結論を先に:第一種は5科目44問、有害業務20問が合否を分ける
第一種衛生管理者は 関係法令(有害業務)10問・労働衛生(有害業務)10問・関係法令(有害以外)7問・労働衛生(有害以外)7問・労働生理10問 の合計44問。合格基準は 各科目40%以上 かつ 全体60%以上(44問中27問以上) で、1科目でも4割を切ると足切りになる。
第二種との最大の違いは、有害業務に関する20問(関係法令10問+労働衛生10問)が出題されること。この20問は第二種では一切出ないため、第一種の合否はここで決まる。全科目を均等に勉強する前に、有害業務を軸に頻出パターンを把握して優先順位をつけるのが合格への近道だ。
| 科目 | 問題数 | 第二種との違い | 最頻出分野 |
|---|---|---|---|
| 関係法令(有害業務) | 10問 | 第二種になし | 特化則・有機則の区分/選任要件 |
| 労働衛生(有害業務) | 10問 | 第二種になし | 制御風速・作業環境測定・特殊健診 |
| 関係法令(有害以外) | 7問 | 第二種は10問 | 衛生管理者選任・衛生委員会 |
| 労働衛生(有害以外) | 7問 | 第二種は10問 | 温熱環境(WBGT)・情報機器作業 |
| 労働生理 | 10問 | 共通 | 血液循環・呼吸・腎臓 |
全44問・試験時間3時間の紙マークシート試験(2026年5月時点でCBT未導入)。合格率は令和6年度で46.3%だ。
最頻出:特化則・有機則の区分/制御風速/6ヶ月周期/選任要件
44問のうち、毎回ほぼ確実に出る分野をまとめた。ここを固めるだけで合格基準(全体60%)の土台が作れる。とくに有害業務の20問は第二種受験者が触れない領域なので、ここでリードを作る。
有害業務の最頻出①:特化則・有機則の物質区分
有害物質を扱う規則は試験範囲に複数あるが、出題の中心は 有機溶剤中毒予防規則(有機則) と 特定化学物質障害予防規則(特化則) の物質区分だ。区分ごとに規制の重さ(測定・健診・設備の要否)が変わる点が問われる。
| 規則 | 区分 | ポイント |
|---|---|---|
| 有機則 | 第1種・第2種・第3種有機溶剤 | 第1種ほど毒性が高く規制が厳しい。色分け表示(赤・黄・青)も頻出 |
| 特化則 | 第1類・第2類・第3類物質 | 第1類は製造許可物質。第2類が最も種類が多く出題の中心 |
| 粉じん則 | 特定粉じん発生源 | 局所排気装置等の設置義務 |
有機溶剤の容器・区分の色表示は「第1種=赤/第2種=黄/第3種=青」で頻出。色と区分の対応を入れ替えた選択肢が定番だ。
有害業務の最頻出②:局所排気装置の制御風速(有機則第16条)
局所排気装置のフード型式ごとに必要な制御風速が法令で定められており、数値の暗記がそのまま得点になる。
| フードの型式 | 制御風速 |
|---|---|
| 囲い式フード | 0.4 m/s |
| 外付け式フード(側方・下方吸引型) | 0.5 m/s |
| 外付け式フード(上方吸引型) | 1.0 m/s 以上 |
「囲い式が最小の0.4、外付け上方が最大の1.0」という大小関係で覚える。型式と数値を入れ替えた選択肢(例:囲い式に1.0m/sを当てる)が頻出なので、表ごと暗記してしまうのが確実だ。
有害業務の最頻出③:作業環境測定と特殊健康診断の「6ヶ月」周期
有害業務分野で最も問われる数値が「6ヶ月以内ごとに1回」だ。測定も特殊健診も、主要な対象は6ヶ月周期で揃っている。
| 項目 | 対象 | 頻度 |
|---|---|---|
| 作業環境測定 | 有機溶剤・特定化学物質・粉じん・騒音 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
| 特殊健康診断 | 有機溶剤・鉛・特定化学物質・電離放射線・高圧室内 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
試験では「3ヶ月以内ごと」「1年以内ごと」など別の月数に変えた選択肢で揺さぶってくる。主要対象は6ヶ月が基本と覚えたうえで、例外(粉じんの測定結果の評価区分など)を上乗せする。
