合格後にすることは「免許申請」と「選任への協力」の2つ
第一種衛生管理者の試験に合格しただけでは、まだ免許を受けていません。免許は都道府県労働局長が免許証を交付して行うもので、合格者が自分で免許申請をして初めて交付されます(労働安全衛生法第72条、労働安全衛生規則第66条の3)。免許証を受け取った後、勤務先の事業場で衛生管理者に選任され、事業者が労働基準監督署長に報告して、衛生管理者としての業務が始まります。
| 手続き | 誰が行うか | 提出先 | 期限・目安 |
|---|---|---|---|
| 免許申請 | 合格者本人 | 東京労働局免許証発行センター(紙は簡易書留で郵送、電子はマイナポータル) | 合格後、遅滞なく申請する。不備がなければ受付からおおむね1か月以内に免許証を発送 |
| 選任 | 事業者 | ― | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 |
| 選任の報告 | 事業者 | 所轄の労働基準監督署長 | 選任後、遅滞なく。2025年1月から原則電子申請 |
合格通知書がいつ届くかは、衛生管理者の合格発表・合格通知書の記事で説明しています。この記事は通知書を受け取った後の手続きを扱います。
免許試験合格通知書は、結果発表日(試験日からおおよそ7日後)にはがきで郵送されます。発表日から7〜10日過ぎても届かない場合は、受験した安全衛生技術センター(試験場)へ本人が連絡します(協会のよくある質問は10日以上、東京試験場の案内は7日を目安にしています)。通知書の住所・氏名は免許証の元データになるので、誤りに気づいたら申請前に安全衛生技術センターへ連絡してください。紛失した場合も、受験した安全衛生技術センターで再交付を受けます。
申請方法は郵送とマイナポータルの2つ
免許申請には、紙の申請書を郵送する方法と、マイナポータルから電子申請する方法があります。2026年3月からマイナポータルでの申請ができるようになり、従来のe-Govからの電子申請は受付を終了しました。
| 項目 | 郵送(紙の申請書) | マイナポータル(電子申請) |
|---|---|---|
| 手数料 | 収入印紙1,500円分を申請書の裏面に貼る | 1,450円をオンライン決済 |
| 提出方法 | 簡易書留で郵送。窓口はなく、直接持参はできない | 画面で入力して申請。ただし返送用封筒などは別途郵送が必要 |
| 事前準備 | 申請書・専用封筒を労働基準監督署や都道府県労働局で入手、または厚生労働省サイトから印刷 | マイナンバーカードとマイナポータルのログイン環境 |
| 既に免許を持つ人 | 免許証の原本を同封 | 「資格管理団体へ登録している」を選んで初期設定申請をし、労働局の審査完了後に申請できる |
| 同時に書替・再交付が必要な人 | 住所地の都道府県労働局へ紙で申請 | 利用できない(紙で申請する) |
郵送のほうが迷いにくい人
初めて労働安全衛生法の免許を受ける人で、氏名変更などがない場合は、紙の申請書に書類一式を同封して送れば1回で完結します。専用の免許証送付用封筒(茶色の窓空き封筒)と申請書を送る角形20号封筒は、労働基準監督署・都道府県労働局のほか、安全衛生技術試験協会の各安全衛生技術センターでも配布しています。
マイナポータルで申請するときの注意点
- 申請情報の入力が完了しても、手続きは完了していません。入力後すみやかにオンライン決済で手数料を納付します。納付が確認できないと審査が進みません。納付後の返還や流用はできません。
- 切手460円分を貼った免許証送付用封筒は、電子申請でも郵送が必要です。既に免許証を持っている人は、その原本(または原本確認済みの写し)も郵送します。一番外側の封筒の表面に「マイナポータル申請」と書き、任意の封筒を使う場合は自分の氏名と住所も記載します。簡易書留など追跡できる方法で送ります。
- 免許試験合格通知書の添付漏れが多発していると厚生労働省が注意喚起しています。申請時に添付漏れがないか確認してください。
- 既に労働安全衛生法の免許を持っている人は、マイナポータルでマイナンバーカードと国家資格の情報を連携する初期設定申請が先に必要で、労働局の審査が完了してから免許の申請に進みます。急ぐ人は、この審査の時間も見込んでください。
- 新規申請と同時に書替(氏名変更)や再交付(紛失)が必要な人は、マイナポータルで複数の申請を同時に行えないため、紙の申請書で手続きします。
必要書類 — 全員に必要なものと、条件付きで必要なもの
厚生労働省「免許試験合格者等のための免許申請書等手続の手引き」に基づく、紙で申請する場合の書類です。
全員に必要な6点
