第一種衛生管理者の CBT は「有害業務 14 問の別フェーズ管理」で決まる
第一種衛生管理者は全業種で衛生管理者として選任できる国家資格で、第二種が一般業種 (情報通信・金融・保険・卸売小売など) に限定されるのに対し、製造業・建設業・運送業など有害業務を行う事業場にも対応します。試験は公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施し、2022 年 1 月から CBT 方式が併用されています。出題は関係法令 17 問・労働衛生 17 問・労働生理 10 問の計 44 問・180 分で、合格基準は各科目 40% 以上かつ全体 60% 以上です。
第二種試験との決定的な違いは、関係法令と労働衛生にそれぞれ有害業務 7 問が含まれる点。第一種を「第二種の上位試験」と捉えると見落としますが、実態は「第二種 30 問 + 有害業務 14 問」という二層構造になっており、有害業務 14 問が合否を分けます。3,002 問の解説を作る過程で見えてきたのは、合格者は CBT のフラグ機能を使って共通分野 30 問と有害業務 14 問を別フェーズで処理しているという共通行動でした。
第一種衛生管理者 オリジナル予想問題 160 問で実力確認 →
試験構成:44 問の内訳と科目別配点
第一種衛生管理者の出題内訳は以下の通り。
| 科目 | 共通分野 | 有害業務 | 計 | 配点 | 足切り |
|---|---|---|---|---|---|
| 関係法令 | 10 問 | 7 問 | 17 問 | 各 10 点 (計 170 点) | 各科目 40% 以上 |
| 労働衛生 | 10 問 | 7 問 | 17 問 | 各 10 点 (計 170 点) | 各科目 40% 以上 |
| 労働生理 | 10 問 | — | 10 問 | 各 10 点 (計 100 点) | 各科目 40% 以上 |
| 合計 | 30 問 | 14 問 | 44 問 | 440 点満点 | 全体 60% 以上 (264 点) |
合格には各科目で 40% 以上と全体で 60% 以上の両方が必要です。関係法令 17 問なら 7 問正解 (41%)、労働衛生 17 問なら 7 問、労働生理 10 問なら 4 問が足切りラインで、全体では 26-27 問正解 (約 60%) が合格圏の最低ラインです。
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CBT 180 分の 3 フェーズ運用
CBT 画面は紙試験と異なりフラグ機能・残り時間表示・前後問題の即時移動が使えます。これを活用して 180 分を 3 フェーズに分割します。
フェーズ 0:メモ用紙への暗記表書き出し (5 分)
試験開始直後の最初の 5 分は問題を解かずに、有害業務で頻出する暗記表をメモ用紙に書き出します。書き出す内容は次の通りです。
| 法令 | 書き出す数値 |
|---|---|
| 特化則 | 第 1 類 7 物質・第 2 類 60 物質・第 3 類 8 物質の代表名、製造許可・健診頻度 6 ヶ月 |
| 電離則 | 被ばく線量限度 5 年 100 mSv・年 50 mSv・女性は 3 ヶ月 5 mSv・眼水晶体 5 年 100 mSv (2021 改正) |
| 有機則 | 第 1 種有機溶剤 7 物質 (赤)・第 2 種 40 物質 (黄)・第 3 種 7 物質 (青) の区分と表示色 |
| 酸欠則 | 第 1 種 18% 以上・第 2 種 18% 以上+硫化水素 10 ppm 以下、特別教育の有無 |
| 粉じん則 | 特定粉じん作業の管理濃度・じん肺健康診断の頻度 1〜3 年 |
5 分のうちに書き切れない場合は、最頻出の特化則と電離則の数値を優先します。後半のフェーズ 2 でこのメモを参照することで、有害業務 14 問の処理速度が体感で 1.5 倍に上がります。
フェーズ 1:共通分野 30 問を 75 分で 1 周する
関係法令 (共通) 10 問・労働衛生 (共通) 10 問・労働生理 10 問の計 30 問を、1 問 2.5 分のペースで解きます。具体的な配分は次の通りです。
| 共通分野の科目 | 問題数 | 配分時間 | 1 問あたり | 90 秒ルール |
|---|---|---|---|---|
| 関係法令 (共通) | 10 問 | 25 分 | 2.5 分 | 90 秒で詰まったらフラグ |
| 労働衛生 (共通) | 10 問 | 25 分 | 2.5 分 | 同上 |
| 労働生理 | 10 問 | 25 分 | 2.5 分 | 図表問題は最大 3 分まで許容 |
| フェーズ 1 計 | 30 問 | 75 分 | — | — |
