電線管は、建物の中で電線を収めて保護する管です。低圧屋内配線では、鋼製の金属管、合成樹脂のVE管・PF管・CD管、曲げやすい金属製可とう電線管が使われ、それぞれ電気設備の技術基準の解釈(以下「電技解釈」)が工事の決まりを定めています(金属管工事は第159条、合成樹脂管工事は第158条、金属可とう電線管工事は第160条)。
第二種電気工事士の学科(配線器具・材料・施工方法)と技能試験の材料、2級電気工事施工管理技士の範囲に入ります。この記事は、2026年9月29日に経済産業省のサイトから取得した電技解釈(令和7年11月20日改正の版。経済産業省の内規で、法令ではない)と、パナソニックの電線管の商品案内、宮地電機の「電線管の規格」をもとに書いています。
電線管の種類(早見表)
| 種類 | 記号・呼び方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 厚鋼電線管 | G(内径に近い偶数) | 管が厚く、衝撃を受けやすい場所などに向く。防爆工事にも使う |
| 薄鋼電線管 | C(外径に近い奇数) | ねじ付き電線管のうち管が薄いもの |
| ねじなし電線管 | E(外径に近い奇数) | ねじを切らずに止めねじで接続する。ねじ溝の分だけ薄鋼電線管より管が薄い |
| 硬質ポリ塩化ビニル電線管 | VE | 合成樹脂管。電気を通さない |
| 合成樹脂製可とう電線管(PF管) | PF | 自己消火性があり、埋込み・いんぺい・露出に使える |
| 合成樹脂製可とう電線管(CD管) | CD | コンクリート埋込み専用(専用の不燃性・自消性のある難燃性の管やダクトに収めれば施設できる) |
| 金属製可とう電線管 | 1種・2種 | 手で曲げられる。原則は2種を使う(電技解釈第160条) |
(鋼製電線管とPF管・CD管の特徴はパナソニックの商品案内より。鋼製電線管はいずれもJIS C 8305の製品)
鋼製電線管の呼び方とサイズ(G・C・E)
鋼製電線管の太さは、厚鋼は内径に近い偶数、薄鋼とねじなしは外径に近い奇数で呼びます。配線図に「(E19)」と書いてあれば、ねじなし電線管の19です。
| 呼び方 | 外径(mm) | 内径(mm) | 厚さ(mm) |
|---|---|---|---|
| G16(厚鋼) | 21.0 | 16.4 | 2.3 |
| C19(薄鋼) | 19.1 | 15.9 | 1.6 |
| E19(ねじなし) | 19.1 | 16.7 | 1.2 |
(宮地電機「電線管の規格」の表から3つだけ抜粋。ほかの太さはメーカーの資料〔JIS C 8305の製品〕で確かめてください)
G16の内径は16.4mmで「16」に近く、C19・E19の外径は19.1mmで「19」に近いことが分かります。同じ「19」でも、ねじなし電線管は薄鋼電線管より管が薄いので、内径が少し大きくなっています。
金属管工事の決まり(電技解釈第159条)
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 電線 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)で、より線か直径3.2mm以下の単線(短い管に収めるものを除く)。管の中で電線を接続しない |
| 管の厚さ | コンクリートに埋め込むものは1.2mm以上。継手のない長さ4m以下のものを乾燥した展開した場所に施設するときは0.5mm以上。それ以外は1mm以上 |
| 接続 | 管どうし、管とボックスは、ねじ接続などで堅ろうに、電気的に完全に接続する。管の端口にはブッシングを使う |
| 湿気・水気 | 湿気の多い場所や水気のある場所では防湿装置を施す |
| 接地(300V以下) | D種接地工事。管の長さ4m以下で乾燥した場所、または交流対地電圧150V以下で8m以下のものに簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設するときは省略できる |
| 接地(300V超) | C種接地工事。接触防護措置を施すときはD種でよい |
接地工事の種類と値は 接地工事の種類 で整理しています。
合成樹脂管工事(VE管・PF管・CD管)の決まり(電技解釈第158条)
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 電線 | 金属管工事と同じ(絶縁電線、より線か直径3.2mm以下の単線、管の中で接続しない) |
| 管の厚さ | 2mm以上(PF管とCD管を除く)。使用電圧300V以下で、展開した場所か点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所に施設し、接触防護措置を施すときは除く |
| 差込み接続 | 管の差込み深さは管の外径の1.2倍以上(接着剤を使うときは0.8倍以上) |
| 支持 | 支持点間の距離は1.5m以下。管端、ボックスとの接続点、管どうしの接続点の近くにも支持点を設ける |
| CD管 | 直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性または自消性のある難燃性の管やダクトに収める |
| 管どうしの接続 | PF管どうし、CD管どうし、PF管とCD管は直接接続しない(カップリングなどの附属品を使う) |