| 書類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 免許申請書(様式第12号) | 2026年3月から新しい様式。厚生労働省サイトからダウンロードするか、労働基準監督署・都道府県労働局・安全衛生技術センターで入手 | OCRで読み取るため黒のボールペンで枠内に記入。氏名は戸籍上の文字を楷書で。古い様式でも申請できるが、「試験を受けた地域の番号」は合格通知書に記載の番号を記入する |
| 免許試験合格通知書 | 安全衛生技術試験協会から届くはがき | 原本を添付する。申請書の裏面には貼らない |
| 写真1枚 | 横24mm×縦30mm(自動車運転免許証サイズ)、申請前6か月以内、上三分身・正面・脱帽・無背景 | 裏面に氏名を書いて申請書に貼る。白黒も可。パスポートサイズや画像処理した写真は撮り直しになることがある |
| 収入印紙1,500円分 | 郵便局などで購入し、申請書の裏面に貼る | 1枚で1,500円の印紙はないので組み合わせる。3枚以上は縦に並べる。消印はしない。都道府県の証紙や印紙税納付計器のスタンプは不可。書き損じに備え、記入が終わってから貼る |
| 本人確認証明書 | 顔写真付きなら1種類(自動車運転免許証の表裏、マイナンバーカードの表面、在留カードの表裏など)の写し。顔写真がない場合は2種類(住民票の写しの原本+健康保険の資格確認書など) | 住民票の写しは原本で、個人番号の記載がないもの。健康保険被保険者証は2025年12月2日以降使えない(資格確認書は当面使える)。合格通知書や技能講習修了証は本人確認証明書にならない |
| 免許証送付用封筒+切手460円分 | 専用の窓空き封筒には「申請者氏名」欄に氏名だけを書く(住所は印字される)。任意の封筒なら宛先として自分の住所・氏名を書く | 460円は2024年10月1日現在の郵送料+簡易書留料。勤務先など住所地以外への送付を希望する場合は申請書の欄に送付先を記入する(受取人の名前は本人になる) |
申請書の「個人番号」欄への記入は任意です。記入した場合は、マイナンバーカードの表裏の写し、または個人番号が記載された住民票の写しも添付します。マイナンバーカードの表裏の写し1枚で、本人確認証明書と個人番号の証明を兼ねられます。なお、個人番号を書いて申請しても、マイナポータルで免許情報を見るには別に初期設定申請が必要です。
衛生管理者の免許申請では、実務経験を証明する書類は不要です。添付が必要なのはボイラー技士・ボイラー整備士・ガス溶接作業主任者・発破技士・高圧室内作業主任者・林業架線作業主任者の各免許です。
条件に当てはまる人だけ必要なもの
| こんな人 | 追加で必要なこと |
|---|---|
| 第二種衛生管理者やボイラー技士など、労働安全衛生法関係の免許証を既に持っている | 持っている免許証をすべて添付する。新しい免許と統合した1枚の免許証が交付され、提出した免許証は返却されない。手元に残したい場合は、労働基準監督署または都道府県労働局で原本確認の証明を受けた写しを添付する(普通のコピーは不可)。新様式(カード式・ラミネート式)の免許証を添付し、氏名や住所に変更がなければ、本人確認証明書は省略できる |
| 二つ折りの旧様式の免許証を持っている | 申請書の該当欄に「1」を記入し、「所持免許申告欄」の用紙に免許の種類・交付局・免許証番号・交付年月日を書いて添付する。カード式の免許証だけの人は不要 |
| 持っている免許証を紛失している | 免許証再交付申請も同時に行う。提出先が住所地の都道府県労働局(または直近に免許証の交付を受けた都道府県労働局)に変わる |
| 結婚などで免許証や合格通知書の氏名が変わっている | 免許証を持っている人は書替申請も同時に行い、提出先が住所地の都道府県労働局に変わる。合格通知書の氏名が戸籍上の文字と違う場合は戸籍抄本を添付する |
| 旧姓や通称の併記を希望する | 申請書の該当欄に「2」を記入し、旧姓または通称が記載された住民票の写しなど公的な書面を添付する |
住民票の写しや戸籍抄本を添付するときは、本籍地の記載がないものか、本籍地を黒塗りしたものにします。
提出先は東京労働局免許証発行センター — 都道府県労働局ではない
安全衛生技術試験協会の免許試験に合格した人の新規免許申請は、住んでいる都道府県にかかわらず、次の宛先に送ります。
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館2階 東京労働局免許証発行センター
免許試験は指定試験機関である安全衛生技術試験協会が行うため、その事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長(東京労働局長)に申請する仕組みです(労働安全衛生規則第66条の3第2項)。「東京労働局免許証発行センター」と「東京労働局」は別の窓口です。
| 宛先 | 対象になる人 |
|---|---|
| 東京労働局免許証発行センター | 免許試験「合格」通知書を持っている人の新規申請(衛生管理者はここ) |