労働生理は第一種・第二種で出題範囲が同じため、共通の暗記対策で対応可能。心臓循環・呼吸器・消化器・神経系・代謝・体温調節の図表問題が頻出します。
フェーズ 2:有害業務 14 問を 60 分で集中処理する
フェーズ 1 で確実な問題を片付けてから、有害業務 14 問に取りかかります。事前に書き出したメモ用紙を参照しながら処理するのが鍵です。
| 法令分野 | 出題数の目安 | 配分時間 | 1 問あたり |
|---|---|---|---|
| 特化則 (関係法令側) | 3-4 問 | 15 分 | 3.8 分 |
| 有機則 (労働衛生側) | 2-3 問 | 12 分 | 4-5 分 |
| 電離則 | 1-2 問 | 8 分 | 4 分 |
| 酸欠則 | 1-2 問 | 8 分 | 4 分 |
| 粉じん則・石綿則 | 2 問 | 9 分 | 4.5 分 |
| 健康診断・作業環境測定 | 3 問 | 8 分 | 2.7 分 |
| フェーズ 2 計 | 14 問 | 60 分 | — |
有害業務問題は選択肢にごく近い数値が混在するため、メモ用紙の暗記表で照合する手順が時間切れを防ぎます。
フェーズ 3:フラグ問題の再考 + 足切り確認 (45 分)
最後の 45 分は次の配分で使います。
| 内容 | 配分時間 | 効果 |
|---|---|---|
| フラグ問題の再考 | 30 分 | フラグ 5-10 問のうち 3-5 問を正答に変更 |
| 計算問題の検算 | 8 分 | 換気量・気積・濃度計算のミス防止 |
| 科目別正答数の暗算チェック | 5 分 | 関係法令 / 労働衛生 / 労働生理の足切り検出 |
| 全体正答数の暗算チェック | 2 分 | 全体 60% (26 問) 到達の確認 |
CBT は画面で全問の解答状況を一覧できるので、フェーズ 3 では科目別の正答数推計を頭の中で行い、関係法令や労働衛生で 7 問未満になっていないかを確認します。
有害業務頻出 5 領域の暗記ポイント
3,002 問の解説を作る過程で、第一種の有害業務 14 問は次の 5 領域に集中することが見えてきました。
領域 1:特化則 (特定化学物質)
第 1 類 (製造許可物質 7 物質:ジクロロベンジジン・α-ナフチルアミン・塩素化ビフェニル・オルト-トリジン等)、第 2 類 (60 物質前後)、第 3 類 (硫酸・塩酸・硝酸など 8 物質) の 3 区分。健康診断は 6 ヶ月以内ごと 1 回、記録保存 30 年または 40 年 (発がん物質)。
領域 2:有機則 (有機溶剤)
第 1 種 (二硫化炭素・トリクロロエチレン等 7 物質・赤色表示)、第 2 種 (アセトン・トルエン等 40 物質前後・黄色表示)、第 3 種 (ガソリン・石油ナフサ等 7 物質・青色表示)。第 1 種・第 2 種は 健康診断 6 ヶ月以内ごと 1 回、第 3 種はタンク内作業のみ対象。
領域 3:電離則 (電離放射線)
被ばく線量限度は男性 5 年間 100 mSv かつ 1 年 50 mSv、女性は 3 ヶ月 5 mSv、妊娠中の女性は内部被ばく 1 mSv。眼水晶体は 2021 年改正で 5 年 100 mSv + 年 50 mSv に変更された点が頻出。健康診断は被ばく開始時 + 6 ヶ月以内ごと 1 回。
領域 4:酸欠則 (酸素欠乏)
第 1 種酸素欠乏危険作業 (酸素濃度 18% 未満) は特別教育、第 2 種 (酸素 18% 未満かつ硫化水素 10 ppm 超え) は技能講習を要する作業主任者選任が必要。酸素濃度 18% 以上を保つ換気が原則。
領域 5:健康診断・作業環境測定
雇入時健診・定期健診 (1 年以内ごと 1 回)・特定業務従事者健診 (配置替え + 6 ヶ月以内ごと 1 回)、作業環境測定は粉じん 6 ヶ月以内・特化則第 1 種・第 2 種 6 ヶ月以内・有機則 6 ヶ月以内・電離則 1 ヶ月以内などの頻度数値が選択肢で問われます。
落ちる人の典型 3 パターン
3,002 問の解説を作る過程で見えた、第一種で落ちる受験者の典型パターンです。
パターン 1:有害業務を共通分野と同じペースで解く
共通分野は 90 秒ルールで処理できますが、有害業務は選択肢の数値が紛らわしいため 4 分必要です。同じ 90 秒ルールを当てはめると、特化則の濃度基準や電離則の線量限度を誤判定したまま次に進んでしまい、有害業務 14 問のうち 4-5 問を落として労働衛生の足切り (7 問正解) に届かないパターン。
回避策:フェーズ 1・フェーズ 2 で別ルール (90 秒 vs 4 分) を使い分ける。
パターン 2:メモ用紙を活用せずに暗算で挑む
