結論を先に: 第一種の直前3日は有害業務2科目の足切り攻略が最重要
第一種衛生管理者と第二種の最大の違いは有害業務に関する2科目の有無です。
| 科目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 関係法令(有害業務) | 10問 | なし |
| 労働衛生(有害業務) | 10問 | なし |
| 関係法令(有害以外) | 7問 | 10問 |
| 労働衛生(有害以外) | 7問 | 10問 |
| 労働生理 | 10問 | 10問 |
| 合計 | 44問 | 30問 |
試験時間3時間、各科目40%以上かつ全体60%以上という足切り基準のもと、有害業務2科目が合否の分岐点になります。ここで40%未満を取ると即不合格です。
直前3日の時間配分の目安:
| 日 | やること | 所要時間 | 有害業務への比重 |
|---|---|---|---|
| 3日前 | 5領域の優先スキャン | 4〜5時間 | 約55% |
| 2日前 | 特化則・有機則・酸欠則・電離放射線則の数値表演習 | 4〜5時間 | 約60% |
| 前日 | 有害業務数値+共通法令の最終固定 | 2〜3時間 | 約50% |
第一種衛生管理者 160問オリジナル練習問題で有害業務を確認する →
3日前: 関係法令有害・労働衛生有害を優先スキャン
5領域をこの順序でテキスト一周する
第一種の5科目は実質5つの学習領域に分かれています。3日前のスキャンはこの順序が効率的です。
| 順序 | 領域 | スキャンの着眼点 |
|---|---|---|
| 1番目 | 関係法令(有害業務) | 特化則の規制物質・作業環境測定頻度・健康診断の種類 |
| 2番目 | 労働衛生(有害業務) | 管理濃度・許容濃度・制御風速・保護具の種類 |
| 3番目 | 関係法令(有害以外) | 選任義務の労働者数区分・委員会設置要件 |
| 4番目 | 労働衛生(有害以外) | 労働衛生3管理体系・作業環境管理の評価区分 |
| 5番目 | 労働生理 | 各臓器の機能・代謝・体温調節 |
有害業務2領域を最初にスキャンする理由は明確です。3日前の段階で穴の大きさを把握しなければ、2日前の演習に正確な優先順位をつけられないからです。
3日前スキャンで確認する主な論点
関係法令(有害業務)の主要論点:
- 有機則の適用対象物質(第1種・第2種有機溶剤)と局所排気装置の設置義務
- 特化則の管理対象物質と作業環境測定の実施頻度(6ヶ月以内ごと)
- 酸欠則の第1種・第2種酸素欠乏危険作業の区分と特別教育義務
- 電離放射線則の放射線業務従事者の被ばく管理と線量測定
労働衛生(有害業務)の主要論点:
- 管理濃度と許容濃度の違い(行政基準 vs. 学会勧告)
- 局所排気装置の制御風速の数値(囲い式・外付け式の区分)
- 有害光線(紫外線・赤外線・レーザー)と眼への障害
- 騒音レベル(85dB以上での聴力検査義務)と振動障害
スキャン中は「思い出せない数値」「曖昧な区分」に付箋を貼ります。覚え直しはしません。3日前の目的は穴の可視化であり、穴を埋めるのは2日前の仕事です。
広告
2日前: 特化則・有機則・酸欠則の数値表を集中演習
有害業務数値の核心: 管理濃度・制御風速・被ばく限度
2日前は3日前のスキャンで特定した弱点を中心に、有害業務の数値表を集中的に確認します。
制御風速の数値(有機則):
| フードの種類 | 制御風速 |
|---|---|
| 囲い式フード | 0.4m/s以上 |
| 外付け式フード(側方・下方) | 0.5m/s以上 |
| 外付け式フード(上方) | 1.0m/s以上 |
電離放射線則の被ばく限度:
| 区分 | 限度値 |
|---|---|
| 実効線量限度(5年間) | 100mSv |
| 実効線量限度(1年間) | 50mSv |
| 眼の水晶体(5年間) | 100mSv |
| 眼の水晶体(1年間) | 50mSv |
| 皮膚(1年間) | 500mSv |
(出典: 電離放射線障害防止規則第4条、2021年改正反映)
特化則の主要管理対象物質の作業環境測定頻度:
| 区分 | 測定頻度 |
|---|---|
| 第1類・第2類特定化学物質 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
| 石綿 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
| 有機溶剤 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
2日前の演習の進め方
数値表を確認したら、オリジナル練習問題を1論点につき3〜5問解いて定着を確認します。
演習の優先順序:
- 特化則(管理対象物質の選択問題): 出題頻度が最も高い
- 有機則の制御風速数値: 穴が多い受験者が多い
- 電離放射線則の被ばく限度: 数値が多いが出題頻度も高い
- 酸欠則の作業区分と特別教育: 第1種と第2種の混同に注意
有機溶剤の第1種・第2種の区分(よく問われる例):
| 物質 | 区分 |
|---|---|
| 二硫化炭素 | 第1種有機溶剤 |
| ベンゼン | 特化則適用(有機則の除外物質) |
| トルエン | 第2種有機溶剤 |
| キシレン | 第2種有機溶剤 |
| スチレン | 第2種有機溶剤 |
2日前の目標は「有害業務2科目でそれぞれ6問以上(60%)の正解ライン確認」です。40%の足切りに対して余裕を持たせる設計が重要です。
前日: 管理濃度・制御風速・共通法令選任人数の最終固定
前日は「一枚まとめ表」で総点検する
前日は新規範囲に手を出さず、これまで固めてきた数値の最終確認に徹します。
共通法令の選任人数(労働安全衛生法・規則):
| 労働者数 | 衛生管理者の人数 |
|---|---|
| 50人以上200人以下 | 1人以上 |
| 200人を超え500人以下 | 2人以上 |
| 500人を超え1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,000人を超え2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,000人を超え3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,000人を超える | 6人以上 |
(出典: 労働安全衛生規則第7条)
産業医の選任要件:
- 50人以上: 選任義務あり(専属でなくてよい)
- 1,000人以上(または有害業務で500人以上): 専属産業医が必要
衛生委員会の設置義務: 常時50人以上の事業場
労働衛生3管理体系(前日に再確認):
- 作業環境管理: 有害因子の除去・低減(局排、換気等)
- 作業管理: 作業方法の改善・保護具の使用
- 健康管理: 健康診断・健康相談
前日の3時間をこの順序で使う
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0〜60分 | 有害業務数値(制御風速・被ばく限度・測定頻度)の総点検 |
| 60〜90分 | 共通法令の選任人数・産業医・衛生委員会の一覧確認 |
| 90〜120分 | 労働衛生3管理体系と健康診断の種類・頻度の確認 |
| 120〜180分 | 苦手な数値のみ追加演習→終了、睡眠を確保 |
前日夜の暗記詰め込みは逆効果です。固めた数値は睡眠によって長期記憶に移行します。22時には就寝できるスケジュールを守ってください。
全国7ブロックの試験日程と逆算の組み方
第一種衛生管理者の試験会場と日程
第一種衛生管理者は、全国7ブロックの安全衛生技術センターで月に1〜2回開催されます。
| 地区 | センター所在地 |
|---|---|
| 北海道 | 恵庭市 |
| 東北 | 岩沼市 |
| 関東 | 市原市 |
| 中部 | 東海市 |
| 近畿 | 加古川市 |
| 中国四国 | 福山市 |
| 九州 | 久留米市 |
(出典: 公益財団法人安全衛生技術試験協会 https://www.exam.or.jp/)
このほか、年に1〜2回、各都道府県での出張試験があります。出張試験は申込者が多く、早期締め切りになることがあるため、試験協会のWebサイトで直近の日程を確認してください。
試験日から逆算した準備スケジュール
試験日が確定したら、直前3日の割り当てを先に決めます。
- 試験日の3日前: 5領域スキャン実施日を確定
- 試験日の2日前: 有害業務数値表演習の実施日
- 試験日の前日: 最終固定日(夜は早めに就寝)
- 試験当日朝: 数値表を10分で再確認
業務の都合でまとまった学習時間が取れない場合は、3日前スキャンを4〜5日前に前倒しし、2日前の演習を2日分に分けます。
合格率46.3%の内訳: 有害業務で差がつく構造
令和6年度の合格率データ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 受験者数 | 64,911人 |
| 合格者数 | 30,081人 |
| 合格率 | 46.3% |
(出典: 公益財団法人安全衛生技術試験協会 令和6年度 https://www.exam.or.jp/)
合格率46.3%という数字は「2人に1人が落ちる」水準です。不合格者の典型は、共通3科目は合格水準でも有害業務2科目の一方で足切りに引っかかるパターンです。
配点設計: 足切りを避ける得点計画
| 科目 | 問題数 | 足切りライン | 目標点 |
|---|---|---|---|
| 関係法令(有害業務) | 10問 | 4問以上 | 6問以上(60%) |
| 労働衛生(有害業務) | 10問 | 4問以上 | 6問以上(60%) |
| 関係法令(有害以外) | 7問 | 3問以上 | 5問以上(71%) |
| 労働衛生(有害以外) | 7問 | 3問以上 | 5問以上(71%) |
| 労働生理 | 10問 | 4問以上 | 7問以上(70%) |
| 全体 | 44問 | 27問以上(60%) | 29問以上(66%) |