| 住所地を管轄する都道府県労働局 | 免許試験「結果」通知書を持っている人(クレーン運転士など実技教習を経て申請する人)、無試験で免許を受ける人、新規申請と同時に書替・再交付を行う人 |
| 住所地または直近に免許証の交付を受けた都道府県労働局 | 書替(氏名変更)・再交付(紛失・損傷)だけを行う人 |
安全衛生技術試験協会や各地の安全衛生技術センターは試験の実施機関で、免許を発行する機関ではありません。誤って送ると受け取り拒否か着払いで返送されます。
送るときの注意
- 郵送は簡易書留で送ります。免許証発行センターは送付物の到着確認に応じないため、追跡番号を控えて、自分で到着を確認します。
- 申請書は折り目の印以外で折らず、汚したり穴を開けたりしないようにします(機械で処理されます)。
- 任意の封筒で送る場合は、封筒に自分の氏名・住所を書きます。
- 記入内容の照会に使うため、昼間に連絡が取れる電話番号を申請書に書きます。
免許証はいつ届く?──公式の目安は受付からおおむね1か月以内
東京労働局免許証発行センターは、添付書類に不備がなければ、申請受付からおおむね1か月以内に免許証を発送していると案内しています。発送は簡易書留なので、不在時は不在票が入り、再配達か郵便局での受け取りになります。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 書類に不備がない通常期 | 申請受付からおおむね1か月以内に発送 |
| 申請が集中する毎年1月、4月〜5月上旬 | 手元に届くまで1か月を超える場合がある |
| 書類の不備、宛先の誤りがある | 発行までにさらに期間がかかる。不備の再送先は免許証発行センター審査担当 |
これは発送の目安であって、到着日を約束する制度ではありません。合格通知書の受け取りから免許証の受け取りまでには、申請書を送る日数と返送の日数も加わります。転職や選任の予定で免許証を急ぐ人は、合格通知書が届いたらすぐ申請するのが唯一の短縮方法です。
遅いときの確認先
| 確認先 | 分かること・条件 |
|---|---|
| 郵便追跡サービス(申請書を送った簡易書留の番号) | 申請書が免許証発行センターに到着したか |
| 免許証発行サポートダイヤル 0570-006-120 | 免許申請に関する相談。平日8:30〜17:15、ナビダイヤルで通話料は有料。住所地の労働局を案内される場合がある |
| 東京労働局のウェブページ「労働安全衛生法に基づく免許」 | 発送の目安と混雑期の案内。手引きの最新版へのリンク |
センターへの到着を追跡で確認したうえで、目安の1か月を大きく超えても届かないときにサポートダイヤルへ問い合わせる、という順番にすると無駄がありません。
交付される免許証と、その後の手続き
- 労働安全衛生法関係の免許は1枚の免許証にまとめて交付されます。既に免許を持っている人は、新旧の免許を統合した新しい免許証が届きます。
- 衛生管理者の免許に更新はありません。労働安全衛生法の免許で更新制なのは特別ボイラー溶接士と普通ボイラー溶接士だけです。
- 免許証を持つ人が氏名を変更したときは、免許証の交付を受けた都道府県労働局長または住所地を管轄する都道府県労働局長に書替申請をします。紛失・損傷したときは再交付申請をします(労働安全衛生規則第67条)。
免許証が届いた後の選任と報告 — 事業者の手続きに協力する
免許証を持っているだけでは衛生管理者ではありません。事業場で事業者に選任されて初めて職務が始まります。選任と報告は事業者の義務ですが、選任される本人が流れを知っていると、人事・総務とのやり取りが早く進みます。
選任義務のある事業場と人数
労働安全衛生法施行令第4条により、常時50人以上の労働者を使用する事業場には衛生管理者の選任義務があります。人数は労働安全衛生規則第7条で事業場の規模ごとに決まっています。
| 事業場の規模(常時使用する労働者数) | 衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上200人以下 | 1人 |
| 200人を超え500人以下 | 2人 |
| 500人を超え1,000人以下 | 3人 |
| 1,000人を超え2,000人以下 | 4人 |
| 2,000人を超え3,000人以下 | 5人 |
| 3,000人を超える | 6人 |
衛生管理者はその事業場に専属の者から選任します(2人以上選任する場合に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人は例外)。常時1,000人を超える事業場などでは、少なくとも1人を専任にします。
第一種免許で選任できる業種
労働安全衛生規則第7条第1項第3号は、業種によって選任できる免許を分けています。
| 業種 | 選任できる免許 |
|---|---|