関係法令の最頻出:衛生管理者・産業医の選任要件
有害以外の関係法令で毎回出るのが選任要件だ。第二種でも出るが、第一種では有害業務がある事業場(製造業・建設業など)も含めて問われる。
| 事業場の規模(常時使用労働者数) | 衛生管理者の選任人数 |
|---|---|
| 50人以上 200人以下 | 1人以上 |
| 200人超 500人以下 | 2人以上 |
| 500人超 1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,000人超 2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,000人超 3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,000人超 | 6人以上 |
加えて押さえる関連数値:
- 衛生管理者の選任義務:常時50人以上の事業場
- 専任の衛生管理者:常時1,000人超、または一定の有害業務に常時500人超
- 産業医の選任:常時50人以上の事業場
- 専属の産業医:常時1,000人超、または一定の有害業務に常時500人超
「50人」「500人」「1,000人」のしきい値を入れ替えた選択肢が定番。人数表ごと暗記しておく。
労働生理の最頻出:血液循環・呼吸・腎臓
労働生理10問は有害以外の知識で全試験種共通の得点源だ。中でも循環器・呼吸・腎臓の3テーマが毎回出る。
| テーマ | 押さえる要点 |
|---|---|
| 心臓と血液循環 | 体循環(大循環)と肺循環(小循環)、動脈血と静脈血、心拍出量 |
| 呼吸 | 肺胞でのO2/CO2ガス交換、呼吸中枢は延髄、外呼吸と内呼吸 |
| 腎臓と尿 | 糸球体でろ過→尿細管で再吸収、尿の生成、老廃物の排泄 |
専門用語の暗記より「働きの流れ」を理解すると正誤判定がしやすい。計算がなく暗記中心なので、直前期でも伸ばしやすい分野だ。
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頻出ランク:個別物質の健康障害/衛生委員会/神経系・内分泌
最頻出を固めた後、2〜3回に1回出る頻出ランクに着手して合格ラインに上乗せする。
有害業務頻出:有機溶剤・特定化学物質・粉じんの健康障害
物質の区分(最頻出)を押さえたら、次は個別物質が引き起こす健康障害の知識が問われる。
| 原因物質 | 主な健康障害 |
|---|---|
| 粉じん(遊離けい酸など) | じん肺・けい肺 |
| 有機溶剤(トルエン・キシレン等) | 中枢神経抑制・頭痛・めまい・肝障害 |
| 鉛 | 貧血・末梢神経障害・腹部疝痛 |
| 一酸化炭素 | 酸素運搬阻害(ヘモグロビンと結合) |
| 電離放射線 | 造血器障害・白内障・発がん |
「物質と健康障害の組み合わせ」を入れ替えた選択肢が頻出。代表物質と症状をセットで覚える。
関係法令頻出:衛生委員会・安全衛生教育
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 衛生委員会 | 常時50人以上で設置義務、毎月1回以上開催、議長以外の半数は労働者側の推薦 |
| 安全衛生教育 | 雇入れ時・作業内容変更時に実施、有害業務は特別教育が必要なものがある |
| 健康診断の事後措置 | 異常所見者は医師の意見聴取、結果の記録は原則5年保存 |
「衛生委員会は3ヶ月に1回」のような頻度の誤りや、設置人数のしきい値の誤りが定番のひっかけだ。
労働衛生(有害以外)頻出:温熱環境(WBGT)・情報機器作業
第二種と共通する有害以外の労働衛生も、第一種で7問出る。
| テーマ | 要点 |
|---|---|
| 温熱環境 | 暑熱の評価指標WBGT(湿球黒球温度)、温熱の4要素(気温・湿度・気流・ふく射熱) |
| 情報機器作業 | ディスプレイ画面上の照度・作業姿勢・連続作業時間と休止のガイドライン |
| 採光・照明 | 全般照明と局部照明、グレア(まぶしさ)対策 |
労働生理頻出:神経系・内分泌・代謝
| テーマ | 押さえる要点 |
|---|---|
| 神経系 | 中枢神経と末梢神経、自律神経(交感神経・副交感神経)の拮抗作用 |
