはいけない範囲」の線引き
最後に、限られた時間で計算をどう取捨選択するかを整理します。前提として、頻出パターンを丸ごと捨てるのは避ける——これが本記事の主旨です。そのうえで濃淡をつけます。
| 区分 | 例 | 方針 |
|---|---|---|
| 守る (最優先) | 債券の各種利回り・委託手数料・売買代金 | 二種一種共通で出題安定。式を完全に手順化 |
| 守る (一種) | 委託保証金・追証・基本的な証拠金 | 一種の得点を左右。型を覚えて反復 |
| 状況で判断 | 複雑なデリバティブの応用・凝った損益図 | 基本形を優先し、応用は時間次第で後回し |
| ○×で拾う | 計算の考え方を問う知識問題 | 式を覚えていれば○×でも加点できる |
線引きのコツは「出題の安定度 × 配点」で考えることです。出題が安定していて配点も大きい利回り・手数料系は最優先。応用度が高く、出るかどうか読みにくい一部だけ、基本形を押さえたうえで深入りを後回しにします。「捨てる=そのテーマを一切やらない」ではなく、「頻出の基本形は守り、応用の上積みだけ優先度を下げる」と捉えると、得点率7割の組み立てが安定します。
数字を覚えて繰り返す学習法は、FP系の計算とも共通します。FP3 級とは (試験概要) で金融分野の全体像を、FP3 級の合格率の読み方 で「捨て分野を作らない底上げ」の発想を確認しておくと、証券外務員の計算対策にも応用できます。会計の数字に強くなりたい場合は 簿記 3 級とは の基礎も土台になります。
まとめ: 頻出パターンを型で守り、五肢選択を取りこぼさない
証券外務員試験の計算問題は、五肢選択 (1問10点) で出やすい高配点分野です。440点満点・得点率7割程度という目安の中で、計算をまるごと捨てると不利になりやすい一方、頻出パターンは出題が安定しているため型を覚えれば得点源になります。
学習の進め方:
- 配点と形式を把握し、五肢選択 (計算) を取りこぼさない方針を立てる
- 利回り・委託手数料・PERなど二種一種共通の頻出を式ごと暗記する
- 一種は信用取引・デリバティブの計算を上乗せし、型で反復する
- ソフト電卓+紙だけの筆算前提で練習し、単位ミスを手順で防ぐ
- 出題安定度×配点で「守る範囲」と「後回しにする応用」を線引きする
計算問題は、難しい数学ではなく決まった式の当てはめが中心です。頻出の型を紙に書き出して繰り返せば、苦手意識があっても安定して拾える分野になります。配点・合格基準・保証金率などの数値は年度や公式案内で変わる場合があるため、申込前に日本証券業協会など公式の最新情報を確認してください。
出典:










