| 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業 | 第一種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許(医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなども可) |
| その他の業種 | 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許(同上) |
第一種の免許はすべての業種で選任の資格になります。第二種で選任できない業種も含めて、勤務先が変わっても対応できます。第一種と第二種の違いは第一種と第二種の違いと選び方で整理しています。
選任の期限と報告の方法
- 事業者は、衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します。
- 選任したときは、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します。この報告は2025年1月1日から原則として電子申請になり、e-Gov電子申請または厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」から行います。報告には、免許を受けた者であることを証明できる電磁的記録(免許証の画像など)を添えます。電子申請を行う環境が整っていない場合は、当分の間、従来の書面(様式第3号)による報告もできます。
- 選任された衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じます(労働安全衛生規則第11条)。
「選任後14日以内に報告」と説明されることがありますが、14日以内は選任の期限で、報告は「遅滞なく」です。本人がすることは、免許証が届いたら人事・総務に知らせ、報告に添付する免許証の写しを渡すことです。
まとめ
- 結果発表日にはがきで届く免許試験合格通知書を保管する。
- 申請方法を決める。初めての免許で氏名変更がなければ紙の申請書を簡易書留で郵送するのが簡単。マイナポータルは手数料1,450円だが、返送用封筒などは別途郵送する。
- 書類を揃える。申請書・合格通知書の原本・写真(横24mm×縦30mm)・収入印紙1,500円分・本人確認証明書・切手460円分を貼った免許証送付用封筒。
- 既に免許を持っている人は免許証の原本(または原本確認済みの写し)を添付し、氏名が変わった人は書替申請も同時に行う(提出先が住所地の労働局に変わる)。
- 宛先は東京労働局免許証発行センター。追跡番号を控える。
- 不備がなければ受付からおおむね1か月以内に免許証が簡易書留で発送される。1月と4月〜5月上旬は超えることがある。
- 免許証が届いたら勤務先に知らせ、事業者の選任(14日以内)と労働基準監督署長への報告(原則電子申請)に協力する。
合格後に受験時の費用全体を振り返りたい人は第一種衛生管理者 費用まとめ、次に取る資格を考える人は第一種衛生管理者の次に狙う資格を参考にしてください。
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出典
- 労働安全衛生法第12条(衛生管理者)、第72条(免許)、第73条(免許の有効期間)
- 労働安全衛生法施行令第4条(衛生管理者を選任すべき事業場)
- 労働安全衛生規則第7条(衛生管理者の選任)、第10条(衛生管理者の資格)、第11条(定期巡視)、第66条の3(免許の申請手続)、第67条(免許証の再交付又は書替え)。2026年8月1日施行の現行版を確認
- 厚生労働省「労働安全衛生法関係の免許について」
- 厚生労働省「免許試験合格者等のための免許申請書等手続の手引き」
- 厚生労働省「マイナポータルからの申請の手続きご案内」
- 厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されました(令和7年1月1日施行)」および「労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます」、基発0328第15号(令和6年3月28日)
- 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許」
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「免許試験についてよくあるご質問」(通知書は合格発表日の当日に各センター・試験場から発送、発表日から10日以上経過しても届かない場合は受験したセンターへ)
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「令和8年度 各種免許試験案内【東京試験場版】」(試験結果発表日は試験日からおおよそ7日後、通知書は結果発表日にはがきで郵送)