| 金属製のボックスにつなぐとき | 300V以下はボックスにD種接地工事(乾燥した場所、または交流対地電圧150V以下で簡易接触防護措置を施すときは省略できる)。300V超はC種(接触防護措置を施すときはD種でよい) |
PF管は自己消火性があるので、コンクリートへの埋込みのほか、いんぺい配管や露出配管にも使えます。CD管はコンクリート埋込み専用です(パナソニックの商品案内)。
金属可とう電線管工事の決まり(電技解釈第160条)
- 電線管は2種金属製可とう電線管を使う。1種金属製可とう電線管は、展開した場所か点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所で、管の厚さ0.8mm以上のときなどに限って使える(使用電圧300V超では、電動機に接続する部分で可とう性が必要な部分に限る)
- 1種金属製可とう電線管には、直径1.6mm以上の裸軟銅線を全長にわたって入れるか添えて、両端で管と電気的に完全に接続する(管の長さ4m以下のときを除く)
- 接地は、300V以下はD種(管の長さ4m以下なら省略できる)、300V超はC種(接触防護措置を施すときはD種でよい)
電線管の太さの選び方と電流減少係数
電技解釈の管工事の条文(第158条〜第160条)には、管に入れる電線の量の上限の数値はありません。実務では、収める電線の太さと本数から、日本電気協会の民間規格である内線規程の表やメーカーの資料で管の太さを選びます。
一方、電線を管に収めると熱がこもるので、許容電流を下げて使います。600Vビニル絶縁電線などを合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに収めるときは、単独の許容電流に、同じ管の中の電線の数で決まる電流減少係数を掛けます(電技解釈第146条第2項)。
| 同じ管の中の電線の数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5本・6本 | 0.56 |
| 7本以上15本以下 | 0.49 |
| 16本以上40本以下 | 0.43 |
| 41本以上60本以下 | 0.39 |
| 61本以上 | 0.34 |
たとえば直径2.0mmの軟銅線の許容電流は35A(同条146-1表、周囲温度30℃以下のビニル絶縁電線)なので、同じ管に3本入れると35×0.70=24.5Aになります(第二種電気工事士の問題で「小数点以下第1位を七捨八入する」と指示されたときは24A)。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 薄鋼電線管は内径に近い偶数、厚鋼電線管は外径に近い奇数で呼ぶ | 誤り | 逆。厚鋼は内径に近い偶数、薄鋼は外径に近い奇数 |
| 「E19」はねじなし電線管の19である | 正しい | Eはねじなし電線管 |
| CD管は、露出配管にもそのまま使える | 誤り | 直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性・自消性の管やダクトに収める(電技解釈第158条第3項第7号) |
| PF管とCD管は、直接差し込んでつないでよい | 誤り | 直接接続しない(同項第8号) |
| 合成樹脂管の支持点間の距離は2m以下である | 誤り | 1.5m以下(同項第3号) |
| コンクリートに埋め込む金属管の厚さは1.2mm以上とする | 正しい | 電技解釈第159条第2項第2号イ |
| 金属管の中で電線を接続してよい | 誤り | 管の中では接続点を設けない(同条第1項第3号) |
| 管に入れる電線の量の上限(占積率)は、電技解釈で決まっている | 誤り | 管工事の条文に数値はなく、民間規格の内線規程などで選ぶ(数値があるのは金属ダクト工事で、第162条が内部断面積の20%以下、制御回路などの配線だけなら50%以下としている) |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、電線管の論点を確かめられます。
- 電工2種:薄鋼電線管と厚鋼電線管の太さの呼び方を選ぶ1問
- 電工2種:配線図の「(E19)」が表す電線管を選ぶ1問
- 電工2種:PF管とCD管の決まりとして正しいものを選ぶ1問
- 電工2種:コンクリートに直接埋め込む可とう電線管を選ぶ1問
- 電工2種:金属管工事の記述の誤りを選ぶ1問
- 電工2種:VE管の合成樹脂管工事の決まりを選ぶ1問
工具の選び方は 第二種電気工事士 技能試験の工具、図記号の覚え方は 第二種電気工事士学科の配線図20問攻略 で整理しています。
出典
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第146条・第158条・第159条・第160条・第162条(令和7年11月20日改正の版。経済産業省の内規で、法令ではない)
- パナソニック「鋼製電線管」「合成樹脂製可とう電線管」(https://www2.panasonic.biz/jp/densetsu/haikan/conduit/steel/ ほか、2026年10月20日に確認)
- 宮地電機株式会社「電線管の規格」(https://www.miyajidenki.com/office-environment-i/technical_01/ 、2026年10月20日に確認)
当サイトの問題は電気工事士試験の問題ではありません。法令や公開資料をもとに独自に作った練習問題です。電気技術者試験センターとは関係ありません。










