「計算は苦手だから捨てる」——FP3級でこれをやると、合格がぐっと遠のきます。学科60問のうち計算は10〜20問あり、実技に至ってはほぼ全問が計算・事例問題だからです。計算を丸ごと手放すと、残りで取りこぼせなくなって一気に苦しくなります。
FP3級の計算は出題タイプがほぼ決まっています。利回り・株式指標・相続税の3タイプを押さえれば、計算問題の大半をカバーできます。しかも多くは公式に数字を当てはめるだけ。この記事では各タイプの公式と意味、そして相続税は実際の数値を入れた計算例まで示して、苦手を得点源に変える方法を説明します。
この記事で分かること
- FP3級で計算を捨ててはいけない理由(学科の出題量と実技の中身)
- 頻出の計算タイプ(利回り・株式指標・相続税)の公式と覚え方
- 実技試験(FP協会・きんざい)の計算問題の違い
- 相続税の基礎控除を、実際の数値で計算する手順
- 公式を丸暗記すると変形問題で詰まる理由と、その防ぎ方
- 残り期間別の計算対策の進め方
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利回りは「リターン÷元本」で理解する
利回りは、公式を丸暗記するより「リターンを元本で割る」という考え方で押さえると応用が利きます。
- 直接利回り = 年間利息 ÷ 購入価格 × 100
- 最終利回り = (年間利息 + 1年あたりの償還差益) ÷ 購入価格 × 100
最終利回りは、満期に戻ってくる金額(額面)と購入価格の差、つまり償還差益も「リターン」に含めて計算する点が直接利回りとの違いです。どちらも分母は購入価格(元本)。「分子はもらえる利益の合計、分母は払ったお金」と意味で捉えておけば、問題文の数字がどこに入るか迷いません。公式の形だけ覚えると、利息と差益のどちらを足すかで混乱します。
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株式指標は3つの公式を正確に覚える
株式指標は、覚えてしまえば確実に取れる得点源です。次の3つを正確に押さえてください。
| 指標 | 公式 | 何を見る数字か |
|---|---|---|
| PER(株価収益率) | 株価 ÷ 1株当たり純利益 | 利益に対して株価が割高か割安か |
| PBR(株価純資産倍率) | 株価 ÷ 1株当たり純資産 | 純資産に対して株価が割高か割安か |
| 配当利回り | 1株当たり配当 ÷ 株価 × 100 | 投資額に対してどれだけ配当が得られるか |
混同しやすいのはPERとPBRです。「PER=利益(Earnings)」「PBR=純資産(Book value)」と、英語の頭文字で分母を結びつけると取り違えにくくなります。配当利回りは利回りパターンと同じ「リターン÷元本×100」の形で、配当を株価で割るだけです。
相続税の基礎控除を、数値で解いてみる
相続・事業承継で最重要の計算が、相続税の基礎控除です。公式はこの2つ。
- 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
- 生命保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人数
公式を見るだけだと分かった気になりますが、本番では「法定相続人が何人か」を正しく数えられるかが勝負です。実際に解いてみましょう。
例題: 亡くなった人に配偶者と子2人がいる場合、相続税の基礎控除はいくらか。
法定相続人は、配偶者+子2人=3人です。これを基礎控除の式に当てはめます。
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円
つまり、遺産の総額が4,800万円までなら相続税はかかりません。さらにこの家族が生命保険金を受け取っていれば、500万円 × 3人 = 1,500万円までが非課税枠になります。このように「まず法定相続人を数える→公式に入れる」の2手順を、人数を変えて何度か手を動かすと、本番で確実に取れるようになります。相続分野をもっと詰めたいなら FP3級 相続・事業承継 攻略 も合わせて読んでください。
実技試験の計算問題:FP協会ときんざいの違い
実技試験はFP協会(資産設計提案業務)ときんざい(個人資産相談業務または保険顧客資産相談業務)で出題傾向が異なります。
| 実施機関 | 実技種別 | 計算問題の中心 |
|---|---|---|
| FP協会 | 資産設計提案業務 | キャッシュフロー表・6係数を使った資産計算 |
| きんざい | 個人資産相談業務 | 金融商品の利回り・相続税計算が中心 |
| きんざい | 保険顧客資産相談業務 | 生命保険料控除・必要保障額の計算 |
FP協会の実技ではライフプランニングの6係数計算も出題されるため、利回り・株式・相続税に加えて6係数の使い分けも確認しておくと安心です。詳しくは FP3級ライフプランニング攻略 で整理しています。
どの科目でどの計算が出るか
計算の出どころを整理しておきます。出題科目とセットで覚えると、本番で「これは利回りの問題だ」と素早く判断できます。
| 計算タイプ | 主な出題科目 | 攻略の軸 |
|---|---|---|
| 利回り | 金融資産運用 | 「リターン÷元本」の意味で理解する |
| 株式指標 | 金融資産運用 | PER・PBR・配当利回りの公式を暗記 |
| 相続税 | 相続・事業承継 | 法定相続人を数えて基礎控除に入れる |
金融資産運用に計算が集中しているので、計算対策を始めるならこの分野からが効率的です。分野ごとの深掘りは FP3級 金融資産運用 攻略 で扱っています。
残り期間別の計算対策
| 残り期間 | やること |
|---|---|
| 2ヶ月以上 | 3パターンの公式を「意味」から理解する。なぜその式になるかを押さえる |
| 1ヶ月 | 各パターンの例題を反復。数字を変えて手を動かす |
| 2週間 | 計算手順と公式を確認し、引っかかった型だけ重点復習 |
| 3日 | 公式と相続税の基礎控除を最終確認。新しい型には手を出さない |
計算は早く始めるほど反復回数を稼げます。直前に詰め込むより、学習の早い段階で公式の意味を入れておくのが安全です。
計算でつまずく典型パターンと対策
苦手だからと計算を捨てる。 学科で10〜20問、実技はほぼ全問が計算・事例です。捨てると合格基準6割が一気に遠のきます。利回り・株式指標・相続税を押さえれば、計算は得点源に変わります。
公式を丸暗記して変形問題に詰まる。 「直接利回りは利息÷価格」と形だけ覚えると、最終利回りで償還差益を足し忘れます。「リターン÷元本」と意味で理解しておけば、問われ方が変わっても対応できます。
公式を見て分かった気になる。 眺めるだけでは本番で手が止まります。各タイプを最低5問は、実際に紙とペンで解いてください。特に相続税は、法定相続人の数え方を変えた問題で練習すると定着します。
まとめ: 次の一手は「相続税の基礎控除を1問解く」
FP3級の計算は、利回り・株式指標・相続税の3タイプで大半をカバーできます。鍵は、公式を丸暗記せず「リターン÷元本」のように意味で理解すること、そして眺めるだけで終わらせず手を動かして解くことです。計算は捨てる分野ではなく、最も確実な得点源にできる分野です。
今日できる次の一手は、上の例題のように相続税の基礎控除を、法定相続人の人数を自分で変えて1問解いてみることです。公式に数字を入れる感覚をつかめば、計算への苦手意識は確実に薄れます。
FP3級オリジナル予想問題160問で、計算問題を実際に解いてみる →
出典:
- 日本FP協会 — 3級FP技能検定 試験概要・出題範囲
- 一般社団法人 金融財政事情研究会 (きんざい) — 3級FP技能検定 実施要領













































