結論: 第一種衛生管理者は「全業種対応の上位資格、製造業/建設業必須」
第一種衛生管理者は 労働安全衛生法に基づく国家資格 で、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場の衛生管理者選任義務に 全業種対応 (有害業務含む) する上位資格です。製造業/建設業/鉱業/林業/運送業等の 有害業務を伴う業種で必須 となり、二種の上位互換として位置付けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 (JISHA) |
| 試験形式 | マークシート 5 肢択一 44 問 |
| 試験時間 | 3 時間 |
| 合格基準 | 5 範囲それぞれ 40% 以上 + 合計 60% (400 点満点中 240 点) 以上 (足切りあり) |
| 受験料 | 8,800 円 |
| 受験資格 | あり (学歴 + 実務経験要件) |
| 試験日 | 全国 7 試験センター 月 2-3 回 (ほかに東京試験場・大阪試験場) + 出張特別試験 (実施地区・回数は年度ごとに異なり非公表) |
| 申込方法 | 書面 (安全衛生技術試験協会) |
最新の試験日程と申込手順は、別記事の申込記事を参照してください
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全業種対応の意味 (二種との違い)
衛生管理者には第一種と第二種があり、対応業種が異なります。
| 項目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 対応業種 | 全業種 (有害業務含む) | 有害業務のない業種に限定 |
| 主な業種 | 製造業 / 建設業 / 鉱業 / 林業 / 運送業 / 自動車整備業 / 医療業 / 清掃業 等 (安衛則7条1項3号イの13業種) | 情報通信 / 金融 / 小売 / サービス / 飲食 / 教育 / 警察・消防 等 (イ以外の「その他の業種」) |
| 出題範囲 | 関係法令 17 問 + 労働衛生 17 問 + 労働生理 10 問 (有害業務含む) | 関係法令 10 問 + 労働衛生 10 問 + 労働生理 10 問 |
| 合格率 | 約46% | 約49% |
| 学習時間 | 80-120 時間 | 50-80 時間 |
どちらを選ぶか
| 業種 | 推奨資格 |
|---|---|
| 製造業 / 建設業志望 | 第一種 (有害業務対応必須) |
| 化学/食品/印刷工場志望 | 第一種 (有機溶剤等の有害業務あり) |
| オフィスワーク中心 | 第二種で十分 |
| 両方の業種で異動の可能性 | 第一種 (汎用性高) |
| 学習時間を抑えたい | 第二種 |
衛生管理者の選任義務 (一種も同じ)
労働安全衛生法第 12 条で、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場 に衛生管理者の選任が義務付けられています。
| 事業場規模 | 衛生管理者必要人数 |
|---|---|
| 50 人〜200 人 | 1 人以上 |
| 201 人〜500 人 | 2 人以上 |
| 501 人〜1000 人 | 3 人以上 |
| 1001 人〜2000 人 | 4 人以上 |
| 2001 人〜3000 人 | 5 人以上 |
| 3001 人以上 | 6 人以上 |
専属・専任・衛生工学衛生管理者の要件
注意 専属と専任は別物です。 衛生管理者は規模を問わず「その事業場に専属の者」から選任します (安衛則7条1項2号。例外は、2 人以上選任するうち 1 人が労働衛生コンサルタントである場合のその 1 人だけ)。人数規模で発生するのは専任のほうで、常時 1,000 人を超える事業場、または常時 500 人を超える事業場で坑内労働もしくは労基則18条各号の業務に常時 30 人以上を従事させる場合に、衛生管理者のうち少なくとも 1 人を専任 (他業務との兼任不可) にします (同5号)。さらに常時 500 人を超え、坑内労働または労基則18条1号・3号〜5号・9号の業務に常時 30 人以上を従事させる事業場では、うち 1 人を衛生工学衛生管理者免許を持つ者から選任します (同6号)。
受験資格
第一種衛生管理者の受験資格は 学歴 + 実務経験 のいずれかの組合せ (二種と同じ):
| 学歴 | 必要実務経験 |
|---|---|
| 大学 (短期大学を含む) / 高専卒 | 労働衛生の実務 1 年以上 |
| 高校 / 中等教育学校卒 | 労働衛生の実務 3 年以上 |
| 職業訓練修了・高認合格・船員法の適任証書 等 | 区分により 1〜4 年 |
| その他 (中学校卒等・学歴不問) | 労働衛生の実務 10 年以上 |
公式の受験資格コード表に「第二種衛生管理者免許を受けた者」という行はありません。ただし第二種免許保有者が受験できる「特例第一種衛生管理者免許試験」では、受験資格を証する添付書類が不要で、第二種免許証の写しを添えて申請します (出題は有害業務の2範囲20問・試験時間2時間)。
保健師・助産師・薬剤師に試験の免除規定はありません。医師は「試験の免除」ではなく、①安衛則10条により免許なしで衛生管理者に選任できる ②安衛則別表第四により大学・高専で医学に関する課程を修めて卒業した者は無試験で第一種衛生管理者免許を受けられる、という別の制度です。公式の免除科目は船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けその後1年以上労働衛生の実務に従事した者の労働生理だけです。
受験資格の詳細は、別記事の受験資格・免除記事を参照してください
試験範囲 (二種との違い)
| 試験区分 | 内容 | 出題数 |
|---|---|---|
| 関係法令 (有害業務含む) | 労働安全衛生法・有機溶剤中毒予防規則・特化則・石綿則・電離放射線障害防止規則 等 | 17 問 |