特化則の物質名や電離則の数値は本番のプレッシャーで取り違えやすい領域。試験開始直後の 5 分で暗記表を書き出さないと、後半フェーズで「特化則の第 1 類は 7 物質だったか 8 物質だったか」と迷い、1 問で 5 分以上溶かす事故が起きます。
回避策:試験開始直後の 5 分は問題を解かず、メモ用紙への書き出しに専念する。
パターン 3:科目別足切りを見落とす
全体 26 問正解しても、労働衛生で 6 問しか取れていなければ足切り (7 問必要) で不合格。CBT 画面で全問の解答状況を一覧できるのに、科目別の正答数推計をしないまま試験を終えるパターン。
回避策:フェーズ 3 の最後 5 分で科目別正答数を暗算チェックし、足切りラインに近い科目を優先的に再考する。
残り時間別:CBT 3 フェーズの練習量
| 残り時間 | フェーズ 1 練習 | フェーズ 2 練習 | フェーズ 3 練習 |
|---|---|---|---|
| 残り 2 ヶ月 | 模試 4 回で 75 分体感 | 有害業務 50 問演習 + 暗記表構築 | 科目別正答推計の練習 |
| 残り 1 ヶ月 | 模試 3 回で 75 分定着 | 有害業務 30 問演習 + 暗記表暗唱 | 模試 3 回でフェーズ 3 練習 |
| 残り 2 週間 | 模試 2 回 | 有害業務 20 問 + 暗記表最終確認 | フラグ運用の最終確認 |
| 残り 1 週間 | 模試 1 回 + 解説精読 | 暗記表暗唱 + 過去演習問題復習 | フェーズ運用の最終確認 |
| 残り 3 日 | 共通分野の知識復習 | 暗記表の最終暗唱 | フェーズ 3 配分の確認 |
特に有害業務 14 問の演習量が合否に直結します。残り 1 ヶ月の段階で 30 問以上の有害業務問題に触れていないと、本番でフェーズ 2 が回らなくなる可能性が高くなります。
合格率 45-50% に入るための CBT チェックリスト
本番で 180 分を回し切るための項目です。
- 試験構成を覚えている — 共通 30 + 有害業務 14 = 44 問 / 各科目 40% + 全体 60% 足切り
- 3 フェーズ運用を体得している — 暗記書き出し 5 分 / 共通 75 分 / 有害業務 60 分 / 見直し 40 分
- 特化則・電離則・有機則・酸欠則の暗記表を書ける — 試験開始 5 分でメモ用紙に
- CBT のフラグ機能を使い分けられる — 共通分野は 90 秒、有害業務は最初から全問フラグ
- 科目別足切り (40%) を暗算でチェックできる — フェーズ 3 で関係法令 / 労働衛生 / 労働生理を別計
- 計算問題はメモ用紙に式を書いてから解く — 換気量・気積・濃度計算の桁ミス防止
- 見直し 45 分の配分が決まっている — フラグ再考 30 分 / 計算検算 8 分 / 足切り確認 5 分 / 全体確認 2 分
このチェックリストを模試後に確認し、未達項目を残り時間に応じて潰してください。
第一種衛生管理者 オリジナル予想問題 160 問で実力確認 →
編集部より — 有害業務 14 問を「別の試験」として準備する覚悟
3,002 問の解説を作って気づいたのは、第一種の合格者は有害業務 14 問を第二種の延長ではなく「別の試験」として準備しているという共通行動でした。落ちる受験者は「第二種に合格したから第一種も同じ流儀で勉強すれば受かる」と判断し、有害業務の演習量を増やさないまま本番に臨んで足切りで不合格になります。
逆に合格者は試験開始直後の 5 分でメモ用紙に暗記表を書き出し、CBT のフラグ機能で共通分野と有害業務を別フェーズに切り分け、メモ用紙を参照しながら有害業務 14 問を 60 分で処理する運用を取ります。第一種を確実に取りに行くなら、有害業務を別試験として独立した時間軸で準備し、本番では 3 フェーズ運用で 180 分を組み立ててください。
出典:
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 衛生管理者試験 — 試験科目・出題範囲・合格基準
- 労働安全衛生法 (昭和 47 年法律第 57 号)、労働安全衛生法施行令第 9 条 (衛生管理者免許の種類)
- 特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、電離放射線障害防止規則 (2021 年改正:眼水晶体 5 年 100 mSv + 年 50 mSv)、酸素欠乏症等防止規則
※法令の数値・区分は改正により変動するため、e-Gov 法令検索で最新条文を確認してください。





























