この得点設計では全体66%の余裕をもった合格ラインを狙います。有害業務2科目を60%以上に維持することで、足切りリスクをゼロに近づけます。
失敗パターンと回避策: 第一種固有の直前ミス
失敗パターン1: 共通科目の復習に時間をかけすぎる
第二種受験の経験者が第一種に挑む場合、馴染みのある共通3科目(関係法令共通・労働衛生共通・労働生理)の復習に時間を割きすぎる傾向があります。
回避策: 直前3日のスキャン順を「有害業務→共通」の固定順にする。時間切れになっても有害業務のスキャンは完了させる。
失敗パターン2: 数値を曖昧なまま試験会場に入る
「制御風速は確か0.5か0.4だったような...」という状態で臨むと、択一式問題で1問ずつ時間を消耗します。
回避策: 前日に数値表を手書きで1枚にまとめる。手を動かして書くことで記憶の定着率が上がる。
失敗パターン3: 特化則と有機則の適用物質を混同する
特化則は労働安全衛生法に基づく規制、有機則は有機溶剤に限定した規制です。ベンゼンは有機溶剤ですが発がん性があるため有機則ではなく特化則の適用を受けます。
回避策: 2日前の演習で「有機則除外物質=特化則適用」のリストを確認する。ベンゼン・塩素化ビフェニル・アクリルアミドなど主要例を把握する。
失敗パターン4: 試験時間3時間を甘く見る
44問を3時間(180分)で解くと1問あたり約4分の余裕があります。しかし数値を覚えていない状態では選択肢を1問ずつ丁寧に読み込むことになり、時間不足になりやすい。
回避策: 前日までに数値を固定し、本番では「知識の引き出し」として使えるようにしておく。時間配分は前半22問を75分、後半22問を75分、残り30分で見直し。
よくある質問
Q. 直前3日の有害業務2科目の勉強は、テキストと問題演習どちらを先にすればよいですか?
A. 3日前はテキストスキャン(穴の可視化)、2日前は問題演習(穴埋め)が基本です。いきなり問題を解いても数値が抜けている状態では誤答の原因が数値不足なのか理解不足なのかわかりません。スキャン→演習の順序を守ってください。
Q. 有機則と特化則はどちらを優先して覚えるべきですか?
A. 出題頻度は特化則の方が高い傾向があります。ただし有機則の制御風速数値(0.4/0.5/1.0m/s)は毎回のように問われるため、両方とも直前に数値表で確認してください。優先度は特化則(物質の種類・測定頻度)→有機則(制御風速・健診)→酸欠則→電離放射線則の順が一般的です。
Q. 一種の直前対策で二種と共通の科目はどの程度手を抜いてよいですか?
A. 完全に手を抜くのは危険です。関係法令(有害以外)と労働衛生(有害以外)は7問しかなく、足切りの3問クリアは4問の誤答まで許容されます。ただし3問未満になると即不合格のため、最低限のスキャンは欠かせません。労働生理は10問で足切り4問のため、こちらも基本論点の確認は必須です。
Q. 前日に模擬試験を1回解くことは有効ですか?
A. 有効です。ただし「採点と弱点確認」が目的であり、前日に新たな暗記を積み上げようとしないことが前提です。模擬試験で露出した弱点の中で数値に関するものだけを前日の数値固定リストに追加し、理解系の弱点は翌日の試験に向けた精神的なリセットを優先してください。
Q. 出張試験と通常試験で試験内容は変わりますか?
A. 試験の出題範囲・形式・合格基準は同一です。会場が異なるだけで、問題のレベルや難易度に差はありません。地方在住で最寄りのセンターまで遠い場合は出張試験を活用することで交通費と移動疲れを節約できます。
まとめ: 直前3日で有害業務2科目の足切りラインを超える
第一種衛生管理者の直前3日は、有害業務2科目の数値表固定が合否を分ける核心です。
- 3日前: 有害業務優先で5領域をスキャン、穴の位置を特定する
- 2日前: 特化則・有機則・酸欠則・電離放射線則の数値表を集中演習
- 前日: 管理濃度・制御風速・被ばく限度・選任人数の最終固定、夜は早めに就寝
合格率46.3%(令和6年度)の壁を越えるには、有害業務2科目で各60%以上を確保し、足切りリスクを排除した得点設計が必要です。直前3日の時間配分を有害業務寄りに設計することが、第一種特有の攻略法です。
第一種衛生管理者 160問オリジナル練習問題で実力確認する →
出典:
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 衛生管理者試験 — 令和6年度合格率・試験概要・受験案内
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第7条(衛生管理者の選任)
- 有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第16条(制御風速)
- 電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第4条(実効線量限度、2021年改正)



























