| 労働衛生 (有害業務含む) | 作業環境管理・健康管理 + 有害化学物質/物理因子の管理 | 17 問 |
| 労働生理 | 人体の構造・機能・疲労・ストレス | 10 問 |
二種と比較して、有害業務に係る 20 問 (関係法令 10 + 労働衛生 10) が加わり、共通部分が各 10 問から各 7 問に減る ため、総数は 30 問から 44 問へ 14 問増えます。合格基準は 400 点満点中 240 点以上 (合計 60%) + 5 範囲それぞれ 40% 以上 で、1 範囲でも 40% を切ると合計 240 点を超えても不合格になる足切り構造です。合格点・合格ライン・何問正解で受かるかの内訳は 第一種衛生管理者 合格基準 で、配点の地図から得点戦略に落とし込む手順は 第一種衛生管理者 配点 で詳しく解説しています。
合格率の推移
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024 (令和6) | 約 64,911 | 約 30,081 | 約 46.3% |
| 2025 (令和7) | 66,401 | 31,046 | 46.8% |
合格率は 近年おおむね 46-47% で安定。二種 (約49%) より 約2-3 ポイント低めですが、社会人受験者中心のため受験者層に大きなばらつきはありません。
取得メリット 5 つ
メリット 1: 製造業/建設業で選任必須 = 安定需要
製造業/建設業/鉱業/林業/運送業 等の 有害業務を伴う業種 では一種衛生管理者の選任が必須。業界全体で恒常的な需要あり、転職市場でも評価高。
メリット 2: 大企業の総務/人事担当者の業務必須資格
製造業の大企業 (従業員 1000 人超) では 専任の衛生管理者 が必要となるため、専門職として配置されることが多い。資格手当 (月 5,000-15,000 円) + 役職手当の対象。
メリット 3: 業種転換時の汎用性が高い
サービス業 → 製造業 / 建設業 への転職時、二種だと対応業種が制限されるが、一種なら どの業種でも衛生管理者として選任可能。キャリアの選択肢が広がる。
メリット 4: 有害業務管理の専門知識
有機溶剤 / 特化物 / 石綿 / 電離放射線 等の 有害業務管理の専門知識 が身に付くため、化学工場 / 製薬 / 半導体 / 建設 / 解体業界での価値が高い。
メリット 5: 二種からのステップアップ可能
二種保有者は「特例第一種衛生管理者免許試験」で受験でき、受験資格を証する添付書類は不要。出題も有害業務の 2 範囲 20 問 (2 時間) だけなので、追加学習 40-60 時間 で一種にステップアップでき、対応業種を一気に拡張できます。
受けるべき人 / 後回しでよい人 7 つの判断軸
| # | 判断軸 | 受けるべき | 後回しでよい |
|---|---|---|---|
| 1 | 業種志望 | 製造業/建設業/鉱業 等の有害業務業種 | オフィスワーク中心の業種 |
| 2 | 現職との関係 | 製造業/建設業従事 + 安全衛生担当候補 | 小規模オフィス勤務 |
| 3 | 大企業勤務 | 1000 人超事業場で専任候補 | 50 人未満事業場 |
| 4 | 二種保有 | 一種へのステップアップ価値 | 衛生管理者未受験 |
| 5 | 業種転換可能性 | 製造業/建設業への異動可能性 | 業種転換予定なし |
| 6 | 受験資格充足 | 学歴+実務経験を満たす | 受験資格未充足 |
| 7 | 学習可能時間 | 80-120 時間を 2-3 か月で確保 | 時間確保困難 |
7 軸のうち 3 つ以上「受けるべき」 に該当すれば、取得 ROI は十分にあります。
学習時間とコスト
| 項目 | 金額/時間 |
|---|---|
| 受験料 | 8,800 円 |
| 標準学習時間 | 80-120 時間 (社会人) |
| 学習期間 | 2-3 か月推奨 (1 日 1-2 時間) |
| 独学教材費 | 2,500-4,000 円 (テキスト + 問題集一体型) |
| 通信講座費 | 4,950-30,000 円 |
| 合計最小費用 | 約 11,300-12,800 円 (独学 + 受験料) |
合格後の流れ
試験合格後、以下の手順で 衛生管理者免許 を取得します:
- 免許試験合格通知書を受領 (試験日からおおよそ7日後の結果発表日にはがきで郵送)
- 免許申請書の提出 (東京労働局免許証発行センターへ簡易書留で郵送。手数料は収入印紙1,500円分。マイナポータルからの電子申請も可)
- 衛生管理者免許の交付 (不備がなければ申請受付からおおむね1か月以内に発送)
- 事業場で選任 (事業者が労働基準監督署に届出)
衛生管理者免許は 更新不要 で生涯有効。
まとめ: 7 軸チェックで受験判断 → 2-3 か月計画
第一種衛生管理者は 全業種対応の衛生管理者上位資格 で、製造業/建設業/鉱業等の 有害業務を伴う業種で必須 + 大企業の総務/人事専任候補 として位置付けられます。学習時間 80-120 時間と二種より長いものの、業種転換時の汎用性が高い投資ROI。
学習開始前のチェックリスト:
- 受験資格 (学歴 + 労働衛生の実務経験 1-10 年。二種免許保有者は特例第一種で受験資格の添付書類が不要) を充足確認
- 7 軸チェックで「受けるべき」3 つ以上を確認
- 学習時間 80-120 時間 × 2-3 か月 (1 日 1-2 時間) の確保可能性を検討
- 法令 17 + 衛生 17 + 生理 10 のバランス学習計画 (有害業務関連を厚く)
- 受験料 8,800 円 + 教材 2,500-4,000 円 = 計 11,300-12,800 円の予算確保
- 独学 / 通信講座のどちらで進めるか決定
- 二種からのステップアップなら追加学習 40-60 時間で対応可
第一種衛生管理者は 「製造業/建設業の必置資格」+「キャリア選択肢の汎用化」 という二重の ROI があり、将来の業種転換可能性を残したい人に特に推奨される試験です。
出典:










