第4類危険物は、消防法別表第一で「引火性液体」とされる危険物です。品名は特殊引火物・第一石油類・アルコール類・第二石油類・第三石油類・第四石油類・動植物油類の7つで、どれに当たるかは主に1気圧での引火点で決まります。品名によって指定数量が変わり、丙種危険物取扱者が扱えるかどうかも変わります。
第4類の品名と性質は、危険物取扱者乙種第4類(乙4)の「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」で学ぶ論点です。この記事は、e-Gov法令検索の2026年10月時点の版(消防法は2025年6月1日施行の版、危険物の規制に関する政令(以下「危政令」)は2026年4月4日施行の版、危険物の規制に関する規則(以下「危規則」)は2026年6月30日施行の版)と、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のモデルSDSをもとに書いています。
第4類危険物の品名一覧
| 品名 | 消防法別表第一備考の定義(1気圧) | 法律が例に挙げる物質 | 指定数量(危政令別表第三) |
|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | 発火点が100度以下、または引火点が零下20度以下で沸点が40度以下(第11号) | ジエチルエーテル、二硫化炭素 | 50リットル |
| 第一石油類 | 引火点が21度未満(第12号) | アセトン、ガソリン | 非水溶性200リットル/水溶性400リットル |
| アルコール類 | 1分子の炭素原子が1〜3個の飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)(第13号) | — | 400リットル |
| 第二石油類 | 引火点が21度以上70度未満(第14号) | 灯油、軽油 | 非水溶性1,000リットル/水溶性2,000リットル |
| 第三石油類 | 引火点が70度以上200度未満(第15号) | 重油、クレオソート油 | 非水溶性2,000リットル/水溶性4,000リットル |
| 第四石油類 | 引火点が200度以上250度未満(第16号) | ギヤー油、シリンダー油 | 6,000リットル |
| 動植物油類 | 動物の脂肉等または植物の種子・果肉から抽出したもので、引火点が250度未満(第17号) | — | 10,000リットル |
引火点を測る試験は、タグ密閉式引火点測定器による測定が基本で、引火点の高さや粘りけによってクリーブランド開放式やセタ密閉式に替わります(危政令第1条の6)。指定数量の倍数の計算や、灯油・軽油など身近な物質の早見表は 危険物の指定数量一覧 にまとめています。
引火点で分ける石油類 — 21・70・200・250度
石油類は、引火点で4つに分かれます。境目の数字は「未満」と「以上」の向きに注意が要ります。引火点がちょうど21度なら第二石油類、ちょうど70度なら第三石油類、ちょうど200度なら第四石油類です。250度以上の液体は、第4類の石油類には当たりません。
代表的な物質の品名と引火点を、厚生労働省のモデルSDS(安全データシート)で確かめると次のとおりです。
| 物質 | 品名(モデルSDSの適用法令欄) | 引火点(モデルSDS) |
|---|---|---|
| アセトン | 第一石油類・水溶性 | −20度 |
| ベンゼン | 第一石油類・非水溶性 | −11度 |
| トルエン | 第一石油類・非水溶性 | 4.4度 |
| 酢酸エチル | 第一石油類・非水溶性 | −4度 |
| ピリジン | 第一石油類・水溶性 | 20度 |
| 灯油 | 第二石油類・非水溶性 | 37〜65度(資料によって65〜85度) |
| キシレン | 第二石油類・非水溶性 | 25度 |
| 酢酸 | 第二石油類・水溶性 | 39度 |
| アニリン | 第三石油類・非水溶性 | 76度 |
| ニトロベンゼン | 第三石油類・非水溶性 | 88度 |
| エチレングリコール | 第三石油類・水溶性 | 111度 |
灯油の引火点は、モデルSDSでも37〜65度、資料によって65〜85度と幅があります。法律が名指ししていない物質は、引火点などの性状で品名が決まります。引火点と発火点・燃焼範囲の違いは 危険物乙4 引火点・発火点・燃焼範囲 で扱っています。
特殊引火物 — 2つの条件のどちらか
特殊引火物は、次のどちらかに当たる第4類の液体です(消防法別表第一備考第11号)。
- 1気圧で発火点が100度以下のもの
- 1気圧で引火点が零下20度以下で、かつ沸点が40度以下のもの
| 物質 | 当たる条件 | モデルSDSの値 |
|---|---|---|
| ジエチルエーテル | 2 | 引火点−45度、沸点35度 |
| 二硫化炭素 | 1 | 自然発火温度90度(引火点−30度、沸点46度) |
| アセトアルデヒド | 2 | 引火点−38度、沸点20.1度 |
| 酸化プロピレン | 2 | 引火点−37度、沸点34.23度 |
二硫化炭素は沸点が46度で2の条件には当たりませんが、発火点が100度以下なので1の条件で特殊引火物になります。反対に、ヘキサンは引火点が−22度でも沸点が69度、発火点が225度なので、どちらの条件にも当たらず第一石油類です(モデルSDS)。
アルコール類 — 炭素1〜3個の飽和一価アルコール
アルコール類は、引火点ではなく分子のつくりで決まる品名です。1分子を構成する炭素原子の数が1個から3個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)をいいます(消防法別表第一備考第13号)。
| 物質 | 炭素の数 | 品名(モデルSDS) | 引火点(モデルSDS) |
|---|---|---|---|
| メタノール | 1 | アルコール類 | 12度 |
| エタノール | 2 | アルコール類 | 13度 |
| 1-プロパノール | 3 | アルコール類 | 15度 |
| 2-プロパノール | 3 | アルコール類 | 12度 |
| 1-ブタノール | 4 | 第二石油類 | 35度 |
| エチレングリコール | 2(二価) | 第三石油類・水溶性 | 111度 |
ただし、炭素1〜3個の飽和一価アルコールの含有量が60パーセント未満の水溶液などは、アルコール類から除かれます(危規則第1条の3第4項)。
液状であること・品名から除かれるもの
第4類の「引火性液体」は液体であることが前提で、第三石油類・第四石油類・動植物油類は、1気圧・温度20度で液状であるものに限られます(消防法別表第一備考第10号)。1気圧・20度で液状でない(固まっている)油脂は、引火点が250度未満でも動植物油類に当たりません。
| 品名 | 除かれるもの | 根拠(危規則第1条の3) |
|---|---|---|
| 第二石油類 | 塗料類などで、可燃性液体量が40パーセント以下、かつ引火点が40度以上のもの(燃焼点が60度未満のものを除く) | 第5項 |
| 第三石油類・第四石油類 | 塗料類などで、可燃性液体量が40パーセント以下のもの | 第6項 |
| 動植物油類 | 危政令の基準の例によるタンクに加圧しないで常温で貯蔵保管されているもの、または基準の例による容器に通称名・数量・「火気厳禁」等を表示して収納し貯蔵保管されているもの | 第7項 |
品名で変わる決まり
| 決まり | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 水溶性液体の指定数量 | 第一〜第三石油類では、水溶性液体が非水溶性液体の2倍 | 危政令別表第三 |
| 水溶性液体の意味 | 1気圧・20度で同じ容量の純水とゆるやかにかき混ぜ、流動がおさまった後も混合液が均一な外観を保つもの | 危政令別表第三備考第10号 |
| 丙種危険物取扱者が扱えるもの | ガソリン、灯油、軽油、第三石油類(重油・潤滑油・引火点130度以上のものに限る)、第四石油類、動植物油類 | 危規則第49条 |
丙種危険物取扱者が扱えるのは品名ではなく物質名で決まっている部分があり、たとえば第一石油類でも扱えるのはガソリンだけです。製造所や貯蔵所の種類ごとの決まりは 危険物施設の区分 にまとめています。
取り違えやすい文
| 文 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 引火点が21度の液体は、第一石油類である | 誤り | 第一石油類は21度未満。21度は第二石油類(備考第12号・第14号) |
| 二硫化炭素は、引火点と沸点の条件で特殊引火物に当たる | 誤り | 沸点46度で該当しない。発火点100度以下の条件で当たる |
| ヘキサンは引火点が零下20度以下なので、特殊引火物である | 誤り | 沸点69度で2の条件に当たらず、発火点225度で1の条件にも当たらないので第一石油類 |
| 2-プロパノールは、消防法のアルコール類に当たる | 正しい | 炭素3個の飽和一価アルコール(備考第13号) |
| 1-ブタノールは、炭素4個のアルコールなので、アルコール類である | 誤り | 炭素1〜3個に限る。1-ブタノールは第二石油類 |
| 第三石油類の水溶性液体の指定数量は、4,000リットルである | 正しい | 危政令別表第三 |
ぴよパスのオリジナル予想問題で、第4類の品名の論点を確かめられます。
出典
- 消防法 別表第一・同表備考(e-Gov法令検索・2025年6月1日施行の版)
- 危険物の規制に関する政令 第1条の6・別表第三(e-Gov法令検索・2026年4月4日施行の版)
- 危険物の規制に関する規則 第1条の3・第49条(e-Gov法令検索・2026年6月30日施行の版)
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」モデルSDS(ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレン、アセトン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、ヘキサン、ピリジン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、灯油、キシレン、酢酸、1-ブタノール、アニリン、ニトロベンゼン、エチレングリコール)。物質ごとのページ(例: 二硫化炭素、灯油)
当サイトの問題は危険物取扱者試験の問題ではありません。法令をもとに独自に作った練習問題です。消防試験研究センターとは関係ありません。