| 内分泌(ホルモン) | ホルモンと分泌器官・作用の対応(インスリンと血糖など) |
| 代謝 | 基礎代謝量、エネルギー代謝率(RMR) |
有害業務分野の数値まとめ:第一種で差がつく暗記表
第一種の合否を分ける有害業務分野は、数値の暗記が得点に直結する。最頻出で扱った数値を1枚に集約した「差がつく暗記表」をここでまとめておく。
暗記表①:制御風速(フード型式別)
| 型式 | 制御風速 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 囲い式 | 0.4 m/s | 一番小さい |
| 外付け式(側方・下方) | 0.5 m/s | 中間 |
| 外付け式(上方) | 1.0 m/s 以上 | 一番大きい |
暗記表②:周期が「6ヶ月以内ごと」の主要項目
| 項目 | 対象例 |
|---|---|
| 作業環境測定 | 有機溶剤・特化物・粉じん・騒音 |
| 特殊健康診断 | 有機溶剤・鉛・特化物・電離放射線・高圧室内 |
暗記表③:選任・専任・専属のしきい値
| 区分 | しきい値 |
|---|---|
| 衛生管理者の選任 | 常時50人以上 |
| 衛生管理者の専任 | 常時1,000人超 or 有害業務500人超 |
| 産業医の選任 | 常時50人以上 |
| 産業医の専属 | 常時1,000人超 or 有害業務500人超 |
この3表を直前に見返せるようにしておくと、有害業務20問のうち数値系の取りこぼしを防げる。第二種受験者が持っていない武器になる。
出れば取るランク:石綿則・鉛則・電離則の細部と労働生理の細目
試験本番までの残り時間が少ないなら、ここは深追いせず最頻出の確認を優先する。一方、時間に余裕があれば1問の上乗せを狙える分野をまとめた。
有害業務の細かい規則
| 規則 | 出れば取るポイント |
|---|---|
| 石綿障害予防規則(石綿則) | 石綿の事前調査・除去作業の措置 |
| 鉛中毒予防規則(鉛則) | 鉛業務の区分・換気設備の要件 |
| 電離放射線障害防止規則(電離則) | 管理区域・線量限度の考え方 |
| 酸素欠乏症等防止規則(酸欠則) | 酸素濃度18%以上の維持、第一種・第二種酸欠危険作業の区別 |
酸欠の「酸素濃度18%以上」は数値として狙われやすいので、ここだけは押さえておくと費用対効果が高い。
労働生理の細目
感覚器(視覚・聴覚・平衡感覚)、筋肉(横紋筋と平滑筋、等尺性収縮と等張性収縮)、睡眠(レム睡眠とノンレム睡眠、睡眠と体温・ホルモンの関係)は、出題されれば暗記で取れる。ただし最頻出の循環器・呼吸・腎臓を完璧にしてからの上乗せ用と位置づける。
捨て判断の基準
試験まで2週間以内なら、出れば取るランクへの新規投資は最小化し、有害業務の数値表と選任要件を繰り返し確認する方が得点期待値が高い。
紙のマークシート試験向け:頻出分野の効率的な演習法
衛生管理者試験は、全国7ヶ所の安全衛生技術センターで毎月複数回行われる紙のマークシート試験だ。2026年5月時点でCBT(コンピュータ試験)は導入されておらず、危険物乙4のような通年CBT受験はできない。試験日が限られるぶん、出題日から逆算した計画が重要になる。
第一種特有の問題配分を意識する
44問のうち有害業務が20問(関係法令10+労働衛生10)を占める。第二種から第一種に挑戦する人や、有害業務の実務経験がない人は、ここに学習時間を厚く配分する必要がある。労働生理10問・有害以外14問は比較的得点しやすいので、有害業務で稼ぐ設計にする。
頻出分野の演習サイクル
| フェーズ | 対象 | 演習内容 |
|---|---|---|
| フェーズ1(最初の2週間) | 有害業務の最頻出 | 特化則/有機則の区分・制御風速・6ヶ月周期を集中・1日20問 |
| フェーズ2(3〜4週目) | 有害以外+労働生理の最頻出 | 選任要件・血液循環・呼吸・腎臓を追加し30問/日 |
| フェーズ3(5週目〜) | 頻出ランク | 健康障害・衛生委員会・神経系/内分泌を混在で演習 |
| フェーズ4(試験3日前) | 数値系の総確認 | 制御風速・6ヶ月周期・選任人数の3表を総確認 |
直前の「1枚まとめ」戦略
試験直前に見返せる「1枚まとめ」を作ると効果的だ。最低限盛り込む内容:
- 制御風速(囲い式0.4/外付け側方下方0.5/外付け上方1.0m/s)
- 「6ヶ月以内ごと」の作業環境測定・特殊健康診断の対象
- 衛生管理者・産業医の選任/専任/専属のしきい値(50・500・1,000人)
- 有機溶剤の区分と色表示(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)
まとめ:有害業務を軸に頻出分野を攻略して合格ラインを超える
第一種衛生管理者の頻出分野を3ランクで整理すると、学習優先順位が明確になる。第二種と決定的に違うのは、合否を分ける有害業務20問の存在だ。
最優先(毎回出る):
- 有害業務:特化則・有機則の物質区分、制御風速(囲い式0.4/外付け上方1.0m/s)、作業環境測定・特殊健康診断の6ヶ月周期
- 関係法令:衛生管理者・産業医の選任要件(50・500・1,000人のしきい値)
- 労働生理:血液循環・呼吸・腎臓の基本
次に着手(2〜3回に1回):
- 有害業務:有機溶剤・粉じん・鉛などの健康障害(じん肺・有機溶剤中毒)
- 関係法令:衛生委員会・安全衛生教育
- 労働衛生:温熱環境(WBGT)・情報機器作業/労働生理:神経系・内分泌・代謝
余裕があれば(低頻度):
- 有害業務:石綿則・鉛則・電離則の細部、酸欠の酸素濃度18%
- 労働生理:感覚器・筋肉・睡眠の細目
第一種は44問・各科目40%以上かつ全体60%以上が合格ライン。3,000問超のオリジナル予想問題で本番形式の演習を重ねることで、有害業務を含む頻出分野の理解が定着する。
出典:
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 衛生管理者試験 — 試験概要・受験案内・合格率
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)・労働安全衛生規則
- 有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則
よくある質問
Q1. 第一種と第二種の出題範囲はどこが違いますか?
第一種は有害業務に関する関係法令10問・労働衛生10問(計20問)が追加で出題され、合計44問になる。第二種は有害業務が出ず30問。つまり第一種固有の20問(特化則・有機則・制御風速・作業環境測定・特殊健康診断など)が合否を分ける。労働生理10問と有害以外の分野は両試験で共通する。
Q2. 有害業務分野はどのくらい得点すべきですか?
有害業務は関係法令・労働衛生あわせて20問あり、各科目40%(各4問)の足切りを必ずクリアする必要がある。理想は各科目6割(各6問)以上。数値系(制御風速・6ヶ月周期・選任人数)は暗記でほぼ確実に取れるので、ここで稼いで全体60%(27問)に届かせる設計が現実的だ。
Q3. 制御風速の数値はどう覚えればよいですか?
「囲い式0.4m/s < 外付け式(側方・下方)0.5m/s < 外付け式(上方)1.0m/s以上」という大小関係で覚えるのが確実。フードが開いているほど(囲いが弱いほど)大きな風速が必要になる、と理解すると型式と数値の対応を間違えにくい。試験では型式と数値を入れ替えた選択肢が定番だ。
Q4. 作業環境測定と特殊健康診断はどちらも6ヶ月ですか?
はい。有機溶剤・特定化学物質・粉じん・騒音の作業環境測定、および有機溶剤・鉛・特定化学物質・電離放射線・高圧室内業務の特殊健康診断は、いずれも6ヶ月以内ごとに1回が基本周期。試験では「3ヶ月」「1年」に変えた選択肢で揺さぶってくるので、主要対象は6ヶ月と覚えておく。
Q5. 衛生管理者試験はCBTで受けられますか?
2026年5月時点では受けられない。衛生管理者試験は全国7ヶ所の安全衛生技術センターで毎月複数回行われる紙のマークシート試験で、CBTは導入されていない。試験日が限られるため、公表されている試験日から逆算して学習計画を立てる必要がある。























































